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第二章
嫉妬と好奇
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遥翔を見つめる眼差しはとても穏やかで温かい。
「遥翔さん、私今、遥翔さんと結婚してよかったなって思ってます」
「依舞稀……」
突然の依舞稀の言葉に、遥翔の心臓は驚くほど大きく鳴った。
きっと大した意味はないのだろう。
しかし遥翔にとっては大きな意味を持っていた。
遥翔と結婚して一緒に生活していくうちに、少しずつ遥翔への気持ちは変わったが、こんなに素直にこの結婚を受け入れられるとは思わなかった。
というよりも、遥翔がこんなに自分に興味を示してくれると思っていなかったからかもしれない。
常に依舞稀のことを考えてくれて、依舞稀を大切にしてくれる。
その想いが本物になりつつあるのかはわからないが、依舞稀の気持ちは既に急速に遥翔に向かっていた。
「仕事は今まで通りの部署で頑張らせてください。もっとお客様を喜ばせられるような企画を考えたいんです」
「依舞稀がそう言うのなら、もちろんそうしてもらおう。これからも頼むな」
ようやく遥翔らしく笑ってくれて安心した依舞稀は、ワインの入ったグラスを取って、再び乾杯した。
満タンに入っていたワインを勢いよく飲み干すと、依舞稀は覚悟を決めたように短く息を吐いた。
「遥翔さん、仕事は勿論頑張ります。それとは別に、妻としても頑張りたいんです」
なかなかストレートな物言いは出来なかったけれど、遥翔はこの言葉の奥にある深い意味を感じ取ってくれるだろうか。
妻として頑張る意味……それは、妻にしかできないこと。
妻としかできないこと。
妻としか、してはいけないこと……。
深い思いを込め、女としての覚悟を決めてそう言ったのだが。
「依舞稀は十分に妻としても頑張ってくれてると思うぞ?欲をいうなれば、酒が入ってないときにも優しくしてほしいってことくらいだ」
全くピンと来ていない遥翔の言葉は、てんで的外れだったのである。
「遥翔さん、私今、遥翔さんと結婚してよかったなって思ってます」
「依舞稀……」
突然の依舞稀の言葉に、遥翔の心臓は驚くほど大きく鳴った。
きっと大した意味はないのだろう。
しかし遥翔にとっては大きな意味を持っていた。
遥翔と結婚して一緒に生活していくうちに、少しずつ遥翔への気持ちは変わったが、こんなに素直にこの結婚を受け入れられるとは思わなかった。
というよりも、遥翔がこんなに自分に興味を示してくれると思っていなかったからかもしれない。
常に依舞稀のことを考えてくれて、依舞稀を大切にしてくれる。
その想いが本物になりつつあるのかはわからないが、依舞稀の気持ちは既に急速に遥翔に向かっていた。
「仕事は今まで通りの部署で頑張らせてください。もっとお客様を喜ばせられるような企画を考えたいんです」
「依舞稀がそう言うのなら、もちろんそうしてもらおう。これからも頼むな」
ようやく遥翔らしく笑ってくれて安心した依舞稀は、ワインの入ったグラスを取って、再び乾杯した。
満タンに入っていたワインを勢いよく飲み干すと、依舞稀は覚悟を決めたように短く息を吐いた。
「遥翔さん、仕事は勿論頑張ります。それとは別に、妻としても頑張りたいんです」
なかなかストレートな物言いは出来なかったけれど、遥翔はこの言葉の奥にある深い意味を感じ取ってくれるだろうか。
妻として頑張る意味……それは、妻にしかできないこと。
妻としかできないこと。
妻としか、してはいけないこと……。
深い思いを込め、女としての覚悟を決めてそう言ったのだが。
「依舞稀は十分に妻としても頑張ってくれてると思うぞ?欲をいうなれば、酒が入ってないときにも優しくしてほしいってことくらいだ」
全くピンと来ていない遥翔の言葉は、てんで的外れだったのである。
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