異世界無宿

ゆきねる

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第十三章 陰謀の気配

第百七十三話 遠のくシュリンプ料理

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イズミが今後の予定を組み立ていると、ゾルダが声をかけてきた。

「イズミ、追いかけるつもりか?」

「いや…とりあえずシュリンプ料理かな。美味いシュリンプを出す店があると聞いたから、此処に来たんだ」

「シュリンプ料理?あれを出す店は知ってるが、今は時期じゃないな」

イズミは失念していた。
ここは異世界であり、海や川の生物の穫れる時期が違う事を。
冷凍の技術もほとんど無いこの世界では、時期が違えばその料理にはありつけないのだ。

「肝心な所を忘れていたな…」

「他に旅のアテが無いなら、周辺国が変な動きをする前に北の方面にある火山地帯に行ってみたらどうだ?」

隣国のその先、北の最果てまでは行かない所に巨大な火山があるらしい。

「そこはドワーフ族が多くいる土地なのだが、エルフ族も魔族も普通に共存している」

「ほぅ。面白そうだな」

「国名は確か…ハンハルディア共和国だったな」

「考えておこう」

ゾルダの話は面白そうだったが、目の前の問題…侵入者関連に片足を突っ込んでいるのでしばらくは辺境伯領に居た方がと思ったと告げると、軽い返事が来た。

「イズミなら普通に相手を追えるだろうが、他の領地との連携もあるので時間がかかる。そこまで気にするな」

「…分かった。では、その共和国とやらに観光目的で行ってみるとしよう」

シュリンプ料理はしばし諦めて、火山のある国での食事に思いを馳せる。
温泉とかもあったら嬉しいが、捕らぬ狸の皮算用にならないように心を落ち着けた。


ハルハンディア共和国へ行くとベリアに告げると、ベリアも同行すると言ったので旅路の確認を始める。

「あの国の火山地帯は凄いぞ。武器や防具を作る凄腕のドワーフもいるし、宝石を加工して魔法効果を付与出来るエルフやフェアリーもいる。冒険者なら1度は行きたい場所だな」

「普通に移動したらどのくらいかかる?」

「うーん…順調に移動出来ても、最低で約2ヶ月半くらいだな」

「結構だな」

イズミはマスタングへ乗り込み目的地を入力すると、思ったよりも早く到着出来そうだった。

「マスター。周囲の目を気にしなければ、半月で到着しますが…」

「目立ち過ぎると面倒だな…せめて1ヶ月かけよう」

「かしこまりました」

移動先に余裕を持たせたルート選択を済ませると、ベリアと出発日の相談をする。

「冒険者なら明日にでも…ってなるけど、昨日の件もあるしな。今日の内に説明して、明後日に出発でどうだ?」

ベリアからの提案を受け入れたイズミは、屋敷の従者に出発の事を伝える。
従者が報告をする為に屋敷へ戻ると、程無くしてエレナがやって来た。
もう自由自在に足を操れている。
現に屋敷から走って来たのだ。

「イズミさん、明後日旅立つのですか?」

「はい。思い立った時が旅立つ時ですので」

そう話していると、エレナの背後からジーヴルがヌッと姿を見せる。

「此奴との連絡手段なら妾が手配してやるから、エレナは安心して魔法の訓練に勤しむが良い」

流石は精霊である。
アーリアに頼もうかと思っていたが、手間が省けた。

「妾達精霊は、何処にでも居るのよ」

「それは頼もしいな…味方なら」

「味方じゃよ…あの酒の出所を邪険に扱う様な愚か者では無い」

どうやら相当気に入っているようだ。
イズミは少し笑みを浮かべ、マスタングのルーフを優しく撫でた。
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