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第十二章 辺境伯領にて
第百六十四話 契約しました
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「契約ですか?あの、差し支えなければ…お名前をお聞きしても?」
エレナが困った顔で聞くと、女は口をポカンと開け、ハッとした表情をした。
「そうか、この世界では自己紹介をするのも礼儀だったな…我が名はジーヴルと言う。真名はこちらの人間では発音出来ぬから、ジーヴルで良いぞ」
「私はエレナ・ブロズムナードと申します。ジーヴル様、貴方は…」
エレナが質問を言い切る前に、ジーヴルは答えた。
「我は氷の精霊と言った所だ。久しく見ぬ類の氷魔法を察知したので、見に来たのだ」
ジーヴルが氷像に触れると、像の荒削りな所が綺麗に滑らかになっていく。
瞬く間に美しい女神へと姿を変えてしまった。
「どうじゃ?我と契約してはくれぬか?」
ジーヴルが契約を迫る後ろで、イズミはアーリアに魔法通信をかける。
イズミの知る限り、アーリアが最も詳しい人間だと思ったからだ。
「どうしたの?」
「精霊との契約って知ってるか?」
「はぁ!?…今すぐそっちに行くわね」
魔法通信越しでも、アーリアの慌てぶりが伝わってきた。
かなりのレアケースなのかもしれない。
大慌てでやって来たアーリアが、エレナとジーヴルの間を取り持つ事になった。
屋敷の個室で精霊との契約について、三者で話合いをする運びとなり、2人と1名が屋敷へと入って行った。
契約に関する詳しい内容は契約者間のみのモノなので、イズミは聞くことすら出来なかったが、面倒なニオイがプンプンする気がした。
「イズミ。あのジーヴルと名乗る精霊と戦って、勝てる見込みはあるか?」
武器を仕舞ったゾルダがイズミへ質問を投げかけた。
「俺には無理だ。恐らくだが、向こうが本気なら武器を構える前に全身氷漬けだ」
それを聞いたゾルダは、身体を少し震わせた。
絶対に勝てない相手、敵にしてはならない相手。
そんな感想をイズミは抱いていた。
しばらくして、屋敷からエレナが戻って来た。
アーリアも一緒だったが、ジーヴルの姿は無かった。
「結論から申し上げます。エレナ様は氷の精霊であるジーヴル様と契約を結びました」
アーリアはアレクセイに対して、契約内容を大まかに説明を始めた。
「主従関係では無く、対等な関係での契約となります…持ちつ持たれつ、協力関係と言った方が正しいですね」
アーリアが魔術士協会の会員証をアレクセイに提示する。
「詳しい契約内容は当事者間のみの特別な物です。私の口からは何も言えませんのであしからず」
エレナが氷像に触れると、微細な氷の結晶になって消えてしまった。
「おぉ。これは綺麗だな」
イズミとベリアが同じタイミングで同じ台詞を口にした。
「てい!」
エレナがそう言って両手を天に翳す。
すると先程までの氷像の倍はあるだろう、巨大な女神像が姿を現した。
「「…」」
これには、イズミ達も呆然としてしまった。
アーリアですら、言葉が出て来ていない。
「ジーヴル様の言った通りですね」
女神像は細部までしっかりと作られていて、まるで大理石の彫刻を思わせる美しさだった。
「エレナ!こんなに魔法を使って、身体は大丈夫なのか?」
アレクセイがエレナの両肩を掴んで尋ねた。
凄い魔法よりも、エレナへの心配が勝ったのだ。
「大丈夫みたいです。これも契約のお陰かもしれません」
「契約相手に不都合な事はせぬよ」
エレナの後ろから、ぬっとジーヴルが現れた。
氷で作られた女神像を確認してから、ジーヴルはエレナの元にやって来た。
「うむ、大分良くなった」
「ありがとうございます」
エレナとジーヴルは既に良好な関係を築けているように見えた。
「では、我は帰るとしよう…エレナ、よろしく頼んだぞ」
そう言い残して、ジーヴルは消えてしまった。
冷たい風が吹いたかと思ったら、もう姿形すら無かった。
「エレナ。ジーヴル様から何を頼まれたんだ?」
「色々とありますが…まずは、氷魔法の普及です」
やはり面倒な話だったと、イズミは1人苦虫を噛み潰したような表情になっていた。
