異世界無宿

ゆきねる

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第二十二章 一斉捜査

第三百四十一話 ナイフの完成

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ノルトが去ってから数日。
ベスパの件はフラウリアに色々と聞かれ、魔界で発見された何らかの魔道具の類いと言う事で処理をする話しにまとまった。

この世界ではまだ製造するには技術不足な代物であり、入手経路がバレればイズミは更に身動きが取れなくなる可能性があるからだ。

「いくらノルト様との取引の対価とは言え、敷地内を走らせたのは悪手です。外に居る監視者がアレをどう判断するのか、分かったものではありませんよ?」

「それはそうなのだが、ノルトさんが魔法で扉を開けて走り出してしまったからな」

「止めればよかったのよ」

「アレは基本的に、乗り手しか止められないんだ」

ドワーフ工房へ向かう馬車にてフラウリアから今後は注意する事とお叱りを受けていると、ようやくドワーフ工房の近くに到着した。
馬車から降りてボンネビルが居るドワーフ工房へと歩いていると、前回来た時とは何処か雰囲気が違うように感じる。

「おう。待っておったぞ」

工房に入ると、既にボンネビルが待機していた。
手元には木箱があり、ベリアの新ナイフが納められているようだ。

ベリアがボンネビルの前に座ると、腰に下げていたナイフをゆっくりと床に置いた。

「よし、完成したナイフを確認してくれ。最終的な手直しも必要かもしれん」

「分かった」

ボンネビルから手渡された木箱を開けると、艶のある黒い鞘に収められたナイフを取り出す。
静かにナイフを抜いて魔力を込めると、ナイフ全体が淡い赤色に輝いた。

「うん…満遍なく魔力が行き届いてる」

「当然だ。儂が全身全霊、心血を注いで打ったのだからな。刃先の方が僅かに魔力を流し難いかもしれんが、万が一で刃毀れした際に魔力が勝手に漏れないようにする為だ」

「大丈夫、ちゃんと刃先まで魔力を送れてる」

「そりゃ上出来だ」

ベリアは自分のナイフをボンネビルの前に移動させる。

「交換だったな」

「いやまだだ。お前さんが新たなナイフに慣れるまでは、持っておいた方が良い」

ボンネビルとベリアは広場へ向かうと、ナイフの試し斬りを始めた。

「これで一段落かな」

「しばらくはヒュミトール近辺での活動ですか?」

「ナイフに慣れる時間も必要だし、俺も温泉と言う目的があるからな」

フラウリアはベリアの試し斬りを観察しながら、イズミ達がもうしばらくヒュミトール近辺に居る事を確かめる。

「イズミさん、1つ聞いてもよろしいですか?」

「なんでしょう」

隣に立つフラウリアへと顔を向けると、鋭い視線に貫かれた。

「最近、グラテミア叔母様が非常に元気なのです。最初は美容品のお陰で肌の乾燥から解放されたからだと思っていたのですが、それだけでは説明がつかない位に活力があると言いますか…まるで現役時代さながらの元気さでして」

「ペンダントの効果も少し影響しているかもしれませんね」

「どんな効果ですか?」

「疲労回復と血行促進です」

「他には?」

「聞いているのは、それだけです」

「…後でマスタング様に確認をしても?」

「良いですけど」

何処か怪しんでいる感じであったが、イズミは正直に答えているのでこれ以上問われても困ってしまう。

試し斬りを終えたベリアが、新たなナイフを腰に下げて戻って来た。

「どうだ?新ナイフの調子は」

「凄く良い!まだ重さには慣れないけど、直ぐに使いこなせるようになって見せる」

「それは心強い」

イズミ達はボンネビルに別れを告げると、待たせている馬車へと戻り屋敷へと走って行った。
屋敷に到着し馬車置き場に入ると、早速マスタングがベリアに声をかける。

「ベリア様。ナイフを確認させて下さい」

「分かった。何処に入れれば良いんだ?」

ベリアの問いに対して、マスタングはトランクを開けて答える。

「コチラに入れてから、トランクを閉じて下さい」

言われるがままにナイフを置いてトランクを閉じる。
車内のモニターが点灯し様々な表示が流れると、一度マスタングから確認が入った。

「ナイフの性能確認が終了しました。改良しますか?」
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