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番外編
6 世界が君に気づいた日-2
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☆燈真視点です。
『眠ってる? 倒れてる?』
俺は唯に向けて何度目かのメッセージを打ち込んだ。
「き、既読にならない……。唯から返信がない……」
日曜日。珍しく家族がそろって食卓を囲んで朝食をとっている中、俺はテーブルの上にスマホを取り上げて父に眉を顰められた。
「燈真。食事中にスマホを見るのはやめなさい」
「……そうなんだけどさ。昨日の夜、唯の体調が悪そうだったから通話切るぞって俺一方的に通話切っちゃったんだよね。そしたら今まで返信がなくて……。日曜だっていつもこの時間には絶対起きてるはずなのに。体調悪くて寝込んでるのかも知れないって思ったんだ」
「あら心配ね」
「唯の家族がお父さんしかいなくて、そのお父さんが地方に出張だって言ってたから、一人で寝込んでて何かあったら大変だろ?」
すると俺以外の家族が三人そろって顔を見合わせて、なんかそわそわし始めた。
俺は目玉焼きの黄身に醤油をたらりとかける。頭の中では唯、ちゃんと飯食べられてるかな? 熱でぐったりして動けないのかも。そんな心配でいっぱいだ。
「母さん……。何か聞いてるのか?」
「知らないわよ。お兄ちゃんは?」
「知らん知らん」
なんかこそこそ喋っているけど半分スマホが気になってしょうがない俺は、とにかく朝食を平らげることに集中していた。食べ終わったら、自転車で唯の家まで様子を見に行きたい。迷惑かな……。でもさあ、昨日あのへんな感じで電話切っちゃったし、なによりあいつの顏がみたい。
(俺たち、お付き合いしてるわけだしなあ)
へらって笑った俺に、家族がぎょっとした顔をする。
「燈真が……、なんか浮かれてるぞ」
「燈真、唯さんってどなただ?」
「親父、藪から棒に聞き過ぎだぞ。いくら最近燈真が夜更かししてスマホばっか弄っているようになったからって」
「そうよ。お父さん。順序ってものがあるでしょ」
「唯? 高校の後輩」
「そ、そうか。後輩の子なんだ……」
「中学は一緒だったのか?」
兄貴が突っ込んできた。
「うん、まあそう」
「……そうか。中学の時からか……。俺に全然話してくれなかったじゃないか……。水臭いぞ、燈真」
兄貴がなんかしょぼっとした声を出してる。
「中学は一緒だっただけで、ほとんど接点はなかったよ」
それに兄貴は唯に会ったことあるじゃん。って思ったけど面倒なので放置した。
「唯さんて、どんな方なの?」
なんでかやたら唯の事を聞かれる。まあこれから度々名前を出すことになるだろうし、別にいいか。
「可愛い系? 美人系?」
兄貴からの謎質問……。
「可愛いか美人かっていったら、美人? クールな感じに見えて、俺には甘えてくる感じが可愛いっていえば可愛いかもな。すごくモテてるし」
「ぐっわ、惚気……。俺の可愛い燈真が惚気るようになった」
自分から聞いた癖になんだよ。
「兄貴、きもい」
「かあさーん。燈真が冷たいよおお」
兄貴が食卓に頭を打ち付けてて、母さんに「お兄ちゃんやめなさい」って怒られてた。
行儀が悪いけどポケットから取り出して左手でスクロール。親や兄貴への返答はかなり適当に口先だけで応えている感じ。それより唯の様子が気になるんだ。
全然既読が付かない……。これ本当に体調悪くて熱で倒れてたらどうしよう。
「部活やめるって言った時はどうなることかと思ったが、高校生活楽しそうでよかったじゃないか」
やっぱり既読が付かない。
「ねえ、母さん。ご飯余ってる? おにぎり作りたいんだけど」
「余ってるわよ。大目に炊いちゃったから。まだお腹すいてるの?」
「うーうん。おにぎり作って、唯のとこ持ってく」
ぎょっとした家族に俺は小首をかしげた。
「え? だめ?」
「燈真。いくらお付き合いしているとはいえ、一人で寝込んでいるお嬢さんのところに、男が行くのはいかがなものか……」
渋い顔で腕組みした父に、そこまで来て俺は家族の勘違いに思い当って顔が真っ赤になった。
「ち、違うって。唯は高校の後輩で男だって。北門唯。兄貴もあったことがあるだろ?」
兄貴が急に立ち上がって「あー、あのすげーイケメンか!」って叫んだからまた母さんに怒られてた。
「母さん、男だよ男。委員会の後輩って子だろ?」
「あら。やだあ。勘違いしちゃったわ。男の子なのね。なあに? 体調悪そうなの?」
家族みんなが「なーんだ」みたいな照れ笑いを浮かべている。
「そうなんだ。昨日から声が枯れ始めてて、体調悪そうだった。熱だしてるかもしれない」
「そうなのね。市販の解熱鎮痛剤で小さい子にも使えるのがあるから、それ持っていけば?」
「流石看護師! 頼りになる!』
「あと、経口補水液と、お粥と」
「あいつ、お粥じゃ足りないかも。おにぎりも作っていく」
「アイスパックももってけ」
