異世界無宿

ゆきねる

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第二十四章 暴走を止めろ

第四百十六話 対価の話

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考えをまとめた結果、イズミとベリアの2人に転移魔法を用意する方向で話がついた。

発動条件は極力シンプルにした。
身体を無理やり拘束される、戦闘時に骨折や身体の欠損が発生して戦闘不能となった場合に限定したのだ。
薬を盛られるリスクは残るが事前に解毒薬等の準備をしておけば良いので、転移する程では無いとの結論となった。

転移元は自分とベリア、転移先は2人ともマスタングに設定する事にした。
一緒に旅をしている間はそれで問題無いし、離れても緊急時にマスタングに転移出来ればベリアも安心出来るだろうと判断したからだ。

ここまで条件を用意しても完全に組み込めるかは別の話で、良い仕上がりになるのはかなり時間が必要だそうだ。

グラテミアが説明してくれるには魔法陣の実証実験が必要になり、条件通りに発動するのかを確かめるのが最も苦労すると言う。

「指定された条件通りになった状況を作り、魔法陣の正常発動を確認するとなったら大変なのですよ」

「実験内容も痛々しいものばかりですし」

「本来はそのような状況になる前に転移する事が殆どですよ。流石に人体実験は禁止されてますので、準備が出来次第データを取り始めます。10回程度試して大丈夫だったので、魔法陣を渡すなんて不確定な事はしませんよ。最低でも各々の条件下で100回は試さないといけません」

最悪な状況での転移については、マスタングが特殊過ぎるので要調査に留めている。
グラテミア達もアーティファクトの転移をさせた事は無いし、過去にそんな事をした記録も無いと言う。

グラテミアは手書きのメモをアイテムボックスに仕舞うと、今度は作りの良い紙を取り出した。

「ではイズミ様、この魔法陣作成及び運用に関する対価の相談となります」

イズミは姿勢を正してグラテミアの要求を聞く。

「私達が作成するのは、イズミ様用の転移魔法陣と、ベリアさん用の転移魔法陣、そしてマスタング様用の転移魔法陣に関する調査の3点でよろしいですね」

「そうですね」

「発動条件は先程まとまったものでよろしいですね?」

「それでお願いします」

「準備期間は…かなり必要になりますが、よろしいですか?未完成の魔法陣をお渡しする訳にはいきませんので」

イズミは一度ベリアに確認を取り、それで良いと合意する。

「魔法陣の展開はお二方の分が完成してからでよろしいですか?」

「そうですね、それで大丈夫です」

「魔法陣の魔力供給試験の際には立ち会って戴く事になりますので、その時はヒュミトールあるいはラミア族の拠点へ来て下さいね」

「分かりました」

「対価の支払いは…通常だと金品や農作物だったりしますが、イズミ様は旅人ですし我々ラミア族の賓客ですので、それは難しいですね。なのでこうしましょう」

紙に条件を書き終えたグラテミアが目を細めてイズミ達を捉える。

「1つ、私とイズミ様とマスタング様の間にて無期限での情報交換や技術交流の許可を。2つ、イズミ様の旅路でラミア族の住む地が近くへ来た際はそこを拠点とする事。3つ、今後他の種族との友好関係が増えてもラミア族の関係を最優先とする事。4つ、イズミ様はラミア族との間にもう1人子供を作る事。これら全てが契約を交わした時点から効力を持つと言うのでどうでしょう?」

イズミはグラテミアが提示した内容を吟味する。
1つ目の情報交換や技術交流は魔法陣作成にも必要であり、本契約が完了しても関係性を持っていたいと言う意思の現れだろう。
グラテミア個人との契約なのは、不特定多数とのやり取りだと面倒が勝るからかもしれない。

2つ目の拠点については、ラミア族の住む町や集落を拠点にさせる事で、連絡を取りやすくする意味合いがあると考える。
厄介な話をするのにも、他種族の耳に入り難くするのに最適な環境でもあるのだ。

3つ目の優先権については確認が必要だ。
様々な状況に応じて対応が変わるからだ。

「3つ目の条件について、もう少し詳しくお聞きしたいのですが」

「そうですね…例えば人間族、ラミア族、他の魔族から同時にイズミ様へ依頼があったとして。その際はラミア族の依頼を優先して下さいと言った意味合いです。勿論ラミア族が依頼をする前に別の種族から依頼を受けていた場合は、その依頼を優先して戴いて問題ありませんのでご安心下さい。あくまで優先であり独占ではございません」

「緊急性のある話だと判断しうる場合は、例外として都度相談とかでも」

「それで問題ありません。既にイズミ様は実力のある貴族との関係もおありのようですし」

「そう言う事でしたら」

イズミは納得して最後の条件を思い出す。
もう1人ラミア族との間に子供も作るだったが、率直な疑問が浮かんで来たので今のうちに確認をしておく。
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