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第二十四章 暴走を止めろ
第四百七話 遣いが来ました
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翌日。
イズミはマスタングの魔力補給を済ませると、朝早くから中庭で待っているリコ達の元へ向かう。
「おはよう、待ったか?」
「いや、アタイらも今到着した所だ」
イズミ、ベリア、眠そうなトレット、既に生気の無い表情のカーネリアと、元気いっぱいのリコ。
怪我防止に準備運動をするイズミを真似て、リコも準備運動を始めたのは可愛い所ではあるが、準備運動ですっかりとエンジンのかかったリコは中庭を爆走しだした。
「追いかけっこ!」
ベリア以外の3人が追いかけるも、リコは器用にスピードを調整しギリギリ捕まらない速度で逃げる。
突貫で連係プレーを仕掛けるも、少しギアを上げたリコの手足に触れる事すら叶わない。
勿論最初にバテたのはイズミだった。
「急な運動は…キツいな」
「それはイズミが運動不足だからだ」
ベリアは最終手段なのでまだ動かないが、リコが手加減している事は分かっているようだ。
「並の冒険者や騎士でも大変だぞ、本気のリコを追いかけっこで捕まえるのは。足に自慢のある獣人を数人呼ばないと」
「痺れるねぇ」
呼吸を整えたイズミは立ち上がり、リコを追う2人の元へ向かう。
不可能な任務を成功させてきた男のような走り方をするイズミだったが、ついにこの日は捕まえる事は出来なかった。
午前10時を前にしてギブアップしてベリアに助けを求めると、3人はリコとベリアの本気を見る事になった。
リコが身体強化をして全力疾走すると並みの獣人よりも速いようで、ベリアも一度は捕まえ損ねたものの、2度目はリコよりも速い高速移動で捕まえたのだ。
「ベリアお姉ちゃん速い~」
「猫の獣人は生まれながらの狩人だからな」
既にクタクタのイズミ達の所に、アヤがやって来た。
「イズミ様、光の教会の遣いの方がいらっしゃいました」
「光の教会?」
「はい。オブリビアの件で話を聞きたいので、日程調整をさせて欲しいとの事です」
「いきなり話を聞かせろとならないのは、有り難いですね」
足がガタガタではあるが、何とか立ち上がるとベリアと一緒に屋敷へと入った。
案内された部屋に入ると、教会の遣いとグラテミアが待っていた。
「遅くなりました」
2人が椅子に座ると、教会の遣いの男が話を切り出した。
「ご無沙汰しております、光の教会から遣いとして参りました、リーベルトと申します。イズミ様とベリア様とは、奉納の儀以来となりますね」
「あの時はお世話になりました」
イズミはそう言うとテーブルに置かれたカップに手を伸ばすが、疲れで手が震えていたので止めてそっと戻した。
「早速ではございますが、オブリビアでの出来事をお二方からお聞きする場を、光の教会内にて頂きたく存じます」
「以前に伺ってましたのでそこは問題ありませんが、冒険者ギルドに話した事と代わり映えはしないとは前もって伝えておきます。当方は日程調整の融通が利きますので、リーベルトさん側の都合をお聞かせ願いたい」
「そうですね…3日後の午後に私が此方へお迎えに上がるのは、如何でしょうか?」
イズミはベリアの予定を確認してから、グラテミアとアヤの動向を確認する。
特に問題は無さそうだ。
「分かりました、3日後にしましょう。服装等の指定はありますか?旅人と冒険者なので、礼服の持ち合わせは無くてですね」
「その辺りは問題ございませんよ」
「それは良かった」
日程調整を終えると、グラテミアが条件を付け加えた。
「リーベルトとやら、イズミ様は我々ラミア族の賓客です。その話の場にラミア族を1名同席させてもよろしいか?」
「勿論で御座います」
「そう…ではアヤ、当日はイズミ様達と共に話の場に同行なさい」
