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王宮内暗殺事件編
第91話 陰謀の始まり
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「随分と機嫌が悪そうですね、アルマ公女。」
「……」
口を固く結び眉間に皺を寄せるアルマに悪態をつくノア。
「アルマ様、お久しぶりです。学園はいかがですか?」
慌ててノアの口を塞ぎながら誤魔化すように話を逸らすヒナにアルマはため息をしながら答える。
「えぇ、それはダリア様と一緒ならば不満などない学園生活ですわ。なのに、こんなくだらないパーティなどに呼ばれて実に不愉快です。」
「おいおい、グローリア卿はおまえの婚約者だろう?」
カリムの呆れたような口調にアルマは意地悪に笑みを浮かべて
「あらあら、随分と口がきけるようになったのですわねカリム殿下。別にアレとの婚約は本意ではありませんし、結婚をする気もありません。」
「その割には親の言いなりになってるじゃないか。口だけか?」
互いに睨み合うカリムとアルマを不安げに間に入ろうとするヒナと欠伸をしながら傍観するノア。
「お黙りなさいな、おチビさん。ここにモンフォーヌ卿がいるってことはダリア様と何かしらの関係があってのとことでしょう?ミレーヌお姉様がなにかしでかす証拠だわ、命を取られたくなければもうお帰りなさい。」
アルマの言葉を合図に主催者であるミレーヌ側妃のスピーチが始まった。
同時に行われる乾杯の音頭に備えて皆が使用人たちからグラスを受け取り、各々側妃のスピーチを聴きながらその時を待った。
「それでは皆様、ディシュタイン王国の更なる繁栄と栄光を祈って乾杯を!」
高々と掲げ、グラスに口をつけようとする貴族たち。
高台からその様子を見下ろしながらミレーヌ側妃はニヤリと笑みを浮かべていた。
各々がグラスの中身を飲み干しているとき、ヒナが苦しげにもがきながらその場に倒れ込んだ。
口から漏れる血と倒れているヒナという惨事に周りの貴族たちは悲鳴や驚愕の声を上げていく。
レーナとカリムが狼狽えている中、ノアは冷静にヒナが落としたグラスの破片と共に散らばる中身のワインに指をつけて舌にほんの少しだけ触れると唾とともに即座に吐き捨てた。
「毒だ。」
ノアの一言に会場はさらに混乱を招く。
「毒?毒ですって?一体誰が仕込んだと言うの!」
毒と聞いたジルはアルマの手に持っている果実水を素早く取り上げ守るように抱き寄せる。
ノアはヒナを抱き上げると会場を後にしようとする、心配そうにレーナとカリムが付き添う。
そんなノアをミレーヌ側妃が呼び止める。
「待て!何故貴様が勝手にその娘を連れ出そうとしているのだ、ここは我が宮である。誰も外に出すなっ!まだ犯人が捕まっておらぬのだぞ!」
「妃殿下の宮で死者を出したいと、そう仰るおつもりですか?」
「…」
「幸いまだ息がある上にあなた方が毛嫌いしている闇魔法で毒のめぐりを遅らせることが出来ています。今のうちに神殿へ運び、光魔法で治療しなければ本当に手遅れになります。このパーティはアラダ王陛下に無理を言って開いたそうですね、クレアローズ王后陛下にも目を瞑っていただいているとか……ただでさえこの騒ぎに死人が出たとなれば責を問われるのは妃殿下、貴女です。既に予想外のことが起こっているのですから平静を取り戻して成すべきことが何なのかをお考えなさい。」
そう言い捨てて会場を後にするノアたちは外に控えさせていた騎士に至急神殿への知らせと馬車を用意するように指示を出す。
カリムは怒りと悔しさに唇を噛み締める。
「一体…誰が毒なんかを!」
「おや?知らないのですか?」
「なんだと?」
