悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

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王宮内暗殺事件編

第92話 誰が毒を飲んだ?

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暫くすると王国騎士団が駆けつけ毒殺未遂事件を認知した、会場にいた者たちを控え現場を保全し終えた所で貴族たちは開放された。
浮かない表情で馬車に乗り込もうとするカリムにアルマが声をかける。

「今回の件、ダリアご令嬢がいればこのようなパーティに赴かなくとも済んだことでしょう。つまりダリアご令嬢が不在だからこそ狙われたということ、これで終わりにするわけが無いのですから殿下も油断なさらぬよう…でないと次は倒れるだけでは済みませんよ?」

そう言捨てると扇を仰ぎながら自分が乗ってきた馬車へと向かって行った。

「わかってるさ……」


翌日 第十三師団 本部

「師団長!グランドマスターはなんと?」

馬に乗って戻ってきたノアに騎士たちが詰め寄るとノアは手で静かにするようにと制する。

「ヒナ嬢の容態も落ち着いてきたと報告が上がっている、今回の事件は子供が見たってアヤ側妃を狙ったものだとわかるだろ。そんなことをいちいちマスターに報告するまでもない。」

事件を調査している王国騎士団も今回の件は反セーレム派の貴族が起こしたものだろうと踏んで調査を行っている。
事件関係者としてノアも事情聴取に呼ばれながら調査の状況を探っていた。
一方学園では被害にあったのがクロウリー家の令嬢だということもありダリアの周りは騒がれていた、もちろんノアの報告で周知していたが学園から許可を得てヒナが療養を受けている神殿へと赴くことになっていた。
ノアが今回の事件の詳細資料に目を通していると窓からレイヴンが現れる。




『アストルム騎士団 第十三師団に告ぐ…我が主のお見えだ。』



レイヴンがそう言うと影が部屋を覆い団員たちの間に緊張が走る、一瞬影に怯み目を閉じ再び開けるとそこには騎士の格好をしたダリアが瞳だけを青々と光らせながら微笑を浮かべていた。



「やぁ、久しぶりだね。」

ダリアが落ち着いた声でそう言うとその場にいた全員が一斉に膝をつき頭を垂れる。

「公女閣下にご挨拶申し上げます、わざわざご足労いただき恐悦至極に…」

ノアの言葉をダリアがやんわりと手で制止させた。

「構わないよ、それよりヒナが毒を盛られたそうだね?」

言葉や表情は柔らかくともノアには解った、ダリアが怒っていることを。
脂汗を流しながら頭の中で上手く言葉を紡ごうとするがダリアの圧でままならずにいる。

「いや、伝え方が悪かったのかもしれないね。確かにヒナは私の手足となって役に立たなければならない、でもね?君たちがヒナを手足のように使っていいなんて一言も言ったつもりは無いよ?あの子が私の為に何か作戦を建てたのなら君たちが実行し犠牲にならなければならない。あの子に着くように言ったのはそういうつもりだったんだけどね。」

「申し訳…ございません。」

ダリアは椅子に座るとレイヴンが入れた紅茶をひと口飲み、指で軽く円を描いて赤黒い液体の入った小瓶を出すとレイヴンに手渡した。

「今回ヒナが飲んだ毒と同じものを用意した、さて…今回は誰にご退場頂こうかな?ミレーヌ側妃へ水害の際に受け取った再興費の裏金を献上しているトルノ伯爵?それとも上級侍女を給わっているクレバー伯爵夫人?」

受け取った小瓶をレイヴンがノアに手渡すとそれを視線だけ移して見ていたダリアがさらにニィっと笑って見せた。

「今やクロウリー公爵騎士団も王族に最も忠実であると認められ王国の貴族司法を護衛する任を任せられるようになった、そんな一族の人間を毒殺しようだなんてやましい事がある証拠だよねぇ?世論だってそれを疑ったりなどしないよ、ねぇ?レイヴン。」

レイヴンは同意するかのように頭を下げる。
足を組み、月光に照らされながら瞳孔を怪しく光らせるダリアをみて彼女が何故聖女候補選抜を降りたのか。
彼女ならその実力で聖女になりえ、更なる富と栄光を築き上げることだって容易だったろうに…とノアの頭にふと過った。
それと同時に気付いたのだ。

 慈愛と清麗に満ちた女神の眷族とされる聖女は必ず光魔法を進化させた聖魔法を扱えなくてはならないが会得するには相当の魔力量と光魔法との相性がものを言う。
だが目の前で黒い笑みを浮かべているダリアが聖女になろうかと誰が思えるのか。
側妃の腹心を陥れることに何の躊躇もなく、かと言ってハッキリとした王族の後ろ盾を使うこともなくまるでそれが正義であるかのように容赦なく刃を振り下ろす。
ダリアが光魔法を扱えるはずなのに使ったところを見たものは…いない。

「領地で起こった水害を盾に金を巻き上げようなんて王家はだいぶ舐められているようだね。そうだ、ヒナだけどねアメリアから連絡が来てだいぶ良くなったそうだよ。
従者に迎えに行かせたからクロウリー邸で出迎えてやってあげて。」

「はっ!かしこまりました。」

レイヴンに抱き上げられながらダリアは小さく手を振って姿を消した。




「我ら第十三師団は公女殿下御身のために……」








𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹

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