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第十七章 臨時の同盟
第二百四十三話 捜査協力
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町に戻り宿屋で休憩をしていると、程なくして冒険者ギルドからのお呼び出しがあった。
断っても良かったがベリアは拒否出来ないので、暇つぶしがてらイズミも同行する事にした。
ギルドに到着すると、ツォーネットが職員から資料を受け取っている所だった。
「何度もお呼び出ししてしまい、申し訳御座いません」
ツォーネットの案内で執務室に入ると、ソフィアが椅子に座っていた。
「これは、何かの打ち合わせですか?」
「そうなるわね」
イズミの質問にソフィアが答えると、ツォーネットが持っていた資料をテーブルに広げる。
「子供達の誘拐事件、魔族の卵強奪事件、そして先日の襲撃事件。これらに関わった者達から色々と聞き出せた話を纏めました。イズミさん達も知っておいた方が良いかと」
「ならばフラウリアもこの場にいた方が良いのでは?」
イズミが当然の疑問を口にすると、ソフィアがイズミの足元を指差した。
「それに関しては問題無いわ」
指差しをされた足元を見ると、小さな蛇が一匹現れ近くの椅子へと移動する。
蛇は器用に椅子の脚を登ると、青白い光と共にフラウリアへと変化した。
「…気付かれるとは思いませんでしたわ」
「変化って…魔法ってのは凄いな」
笑顔でソフィアに話しかけるフラウリアを見たイズミは、そんな平凡な感想しか言葉に出来なかった。
「子供達の誘拐に関してですが、実行犯はハルハンディア共和国にて2年前から規模を拡大している犯罪組織でした。元冒険者や傭兵、追放された魔術師も多数在籍しており、我々も頭を悩ませております」
ツォーネットが説明をしながら、指名手配をしている者達の手配書をテーブルに置いた。
「指示を出しているのは、本国においては上流貴族の可能性が高いですが、まだ特定には至っておりません。しかし、ワイバーンを支配下に置ける魔術師はそう多くはありません。そこから調べを進めております」
イズミは手配書を手に取りペラペラとめくると、名前にバツ印が付いた者がいる。
「彼は先日イズミ殿へ攻撃をした元冒険者です」
手配書に描かれた顔を見てみると、確かに似ているように思えたが、正直倒した奴の顔なんて一々覚えていない。
「彼も尋問中の者達もですが、命令を受けたのは帝国出身と言う商人からだと供述しています」
「帝国」
「正式にはノストラテジア帝国です。人間至上主義で選民思想も強く、他国に対しても高圧的で有名です」
ソフィアが地図を取り出すと、銅貨を帝国の位置に置いた。
「位置関係はこんな所ね。銅貨が帝国、金貨がハルハンディア共和国、銀貨は…」
「ジェヴェドール王国か」
ハルハンディアとジェヴェドールは隣国としての友好関係があるが、侵略戦争を繰り返し領土拡大をしている帝国との国境が近付いているのが分かる。
既に両国とも、一部で帝国と接しているのだ。
「帝国は事ある毎にその土地は元々我々帝国固有の領土であり、共和国や王国が管理をしている事自体が可笑しいので速やかに謝罪と賠償と返還をせよ。とか言うのよ」
「で、断ると実力行使で兵隊を寄越して奪うと」
分かりやすい侵略と略奪の国家である。
イズミは苦笑いを浮かべながら、部屋内を見渡した。
「そんな帝国に本拠地を置く商会が販売している馬車や道具を、犯罪組織も先日襲撃をして来た者達も使っているのよ」
入手経路は不明だが、犯罪行為に関わる人間への販売ルートを持っている事になるので、国としても要注意な商会である。
「問題は、コレだけでは商会に立ち入り検査は出来ないのよ」
「証拠不十分か。この前渡した書類関係ではどうだ?」
