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第2章 幼年編
361 暗闇の予兆
しおりを挟む【 王都side 】
「お館様、これでスミスの奴も終わりましたな」
「おおホセよ。ああ違ったな。ホセ・シュナウゼンよ。ワハハハハ」
「さすがはお館様のご慧眼ですどおりですなワハハハハ」
わはははは
わはははは
ーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃあアンナ明日な‥」
「うん。シャーリーも明日ね」
「うん。ごめんねアンナ。明日ね‥」
気を利かせてくれたみんなが先に帰ったあと。シャーリーがポツポツと話し始めたんだ。
「あのね‥」
シャーリーの話を要約すると、ミリアのお父さんが騎士団長の職を解任された。団のお金を着服したって容疑で。
「絶対に違う!ミリアのお父さんはめちゃくちゃまじめだもん!」
ミリアのお父さんに限ってそんなことは絶対に無いとシャーリーが言う。俺もそう思う。会ったことはないけど、正義感溢れるミリアを育てたお父さんなんだ。そんなミリアのお父さんはおそらく父上が任命した騎士団長なんだ。そんな人が悪事を働くなんて想像もつかない。絶対に違うよ。てか‥‥あいつらに嵌められたんじゃないか?
「それでミリアのお父さんは?」
「うん牢屋に入れられたの」
「マジか!?」
「うん‥」
「誰がやったんだ?遊び呆けている領主がサウザニアに来るわけないからな‥」
「領主様代理‥」
「俺の知ってる人か?」
「うん‥」
「誰?」
「カーマンのお父さん‥」
「えっ!?だってカーマンはミリアと婚約‥‥つーか無理やり婚約したんだろ?それなのに」
「ミリアのお父さんは1ヶ月くらいで釈放されたんだけど、その間に全部話が終わってたんだって。ミリアのお父さんに近い部下の人たちはみんな飛ばされたって‥‥。
だから‥‥ミリアのお父さんは家にいるよ‥」
おそらく計画的に嵌めたやつなんだろうな。俺や父上と同じだ。だからすぐにあらは出てこないやつだ……。
「ごめんなシャーリー。俺ダンジョンにいて何も手助けできなくて」
「ううん。仕方ないよ」
「でねアレクにお願いなんだけど‥‥」
「ああ。シャーリーの言うことだからミリアを助けることに繋がることだろ。なんでも言ってくれ。俺はなんだってやるよ!」
「アレク‥ありがとう。ううっ‥‥」
親友のミリアを想ってシャーリーが再びさめざめと泣く。でもこういうときってどうしたらいいんだろう。
俺はただあわあわするばかりだった。
俺、シャーリーやミリアが困ってるとき手紙も返してあげられなかったもんな。まあたとえ返信できたとしても、今の俺に大したことはできないけど。
シャーリーは同じデニーホッパー村で育った仲間。今はヴィンサンダー領領学校とヴィヨルド学園と学ぶ学校は違うけど、たぶん5年後にはまた王都学園で一緒になる大切な仲間だからなシャーリーは。もちろんミリアも大切な仲間だし。
「シャーリー何をしたらいい?」
「アレク今の春休みの間、ミリアに家に来てもらいたいんだ。一緒に迎えに行ってくれる?」
「そんなことくらい、わけないよ。ああ、もちろん俺も一緒に行くよ。ちょうどいいしな」
「ちょうどいい?」
「ああ。やることが山ほどいっぱいあるんだ。シャーリーとミリアには悪いけど‥‥気が晴れるかどうかわかんないけど20日くらいしっかり付き合ってもらうよ」
「(えっ?!付き合う‥‥しかもミリアと2人‥‥)」
「ん?どうしたのシャーリー」
「ヘンタイ‥」
下を向いたシャーリーが何か呟いてたみたいだけどなんだろう。
よし。変なことが続いてるときはぜんぜん違う気晴らしみたいなことがあったら悪いことも考えないからな。うん、凹む暇もないはずだよ。
シャーリーとミリアには俺と一緒に忙しく過ごしてもらうぞ。
「ミリアには言ってあるのかシャーリー」
「うん。アレクが帰ったら一緒に迎えに行くって」
「さすがシャーリー。やることが早いな」
「へへっ」
「じゃあ明日の朝、さっそくミリアを迎えに行こうか?」
「うん。ごめんね、帰ってきて早々こんな話で」
「何言ってんだよ。仲間だろ俺たち」
「ありがとうアレク。じゃあ明日の朝8点鐘に教会前な」
「わかった」
「じゃあ明日なシャーリー」
「うん。ばいばいアレク」
よーし。忙しくなるぞ!
▼
帰宅後。水の精霊ウンディーネのディーディーちゃんとも話をしたんだ。
「ディーディーちゃんなんだった?」
「アレクお兄さん。今年の夏は雨がかなり少なくなりそうなんです」
「それって‥‥旱魃?」
「はい。冬まで雨は降りません」
「それじゃあ‥‥」
「はい。村に引き入れている川の水も枯れると思います」
「井戸や温泉は?」
「どちらも深いから問題はないかと思います」
「ありがとうねディーディーちゃん。じゃあどうするのがいい?」
「はい。川の上流に水を貯める大きな池があれば、もしものときはそこから水を引いたらいいと思います」
なるほど。ダムだな。
「ディーディーちゃんそれって俺でもできるかな?」
「アレクお兄さんの魔力量ならまったく問題なしです。ノームと一緒に池を作られたらいいかと思います」
「わかったよ。ディーディーちゃん。春休み中に作るからね」
「はい。噴水周りにいるウンディーネたちも喜びます。アレクお兄さんが作ったこの村は魔力の流れが心地よいから」
「えー?!俺作ってないよー」
「いいえ。ウンディーネもノームもみんなこの村はアレクお兄さんが作ったって思ってますよフフフ」
「違うんだけどなぁあはは」
川の上流にダム造りか。これでますます忙しくなったな。
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