なんだかほっとしたような様子の家族三人があれこれと俺に指図をし始めた。
『眠ってる? 倒れてる?』
俺は唯に向けて何度目かのメッセージを打ち込んだ。
「き、既読にならない……。唯から返信がない……」
日曜日。珍しく家族がそろって食卓を囲んで朝食をとっている中、俺はテーブルの上にスマホを取り上げて父に眉を顰められた。
「燈真。食事中にスマホを見るのはやめなさい」
「……そうなんだけどさ。昨日の夜、唯の体調が悪そうだったから通話切るぞって俺一方的に通話切っちゃったんだよね。そしたら今まで返信がなくて……。日曜だっていつもこの時間には絶対起きてるはずなのに。体調悪くて寝込んでるのかも知れないって思ったんだ」
「あら心配ね」
「唯の家族がお父さんしかいなくて、そのお父さんが地方に出張だって言ってたから、一人で寝込んでて何かあったら大変だろ?」
すると俺以外の家族が三人そろって顔を見合わせて、なんかそわそわし始めた。
俺は目玉焼きの黄身に醤油をたらりとかける。頭の中では唯、ちゃんと飯食べられてるかな? 熱でぐったりして動けないのかも。そんな心配でいっぱいだ。
「母さん……。何か聞いてるのか?」
「知らないわよ。お兄ちゃんは?」
「知らん知らん」
なんかこそこそ喋っているけど半分スマホが気になってしょうがない俺は、とにかく朝食を平らげることに集中していた。食べ終わったら、自転車で唯の家まで様子を見に行きたい。迷惑かな……。でもさあ、昨日あのへんな感じで電話切っちゃったし、なによりあいつの顏がみたい。
(俺たち、お付き合いしてるわけだしなあ)
へらって笑った俺に、家族がぎょっとした顔をする。
「燈真が……、なんか浮かれてるぞ」
「燈真、唯さんってどなただ?」
「親父、藪から棒に聞き過ぎだぞ。いくら最近燈真が夜更かししてスマホばっか弄っているようになったからって」
「そうよ。お父さん。順序ってものがあるでしょ」
「唯? 高校の後輩」
「そ、そうか。後輩の子なんだ……」
「中学は一緒だったのか?」
兄貴が突っ込んできた。
「うん、まあそう」
「……そうか。中学の時からか……。俺に全然話してくれなかったじゃないか……。水臭いぞ、燈真」
兄貴がなんかしょぼっとした声を出してる。
「中学は一緒だっただけで、ほとんど接点はなかったよ」
それに兄貴は唯に会ったことあるじゃん。って思ったけど面倒なので放置した。
「唯さんて、どんな方なの?」
なんでかやたら唯の事を聞かれる。まあこれから度々名前を出すことになるだろうし、別にいいか。
「可愛い系? 美人系?」
兄貴からの謎質問……。
「可愛いか美人かっていったら、美人? クールな感じに見えて、俺には甘えてくる感じが可愛いっていえば可愛いかもな。すごくモテてるし」
「ぐっわ、惚気……。俺の可愛い燈真が惚気るようになった」
自分から聞いた癖になんだよ。
「兄貴、きもい」
「かあさーん。燈真が冷たいよおお」
兄貴が食卓に頭を打ち付けてて、母さんに「お兄ちゃんやめなさい」って怒られてた。
行儀が悪いけどポケットから取り出して左手でスクロール。親や兄貴への返答はかなり適当に口先だけで応えている感じ。それより唯の様子が気になるんだ。
全然既読が付かない……。これ本当に体調悪くて熱で倒れてたらどうしよう。
「部活やめるって言った時はどうなることかと思ったが、高校生活楽しそうでよかったじゃないか」
やっぱり既読が付かない。
「ねえ、母さん。ご飯余ってる? おにぎり作りたいんだけど」
「余ってるわよ。大目に炊いちゃったから。まだお腹すいてるの?」
「うーうん。おにぎり作って、唯のとこ持ってく」
ぎょっとした家族に俺は小首をかしげた。
「え? だめ?」
「燈真。いくらお付き合いしているとはいえ、一人で寝込んでいるお嬢さんのところに、男が行くのはいかがなものか……」
渋い顔で腕組みした父に、そこまで来て俺は家族の勘違いに思い当って顔が真っ赤になった。
「ち、違うって。唯は高校の後輩で男だって。北門唯。兄貴もあったことがあるだろ?」
兄貴が急に立ち上がって「あー、あのすげーイケメンか!」って叫んだからまた母さんに怒られてた。
「母さん、男だよ男。委員会の後輩って子だろ?」
「あら。やだあ。勘違いしちゃったわ。男の子なのね。なあに? 体調悪そうなの?」
家族みんなが「なーんだ」みたいな照れ笑いを浮かべている。
「そうなんだ。昨日から声が枯れ始めてて、体調悪そうだった。熱だしてるかもしれない」
「そうなのね。市販の解熱鎮痛剤で小さい子にも使えるのがあるから、それ持っていけば?」
「流石看護師! 頼りになる!』
「あと、経口補水液と、お粥と」
「あいつ、お粥じゃ足りないかも。おにぎりも作っていく」
「アイスパックももってけ」
なんだかほっとしたような様子の家族三人があれこれと俺に指図をし始めた。
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