アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

362 お米最高!

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 「「おはようアレク」」
 「「「おはよう」」」
 「「「おはよう」」」

結局朝から仲良し3家のみんなに集まってもらったんだ。
朝ごはん会。

 「みんな揃って朝からパーティーみたいだねお兄ちゃん!」
 「なんだよアレク!朝っぱらからみんなを集めやがって」
 「甘いものかにゃ?」
 「何かしらね」
 「何かしら」
 「私もわかんないのよ。昨日アレクが『明日の朝ごはんは俺が作る』って言っただけなの」

 「親方俺が居てもいいんですか?」
 「当たり前だろ。ガンツお前ももう家族みたいなもんだ」
 「親方‥‥」
 「ガンツ君何が食べられるか私もわからないけどいっぱい食べてってね」
 「はい‥ありがとうございます」

そんなジャンとガンツを微笑ましく見ていた3人が話す。

 「チャン、ニャンタ。あのな、これから食う作物を育ててくれってアレクが言ってたんだ」
 「なんじゃろうな」
 「ああなんだろうな」
 「麦レベル。ひょっとしたら麦を超える作物だってアレクが言ってたよ」
 「麦を超えるか‥‥なんかわかんないけどまた新しい村の名物になるんだよなニャンタ」
 「クククッ。ああ、そんでお前がますます忙しくなるんだよ」
 「あーそうか!そうなるのか!そうなるよな!俺はただの鍛冶屋の親父になりたいんだよ!クソっ!」
 「もうお前の出番はないよ。なあヨゼフ」
 「ああ。ジャン君にはガンツ君という弟子もできたしな」


今日の朝ごはんは俺にすれば最強の朝ごはんラインナップといえる。それは白ご飯に干物、野菜の一夜漬けに始まるジャパニーズスタイルの朝ごはんだからだ。

 「えーっとね、今朝食べてもらうのは米っていう植物なんだ。米はヴィヨルドのダンジョンで見つけたんだ。文献によればね(もちろんウソだけど)、麦と同等、もしくはそれ以上の可能性を秘めた植物なんだよ。まあとにかく食べてみて。そしてうまかったら父さんたち3家族でまずは作ってほしいんだ」
 「「「‥‥」」」

みんな微妙な顔をしてる。そりゃそうだ。米なんか食ったことないんだから。

 「まずはそのままの形。これはお水から米を炊いたものだね。お米からこの形になったものをご飯っていうんだ。
朝ごはん、夜ごはんっていう言い方はたぶんだけどね、昔の人がこの米をメインに食べてたことからついたんだよね。

じゃあさっそく焼き魚と一緒に、あるいは野菜のピクルスと一緒に食べてみて」
 「い、いただきます‥」
 「「「いただきます‥」」」

みんな微妙な表情でスプーンを動かしだした。

 もぐもぐもぐもぐ‥

 もぐもぐもぐもぐ‥

 もぐもぐもぐもぐ‥


 「うまっ!」
 「ああ、たしかにうまいな‥」
 「やわらかくてモチモチっとした適度な歯ごたえ。じんわりと甘くて‥‥ああ美味しいわ」
 「ああこりゃいつまでも噛んでたいわね」

 「「「うまーい」」」

 「「「おいしーい」」」

白ご飯はおおむね好評だ。

 「次は今の白ご飯を手で握ったおにぎりだよ。おにぎりの中には海魚の鮭を焼いた身が入ってるからね。これは手で掴んで食べてみて」

学園の先輩たちにもおにぎりは大好評だったからな。それは具なしの塩むすびでさえ大好評だった。白ご飯は淡白なところがおかずをひきたてるんだけど、おむすびは塩を手にまぶして握ってるからお米自体のおいしさも引き立つんだよね。しかも具は鉄板の鮭の干物を焼いたものだから‥‥。俺の目論みどおりとなるはずだ。

 「「「いただきます」」」

白ご飯を食べてから、みんなからは微妙な感じがなくなったみたい。躊躇なくみんながぱくぱくとおにぎりを口にした。

 もぐもぐもぐもぐ‥

 もぐもぐもぐもぐ‥

 もぐもぐもぐもぐ‥

速攻のハモり。
そこからは大合唱が生まれたんだ。

 「「「うまい!」」」

 「「おいしーい!」」

 「「うまっ!うまっ!」」



 「「「おにぎりサイコー!」」」


 「このおにぎりはね、朝作って持っていくと農作業中のお昼ごはんにもいい感じになるんだよね」
 「そうか!これはスープとパンにしなくてもこのおにぎり?だけで充分だよな」
 「しかしうまいなぁ」
 「おいしいにゃ」

