異世界無宿

ゆきねる

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第二十章 火山地帯で小休止

第三百二話 本来の目的地へ

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ベリアが冒険者ギルドから戻って来たので、聞いて来た話から状況を整理する。

「スタンピードの兆候と言えばその通りだけど、現時点での情報と過去の記録とを照らし合わせると…半年後くらいだな」

「半年先での発生で想定するなら、対策も立てられない事も無いな」

「だな。それで国やギルドが動いてくれれば、ある程度は被害を軽減出来る」

冒険者ギルドで受け取ったと言う地図をマスタングに渡すと、モニターに反映される。

「怪しいのは、沼地と窪地になってる森林地帯だ。魔力溜まりとも重なる」

「沼地と森林地帯か…スタンピードで発生すると仮定している魔物は?」

「色々だ。ゴブリンにオークは出てくるとして、毒持ちや麻痺持ちが出て来たら厳しい」

モニターを現在地の表示へ戻し、本来の目的地をポイントさせる。
スタンピード候補地に近いのは森林地帯だった。

「森林地帯での戦闘は苦手なんだよな」

「そうなのか?」

「俺の武器は基本的に点か直線だからな。面制圧には適してないし、同時に複数体を相手にするだけでも厳しい。視界の悪い森林地帯なら尚更だ」

「その辺はさ、冒険者ギルドに任せれば良いんじゃね?」

「そうだな。俺は只の旅人だし、大した戦力にはならないし良いか」

「…それも何か違う気がする」

ベリアの頭上にクエスチョンマークが浮かんでいそうだが無視し、馬車置き場の外で遊んでいるリコとカーネリアを見ていたら魔法通信が入って来た。

「イズミさん、フラウリアです」

「どうしました」

「何時此方にいらっしゃいますか?」

「おっと」

到着が待ち遠しいのか語気からも圧を感じる。
約束の事もあるので、首を長くして待っているようだ。

「ガーベラ様の居る屋敷に到着した事は存じ上げております。何時此方へ出発なさる予定でしょうか?」

「そうだな…リコ達に突然出発すると言うのもアレだし、明日の朝に出発します」

ベリアにも確認を取ると、直ぐに頷いてくれた。
マスタングで予定を組み立て、到着予定を試算してから伝える。

「到着は…明日の出発から6日後です」

「分かりました。此方も準備をしておきますので、何かイレギュラーがありましたら連絡を下さいませ」

「分かりました」

魔法通信を切ったイズミは小さくため息をつくと、ベリアにと冒険者ギルドへの連絡を頼んだ。

「俺はガーベラさん達に話をしておくから、ベリアは冒険者ギルドへの連絡を頼む」

「分かった。ついでに買い出しもしておくよ」

「助かる」

ベリアが屋敷から出てゆくのを見送り、イズミはガーベラへ出発の話を告げた。

「明日の朝ですか。フラウリアもかなり前のめりね」

「色々と事情がありまして」

「…詳しくは聞かないでおくわね」

「助かります。ちなみになんですが、フラウリアさんの居る町の名前は?」

「ヒュミトールよ。魔族にドワーフ族にエルフ族にフェアリー族、そして獣人族も数多くいる共和国随一の多種族都市よ。かなり大規模だから、初見の方は皆迷子になるわね」

「気を付けます」

話を終えると、外からとリコが颯爽とやって来てガーベラに話しかける。

「お母様、見て!」

それだけ言うと、リコは魔法を使い3人に分身した。

「出来るようになったの!」

「あら凄いじゃない!」

ガーベラは本物のリコを正確に見抜き、その頭を優しく撫でている。

少し間をおいて追いついたカーネリアは疲労困憊に見え、その後ろから現れたトレットは顔面蒼白であった。

「大丈夫か?」

「…もう勝ち目が見えない」

椅子に座り込んだトレットへ声をかけると、死にそうな声で言い切った。

「身体強化と分身を使われたら、流石に厳しい。本物を見分けるのがそもそも難しい」

「ガーベラさんは一瞬で本物を見分けてたぞ」

「「ガーベラ様は特別です」」

そう声をハモらせて言った2人にも、明日出発する事を伝えた。
その瞬間に2人の表情が更に険しくなったのは想像に難しく無い。


翌朝。
一通りの準備をした2人はガーベラ達へ挨拶をしてから、まったりと目的地のヒュミトールへと移動を開始する。

「イズミ、筋肉痛は大丈夫か?」

「あぁ、派手に動かなければ大丈夫だ」

移動している途中で回復すると判断し、バックミラー越しに遠のく町を別れを告げた。
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