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第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百四十九話 様子見にします
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ものの一分と掛からずにベリアの作業は終了してしまった。
死骸の山になっていた場所には、小骨の1つすら残ってはいない。
「こんなもんかな…終わったぞ」
「了解だ」
イズミはジャケットを脱いでライフルの依託射撃のクッション代わりにすると、マスタングに索敵を頼む。
「マスター、2時方向700m先の魔法反応に動きがあります」
「2時方向だな」
2時方向を視認出来る場所を確保すると、目視とスコープで確認を始める。
肉眼ではほとんど分からなかったが、メガネに反応がポイントされてからはスムーズに場所の特定が出来た。
「…アレか。物凄く暴れているが、何が起きてるんだ?」
スコープを覗き込んだ先では男が地面をのたうち回っており、相方が必死に抑え込もうとするも全く出来ていない。
「セリーヌ様の仕掛けた魔法の影響かと」
「撃たなくても死ぬんじゃないか?」
「お仕置きの魔法と言っておりましたので、恐らく死なない程度の威力に調整済みでしょう」
「なるほどね」
狙撃はせずに様子を伺っていると、マスタングから追加の報告が入って来た。
「9時方向からも反応があります」
「どれとれ…」
9時方向にも移動してメガネとスコープを駆使して相手の位置を特定すると、此方でも男が地面を転げ回っている。
「見張り塔にあった死骸を活用して監視を任されていた者達が、ベリア様の火魔法を感知して確認の為に覗き込んだら、セリーヌ様の魔法が発動されたと考えるのが良いかと」
「魔法ってのには有効射程みたいな目安は無いのかね?」
「種類によるかと」
結局イズミは狙撃せず、今回は様子見に徹する事にした。
見ている限り、かなり上手い偽装工作をしているようなので、時間がある際に後学の為に調べたいところである。
「攻撃せんのか?」
イズミがライフルを仕舞ったタイミングで、見張り塔を登ってきたベリアについてきた御老体が尋ねてきた。
「えぇ。下手に攻撃をすると、相手の目的を掴み損ねる可能性もあるので」
「かなり遠いな…狙えるのか?」
「恐らく。自信はありませんがね」
ジャケットを着込んだイズミが床に置いた腕時計を回収すると、ベリアにも反応があった敵の位置を伝えておく。
「この方向と、こっちの二方向から反応があった」
「…確かに、なんかが動いてるようにも見えるな」
ベリアの視力はすこぶる良いのか、イズミの肉眼では分からなかった敵の動きが多少は見えているようだ。
「お二人はダンジョンが見つかったら、調査に入るのですかな?」
御老体は何処からか大きな木箱を取り出すと、それに座りながら話を続ける。
「教会の調査隊もギルドの調査隊も、数日は分かれての活動になる。どちらに付いて行動をするのか気になってな」
イズミは腕時計をポケットに仕舞うと、笑顔を見せながらも一切の隙もない御老体に視線を向ける。
「私は冒険者では無いので、当分はここで見張り紛いな事をしてるつもりです。ベリアはAランク冒険者ですから、ギルドからの指示次第ですね」
回答を聞いたベリアは、付け足しで会話の後に続く。
「アタイは夜の警備と、ダンジョン調査のサポートだな。ダンジョンが見つかるまではフリーだ」
「そうかそうか!なら時間潰しがてら、儂と話でもせんか?」
御老体は上機嫌で話し出すので、イズミは一度制止させて自己紹介から始める事にした。
「お待ちを…まだ自己紹介もしておりませんで。私はイズミで、彼女は相棒のベリアです」
「これはご丁寧に…儂はオルド=リンじゃ。正しくはリン家のオルドなのだが、皆は面倒なのか愛称なのかオルドリンと呼ぶ。こう見えて司祭をやらせてもらっておる。年齢を理由に引退したいのだが、若い芽がまだ育っておらんようでな…今年60じゃぞ、もう少し労って欲しいものだ」
御老体改めてオルドリンは、薄くなった頭頂部を隠すこと無く堂々とした礼をする。
「どうぞよろしく…本題に入る前に1つお伺いしても?」
「どうぞ」
「セリーヌさんに嘘をつきましたか?」
イズミは腕を組むと、気になっていた事を臆せずに聞いた。
「先程の会話で、魔法の編み込み数をわざと3重と言ったような気がしたので」
「ほほう、よく見ておる。だがちぃと甘いな」
オルドリンは一瞬眼光が鋭くなったが、直ぐに元に戻る。
「儂が自信を持って解除出来るのが3重までなだけだ。それにだ、セリーヌも儂に嘘を付いておるぞ…今は5重に仕掛けておる筈じゃ」
「身内でも騙し合いか?」