みんな手についた米粒まで食べるくらい気に入ってるよ。うん、やっぱおにぎりは最強だよな。
で、おにぎりと並ぶもう1つの最強格を用意したんだ。
最初は白ご飯で米そのもののおいしさを味わってもらった。次はおにぎりで米の可能性を理解してもらった。
最後は米と合わせた最強のおかずとのハーモニーだ。このハーモニーが1番米を消費するんだ。今は無理だけどね。
ただこのハーモニー、最強を最強たらしめる調味料がないのだけは残念なんだけどね。最強たらしめる調味料はもちろん醤油だよ。だから醤油は秋には登場させたいよな。
今日は塩とごま油で食べてもらう。そう、アツアツ白ご飯に生卵。卵かけご飯だよ。

 「今日は最初におかずと食べる白ご飯を食べてもらったよね。次はおかずを中に入れたおにぎりにして食べてもらった。で、最後は白ご飯にのっけるものなんだ」
 「「「うんうん」」」

いーねー。みんなの集中力。

 「みんなの前にあるのはコッケーの生卵。朝アンナが採ってきてくれたやつ。みんな俺の真似をして食べてね。先ずはコッケーの生卵、こいつを炊きたての白ご飯にのっける。そして塩とごま油を少しかけるんだ。あとは混ぜる、混ぜる、混ぜる。そんだけだよ。じゃあ俺先に食べるね」





 ハフハフハフハフ‥










 「旨~っ!!」

そう言ったきり、ガツガツとスプーンで卵かけご飯を掻きこんだ俺。本当は丼にお箸でいきたいんだけどね。醤油はないけど‥‥うまい!







うまい!












うま~~~いっ!





無言で掻きこむ俺の姿に触発されたみんなも同じようにし始めた。
アツアツ白ご飯にコッケーの生卵を割り入れて塩を少々。ごま油をたらり。あとはかき混ぜて‥‥。

 カツカツ  カツカツ  カツカツ

 ガツガツ  ガツガツ  ガツガツ  

 ガツガツガツガツガツガツガツ‥


誰もがみんな言葉を失くしたまんまただ卵かけご飯を掻き込んだんだ。ははは、大成功だぜ!

 「どう父さん?」
 「ああ俺はつくるぞ!」
 「どうチャンおじさん?」
 「ああワシも町長なんてどうでもいいぞ!」
 「馬鹿かアンタは!」

速攻でおばさんに頭を叩かれていたチャンおじさんだ……。

 「ワシは町長の合間に米作りをするぞ!」

 「どうニャンタおじさん?」
 「うん、ぜったいに作るよ!」



 「「「うおおおーーーーー米作るぞーーーーーーー!」」」



こうしてデニーホッパー村のお米栽培が決定した。
今回俺が米の栽培を予定してるのはデニーホッパー村の3家族、俺自身が栽培する学園、隣のニールセン村、ノッカ村(のんのん村)の仲良し3村。
これだけの場所でどこがどうなるのかを検証していきたいと思っている。確実に言えることはパンの麦と並んでいずれは米も中原の2大穀物になるだろうということだ。

 「じゃあ栽培方法とかはあと20日くらいの間にみんなにお願いしていくからね」
 「アレク次はお米はいつ食べられるのかにゃ?」

一気に米の大ファンになったアンナが聞く。

 「そうだなあ。うまく栽培できれば9月から10月かな。今度は腹いっぱい食べられるはずだよ」
 「「早く食べたいにゃ」」

 うん、秋には豊作になるといいな。


 「じゃあ俺サウザニアに行って友だちを迎えに行ってくるよ」
 「わかったにゃ」
 「アンナ、仲良くしてやってくれよ」
 「もちろんにゃ」

ミリアのお父さんの状況はみんなにも伝えてある。そしてその苦境は明日はデニーホッパー村にも及ぶかもしれないってことも。

 「じゃあ母さん。夕方までには帰るから」
 「アレクお兄ちゃん。メイメイシロップの甘いオヤツはどうなったにゃ?」
 「デイジーごめんな。おやつ、本当は昼のつもりだったから。今日の夜、またみんなでご飯を食べような。そのときメイプルシロップのパンケーキを作るから」
 「わかったにゃ」



朝8点鐘。
教会ではシャーリーがシスターナターシャと話しながら待っていた。
俺もシスターに事情を説明した。そして夕方にはミリアを連れて戻ってくるって。

 「「じゃあシスター行ってきます」」
 「いってらっしゃい」




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