グラテミアの指示を受けたアヤが丁寧な礼をする。
「本日はお時間を戴きまして、誠にありがとう御座います。3日後に私、リーベルトがお迎えに参りますので、何卒よろしくお願い致します」
日程調整を終えたリーベルトは、屋敷の従者の案内で帰って行った。
それを見計らったかのようにリコが部屋に突撃して来て、イズミ達は午後も遊びに付き合う事になるのであった。
所変わって。
夕方、トレットとカーネリアは疲労困憊の身体で食堂に辿り着くと、屋敷で働く者達のご褒美スイーツであるチーズケーキを貰い、舌鼓を打っていた。
「美味!なんだコレ、今までに食べたどの菓子よりも美味い」
「只のチーズを食すのとは全く違いますね、なんと例えれば良いのでしょうか」
2人はチーズケーキに感動しつつ身体を休めていると、グラテミアが通りかかったので椅子から立って声をかけた。
「グラテミア様」
「トレット、カーネリア。リコの様子はどうかしら」
「元気そのものと言いますか、元気過ぎて私達が大変です」
グラテミアはトレット達の座るテーブルにつくと、2人をジッと見つめる。
「な…なんでしょうか?何か私に不手際が?」
「かなり疲れているようね」
「それは…リコ様の高速移動に2人で連携しても太刀打ち出来なくて」
「そう…トレット、少し付き合いなさい。1つ良い魔法を教えてあげる」
「良い魔法ですか?」
「そう、短距離転移の魔法。瞬間移動みたいなものよ…カーネリアも練習する?使えると便利よ」
半ば有無を言わせぬ圧を感じたトレットは首を縦に振り、グラテミアの提案を聞いたカーネリアは即答した。
「する!」
かくして、トレットとカーネリアはグラテミアの魔法訓練を受ける事になる。
短距離転移魔法を完全に体得するには、一流の魔術師でもかなりの時間を要するものだ。
しかし2人はグラテミアの直接指導により常識外れの短時間講習で体得し、リコとの追いかけっこに活用するもそれが切っ掛けで、リコがさらなる成長を遂げてしまうのは別の話である。
イズミはマスタングの魔力補給を済ませると、朝早くから中庭で待っているリコ達の元へ向かう。
「おはよう、待ったか?」
「いや、アタイらも今到着した所だ」
イズミ、ベリア、眠そうなトレット、既に生気の無い表情のカーネリアと、元気いっぱいのリコ。
怪我防止に準備運動をするイズミを真似て、リコも準備運動を始めたのは可愛い所ではあるが、準備運動ですっかりとエンジンのかかったリコは中庭を爆走しだした。
「追いかけっこ!」
ベリア以外の3人が追いかけるも、リコは器用にスピードを調整しギリギリ捕まらない速度で逃げる。
突貫で連係プレーを仕掛けるも、少しギアを上げたリコの手足に触れる事すら叶わない。
勿論最初にバテたのはイズミだった。
「急な運動は…キツいな」
「それはイズミが運動不足だからだ」
ベリアは最終手段なのでまだ動かないが、リコが手加減している事は分かっているようだ。
「並の冒険者や騎士でも大変だぞ、本気のリコを追いかけっこで捕まえるのは。足に自慢のある獣人を数人呼ばないと」
「痺れるねぇ」
呼吸を整えたイズミは立ち上がり、リコを追う2人の元へ向かう。
不可能な任務を成功させてきた男のような走り方をするイズミだったが、ついにこの日は捕まえる事は出来なかった。
午前10時を前にしてギブアップしてベリアに助けを求めると、3人はリコとベリアの本気を見る事になった。
リコが身体強化をして全力疾走すると並みの獣人よりも速いようで、ベリアも一度は捕まえ損ねたものの、2度目はリコよりも速い高速移動で捕まえたのだ。
「ベリアお姉ちゃん速い~」
「猫の獣人は生まれながらの狩人だからな」
既にクタクタのイズミ達の所に、アヤがやって来た。
「イズミ様、光の教会の遣いの方がいらっしゃいました」
「光の教会?」
「はい。オブリビアの件で話を聞きたいので、日程調整をさせて欲しいとの事です」
