異世界無宿

ゆきねる

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第十九章 暴力の嵐

第二百八十五話 悪魔呼ばわり

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マスタングのアクセルを控えめに踏み込み、逃げた敵の後を追いかける。
ヘッドライトの照らす道は途中から獣道へと変わる。

「対象は分散したようです」

「流石に気付いたか?」

敵だって馬鹿では無いのだ。
そうボヤくと、獣道が3方向に分かれたので一旦停車する。

最終的には全員始末するが、優先順位を決めなければならない。

「魔法反応の強い奴を最初にするか最後にするか」

「そんな悩むか?近い奴から順番に追えば良いんじゃね」

ベリアが欠伸をしてからモニター上で右側へ移動しているポイントを指差した。
逃走ルートに難があるのか、この場所から一番近い。

その順番は丁度、魔法反応が弱い奴から追う事になった。

「それなら、右から左へなぞるか」

マスタングがフワッと車体を浮かせると獣道を進み出す。
走り出すと、あっという間に逃走した1人に追い付いた。

ベリアが助手席の窓を下ろすと、ナイフを使う事無く風魔法で敵の両足を切断する。

地面へ倒れ込んだ敵の手から離れた鞄を素早く回収すると、マグナムで心臓を撃ち抜いた。
生死の目視確認はせずに、次の目標へと走り出す。

2人目は逃げながら防御魔法を展開していたが、最早イズミ達には無いも同然のものだった。
ベリアが少し力を込めて風魔法を使うと、防御魔法は砕け散り敵の右手を切り裂いた。

イズミは男が資料の類いを持っていない事を確認すると、マグナムで息の根を止める。

「あと一人か…魔力反応も強いし、面倒だな」

念の為にマグナムのリロードをしたイズミは、今も尚逃げている反応に追い付くべく走り出した。

敵の足跡を辿っていると、モニターに赤い点が複数表示される。

「マスター、地面設置型のトラップです」

「トラップ?」

一旦停車してどんな罠なのかを確かめるべく、メガネを掛けて降車する。
トラップが発動するかしないかのギリギリまでジリジリと近付くと、マスタングがストップをかけてメガネ越しにスキャンを開始した。

「…トラップが起動すると、一定範囲が爆発する仕組みのようです」

「地雷みたいなもんか」

厄介な置き土産をしてくれたもんだとボヤきながら、イズミはマスタングまで戻り処理について考える。

「地雷や爆弾処理とは訳が違うしな…」

「腕時計でも無理か?」

「爆発してからだと何とも言えないな。試した事が無い」

結局ベリアがストーンバレットでトラップ付近を攻撃し、爆破解除をする事になった。
ある意味確実な解除方法だが、後日復旧をした方が自然環境の為にも良いかもしれない。

解除方法が決まったので、マスタングで敵を追跡しながら破壊して回る。
20個程のトラップを破壊した所で、敵の背中がヘッドライトに照らされた。

イズミはさっさと始末しようとマグナムを構えるが、フラウリアが制止した。

「イズミさん、彼は生け捕りにしましょう」

「何故?」

「この魔力…過去にお会いした貴族の物に近いのです」

「…貴族ねぇ」

フラウリアの言葉を信じたイズミは、マスタングにショットガン用のゴム弾を実体化させる。
ショルダーバッグからセミオート式のショットガンを取り出して装填すると、男の胴体に向けて発砲した。

狙った場所より少し下に命中したゴム弾のダメージで、男が悲鳴を上げ転倒する。

「ちょこまかと逃げやがって」

変な抵抗をしないように追加で2発程ゴム弾を撃ち込むと、男が持っている布袋を回収する。

腕時計がピカッと光ったので見てみると、鎖で拘束されていた者達を解放した時に溜まっていたインデックスの光が1つ増えていた。

「袋にも何か細工をしていたようだな」

「…」

男は痛みに耐えながら、少しでもイズミから離れようと地面を這っている。
その後、イズミ達へ向けて両手を開いた。

「かかったな!」

イズミの周囲に紫色の格子が現れる。

「範囲捕縛魔法だ!」

ベリアがマスタングから魔法通信でイズミに伝える。
身動きが取れない訳ではないので、イズミはどんな物なのかマジマジと観察を始めた。

「我々の邪魔をする不届き者め、恥と言う言葉の意味を身を持って知ると良い!」

男の背後にファイアーボールが3つ現れ、イズミ達へ向けて投げつけた。
しかし、そのファイアーボールはイズミ達に命中する前に消えてしまった。

「ふむん…マスタング、さっきのカスタム弾でコレは破壊可能か?」

「3発も撃てば破壊出来るかと」

男の攻撃を無視してポケットを弄りカスタム弾を取り出す。
残り4発…

マグナムに装填すると、格子に向けて3発撃ち込んだ。
2発目の時点で格子全体にヒビが入り、3発目で砕け散った。

「流石だマスタング」

「当然です」

恐怖で青褪めた表情の男へ近付くと、残ったカスタム弾を男の足元へ撃つ。
男の全身から紫色の光が出たが、直ぐにヒビ割れて消えてしまった。

「なんて事だ、こんな事はあってはならん!あ…悪魔だ!この悪魔め!」

男の悪態にウンザリしたイズミは、ショットガンを取り出すと男の頭にフルスイングをかました。

「俺が悪魔ねぇ…本物の悪魔に失礼だろ」

イズミは脳震盪なのか気絶なのかは分からないが、足元で意識を失った男を見てからボヤいた。
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