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第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百五十五話 未来視は最悪
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食器類を片付けたイズミは痛む左腕に気を付けながらマスタングに乗り込むと、周囲の索敵とここ数日の天気情報を確認する。
「明日明後日は曇り時々晴れか」
「マスター、オルドリン氏に関してなのですが」
「なんだ?」
「年齢にしては戦力として動けておりますが、現状ではシュナイダー氏の抜けた分まではカバーしきれないかと」
「…それを俺に伝えるという事は、何かしらのメッセージを受け取っているのか」
「そうです。ダンジョン調査の御子様の護衛は大きく分けると、ヴィラード氏の部隊、シュナイダー氏の部隊、補助としてオルドリン氏の部隊と言う構成に見えます。シュナイダー氏の抜けた穴は教会としても大きいのです」
「どこでそんな情報を仕入れた」
「周囲の索敵時にオブリビアに居る全員のスキルを除く戦闘能力のスキャンを実施済みです」
イズミは油断して痛い目に遭ったが、マスタングは抜かり無く動いていたようだ。
「下手にサービスをすると問題になるので、老眼と神経痛や関節痛等の解消薬を実体化して渡すのはどうでしょうか?」
「また規格外の薬になりそうだな」
「魔力回復薬よりは容易に作れます。元いた世界の知見と情報がありますので」
「簡単に言うが、気軽に渡して良い代物には思えないぞ」
「これも1つのリスク管理です。3人の御子には無事に教会へ帰って頂く必要がありますので」
ここまで言うのに関わらず事後承諾で実体化をしないのは、マスタングなりの筋を通しているからなのだろう。
女神様サイドからは何かと要望が来ているのかもしれないが。
「女神様からどんなメッセージが届いたんだ?」
「未来を良い方向に変えたければ、能力を使い行動せよ」
「ざっくりしてるな」
「ある女神様から未来視の結果を受領しました。我々が何もしなければセリーヌ氏とオルドリン氏はダンジョン内で死亡、ヴィラード氏は右腕の欠損、テレジア氏はショックで心身喪失のち衰弱死、ロレッタ氏は帝国の兵に捕らわれ拷問にかけられ死亡します」
何とまあグロい内容の未来視である。
全く恐ろしい未来が、このオブリビアで待ち構えているらしい。
そんな情報をポンとマスタングへ寄越す女神は、中々に良い性格をしている。
「…それは俺達が何もしない、居ないものと仮定した話か」
「そうです。ベリア様も居ない想定での未来視でした」
「顔も名前も知ってる奴が酷い目に遭う未来を知らされて、俺が何もしない男では無いと女神様は考えているのか」
「我々の為に女神様が動く事もありますし、その逆も然りです。これは女神様からの救難信号との認識で良いかと」
イズミは大きなため息をつくと、何度か深呼吸をして新鮮な空気を肺に取り込み、少しでも冷静に頭が働くように努めた。
「この未来視を見たのは何時だ?」
「約1時間前です」
「ダンジョンを発見して少しした頃か…しゃあねえ、やるなら徹底的にやってやろうじゃないか。オルドリン用の薬以外に、実体化を考えている物はあるか?」
その時間帯に色々な歯車が回転し始めたのだろう、ならば可能な限り破壊してやろうではないか。
1人覚悟を決めたイズミは、軽く頬を叩き気合を入れる。
「御子様用の装備を特注で製作します。それとヒュミトールで購入したクロスボウを、ダンジョンに入らない冒険者へ貸し出しましょう。地上の敵は恐らくダンジョン調査で人手が少なくなる、明日の夜に動きます」
「それでも難しいだろうから、そこは俺達で対処するって感じか」
まだベリアは戻って来ていないので、取り敢えず先にオルドリンに渡す薬を実体化して、光の教会の拠点へと歩き出した。
「夜分にすまないが、オルドリンと御子達に話がある。時間を作ってはくれないか。秘密性の高い話につき、内容は直接本人に伝えたい」
拠点で警備をしていた男にお願いすると、渋々ながら確認に向かってくれた。
内容をほとんど伝えていないのだから、嫌な顔をされても仕方無い。
話せる時間が取れたとの事で、拠点にある10人は余裕で入れるテントに案内された。
「夜分に失礼します」
「夜の祈りも済んでおるから心配せんで良いぞ。話とは?」
「詳しくは言い難いのですが…風向きが悪くなりそうなので事前の根回しと言うか、対策を取れるだけ取っておこうと思いまして。取り敢えずこの薬を飲んで頂きたい、勿論毒ではありませんよ」
イズミは綺麗な布に包まれた3つの錠剤をオルドリンに渡した。
鮮やかな赤青黄色の、原色系錠剤である。
イズミのメガネに錠剤に関する情報が映し出される。
赤が老眼に効く薬、青が神経痛や関節痛に効く薬、黄色がその他となっていた。
その他とは何なのだろうか?
