異世界無宿

ゆきねる

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第二十四章 暴走を止めろ

第四百三十五話 爆発直前

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「マスター。オブリビア近辺の魔力溜まりの揺らぎが大きくなっています」

食事を終えて宿でも借りれるか店員に聞こうとしていた所で、マスタングから魔法通信が入った。

「危険度は?」

「火山の爆発的噴火の直前相当です」

「噴火前か、ヤバいな」

イズミは宿を取るのを止めると、確認の為にマスタングへ向かう。
その道中で後を付いてきているベリアの足が止まった。

「…嫌な臭い」

「どうした?」

「イズミ、オブリビアの方から嫌な臭いが流れて来てるんだ。コンロッド達が話していたのはコレかもしれない」

ベリアの嗅覚と風の女神の加護のお陰なのか、遠くから流れてくる臭いを嗅ぎ取ったようだ。

腕時計を確認すると15時を過ぎた所である。
宿を取るなら丁度良い時間帯だが、今からオブリビアに向かうとなると確実に夜営コースだ。

「今から向かうか、今日は宿を取って明日の朝一番に向かうか。どっちにする?」

「うーん…ベッドで寝たい気持ちもあるけど、オブリビアで何が起きているのかも気になる。対応が後手後手になるのは避けたいんだ」

「なら今から向かって直接確認するしか無いだろう」

「だよなぁ」

ベリアは宿屋のベッドに諦めをつけたのかマスタングに乗り込んだので、イズミも運転席に乗り込みオブリビアに目的地を設定する。
徐行で走り出すと、奉仕活動中のテレジア達に遭遇した。

「イズミさん、何方に向かうのですか?」

「ちょいと散歩ですよ。子供達に勉強を教えているのですね」

「はい、簡単な読み書きや計算が出来るだけでも生活に役立つ筈ですので」

下手な事を言うと混乱を招く可能性があるので、ヴィラードを呼んで貰い個別に話をしておく。

「イズミ殿、何かあったのか?」

「ヴィラード、この前マスタングが言っていたオブリビア近辺の魔力溜まりの話は覚えているか」

「揺らぎがあるとかってやつか」

「あぁそれだ。先程マスタングが探知したのだが、その揺らぎが大きくなっているらしい。ベリアも嫌な臭いを嗅ぎ取ってる」

ヴィラードが助手席に座るベリアに視線を移すと、真剣な表情のベリアが頷く。

「俺達は先んじてオブリビアに入って調べてみる」

「2人でか?危険過ぎる」

「何かあったら逃げてくるさ…本隊のお偉いさんの耳にも入れておいてくれ」

「分かった。無茶をするなよ」

話は済ませたので改めてマスタングのアクセルを踏み込み、オブリビアへと走らせる。
その道中でマスタングがベリア用の飲み物をグローブボックスに実体化させ、事前に飲んでおくようにと伝えている。

「ベリア様、悪臭対策ドリンクをお飲みください。飲めば一日は嗅覚が保護されます」

「嗅覚がおかしくなる前提なんだな…飲んでおくよ」

小瓶の蓋を取り一気に飲み干したベリアは、助手席側の窓を少し開けて風詠みを始めた。

「嫌な臭いが強くなってるな…ドリンクを飲んでなかったら確かにヤバかったかも」

「俺にはまだ分からないな」

「気ぃ付けねぇとマズいかも」

窓を閉めたベリアがナイフの準備をしたので、イズミは車内にパトランプもどきの魔道具を置いて起動させておく。


オブリビアの大通り前に到着したが、まだ日は沈んでいないのに陰鬱とした雰囲気が漂っている。
前回来た時とは何かが違う、イズミでもそう感じる違和感があった。

薄暗くなり始めた廃墟をヘッドライトのハイビームで前方を照らすと、イズミはメガネをかけてマスタングから降りるとマグナムと探索用ライトを取り出した。

「確かに、臭いな」

廃墟にライトを向けるが特に気になる物はない。
ゆっくりと大通りを抜けると、メガネにマスタングの探索情報が表示された。

「マスター。領主の屋敷付近に魔法反応多数確認、グール以外も居るようです」

「まだ夜になってないだろ?」

イズミが空を見上げるが、月は蒼色であり赤黒くはない。
マグナムをホルスターに仕舞いショットガンを取り出す。

「他に何か、前回との相違点はあるか?」

「オブリビアに大量の魔石が設置されております。汚れた魔石です」

「…仕掛けた奴等は近くに居るのか?」

「半径50kmにはおりません」

「大量って事は、単独犯では無いだろう。組織的な犯行だとして…何が目的だ?」

メガネに反応のある汚れた魔石の1つを探し出すと、ショットガンで撃って破壊する。
その直後に地面からイズミを囲うように3体のグールが出現した。

素早くショットガンでグールの胸部を撃ち、動きが鈍くなった所で頭を吹き飛ばす。
小走りでマスタングの元へ戻ると、ベリアが降りて戦闘態勢を取っていた。

「イズミ、この前とは比較にならない位にヤバいぞ」

「どうすっかねぇ…戦うか逃げるか」

「アレは逃がしちゃくれないと思う」

ベリアが火球を高速で放つと、近くの建物から現れた腐ったような臭いを放つ大型オークを消し炭にする。
そんなオークよりも奥から、また大型の魔物が姿を見せた。

「逃げない方が、二次被害が少なそうだな」

探索用ライトで照らした先には、頭が3つある大型の魔物…イズミの知識でいう所のケルベロスが唸り声をあげていた。
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