異世界無宿

ゆきねる

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第十七章 臨時の同盟

第二百三十四話 奇襲妨害

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イズミは右手をそれとなくバックサイドホルスターに伸ばしながら、部屋の扉を開けて辺りの確認をする。

冒険者ギルド内も慌ただしいが、武器の準備等はしていなかった。

「やれやれ…町の鐘が5回鳴るのは、貴族様が来られた合図です。どの御方なのやら」

背後からため息をつきつつツォーネットが歩いてくる。
町の冒険者ギルド責任者である為か、貴族への対応も業務に含まれているようだ。

イズミは忙しそうなギルドの職員を1人掴まえると、話し合いは終わったと伝えて裏口から外へ出たいと話した。

「分かりました。表は貴族様がいらっしゃいますので、そのまま裏通りをお使いになった方が早く帰れるかと」

「どうもありがとう」

裏口まで案内をしてくれた職員の手にチップ代わりの金貨を握らせ、裏通りを静かに歩き始めた。


冒険者ギルド入口。
普段なら町の人達で賑わう通りだが、今は賑やかさも薄れている。
冒険者ギルドの建物前に馬車が数台止まり、統一感のある装備を身に纏った兵士の1人が馬車の扉を開ける。

「お嬢様、テルジム町の冒険者ギルドに到着しました」

「そう、分かったわ」

馬車から降りた女は、目の前に現れた男に声を掛けた。

「あらツォーネット、何時もより疲れた顔をしてるわね」

「ソフィア様はご機嫌麗しいようで。朝から書類をまとめていましたら、目が疲れてしまいまして…年は取りたくありませんな」

「そう?私には良い年の取り方をしているように見えるけれど」

ソフィアと呼ばれた女性がツォーネットの案内でギルドの応接室へ入って行く。
ツォーネットは近くにいた職員を呼び止めると、イズミへの聴取の中断の言伝を頼む。

「私はソフィア様と打ち合わせに入りますので、イズミ殿からの聴取は後日行いたいと話をしておいて下さい」

「イズミさんでしたらツォーネットさんがソフィア様のお出迎えをしている時に、話は終わったと言って裏口から出て行きましたよ」

「…やりおるな」

硬い表情を崩したツォーネットだったが、ため息をついたら元の表情に戻る。
そしてソフィアの待つ応接室へ入って行った。


裏口から冒険者ギルドの建物を出たイズミは、裏通りから少し移動をしてから通りの状況を確認する。

「…貴族と馬車と兵士、面倒事じゃなければ良いが」

イズミが通りに居る人間観察をしていると、向かい側の裏通りへ通じる小道から馬車を観察している男が見えた。

男が右手を胸の位置まで持ち上げると、掌に火球が現れる。
兵士達はまだ気付いていないようで、特段の動きは見られなかった。

「…どうするイズミ、また面倒事に首を突っ込むのか?」

イズミは自問自答をした後にため息をつく。
覚悟を決めホルスターに手を伸ばし、銃のグリップを握るとセイフティを外して通りへ歩き出した。

「おい、そこの!何してんだ?」

「!」

奇襲攻撃に集中していたのかイズミに気付いていなかった男が、声を掛けられると同時に火球をイズミへ投げ付けて来た。

「うぉ!?」

イズミは銃を抜きつつ背中から倒れ込むようにして火球を避けると、男に向けてリズム良く3発撃ち込んだ。

銃声が通りに響き渡り、火球が燃え上がるのに気付いた兵士達が防御体勢を取り始める。
男に銃弾は命中したが、まだ動けるようでその場を逃げ出した。
イズミは銃を男に向けたまま起き上がると、銃を両手持ちで構えて逃げる背中に向けて2発撃った。

男は耐え切れず倒れ込んだので、イズミは一度周囲を見渡してから銃を男へ向けつつゆっくりと接近する。

「何処の連中から知らないが、物騒な事は良く無いな。目的はなんだ?」

男の顔を確認する為に横たわる身体を転がすと、銃弾は胸部に命中していたようで出血が酷く、既に話が出来るような状態では無かった。

ザシュ…

イズミの背後から物音がしたので咄嗟に振り向くと、ローブで顔を隠した何者かがストーンバレットを仕掛けて来る所だった。

イズミは咄嗟に銃を撃ちながら建物の角まで移動して身を隠すと、銃は弾切れとなりスライドが止まる。
避けたストーンバレットが倒れている男をズタズタにすると、路地裏は束の間の静寂に包まれた。

イズミは深く静かに呼吸を整えると、空になった弾倉を地面へ落とす。
予備弾倉を左手で取り出し、銃へ詰め込みスライドストップに指をかける。
敵の物音に注意しつつ銃を構え直すと、通りに向けて半身を出して銃を撃ち込もうと身構えた。

通りには、既にローブの敵は居なかった。

「逃げた…のか?」

ローブの敵が立っていた場所には、僅かに血がついていた。
これがマグナムだったら倒せていたかもしれない。
そう考えてしまうが、この拳銃でも一応戦える事は分かった。

セイフティを掛け銃をホルスターに仕舞い空になったマガジンを回収した所で、兵士達がやって来しまった。
その為、空薬莢の回収は出来なくなった。
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