イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

文字の大きさ
50 / 105
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

48

しおりを挟む
 あの後。商店街の休憩所で雨宿りをさせてもらった。大人たちに囲まれて温かいお茶を貰っている間に、福島出身だという商店街のお店のおじいちゃんが、白虎隊の『蛍狩りの約束』って初耳のエピソードを出してきて、俺たちの事をねぎらってくれた。
 雨で蛍狩りは出来ないってわかっているのに、相手との約束を大切にして約束通りに家を尋ねてきた少年の話だそうだ。雨の中でも律儀にやってきた俺たちのことが気に入ったんだってさ。
『商店街で大学生と合同でやるイベントを企画してるんだけど、君たちみたいな高校生にも参加してもらいたいな』と他の商工会の人にも言われた。また二人で商店街の事務所を訪ねる約束をした。商店街の人にタオルで身体を拭かせてもらって、沢山のお菓子やコロッケ、パンなんかのお土産を沢山持たされた。
 それで俺たちは、一度俺の家に戻ることにした。北門が俺のせいでタオルじゃどうにもならない程ずぶ濡れになってしまった。
 尻もちをついたせいでズボンやパンツはおろか、全身ずぶぬれになっていた。五月間近でも四月の雨は冷たくて、とても家まで帰れる状態じゃない。俺のせいだから、俺が責任を取りたい。

「入っていいよ。誰もいないし」

 そういって自宅のドアに手をかけようとした時、もうてっきり出かけているとばかり思っていた兄貴がぬっと扉の向こうから現れた。

「あれ、おかえり」
「げっ、兄貴まだいたの?」 
「げっとはなんだ。兄ちゃんに向かって。うりゃっ!」

 俺を見るとやたらと構おうとする兄貴は、今日も北門がいるのにお構いなしだ。俺の頭を犬かなにかみたいに、上からわしわし触ってくる。現役バスケ部員の兄貴の腕は筋肉がムキムキとしてものすごく重たい。イケメンとは言われているが顔立ちも俺より大分濃い目で、圧が凄い上に暑苦いし、こういう時はちょいウザめで面倒だ。

「お前なんでこんなにずぶ濡れなんだ! 風邪ひくぞ!」

 後ろに北門がいるっていうのに、お構いなしか。うっとおしくて、兄貴の腕をばしっと振り払う。

「やめろって。人、連れてきてんだから。だから着替えに家帰ってきてんだよ」

 兄貴がやっと動きを止めて俺の頭越しに「こんにちは。はじめましてかな?」って声をかけてる。

「はじめまして」
「こいつ、高校の……後輩」

 一瞬なんて言って説明したらいいのか分からなくなった。

「後輩? 燈真お前部活はいったのか?」

 食い気味にそう叫んで兄貴が俺の腕をぎゅっと掴んできたので、俺もでかい声で言い返した。うちの家族、皆話し声がデカいのはこういう原理だと思う。

「え? なんでそうなる?」
「だって後輩ってバスケ部の後輩じゃないのか? 背も高いし」

 兄貴の頭の中は大抵バスケの事で埋め尽くされているし。俺がバスケ部に入らなかったことに内心納得がいっていないんだろう。
しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

本気になった幼なじみがメロすぎます!

文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。 俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。 いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。 「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」 その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。 「忘れないでよ、今日のこと」 「唯くんは俺の隣しかだめだから」 「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」 俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。 俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。 「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」 そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……! 【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

処理中です...