異世界無宿

ゆきねる

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第十一章 新たな相棒

第百四十一話 賑やかな町で

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新しい町へと入ったイズミが最初に感じたのは、獣人とドワーフ族の多さだった。

宿屋で一泊すると同時に、シュリンプ料理を出す店の情報を聞き込む。

「シュリンプ料理ですか?この町にはありませんが、もう少し北の町へ行けばありますね」

「そうか…どうもありがとう」

イズミは感謝の言葉を述べてから、明日の予定を組んでいった。

町中を歩いていると犬型の獣人も猫型の獣人も、見ている限り仲が悪い訳では無いようだ。

武器や装備を売っている店に入ってみると、やはり獣人向けの商品が多かった。
品揃えから見るに、剣よりはアックスやナタが主な武器のようだった。

雑貨屋みたいな店に入ると、冒険者みたいな獣人の姿もあった。

イズミはブラシを見つけたので手に取ってみる。
木製の持ち手に魔物か何かの毛を使ったブラシだった。
商品棚に戻してから、まったりと他の店を巡る。

旅の醍醐味を満喫していたイズミが宿屋に入る前にマスタングを見ると、ルーフ上にて猫が丸まっていた。

「マスタング、その猫は大丈夫なのか?」

「問題ありません。爪を立てないように言っておりますので」

マスタングが構わないのならば、自分がどうこう言うのも微妙なので黙っておく事にした。
宿屋に入ってみると、多種族の交流場にも見える賑わいがあった。

「ここのスープの味付けが俺達には丁度良いんだ」

そんな声を聞きながら腕時計を見ると、13時を過ぎた所だった。
宿屋のランチ営業の時間と被っていたのだ。

慌ただしい宿屋の食堂を横目に部屋へ入ると、上着を脱いで身体を伸ばした。


「マスター。少々よろしいでしょうか?」

休憩していたらマスタングから魔法通信が入ったので、上着を羽織り宿屋から出る。
見ると猫がマスタングのルーフ上に1匹、ボンネットに1匹寛いでいた。

「…追い払うのか?」

「コップを出しますので、水を用意して欲しいのです」

「そんな事なら」

トランクの開閉にも動じていない猫に驚きつつも、コップに水を入れて地面に置く。
自分がいても邪魔かもしれないと思ったイズミは、そそくさと宿屋へ入って行った。


その日の夜。
宿屋の夕食を食べに食堂へ向かうと、昼間と同様に混雑していた。

パンと魚介のスープに腸詰めのセットを受け取り、カウンター席で静かに食べ始める。
海辺の町で魚と肉の両方を楽しめる食事は有り難い。
黙々と食べていると、背後から様々な話が耳に入り込んできた。

「グリフォンの羽根を使った寝具が金貨50枚になったんだって」

「王都の冒険者ギルドに入ったドラゴンから魔石が取れたらしいぞ、かなり上玉だったとか」

「辺境伯の娘さんが、近々戻って来るらしいぞ」

「なんでも王都での治療が上手くいったみたいで、もう歩けるとか」

「最近クラーケンが現れたとか聞いたけど、本当なのか?」

「海賊船が2隻沈んだって話だぞ」

「海賊船なら良いけどよ、漁船だったら大損害だ」

そんな話し声を聞きながら食事を終えると、食器を戻してから水汲み場へと向かう。
身体を拭く分の水を確保してから部屋へと戻る。

そんなイズミをジッと観察していた人間が数名いる事を、イズミは気付いていなかった。
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