イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

文字の大きさ
80 / 105
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

78 今までの俺、これからの君と side 北門

しおりを挟む
「じゃあ、これで端材の木材をつかった、リサイクル工作のブースの説明は終わり。どうかな、君たちも運営に参加してみないか?」
 
 俺と先輩は駅前商店街の中央にある振興組合の事務所で並んで座っている。
 清掃活動で会ったおじさんから今度商店街で行うイベントの説明を受け終えたところだ。先輩はというと俺の反応を伺うようにリスみたいな可愛い顔でちらちらとこっちを見てくる。
 
(その顔は参加してみたいんですね。膝を乗り出して熱心に聞いてましたね。分かりました)

 俺は先に目線を使って先輩に向かって頷く。先輩が嬉しそうににこっとした。

「分かりました。二人で参加させてください」
「よろしくお願いします。端材を家の形に見立てて子供たちにペイントしてもらって、それを集めて自分たちの夢の街のオブジェにして駅前広場の壁に貼り付ける。夢があるなあって思いました。自分たちの住む街に愛着も持てるし。そこに自分の作品が並んでるのを見ながら駅を使えて、なんかいいなって思いました」
「そうか。ありがとうね。キタさんが君たちを誘ってみたらどうかって熱心でねえ。雨の中も清掃活動に参加してくれたらしいね。熱意ある若者がいるって嬉しそうでねえ」
「ありがとうございます」
 
 キタさんというのは前回俺と先輩が参加した清掃活動の時、事務所で色々話をしてくれたおじいちゃんの事らしい。商店街では知らない人はいない老舗酒屋の名物店主で、先輩の事をいたく気に入っている感じだった。
 お前たち成人したら俺の店で一番いい酒をのませてやるからなとかいってたっけ。
 
「じゃあ、俺たちはこれで」
 
 挨拶をして立ちあがろうとした俺たちを、蛍光イエローが眩しいジャンバーを着たおじさんは尚も引き留めようとしてくる。
 
「せっかくだから、一緒にキタさんの店に顔をだしてみないか? キタさん喜ぶだろうから」
 
 お人好しの先輩の事だ。「そうですか」とかほいほいと頷きそうだ。
 俺は先まわるするように、机の下で膝の上に置かれていた先輩の手をぎゅっと握った。
 先輩がぴくっと肩を揺らす。大胆剛毅な先輩だけど、こんな風に不意に触れられるのは慣れていないみたいで、いちいち可愛い反応をしてくれるのがたまらない。
 
(ねえ、先輩。俺たちは二時間前に恋人同士になったばかりなんだから。俺は今すぐにでも、先輩と二人きりになりたい)
  
 先輩が俺を紫陽花の咲く遊歩道まで連れ去ってくれて、俺たちは思いを通じ合わせられた。
 幸せで、早く二人っきりになりたくて。先輩が俺に問いかけてくれて……。
 そのあと急に先輩が言い出したんだ。

「お前! 委員会さぼった上に俺の連絡全然見てないだろ! 学校に商店街の人たちからイベントのボランティアスタッフをしてみないかって要請があって、今日の四時半からその打ち合わせの約束だったんだよ!」
 
しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

本気になった幼なじみがメロすぎます!

文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。 俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。 いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。 「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」 その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。 「忘れないでよ、今日のこと」 「唯くんは俺の隣しかだめだから」 「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」 俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。 俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。 「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」 そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……! 【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

処理中です...