「商人ギルドの人間が絡んでいる事が分かったくらいね。書類の作成者は捜索中」
ソフィアのため息が聞こえて来たので、イズミは背伸びをしてから次の行動を考え始めた。
「イズミさん。この件に関してなのですが、私と同盟…協力関係を結びませんか?」
「協力関係?」
イズミはフラウリアの隣の椅子に座ると、ソフィアを見つめる。
「本国の貴族や帝国が絡んでいるとなると、私達も迂闊には動けません。魔族からもこの件については捜査依頼を頂いてます。私が責任者として対応を任されてから、既に2度襲撃を受けていまして」
ソフィアが目の前にいるイズミとフラウリアを見てから、詳しい話を続ける。
「本国の冒険者ギルドには話を通しますし、貴族特権の免状も交付して干渉出来ないようにも出来ます。どうか私と、協力関係を結んでは頂けませんか?」
ソフィアの真剣な依頼を聞いたイズミは、回答に困ってしまった。
事件解決なんてドラマの世界レベルに縁が無い人生だったので、突然陰謀に巻き込まれて解決の為に協力関係を結ぶと言っても、何をするのか想像も出来ないのだ。
「…私に出来るのは、目の前に現れる敵を片付ける、決着をつける事だけです。罪や陰謀を調べ明らかにして、悪人を断罪するなんて事はとてもとても」
「…イズミさんはいつも通りで良いと思いますよ?悪党から寄って来ますし、それを全員倒せば良いのです」
フラウリアの言葉を聞いたイズミは、微妙な表情をして彼女の方を見る。
「私も魔族として許す訳にはいかない事案なのです。証拠集めが必要ならば、協力しますわ…勿論、対価は頂きますが」
イズミの顔を見てニッコリと微笑むフラウリアの表情が、ここは拒否しない方が利口だと言っているように思える。
「出来る事は少ないぞ」
「ゼロではありませんから」
フラウリア、ソフィア、ツォーネット、ベリアの顔を一通り確認してから、イズミは深呼吸をして了承した。
「…分かった、協力しよう」
イズミは観念し、渋々ではあるが目の前に座るソフィアと手を組む事を決めた。
断っても良かったがベリアは拒否出来ないので、暇つぶしがてらイズミも同行する事にした。
ギルドに到着すると、ツォーネットが職員から資料を受け取っている所だった。
「何度もお呼び出ししてしまい、申し訳御座いません」
ツォーネットの案内で執務室に入ると、ソフィアが椅子に座っていた。
「これは、何かの打ち合わせですか?」
「そうなるわね」
イズミの質問にソフィアが答えると、ツォーネットが持っていた資料をテーブルに広げる。
「子供達の誘拐事件、魔族の卵強奪事件、そして先日の襲撃事件。これらに関わった者達から色々と聞き出せた話を纏めました。イズミさん達も知っておいた方が良いかと」
「ならばフラウリアもこの場にいた方が良いのでは?」
イズミが当然の疑問を口にすると、ソフィアがイズミの足元を指差した。
「それに関しては問題無いわ」
指差しをされた足元を見ると、小さな蛇が一匹現れ近くの椅子へと移動する。
蛇は器用に椅子の脚を登ると、青白い光と共にフラウリアへと変化した。
「…気付かれるとは思いませんでしたわ」
「変化って…魔法ってのは凄いな」
笑顔でソフィアに話しかけるフラウリアを見たイズミは、そんな平凡な感想しか言葉に出来なかった。
「子供達の誘拐に関してですが、実行犯はハルハンディア共和国にて2年前から規模を拡大している犯罪組織でした。元冒険者や傭兵、追放された魔術師も多数在籍しており、我々も頭を悩ませております」
ツォーネットが説明をしながら、指名手配をしている者達の手配書をテーブルに置いた。
「指示を出しているのは、本国においては上流貴族の可能性が高いですが、まだ特定には至っておりません。しかし、ワイバーンを支配下に置ける魔術師はそう多くはありません。そこから調べを進めております」