「ヒナ嬢ご自身ですよ。」
レーナとカリムは驚きが隠せずにいる。
その間に戻ってきた騎士にヒナを引渡しレーナもそれに付き添って行った。
怒りで拳を震わせるカリムにノアは冷たく言い放つ。
「自分で毒を飲むなど並大抵の精神では成し得ませんよ、だが今日はそれをやらざるを得なかった。」
「お前がやらせたのか?」
「いいえ、適当な貴族に毒素を流し込もうかと思っていたんですがヒナ嬢がご自身のグラスに誰にも気付かれずに毒を入れてしまうものですから。感心致しました。」
カリムは怒りに任せてノアの胸ぐらを掴んだ。
「なにが感心だ!臣下なら守るのが役目だろう!なにを平気な顔で見過ごしているんだ!」
「我々の話を何も聞いていなかったのですか?今日のパーティは完全にアウェーであり周りが敵だらけです。むしろヒナ嬢の行動に我々は感謝するべきなのですよ。」
煩わしそうに言うノアは続けて説明する。
「本来ならあの場にいた力のある赤薔薇の一族の貴族が毒の入ったワインを口にするはずでした、が。ヒナ嬢が先にグラスを受け取りに行き事前に窓を開けておいた場所で自身の風魔法を使って従者の視界を一瞬自然に奪った隙に毒入りのグラスを手にした。なんとも大胆不敵で賢いやり方です、毒も死なない程度に少量しか口にしていません。」
「疑いの目を向けられないようにするため…」
「たとえ罠にかけるためとはいえ自ら毒を飲む貴族なんてこの国にはいませんよ、少なくともあの会場にいる貴族には…ね。ミレーヌ側妃の計画を逆手に取るなんてなかなかやるではありませんか。」
「そんな、危険すぎることを…」
「何も考えずに過ごせるほど甘い世界では無いのですよ、いつ破滅するかわからない。それが貴方のいる貴族社会というものです。ヒナ嬢の機転が無ければ我々は終わっていましたよ?ま、そうなる前に私が何とかしますがね。さて、種明かしは終わりです。アヤ側妃殿下のもとへお戻りなさい、今の貴方の役目は敵陣真っ只中に取り残されている母親を守ることです。不安ならアルマ嬢の近くに居なさい、あの方もとても理知的なお方だ。味方でもないが敵でもありません、このような状況であればきっと助けになるでしょう。」
そういうとノアはマントを翻してその場を足早に後にした。
複雑そうな表情で急いで会場に戻ると未だに混乱で騒ぎになっていた。
アヤ側妃を探すと母はアルマと一緒にいるのを見つけた。
「母上!」
「カリム、ヒナ嬢は?ご無事なの?」
「はい、無事に神殿へと送られました。」
「そう、あなたも離れずにわたしといなさい。」
アルマはその様子を無表情で目の端で見るとそっと目を閉じて腕を組む。
(恐らくミレーヌお姉様はこちら側の人間を毒で殺めたかったのでしょうね、邪魔な身内を消して宿敵に致命傷を与えてハイお掃除完了っ!といったところね。ヒナ嬢が機転を利かしていなければ本当にそうなっていたけど…問題はこの後、王国騎士団がどのような調査を行うのか。)
「アルマ、大丈夫か?」
「えぇ、もちろん。こんなことで狼狽えたりなどしませんよ、わたくしがこれまで何度毒殺されかけたと思ってるんですか?」
平気な顔でそう言い捨てるアルマにジルは怒りを覚えた。
「何故そういう目にあったと言わないんだっ、そんなに俺は頼りないのか?それに平気な顔でそんなことを言うんじゃ…」
「平気になってしまうほど殺されかけたということです、それに貴方に言ったところでどうにもなりません。」
辺りを見渡すと残されたアストルム騎士団が事態の収集を試みていた。
それを見ていたアルマは溜息をつきながら
(流石ダリアの騎士団、宥めている振りをして明らかに狼狽えている貴族をチェックしている。王国騎士団が介入してきても独自に調査ができるように準備しているのね、それに比べてお姉様は…)
