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旅行
しおりを挟む翌日、冒険者ギルドでテンを呼び出してから行動する。
「ピクシーキャットですね。この首輪を嵌めていてください」
「はい、ありがとう」
いやいやつけるテンだが、
「似合うじゃないか!」
『そ、そうにゃ?ニャーはなんでも似合ってしまうにゃ』
とすぐ調子に乗るテン。
中世のような石畳の街を歩いて散策する。
奴隷がいないだけで働く人間達は普通なんだな。
と思ってたが、
「さっさと動け!この薄鈍が!!」
「はい……」
どう見ても人間の子供だな。
「おい、奴隷はいなくなったんじゃないのか?」
親父に聞いてみると、
「あ?いるに決まってるだろ?こいつは口減しで売られた奴隷だ」
口減しで売られるのか?
人間が人間を奴隷にするのは見てて気持ちのいいもんじゃないな。
「はぁ、まだ分かってないみたいだな」
「なにするの?」
俺の服を掴むアーシャ。
そうだよな、ここじゃこれが当たり前なんだよな。
「何もしないさ」
と言ってその親父達から遠ざかる。
人間達が選んだ道だ。
俺がとやかく言うことはない。
「本当にいいの?」
「俺に関係ないからな、それにあの奴隷を解放してもすぐに次の奴隷が生まれる。そう言う世界なんだ」
「そっか……ここだけじゃないもんね」
『そうにゃ、前は他のエルフやドワーフを捕まえて奴隷にしてたにゃ』
「……酷いわね」
この旅行でここに来るのは間違いだったかもな。
「でもそれは無くなったんでしょ?あとは人間がすることよね」
『ニャー、そうにゃね』
大通りを抜けてパン屋に入る。
香ばしいパンの香りがするな。
種類はないが美味そうだったので野菜の入ったサンドイッチのようなものを買って外に行く。
見晴らしのいいところまで来たらそこで食べるがパンはやっぱり地球のほうが美味いようだ。
硬くてパサパサしているので慌ててビールで流し込む。
「プハッ!な、なかなか食いごたえがあるパンだな」
「ほ、本当ね」
『素直にまずいっていえばいいにゃ』
テンが呆れた顔で言うので3人で笑ってしまった。
「さぁて、つぎは?」
『クメルの街かにゃ大きいにゃ』
「へぇ、なんかあるのか?」
『石像とダンジョンがあるにゃ』
ダンジョンか、
「いいね、行こうか!」
「分かったよ」
アーシャが行きたいなら行くしかないか。
一旦宿に戻り部屋をキャンセルして街を出て行く。
そしてまた車に乗りクメルの街に向かって走る。
途中いろんな村があったが、どこもそんなに見どころが無かったな。
一晩でクメルの街に到着すると、車を降りて歩いて向かう。
普通に身分証を見せると通してもらい、中に入るとまた違う熱気があるな。
「冒険者だらけね?」
「まぁ、ダンジョンがあるからだろうな」
途中で買い食いしながら、やはり微妙だと思い一気に食べる。
「まぁまぁ、食べれはするわよ?」
「うん、まずいけどな」
『ニャーは日本が恋しいにゃ」
と言いつつしっかり食ってるテン。
宿を決めると外に出ていろんな店を回る。
スキルボール屋に魔導書屋、ほかにも武器防具などをみるが、ガチャ産には敵わないな。
「どれも微妙ね?」
「まぁ、ガチャ産と比べるとな」
と少し大通りから小道に入る。
殺気を感じたので避けると首輪を持った大男が立っていた。
「なんのようだ?」
「あで?オデが取りこぼした?まぁいいか」
とまた首輪をつけようとするので、首輪を奪ってそいつにつけてやる。
首輪に魔法がかかっているようで、フィットすると、
「ご主人さま、なんなりと」
「は?……奴属の首輪か?誰の指図だ?」
大男は指さして、
「あそこにいる旦那です」
「へぇ、首輪はあるか?」
「へい」
首輪をもらいそいつが逃げ出すのを遮り首輪をつける。
「へ、へへ、ご主人サマ」
「へぇ、お前はなんだ?なんでいきなり首輪をつけようとしたんだ?」
「はい、初めてみる顔だったんで気が緩んでると思いまして」
「ほぉ、お前自身はなんなんだ?」
「しがない奴隷商です」
「よし、んじゃいこうか!」
奴隷商は分かってない顔をする。
「お前たちのアジトにいくぞ!」
「はい」
と言ってついて行くと建物に入る。
そこには檻に入れられた十数人もの人間がいた。
「親分!新しい奴隷ですか?」
馬鹿な男が寄ってくる。
「俺が今からこいつの主人だよ!全員、檻からだせ!」
「な!く、クソッ!」
剣を振りあげる男にアーシャの矢が刺さる。
「おかしな真似はしないことね?」
いい嫁を持ったな。
全員が檻から出てくると檻に奴隷商達を入れる。
出てきた全員の首輪をインベントリに入れると、ありがとうと言うなり檻の中の奴隷商に蹴りを入れる。
「あんまりやりすぎるなよ?」
「はい、分かってます」
と言っても奴隷にされた恨みは深いだろうから、死なない程度までは許してやる。
「全員、そのくらいにしておけよ?」
「分かりました」
2階に行くと成金主義というか金回りのが良さそうな男がいたのでそいつにも首輪をつけてやる。
ペラペラと喋るのは金庫の場所などだ。
金庫から金を取り出すとみんなに分け与える。
「あ、ありがとうございます」
「それで身なりを整えろよ?あとは各自自由にしてくれ」
「「「はい」」」
2階でほかにも奴属の首輪を作ってるやつも捕まえて奴隷にする。
下に降りると奴隷商達は殺されていた。
「まぁ、しょうがないか。これだけ恨みがあったんだろ」
「ひいぃ……」
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