異世界無宿

ゆきねる

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第十章 気楽な一人旅

第百二十七話 海辺の町

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イズミは町の入口が見えた所で、一度マスタングを停車して索敵をさせた。

「…異常はありません」

「あのスキンヘッドの男から聞いた話とは相違があるか?」

「…相違はありません」

マスタングでも確認が取れたので、さっさと町に入ろうとアクセルを踏み込んだ。


町の入口に到着すると、直ぐに衛兵に止められた。

「見ない顔だな…町での目的を聞いても?」

衛兵はイズミの顔を見ると、少し緊張をした表情で聞いて来た。

「旅の者でね。海と美味しい料理を探しに来たのさ」

イズミは銀貨を5枚取り出して衛兵に渡す。

「馬車を近くに置ける宿屋を教えてはくれないか?」

「…それなら、最初の十字路を左に入った先にある宿屋が良いだろう。船の重りが目印だ」

話をしながらマスタングに周囲を調べさせると、幾つもの魔法反応が動き始めた。

「ありがとう。そこに泊まるとするよ…それと、俺に用があるならその宿に来てくれ。とでも上には伝えてくれ」

報告するように命じられてるんだろ?と小声で聞くと、衛兵は諦めたような顔をしながらも通してくれた。

マスタングを進ませて、船の重りだろう物が置かれている宿屋に入る。

「すまない。何泊か泊まりたいのだが」

「いらっしゃい。1泊につき銀貨4枚だけど大丈夫かい?」

イズミは取りあえず5日分の銀貨を渡してから、マスタングを馬車置場へと駐車した。

「マスタング…異常があれば連絡をくれ。必要ならば暴れてくれて良いからな」

「分かりました」

イズミはマスタングから荷物を持って宿屋に入ると、従業員だろう女性が部屋へ案内をしてくれた。

「では、こちらの部屋となります」

緊張している様子も無く部屋を案内する女性に、チップがてら銀貨を2枚渡した。

「どうもありがとう。それと、私宛に人が来るかもしれない。その際は呼びに来てほしいのだが」

「分かりました。他の者にも伝えさせて頂きます」

部屋に1人になったイズミは、まず部屋内を軽く調べた。
最早ルーチンと化しつつある、異常確認である。

「…大丈夫そうだな」

左手に着けている腕時計を確認すると、16時になる所だった。
木製の窓から外を見ると、太陽は傾き始めている。

今日はもう身体を休める事にして、散策は明日にしようと決めたイズミは、荷物を広げず水汲み場を探しに向かった。


水汲み場で使う水を確保して部屋に戻り、この前購入した魔道具を使い明かりをつけた。

見た目は普通の蝋燭だが、それよりは明るい。
今度は燭台も欲しいなと思い始めたイズミだったが、まずは身体を拭く事にする。

身体を拭き終えてから、残った水を持って水捨て場へ向かうと、その水を頭から被った。

髪の毛も汗でベタつくのは好きではないが、何よりも水は旅路では貴重品なので宿でくらいしか出来ないのだ。

湿った髪を乾いた布で拭きながら部屋へ戻ると、明日の予定を考え始めた。

「取り敢えず海の幸を食べないとな。それと、この町の特産物とかも調べるか」

イズミは既に明日を満喫する海の幸を想像していたら、部屋の扉をノックされて我に返った。

「お休みの所申し訳ございません。お客様の特徴を上げて、お話をしたいと言う方がいらっしゃっています」

思ったより遅かったかなと、イズミは考えながらも部屋の扉を開けた。

冒険者ギルドの関係者なのか、衛兵に指示を出しているだろう貴族の関係者なのか。

どちらに転んでも、イズミにとって面倒くさい話しでしかないのは確かである。

「やれやれ、どんな方なのやら」

イズミはため息をつきながら宿屋の入口へと歩き出した。
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