「いつになったら学園に戻れるのかしら……。」
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹
「……」
口を固く結び眉間に皺を寄せるアルマに悪態をつくノア。
「アルマ様、お久しぶりです。学園はいかがですか?」
慌ててノアの口を塞ぎながら誤魔化すように話を逸らすヒナにアルマはため息をしながら答える。
「えぇ、それはダリア様と一緒ならば不満などない学園生活ですわ。なのに、こんなくだらないパーティなどに呼ばれて実に不愉快です。」
「おいおい、グローリア卿はおまえの婚約者だろう?」
カリムの呆れたような口調にアルマは意地悪に笑みを浮かべて
「あらあら、随分と口がきけるようになったのですわねカリム殿下。別にアレとの婚約は本意ではありませんし、結婚をする気もありません。」
「その割には親の言いなりになってるじゃないか。口だけか?」
互いに睨み合うカリムとアルマを不安げに間に入ろうとするヒナと欠伸をしながら傍観するノア。
「お黙りなさいな、おチビさん。ここにモンフォーヌ卿がいるってことはダリア様と何かしらの関係があってのとことでしょう?ミレーヌお姉様がなにかしでかす証拠だわ、命を取られたくなければもうお帰りなさい。」
アルマの言葉を合図に主催者であるミレーヌ側妃のスピーチが始まった。
同時に行われる乾杯の音頭に備えて皆が使用人たちからグラスを受け取り、各々側妃のスピーチを聴きながらその時を待った。
「それでは皆様、ディシュタイン王国の更なる繁栄と栄光を祈って乾杯を!」
高々と掲げ、グラスに口をつけようとする貴族たち。
高台からその様子を見下ろしながらミレーヌ側妃はニヤリと笑みを浮かべていた。
各々がグラスの中身を飲み干しているとき、ヒナが苦しげにもがきながらその場に倒れ込んだ。
口から漏れる血と倒れているヒナという惨事に周りの貴族たちは悲鳴や驚愕の声を上げていく。
レーナとカリムが狼狽えている中、ノアは冷静にヒナが落としたグラスの破片と共に散らばる中身のワインに指をつけて舌にほんの少しだけ触れると唾とともに即座に吐き捨てた。
「毒だ。」
ノアの一言に会場はさらに混乱を招く。
「毒?毒ですって?一体誰が仕込んだと言うの!」
毒と聞いたジルはアルマの手に持っている果実水を素早く取り上げ守るように抱き寄せる。
ノアはヒナを抱き上げると会場を後にしようとする、心配そうにレーナとカリムが付き添う。
そんなノアをミレーヌ側妃が呼び止める。
「待て!何故貴様が勝手にその娘を連れ出そうとしているのだ、ここは我が宮である。誰も外に出すなっ!まだ犯人が捕まっておらぬのだぞ!」
「妃殿下の宮で死者を出したいと、そう仰るおつもりですか?」
「…」
「幸いまだ息がある上にあなた方が毛嫌いしている闇魔法で毒のめぐりを遅らせることが出来ています。今のうちに神殿へ運び、光魔法で治療しなければ本当に手遅れになります。このパーティはアラダ王陛下に無理を言って開いたそうですね、クレアローズ王后陛下にも目を瞑っていただいているとか……ただでさえこの騒ぎに死人が出たとなれば責を問われるのは妃殿下、貴女です。既に予想外のことが起こっているのですから平静を取り戻して成すべきことが何なのかをお考えなさい。」
そう言い捨てて会場を後にするノアたちは外に控えさせていた騎士に至急神殿への知らせと馬車を用意するように指示を出す。
カリムは怒りと悔しさに唇を噛み締める。
「一体…誰が毒なんかを!」
「おや?知らないのですか?」
「なんだと?」
「ヒナ嬢ご自身ですよ。」
レーナとカリムは驚きが隠せずにいる。
その間に戻ってきた騎士にヒナを引渡しレーナもそれに付き添って行った。