何一つ説明が記載されていない。
今夜飲めば、明日の朝から昼間には効果を実感出来るとなっている。
副作用は特に無いみたいだが、眠くなるかもしれないとの事だ。
「どんな効果があるのかね」
「赤が老眼に効く薬で、青が加齢に伴う足腰等の痛みに効く薬で、黄色は神経痛…身体の痺れに効く薬です」
イズミは取り敢えずそれっぽい説明をする。
「寝る前に飲んで戴ければ、明日の昼過ぎには効果が実感出来るかと思います。昼間に飲むと眠くなるかもしれないので、飲むのは寝る前でお願いします」
「…聞きたい事は多々あるが、寝る前に飲むとしよう。御子を呼んだのは何故だ」
「単刀直入に申します。御三方の扱う装備を、私に手配させて頂きたい」
「明日明後日は曇り時々晴れか」
「マスター、オルドリン氏に関してなのですが」
「なんだ?」
「年齢にしては戦力として動けておりますが、現状ではシュナイダー氏の抜けた分まではカバーしきれないかと」
「…それを俺に伝えるという事は、何かしらのメッセージを受け取っているのか」
「そうです。ダンジョン調査の御子様の護衛は大きく分けると、ヴィラード氏の部隊、シュナイダー氏の部隊、補助としてオルドリン氏の部隊と言う構成に見えます。シュナイダー氏の抜けた穴は教会としても大きいのです」
「どこでそんな情報を仕入れた」
「周囲の索敵時にオブリビアに居る全員のスキルを除く戦闘能力のスキャンを実施済みです」
イズミは油断して痛い目に遭ったが、マスタングは抜かり無く動いていたようだ。
「下手にサービスをすると問題になるので、老眼と神経痛や関節痛等の解消薬を実体化して渡すのはどうでしょうか?」
「また規格外の薬になりそうだな」
「魔力回復薬よりは容易に作れます。元いた世界の知見と情報がありますので」
「簡単に言うが、気軽に渡して良い代物には思えないぞ」
「これも1つのリスク管理です。3人の御子には無事に教会へ帰って頂く必要がありますので」
ここまで言うのに関わらず事後承諾で実体化をしないのは、マスタングなりの筋を通しているからなのだろう。
女神様サイドからは何かと要望が来ているのかもしれないが。
「女神様からどんなメッセージが届いたんだ?」
「未来を良い方向に変えたければ、能力を使い行動せよ」
「ざっくりしてるな」
「ある女神様から未来視の結果を受領しました。我々が何もしなければセリーヌ氏とオルドリン氏はダンジョン内で死亡、ヴィラード氏は右腕の欠損、テレジア氏はショックで心身喪失のち衰弱死、ロレッタ氏は帝国の兵に捕らわれ拷問にかけられ死亡します」
何とまあグロい内容の未来視である。
全く恐ろしい未来が、このオブリビアで待ち構えているらしい。
そんな情報をポンとマスタングへ寄越す女神は、中々に良い性格をしている。
「…それは俺達が何もしない、居ないものと仮定した話か」
「そうです。ベリア様も居ない想定での未来視でした」
「顔も名前も知ってる奴が酷い目に遭う未来を知らされて、俺が何もしない男では無いと女神様は考えているのか」
「我々の為に女神様が動く事もありますし、その逆も然りです。これは女神様からの救難信号との認識で良いかと」
イズミは大きなため息をつくと、何度か深呼吸をして新鮮な空気を肺に取り込み、少しでも冷静に頭が働くように努めた。
「この未来視を見たのは何時だ?」
「約1時間前です」
「ダンジョンを発見して少しした頃か…しゃあねえ、やるなら徹底的にやってやろうじゃないか。オルドリン用の薬以外に、実体化を考えている物はあるか?」
その時間帯に色々な歯車が回転し始めたのだろう、ならば可能な限り破壊してやろうではないか。
1人覚悟を決めたイズミは、軽く頬を叩き気合を入れる。
「御子様用の装備を特注で製作します。それとヒュミトールで購入したクロスボウを、ダンジョンに入らない冒険者へ貸し出しましょう。地上の敵は恐らくダンジョン調査で人手が少なくなる、明日の夜に動きます」
「それでも難しいだろうから、そこは俺達で対処するって感じか」
まだベリアは戻って来ていないので、取り敢えず先にオルドリンに渡す薬を実体化して、光の教会の拠点へと歩き出した。
「夜分にすまないが、オルドリンと御子達に話がある。時間を作ってはくれないか。秘密性の高い話につき、内容は直接本人に伝えたい」
拠点で警備をしていた男にお願いすると、渋々ながら確認に向かってくれた。
内容をほとんど伝えていないのだから、嫌な顔をされても仕方無い。
話せる時間が取れたとの事で、拠点にある10人は余裕で入れるテントに案内された。
「夜分に失礼します」
「夜の祈りも済んでおるから心配せんで良いぞ。話とは?」
「詳しくは言い難いのですが…風向きが悪くなりそうなので事前の根回しと言うか、対策を取れるだけ取っておこうと思いまして。取り敢えずこの薬を飲んで頂きたい、勿論毒ではありませんよ」
イズミは綺麗な布に包まれた3つの錠剤をオルドリンに渡した。
鮮やかな赤青黄色の、原色系錠剤である。
イズミのメガネに錠剤に関する情報が映し出される。
赤が老眼に効く薬、青が神経痛や関節痛に効く薬、黄色がその他となっていた。
その他とは何なのだろうか?
何一つ説明が記載されていない。
今夜飲めば、明日の朝から昼間には効果を実感出来るとなっている。
副作用は特に無いみたいだが、眠くなるかもしれないとの事だ。
「どんな効果があるのかね」
「赤が老眼に効く薬で、青が加齢に伴う足腰等の痛みに効く薬で、黄色は神経痛…身体の痺れに効く薬です」
イズミは取り敢えずそれっぽい説明をする。
「寝る前に飲んで戴ければ、明日の昼過ぎには効果が実感出来るかと思います。昼間に飲むと眠くなるかもしれないので、飲むのは寝る前でお願いします」
「…聞きたい事は多々あるが、寝る前に飲むとしよう。御子を呼んだのは何故だ」
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