「いきなり話を聞かせろとならないのは、有り難いですね」
足がガタガタではあるが、何とか立ち上がるとベリアと一緒に屋敷へと入った。
案内された部屋に入ると、教会の遣いとグラテミアが待っていた。
「遅くなりました」
2人が椅子に座ると、教会の遣いの男が話を切り出した。
「ご無沙汰しております、光の教会から遣いとして参りました、リーベルトと申します。イズミ様とベリア様とは、奉納の儀以来となりますね」
「あの時はお世話になりました」
イズミはそう言うとテーブルに置かれたカップに手を伸ばすが、疲れで手が震えていたので止めてそっと戻した。
「早速ではございますが、オブリビアでの出来事をお二方からお聞きする場を、光の教会内にて頂きたく存じます」
「以前に伺ってましたのでそこは問題ありませんが、冒険者ギルドに話した事と代わり映えはしないとは前もって伝えておきます。当方は日程調整の融通が利きますので、リーベルトさん側の都合をお聞かせ願いたい」
「そうですね…3日後の午後に私が此方へお迎えに上がるのは、如何でしょうか?」
イズミはベリアの予定を確認してから、グラテミアとアヤの動向を確認する。
特に問題は無さそうだ。
「分かりました、3日後にしましょう。服装等の指定はありますか?旅人と冒険者なので、礼服の持ち合わせは無くてですね」
「その辺りは問題ございませんよ」
「それは良かった」
日程調整を終えると、グラテミアが条件を付け加えた。
「リーベルトとやら、イズミ様は我々ラミア族の賓客です。その話の場にラミア族を1名同席させてもよろしいか?」
「勿論で御座います」
「そう…ではアヤ、当日はイズミ様達と共に話の場に同行なさい」
グラテミアの指示を受けたアヤが丁寧な礼をする。
「本日はお時間を戴きまして、誠にありがとう御座います。3日後に私、リーベルトがお迎えに参りますので、何卒よろしくお願い致します」
日程調整を終えたリーベルトは、屋敷の従者の案内で帰って行った。
それを見計らったかのようにリコが部屋に突撃して来て、イズミ達は午後も遊びに付き合う事になるのであった。
所変わって。
夕方、トレットとカーネリアは疲労困憊の身体で食堂に辿り着くと、屋敷で働く者達のご褒美スイーツであるチーズケーキを貰い、舌鼓を打っていた。
「美味!なんだコレ、今までに食べたどの菓子よりも美味い」
「只のチーズを食すのとは全く違いますね、なんと例えれば良いのでしょうか」
2人はチーズケーキに感動しつつ身体を休めていると、グラテミアが通りかかったので椅子から立って声をかけた。
「グラテミア様」
「トレット、カーネリア。リコの様子はどうかしら」
「元気そのものと言いますか、元気過ぎて私達が大変です」
グラテミアはトレット達の座るテーブルにつくと、2人をジッと見つめる。
「な…なんでしょうか?何か私に不手際が?」
「かなり疲れているようね」
「それは…リコ様の高速移動に2人で連携しても太刀打ち出来なくて」
「そう…トレット、少し付き合いなさい。1つ良い魔法を教えてあげる」
「良い魔法ですか?」
「そう、短距離転移の魔法。瞬間移動みたいなものよ…カーネリアも練習する?使えると便利よ」
半ば有無を言わせぬ圧を感じたトレットは首を縦に振り、グラテミアの提案を聞いたカーネリアは即答した。
「する!」
かくして、トレットとカーネリアはグラテミアの魔法訓練を受ける事になる。
短距離転移魔法を完全に体得するには、一流の魔術師でもかなりの時間を要するものだ。
しかし2人はグラテミアの直接指導により常識外れの短時間講習で体得し、リコとの追いかけっこに活用するもそれが切っ掛けで、リコがさらなる成長を遂げてしまうのは別の話である。
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