怒りで拳を震わせるカリムにノアは冷たく言い放つ。
「自分で毒を飲むなど並大抵の精神では成し得ませんよ、だが今日はそれをやらざるを得なかった。」
「お前がやらせたのか?」
「いいえ、適当な貴族に毒素を流し込もうかと思っていたんですがヒナ嬢がご自身のグラスに誰にも気付かれずに毒を入れてしまうものですから。感心致しました。」
カリムは怒りに任せてノアの胸ぐらを掴んだ。
「なにが感心だ!臣下なら守るのが役目だろう!なにを平気な顔で見過ごしているんだ!」
「我々の話を何も聞いていなかったのですか?今日のパーティは完全にアウェーであり周りが敵だらけです。むしろヒナ嬢の行動に我々は感謝するべきなのですよ。」
煩わしそうに言うノアは続けて説明する。
「本来ならあの場にいた力のある赤薔薇の一族の貴族が毒の入ったワインを口にするはずでした、が。ヒナ嬢が先にグラスを受け取りに行き事前に窓を開けておいた場所で自身の風魔法を使って従者の視界を一瞬自然に奪った隙に毒入りのグラスを手にした。なんとも大胆不敵で賢いやり方です、毒も死なない程度に少量しか口にしていません。」
「疑いの目を向けられないようにするため…」
「たとえ罠にかけるためとはいえ自ら毒を飲む貴族なんてこの国にはいませんよ、少なくともあの会場にいる貴族には…ね。ミレーヌ側妃の計画を逆手に取るなんてなかなかやるではありませんか。」
「そんな、危険すぎることを…」
「何も考えずに過ごせるほど甘い世界では無いのですよ、いつ破滅するかわからない。それが貴方のいる貴族社会というものです。ヒナ嬢の機転が無ければ我々は終わっていましたよ?ま、そうなる前に私が何とかしますがね。さて、種明かしは終わりです。アヤ側妃殿下のもとへお戻りなさい、今の貴方の役目は敵陣真っ只中に取り残されている母親を守ることです。不安ならアルマ嬢の近くに居なさい、あの方もとても理知的なお方だ。味方でもないが敵でもありません、このような状況であればきっと助けになるでしょう。」
そういうとノアはマントを翻してその場を足早に後にした。
複雑そうな表情で急いで会場に戻ると未だに混乱で騒ぎになっていた。
アヤ側妃を探すと母はアルマと一緒にいるのを見つけた。
「母上!」
「カリム、ヒナ嬢は?ご無事なの?」
「はい、無事に神殿へと送られました。」
「そう、あなたも離れずにわたしといなさい。」
アルマはその様子を無表情で目の端で見るとそっと目を閉じて腕を組む。
(恐らくミレーヌお姉様はこちら側の人間を毒で殺めたかったのでしょうね、邪魔な身内を消して宿敵に致命傷を与えてハイお掃除完了っ!といったところね。ヒナ嬢が機転を利かしていなければ本当にそうなっていたけど…問題はこの後、王国騎士団がどのような調査を行うのか。)
「アルマ、大丈夫か?」
「えぇ、もちろん。こんなことで狼狽えたりなどしませんよ、わたくしがこれまで何度毒殺されかけたと思ってるんですか?」
平気な顔でそう言い捨てるアルマにジルは怒りを覚えた。
「何故そういう目にあったと言わないんだっ、そんなに俺は頼りないのか?それに平気な顔でそんなことを言うんじゃ…」
「平気になってしまうほど殺されかけたということです、それに貴方に言ったところでどうにもなりません。」
辺りを見渡すと残されたアストルム騎士団が事態の収集を試みていた。
それを見ていたアルマは溜息をつきながら
(流石ダリアの騎士団、宥めている振りをして明らかに狼狽えている貴族をチェックしている。王国騎士団が介入してきても独自に調査ができるように準備しているのね、それに比べてお姉様は…)
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