「魔法の編み込みも訓練のような物だよ、儂は覗きはしても身体に手を出すような事はせんよ。妻もおるのでな」
まるで奥さんの存在がストッパーみたいな口振りだが、そもそも覗きをしなければ良いものをと考えてしまうのは、自分だけなのだろうか。
死骸の山になっていた場所には、小骨の1つすら残ってはいない。
「こんなもんかな…終わったぞ」
「了解だ」
イズミはジャケットを脱いでライフルの依託射撃のクッション代わりにすると、マスタングに索敵を頼む。
「マスター、2時方向700m先の魔法反応に動きがあります」
「2時方向だな」
2時方向を視認出来る場所を確保すると、目視とスコープで確認を始める。
肉眼ではほとんど分からなかったが、メガネに反応がポイントされてからはスムーズに場所の特定が出来た。
「…アレか。物凄く暴れているが、何が起きてるんだ?」
スコープを覗き込んだ先では男が地面をのたうち回っており、相方が必死に抑え込もうとするも全く出来ていない。
「セリーヌ様の仕掛けた魔法の影響かと」
「撃たなくても死ぬんじゃないか?」
「お仕置きの魔法と言っておりましたので、恐らく死なない程度の威力に調整済みでしょう」
「なるほどね」
狙撃はせずに様子を伺っていると、マスタングから追加の報告が入って来た。
「9時方向からも反応があります」
「どれとれ…」
9時方向にも移動してメガネとスコープを駆使して相手の位置を特定すると、此方でも男が地面を転げ回っている。
「見張り塔にあった死骸を活用して監視を任されていた者達が、ベリア様の火魔法を感知して確認の為に覗き込んだら、セリーヌ様の魔法が発動されたと考えるのが良いかと」
「魔法ってのには有効射程みたいな目安は無いのかね?」
「種類によるかと」
結局イズミは狙撃せず、今回は様子見に徹する事にした。
見ている限り、かなり上手い偽装工作をしているようなので、時間がある際に後学の為に調べたいところである。
「攻撃せんのか?」
イズミがライフルを仕舞ったタイミングで、見張り塔を登ってきたベリアについてきた御老体が尋ねてきた。
「えぇ。下手に攻撃をすると、相手の目的を掴み損ねる可能性もあるので」
「かなり遠いな…狙えるのか?」
「恐らく。自信はありませんがね」
ジャケットを着込んだイズミが床に置いた腕時計を回収すると、ベリアにも反応があった敵の位置を伝えておく。
「この方向と、こっちの二方向から反応があった」
「…確かに、なんかが動いてるようにも見えるな」
ベリアの視力はすこぶる良いのか、イズミの肉眼では分からなかった敵の動きが多少は見えているようだ。
「お二人はダンジョンが見つかったら、調査に入るのですかな?」
御老体は何処からか大きな木箱を取り出すと、それに座りながら話を続ける。
「教会の調査隊もギルドの調査隊も、数日は分かれての活動になる。どちらに付いて行動をするのか気になってな」
イズミは腕時計をポケットに仕舞うと、笑顔を見せながらも一切の隙もない御老体に視線を向ける。
「私は冒険者では無いので、当分はここで見張り紛いな事をしてるつもりです。ベリアはAランク冒険者ですから、ギルドからの指示次第ですね」
回答を聞いたベリアは、付け足しで会話の後に続く。
「アタイは夜の警備と、ダンジョン調査のサポートだな。ダンジョンが見つかるまではフリーだ」
「そうかそうか!なら時間潰しがてら、儂と話でもせんか?」
御老体は上機嫌で話し出すので、イズミは一度制止させて自己紹介から始める事にした。
「お待ちを…まだ自己紹介もしておりませんで。私はイズミで、彼女は相棒のベリアです」
「これはご丁寧に…儂はオルド=リンじゃ。正しくはリン家のオルドなのだが、皆は面倒なのか愛称なのかオルドリンと呼ぶ。こう見えて司祭をやらせてもらっておる。年齢を理由に引退したいのだが、若い芽がまだ育っておらんようでな…今年60じゃぞ、もう少し労って欲しいものだ」
御老体改めてオルドリンは、薄くなった頭頂部を隠すこと無く堂々とした礼をする。
「どうぞよろしく…本題に入る前に1つお伺いしても?」
「どうぞ」
「セリーヌさんに嘘をつきましたか?」
イズミは腕を組むと、気になっていた事を臆せずに聞いた。
「先程の会話で、魔法の編み込み数をわざと3重と言ったような気がしたので」
「ほほう、よく見ておる。だがちぃと甘いな」
オルドリンは一瞬眼光が鋭くなったが、直ぐに元に戻る。
「儂が自信を持って解除出来るのが3重までなだけだ。それにだ、セリーヌも儂に嘘を付いておるぞ…今は5重に仕掛けておる筈じゃ」
「身内でも騙し合いか?」
「魔法の編み込みも訓練のような物だよ、儂は覗きはしても身体に手を出すような事はせんよ。妻もおるのでな」
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