イズミは手配書を手に取りペラペラとめくると、名前にバツ印が付いた者がいる。
「彼は先日イズミ殿へ攻撃をした元冒険者です」
手配書に描かれた顔を見てみると、確かに似ているように思えたが、正直倒した奴の顔なんて一々覚えていない。
「彼も尋問中の者達もですが、命令を受けたのは帝国出身と言う商人からだと供述しています」
「帝国」
「正式にはノストラテジア帝国です。人間至上主義で選民思想も強く、他国に対しても高圧的で有名です」
ソフィアが地図を取り出すと、銅貨を帝国の位置に置いた。
「位置関係はこんな所ね。銅貨が帝国、金貨がハルハンディア共和国、銀貨は…」
「ジェヴェドール王国か」
ハルハンディアとジェヴェドールは隣国としての友好関係があるが、侵略戦争を繰り返し領土拡大をしている帝国との国境が近付いているのが分かる。
既に両国とも、一部で帝国と接しているのだ。
「帝国は事ある毎にその土地は元々我々帝国固有の領土であり、共和国や王国が管理をしている事自体が可笑しいので速やかに謝罪と賠償と返還をせよ。とか言うのよ」
「で、断ると実力行使で兵隊を寄越して奪うと」
分かりやすい侵略と略奪の国家である。
イズミは苦笑いを浮かべながら、部屋内を見渡した。
「そんな帝国に本拠地を置く商会が販売している馬車や道具を、犯罪組織も先日襲撃をして来た者達も使っているのよ」
入手経路は不明だが、犯罪行為に関わる人間への販売ルートを持っている事になるので、国としても要注意な商会である。
「問題は、コレだけでは商会に立ち入り検査は出来ないのよ」
「証拠不十分か。この前渡した書類関係ではどうだ?」
「商人ギルドの人間が絡んでいる事が分かったくらいね。書類の作成者は捜索中」
ソフィアのため息が聞こえて来たので、イズミは背伸びをしてから次の行動を考え始めた。
「イズミさん。この件に関してなのですが、私と同盟…協力関係を結びませんか?」
「協力関係?」
イズミはフラウリアの隣の椅子に座ると、ソフィアを見つめる。
「本国の貴族や帝国が絡んでいるとなると、私達も迂闊には動けません。魔族からもこの件については捜査依頼を頂いてます。私が責任者として対応を任されてから、既に2度襲撃を受けていまして」
ソフィアが目の前にいるイズミとフラウリアを見てから、詳しい話を続ける。
「本国の冒険者ギルドには話を通しますし、貴族特権の免状も交付して干渉出来ないようにも出来ます。どうか私と、協力関係を結んでは頂けませんか?」
ソフィアの真剣な依頼を聞いたイズミは、回答に困ってしまった。
事件解決なんてドラマの世界レベルに縁が無い人生だったので、突然陰謀に巻き込まれて解決の為に協力関係を結ぶと言っても、何をするのか想像も出来ないのだ。
「…私に出来るのは、目の前に現れる敵を片付ける、決着をつける事だけです。罪や陰謀を調べ明らかにして、悪人を断罪するなんて事はとてもとても」
「…イズミさんはいつも通りで良いと思いますよ?悪党から寄って来ますし、それを全員倒せば良いのです」
フラウリアの言葉を聞いたイズミは、微妙な表情をして彼女の方を見る。
「私も魔族として許す訳にはいかない事案なのです。証拠集めが必要ならば、協力しますわ…勿論、対価は頂きますが」
イズミの顔を見てニッコリと微笑むフラウリアの表情が、ここは拒否しない方が利口だと言っているように思える。
「出来る事は少ないぞ」
「ゼロではありませんから」
フラウリア、ソフィア、ツォーネット、ベリアの顔を一通り確認してから、イズミは深呼吸をして了承した。
「…分かった、協力しよう」
イズミは観念し、渋々ではあるが目の前に座るソフィアと手を組む事を決めた。
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