異世界無宿

ゆきねる

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第二十四章 暴走を止めろ

第四百二十八話 汚れた魔石

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イズミはヴィラードが光の教会へ魔法通信を繋ぎ連絡を取っている間に、ベリアと共にオークから素材が剥ぎ取りしやすくする為に並べておく。

馬車周りも一通り確認したが、ベリアは馬車の所有者が見当たらない事が気になっているようだった。

「おかしいよなぁ」

「そうは言っても、馬車が何時から此処にあるのかも分からないんだ。馬の死体も見当たらないし、だいぶ前に馬車だけ置いて行ったとしか」

「そうだとしてもよ、何で此処なんだ?あの村の近くに仕掛ける意味が分からない」

「俺も分からん」

2台ある馬車内からは怪しい魔石がまだ残っているようで、ベリアは壊れた馬車の木片を使い魔石以外の嗜好品類を手繰り寄せる。

「この金貨…何処のだろう」

「どれどれ」

ベリアが回収した金貨を預かり、メガネ越しにマスタングのスキャンを依頼する。

「ノストラテジア帝国金貨です。貨幣は各国間にて規格化されておりますので、ハルハンディア共和国でも換金すれば使用可能です」

「帝国の金貨だとさ」

イズミは嫌そうな表情をして伝えると、ベリアはため息をつきながら金貨と銀貨で分別をしていた手を止めた。

「帝国のか…奥にある木箱の中身も金貨だとしたら、益々謎だな」

2人で駄弁っているとヴィラードが近付いて来たので、教会は何と言っているのかを尋ねた。

「どうでした?」

「先にオブリビアに向かった本隊でも、同じ様な事が起きているそうだ。向こうはゴブリンが多数発生していたらしい」

「被害は?」

「対応したのは2日前。軽症者4名重症者無し死亡者無し、冒険者パーティーも一緒なら当然だな」

「あの魔石の処理方法は?」

「汚れた魔石のか?陽の光の元で砕くか、浄化の魔法や薬を使うかだな。1箇所に一纏めにするのは駄目だ、汚れが溜まると魔物を呼び出しかねない」

ヴィラードが汚れた魔石を馬車内から剣で弾き出し、柄頭で叩き割る。
1人では手間だと判断しイズミも手伝う為にナイフに手を伸ばしたが、簡単に割れるのかが分からず一度動きを止めた。

「小一時間陽の光に晒しておけば浄化も出来るだろうが、砕いた方が手っ取り早いだろうからな」

「気長に待つほど暇人でも無いし、さっさと砕いて移動を再開しますか」

ヴィラードもそのつもりだったのか、汚れた魔石を馬車から外へ出してゆく。
ベリアはナイフで叩き割るのが嫌そうだったので、マスタングに金槌を2つ出して貰い魔石を叩き割った。

「ちょっと勿体無いよな」

「一度汚れてしまった魔石は、どれだけ丁寧に浄化しても大して使えないんだ。遠慮なく叩き割ってくれ」

10分程で魔石を叩き割り終えた頃合いに、村からオークの素材取りに男達が10人程でやって来たので、ベリアが代表して話をつけてくれた。

「オークの素材は全部村の物って事にして大丈夫で、馬車にある金貨や嗜好品は冒険者ギルドに話をして預かってもらうと良いぞ」

「そうするよ。あの馬車には近付きたくない、嫌な感じがする」

村の男達は馬車から嫌な気配を感じると言うので、1人が代表で冒険者ギルドへ話をする為に馬で走り出して行った。

「では、後は頼みます」

イズミ達はマスタングに乗り込むと、移動を再開する。
まだ日が暮れるには早いので、もう少し先に進んでおきたいのだ。

移動を再開した車内では、ヴィラードが難しそうな表情で窓の外を見つめている。

「ヴィラードさんや、あの魔石の使い方に心当たりでもあるのか?」

イズミは運転をしながら後部座席に座るヴィラードに質問をした。

「ヴィラードで良い。過去に何度か、教会の任務先で見た事がある。対処法もその時に学んだ」

「黒魔法ってのは?」

「人間族の一部と魔族に多く現れる魔法適性だ。黒魔法自体には何の問題もないのだが、血と魔石を使うと何故か魔物を呼び寄せたり呼び出したり出来る事がある。黒魔法の適性者は虐待されたり口減らしの対象になったりと不遇な扱いを受ける事が多いので、光の教会では黒魔法の適性者の保護も行っている」

「保護までするとはな」

「黒魔法とて悪い魔法では無い。陽の光が強い日に入ると涼める木陰の様な、優しい魔法でもあるのだ」

そう答えると、ヴィラードは遠い目をして窓の外を見つめていた。
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