イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

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「……その人とは塾が一緒だったから、何となく連絡先を知ってて、たまに会ったりしてました。色々親切にしてくれて、高校受験の時の相談にも乗ってくれた人だった。いい人だなとは思ってたけど、唇が近づいてきた時、思い出したのは……」

 北門の震える指先が熱い。堪らない気持ちになって見あげた北門の目は、いつの間にか熱を帯びていた。

「昔、雨でずぶ濡れになった俺の髪を一生懸命に拭いてくれた人の、雨で赤くなった頬と鼻先と、柔らかそうな唇だった」

 親指の先で、そっと唇をなぞられ、びくっと俺は肩を揺らした。

「ごめん」

 指が離れていく。お互いに見つめあっていた目を逸らす。

「あっ……、い、いや……、その」

 頬といい、耳といい、血が頭にのぼっていくような感覚に唇から吐息が漏れてしまった。

「つ……、つづけて」
「……キスはしたくないって言ったんだけど、先輩は諦めなくて、俺は無理やり口をくっつけられて、反射的に彼女を突き飛ばしてしまった。女の子を突き飛ばすなんて、あり得ないだろ」
「……ありえない、けど、無理やりキスするのも、あり得ない」

 そういったら、北門は俺から手を離して膝に顔を埋めて頭を抱えてしまった。

「あー、情けない、こんな話、誰にもしたことない。一番知られたくない相手に話した」
「一番知られたくない、相手?」
「先輩だよ。燈真先輩。俺の憧れの人」

 北門ほどの男にそんなこと言われると、照れを通り越して何て反応していいのか分からなくなる。俺も頬に手を当てて、火照ってきた頬をぎゅっぎゅっと擦った。

「憧れ……、俺そんなすごい奴じゃないよ。バスケだってさ、兄貴と親父がやってたから真似して何となく始めたけど、別に特別うまいわけじゃなかったし、兄貴の事は尊敬してるけど、何もかもあいつには敵わないなあって、本当はすげぇコンプレックス持ってたし。バスケ辞めたのだって、自分が見つけた自分だけの居場所を探して、兄貴の事も俺がバスケをしていたことも、誰も知らない場所で一から人間関係築いて、頼りにされてみたいって思ったからで……、お前に憧れられるような人間じゃ、俺はないと思う」
「そんなことない」

 少しだけ潤んだように見える黄金の飴玉みたいな目が、窓から差し込む光にきらきらと輝いて見えた。

「今までだって、先輩はバスケ部でも、美化委員会でも、今のクラスでも。自分の魅力で人を惹きつけてた。そんなの誰かの真似だけしてたらできることじゃない。自分で考えて迷いなく行動できるから、それが人を惹きつけるんだ」
「北門……」
「俺は、俺の為にあんな風に戦ってくれる人に人生で初めて出会った。あの日から」

 もう一度素早く俺の手をとった北門は、指先に触れるか触れないかのキスをした。感謝の籠った仕草、だけど眼差しの熱量がそれだけの想いじゃないと俺に先に語る。
 一拍空いた。俺は息を飲む。

「俺は先輩の事が好きです」
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