異世界無宿

ゆきねる

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第二十章 火山地帯で小休止

第二百九十八話 スタンピードの情報

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何とか追いかけっこを終わらせる事が出来たイズミ達は、昼前にもかかわらず空腹だった。

「イズミ、スタンピードの件だけど」

「冒険者ギルドの見解はどうだった?」

筋肉痛対策に軽く柔軟運動をしているイズミが尋ねる。

「近場だと馬車で2~3日くらいの場所にある湿地が怪しいって。魔物の出没件数がかなり増えてる」

「湿地か…足元には気を付けないとだな。ところで、ベリアは疲れてないのか?」

「あれくらいなら余裕だな。獣人の運動能力を舐めるなよ?」

ケロっとした顔のベリアは、リコこの追いかけっこはまだ大丈夫なようだ。

「俺は明日、確実に筋肉痛で足はガタガタだと思う」

「運動不足だもんな。此処らで運動不足解消も頑張らないと駄目なんじゃないか?」

ベリアがジト目でイズミを見つめる。

「…そうだなぁ、ドワーフの工房とかはもっと山奥だったな?その近くの町までは一度は行っておきたいが」

「スタンピードも今すぐに発生する訳じゃないなら、サクッと行くのも有りだけど…その辺りは冒険者ギルドでまとめて貰ってるから、明日には話を聞けると思うぞ」

「なら、移動は明日以降か」

柔軟運動を終えたイズミが、屋敷の従者が持って来てくれた冷たい水を受け取ると一気に飲み干す。

「…ちなみにだけど、今日のリコは本気では逃げてなかったぞ」

ベリアの一言が疲労困憊のイズミ、カーネリア、トレットに突き刺さった。

「身体強化の魔法も少ししか使ってなかったように見えるし、体力も魔力も有り余ってる感じだし」

「「「なるほど?」」」

「カーネリアが空から動きを教えてくれてるのだから、地上組が地形を把握した上で連携して捕まえにいかないと、1時間経っても捕まえられないぞ」

ベリアの指摘は至極真っ当である。

「初回でそれが出来たら、苦労はしないさ」

イズミは地面に座り込むと、まだまだ余裕そうなリコを見つめる。

「ベリアから見て、リコは身体強化を使いこなしているのか?」

「うーん、微妙だな。基礎が半分に届いて無くて、応用はまだって感じ。リコがやる気があるならだけど、見てみるか?」

ベリアがリコを呼ぶと、ストトトっと人間の姿に変化してベリアの元へやって来た。

「呼んだ?」

「あぁ、アタイはベリアって言うんだ。よろしくな」

「ベリア…お姉ちゃん?よろしく!」

お姉ちゃんと呼ばれたベリアの尻尾がブンブンと揺れている。
思った以上の破壊力だったのかもしれない。

「リコは魔法の勉強とか練習はしてるのか?」

「うん、少しだけ!」

そう言ったリコはラミアの姿から人間の子供の姿へと変化する。
その後、子供とは思えない速さで庭を走った。

「火の魔法とかは、まだ早いんだって」

不満そうに言うリコだったが、ベリアは優しく頭を撫でる。

「さっきの追いかけっこは凄いじゃないか!身体強化も出来てきてるみたいだ」

そう褒めながらベリアはリコに実戦的なトレーニングを始める。
屋敷の従者に許可を取ると、木の棒で庭にジグザグの線を引く。

「真っ直ぐの移動は出来てるから、曲がりやジグザグ移動の練習だ」

ベリアがお手本として何本か速度を変えて高速移動をする。
最初はゆっくりだったが、どんどん速くなり3本目になるとイズミでは対応出来そうにないスピードになっていた。

「すごいすごい!」

大喜びのリコだったが、実際にやってみるとジグザグは難易度が高いようで綺麗に曲がりきれていない。

「リコ、最初はゆっくりと確実に覚えていくんだ。大切なのは感覚を掴む事だ」

「ゆっくりで良いの?」

「勿論!ゆっくり丁寧に練習してから、少しづつスピードを上げるんだ」

「分かった!」

教えている時もベリアの尻尾は嬉しそうにブンブンと揺れている。
微笑ましい光景を見ていたトレットが、カーネリアの方を見てから呟いた。

「カーネリア。本来ならば嬉しい事なのですが、非常に不味いですわ…次回の追いかけっこからは、確実にあの移動術を使われますわ」

「…それは、厳しくなるなぁ。アタシ達も身体強化の魔法の特訓する以外に活路が無くなる」

遠い目をしている2人に、イズミは掛ける言葉が浮かんで来なかった。
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