異世界無宿

ゆきねる

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第二十章 火山地帯で小休止

第三百四話 ヒュミトール

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少し予定が狂ったが、無事に目的地であるヒュミトールが見えて来た。
途中までの道は馬車の為の道幅だけ山を切り拓いたものだったが、町の前まで来るとしっかりと都市開発されている。

「ここがヒュミトール、多種族都市か」

町という表現では役不足な規模感なのが、近付くにつれて実感出来る。
大きな門の前までマスタングを進めると、フラウリアから魔法通信が来た。

「イズミさん、今から渡す書類を提示して下さい」

ベリアの足元から現れた白蛇が口を開くと、スポンと1枚の書類が出て来た。

「それを門番に提示すれば、遣いの者が屋敷まで案内してくれますので」

「分かりました、では後ほど」

白蛇がベリアの足元へ戻り姿を消す。
それを見ていたら、門番がやって来てマスタングの窓を覗き込む。

「この町は始めてですか?」

「そうです。それとこの書類を」

ウィンドウを下ろして門番へ書類を渡すと、門番の表情が変わる。

「少々お待ちを」

それだけ言うと、大急ぎで門の奥へと行ってしまった。
城壁のように頑丈そうな壁を眺めていたら、門番と一緒にラミア族の方がやって来た。

「イズミ様、ベリア様。ようこそヒュミトールへ。私は案内を任されました、トレーシーと申します」

綺麗なお辞儀と共に自己紹介をしてくれたので、イズミはマスタングから降りて挨拶を交わす。

「イズミです。どうぞよろしくお願いします」

ベリアも挨拶を交わした後で、トレーシーの案内で大通りを進んでゆく。
この大通りには武器屋や防具屋は見当たらず、代わりに素材屋であったり工芸品だったりが並んでいる。

「…武器屋が無いな」

ワクワクと言った表情で外を見ていたベリアの尻尾が、シュンと下がり眺めるだけになってしまった。

「屋敷とやらに到着したら、色々と聞いてみよう」

「そうだな。冒険者ギルドにも報告をする必要もあるし」

大きな十字路を左折すると、建物の雰囲気が代わり住宅街に入った事が分かる。
その住宅街を通り過ぎると、大小様々な屋敷が軒を連ねている。

トレーシーがある屋敷の門の前で立ち止まると、扉がゆっくりと開きマスタングが通れるだけのスペースが作られた。

徐行で屋敷の敷地へと入ると、そこには見覚えのあるラミアが居た。

「イズミさん、お待ちしておりました」

フラウリアだった。
馬車置き場へと向かう前に、フラウリアからマスタングへと近寄って来た。

「昨日は大変でしたね」

「いえいえ、あの程度は問題ではないでしょう。被害損害はゼロですから」

マスタングから降りたイズミへ、フラウリアが数枚の資料を渡した。

「その資料はヒュミトールの大まかな地図です。商店街とギルドの案内図だと考えて頂ければ」

「助かります。武器屋とかも記載が?」

「いえ、ドワーフ工房や武器屋防具屋のある地域は一部改装工事中でして…最新の資料がまだ製作途中なのです。案内は出来ますのでご安心下さい」

それを聞いたベリアはほっと胸を撫でおろした。
馬車置き場にマスタングを駐車し屋敷へと入ると、まずその大きさに圧倒されてしまった。

人間サイズでは考えられてはいない建築であり、階段や対人向けの客間以外は全てが大きいのだ。

「イズミ様、よくぞいらっしゃいました」

そんな声を聞いたイズミが振り向くと、グラテミアがやって来た所だった。
しかし、この前会った時よりも大分姿が大きい。

「この姿でお会いするのは初めてでしたね。これが私本来の姿…これでも少し小さいのですが」

「環境に適した姿に変化出来るとは、何かと便利そうですが」

「そうでもありませんよ。熱い寒いは別ですから」

「寒がりな方も居ましたね」

「そう言う事です」

グラテミアはイズミ達と会話がしやすい姿へと変化し、従者を呼ぶと客室へ案内をしてくれた。

「本日はゆっくりお休み下さい。明日以降の話は、夜にでも軽くお聞かせ頂ければと存じます」

「有りがとう御座います。明日はベリアの冒険者ギルドへの到着連絡とか、武器屋や道具屋を見に行こうかと思ってます。それ以外は未定ですね」

「武器屋に道具屋でしたら、フラウリアに案内をさせるとしましょう」

簡単な予定を伝えておき、案内された部屋に荷物を置いた。
一目見ただけで高級だと分かるセミダブルサイズのベッド、味のある色合いの木製デスクと椅子。

どれも使うのが怖いくらいの代物だ。
ジャケットを脱いで椅子に掛けると、筋肉痛からようやく解放された身体を伸ばし、窓から見える町の景色を堪能する。
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