エレナが困った顔で聞くと、女は口をポカンと開け、ハッとした表情をした。
「そうか、この世界では自己紹介をするのも礼儀だったな…我が名はジーヴルと言う。真名はこちらの人間では発音出来ぬから、ジーヴルで良いぞ」
「私はエレナ・ブロズムナードと申します。ジーヴル様、貴方は…」
エレナが質問を言い切る前に、ジーヴルは答えた。
「我は氷の精霊と言った所だ。久しく見ぬ類の氷魔法を察知したので、見に来たのだ」
ジーヴルが氷像に触れると、像の荒削りな所が綺麗に滑らかになっていく。
瞬く間に美しい女神へと姿を変えてしまった。
「どうじゃ?我と契約してはくれぬか?」
ジーヴルが契約を迫る後ろで、イズミはアーリアに魔法通信をかける。
イズミの知る限り、アーリアが最も詳しい人間だと思ったからだ。
「どうしたの?」
「精霊との契約って知ってるか?」
「はぁ!?…今すぐそっちに行くわね」
魔法通信越しでも、アーリアの慌てぶりが伝わってきた。
かなりのレアケースなのかもしれない。
大慌てでやって来たアーリアが、エレナとジーヴルの間を取り持つ事になった。
屋敷の個室で精霊との契約について、三者で話合いをする運びとなり、2人と1名が屋敷へと入って行った。
契約に関する詳しい内容は契約者間のみのモノなので、イズミは聞くことすら出来なかったが、面倒なニオイがプンプンする気がした。
「イズミ。あのジーヴルと名乗る精霊と戦って、勝てる見込みはあるか?」
武器を仕舞ったゾルダがイズミへ質問を投げかけた。
「俺には無理だ。恐らくだが、向こうが本気なら武器を構える前に全身氷漬けだ」
それを聞いたゾルダは、身体を少し震わせた。
絶対に勝てない相手、敵にしてはならない相手。
そんな感想をイズミは抱いていた。
しばらくして、屋敷からエレナが戻って来た。
アーリアも一緒だったが、ジーヴルの姿は無かった。
「結論から申し上げます。エレナ様は氷の精霊であるジーヴル様と契約を結びました」
アーリアはアレクセイに対して、契約内容を大まかに説明を始めた。
「主従関係では無く、対等な関係での契約となります…持ちつ持たれつ、協力関係と言った方が正しいですね」
アーリアが魔術士協会の会員証をアレクセイに提示する。
「詳しい契約内容は当事者間のみの特別な物です。私の口からは何も言えませんのであしからず」
エレナが氷像に触れると、微細な氷の結晶になって消えてしまった。
「おぉ。これは綺麗だな」
イズミとベリアが同じタイミングで同じ台詞を口にした。
「てい!」
エレナがそう言って両手を天に翳す。
すると先程までの氷像の倍はあるだろう、巨大な女神像が姿を現した。
「「…」」
これには、イズミ達も呆然としてしまった。
アーリアですら、言葉が出て来ていない。
「ジーヴル様の言った通りですね」
女神像は細部までしっかりと作られていて、まるで大理石の彫刻を思わせる美しさだった。
「エレナ!こんなに魔法を使って、身体は大丈夫なのか?」
アレクセイがエレナの両肩を掴んで尋ねた。
凄い魔法よりも、エレナへの心配が勝ったのだ。
「大丈夫みたいです。これも契約のお陰かもしれません」
「契約相手に不都合な事はせぬよ」
エレナの後ろから、ぬっとジーヴルが現れた。
氷で作られた女神像を確認してから、ジーヴルはエレナの元にやって来た。
「うむ、大分良くなった」
「ありがとうございます」
エレナとジーヴルは既に良好な関係を築けているように見えた。
「では、我は帰るとしよう…エレナ、よろしく頼んだぞ」
そう言い残して、ジーヴルは消えてしまった。
冷たい風が吹いたかと思ったら、もう姿形すら無かった。
「エレナ。ジーヴル様から何を頼まれたんだ?」
「色々とありますが…まずは、氷魔法の普及です」
やはり面倒な話だったと、イズミは1人苦虫を噛み潰したような表情になっていた。
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※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
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