異世界無宿

ゆきねる

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第二十二章 一斉捜査

第三百四十六話 ソフィアの報告

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「最初に私達が出した結論を言っておきます。ここ数年で発生している複数の誘拐事件を、我々は組織犯罪と断定しました」

机に並べられた紙を見ると、それはソフィア達がまとめた組織の関係図になっていた。

「では最初にラミア族の卵誘拐について。この件については帝国の商会も絡んでいる事は間違いありませんし、ハルハンディア共和国のある貴族との商談に向かう途中であった所まで確認が出来ています」

「その貴族ってのは?」

「もう少しお待ちを…次にイズミさんが遭遇した少年少女誘拐事件です。この事件で誘拐された子供達の生まれを辿れました。全員がベルトルード公爵領の生まれでした」

「ヨラン・ベルトルード公爵」

その貴族の名を聞いたグラテミアは大きなため息をつくと、右手でこめかみを軽く押さえた。

「ハルハンディア共和国の元老院のNo.3です」

「その公爵が直接関係していると?」

「いえ、厳密にはその御子息の1人です。ヨラン公爵は高齢故に御子息に爵位を譲渡する準備をしておりますが、正式に譲渡が完了するのは2年後です」

「貴族のアレコレに興味は無いが、その御子息とやらが犯罪組織と関係を?」

イズミの率直な疑問に対して、ソフィアは新たな紙を机に広げる。

「ヨラン公爵家は4人兄弟で上3人が男子、女子が1人の兄弟構成です。長男と次男は首都で学問を学び終え、領内に戻り領主教育を受けています。3男と長女は一定年齢に達したら首都で学問を学ぶ予定です…2年後と言うのは、長男が成人する年です」

「犯罪組織と関わりがあるのは?」

「次男である、ピーター・ベルトルード様です」

「…ありきたりな展開で、兄を貶める目的で悪党と手を組んでるとか?」

「その可能性もありますが、人間至上主義を掲げている者達との友好関係がありました。過去の発言からも帝国的思想の影響を受けていると思われます」

回答の中で帝国が登場しただけで、部屋内にいる全員のテンションが低下している。

「元老院のNo.3が帝国的思想を持っている状態になると、議会は荒れますわね」

「はい。確実に」

ソフィアとグラテミアの表情は暗い。
今後起こり得る状況を想像するだけでも、気が滅入るものなのだろう。

「他方でも帝国と繋がりを強く持つ貴族はおりますが、犯罪に関与しているのは少数です」

「少数でもいるのか」

「イズミさんが確保してくださった証拠品に、ハッキリと記録が残ってました」

「そう言えば、生け捕りで引き渡した貴族はどうした」

「それはもう、丁重にもてなしておりますよ?」

ソフィアの笑みは愚問だと言わんばかりである。

「話を戻しまして。証拠品からのピーター・ベルトルードは帝国とのコネクションを持つと、他国からの嗜好品を偽装し共和国内では禁じられている魔術書や呪具を持ち込ませ、対価として金品や帝国から求められた物を支払っています」

「そこで少年少女やラミア族の卵が、帝国からの要望にあったと?」

「…そうです」

ソフィアは皆の顔を一度見た後で、そう言い切った。

「そう断定したならば、その証拠を元に私が直接動いても良いですよね?」

グラテミアが低い声でソフィアに確認を取る。
その声を聞いたフラウリアは身体を強張らせ、ベリアの尻尾がブワッと逆立つ。

「お待ち下さい!お気持ちは十分に分かりますが、ここは我々に任せて頂きたいのです」

ソフィアは恐れる事無くグラテミアを静止させる。

「この問題は、私や元老院が決着を着けなければいけないのです」

「理由を聞きましょう」

「勿論、私が任されたのもありますが」

グラテミアから放たれる圧にも屈せず、ソフィアは理由を話した。

「帝国との黒い繋がりにおいて、共和国側の首謀者の1人が…私の兄なのです」

部屋は静寂に包まれた。
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