合成師

盾乃あに

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亜種

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「フラム!『ファイアーボール』」
 “ボワッ”っと火の玉がモンスターに当たり燃やしつくす。
 俺はドロップを拾う係だ。
 今は9階層でストーントータスと言う亀のモンスターと戦いながら10階層の階段を探している。
「なかなか見つからないなぁ」
「だな、少し休憩しないか?」
「そ、そうですね」
 草原の上で座り込む、調子よく見つけていたので見つからないと中々疲れるもんだな。
「もう16時か」
「早く見つけないと」
「まぁ、そんなに急いで探すと必要ないだろ?」
 いや、ナツメは学生だから門限あるだろ!
「そうですね、私の親も課題はまだクリア出来ないのかと急かしてきますし」
 はぁ、そうならいいんだが、
「ナツメは学生だから早く帰らないといけないと思ってたよ」
「ありがとうございます」
「ハハッ、ダンジョンだから泊まりなんてよくあるからな」
「そっか、俺は泊まったことがないからな」
 そうか、俺の常識は通用しないんだな。

 それからまた10階層への階段を探して回ると、30分もしないうちに見つかった。
「お!ようやくゴルアークとご対面だな」
「うー、緊張してきました」
「一発ぶちかましてやればいいぞ」
「は、はい」
「レベルの方はどうなんだ?」
「……凄い41になりました!」
 おぉ、俺とあまり変わらなくなったな。
「んじゃ行こうか」
「はい!」
 と階段を降りて行く、門は何故か金色に輝いているが、これがデフォか?
「ついてるな!イレギュラーのゴルアーク亜種だ」
「は?普通のゴルアークでいいんだが?」
「いや、ゴルアーク亜種の方がいいだろ!牙も立派だぞ?」
 あぁ、まぁマー坊がいるから大丈夫か。
「じゃあ行くぞ!」
 と、扉を開けると吠えるゴルアーク亜種。
 ネットで見たゴルアークでは無いな。
 見た目も変わり雷を纏っているようだ。
「フラム!『フレイムジャベリン』!」
 と初手から初めて使う魔法だな。
 炎は青くなりジャベリンのように真っ直ぐゴルアーク亜種の口から刺さり貫く。
 すると倒れて消えるゴルアーク亜種。
 それに驚く俺とマー坊は口を開け嬉しそうに飛ぶナツメを見る。
「……凄い威力だな」
「うん、かなりな」
 と2人で話しているとこっちに向かって来るので手を挙げると“パン”とハイタッチだ。
「やりましたよ!お二人のおかげです」
「ふぅ、末恐ろしいな」
「だな、だが無事に終わって良かったよ」
 本当に全力を出した一撃はボスを貫いたんだからな。
 長い銀髪を揺らし赤い小鳥と戯れる様はやはり綺麗な子と言う印象を受ける。

「よし、ドロップを集めて、宝箱だ」
 ドロップは牙、皮、中魔石と呼ばれる大きさの魔石にコイン?
「おっ!久しぶりに見た召喚コインだな。それに魔力を注ぐとゴルアーク亜種が出てきて代わりに戦ってくれる。そのうちに逃げたり、一緒に戦ってもいいが、俺はもしもの時のために御守りとして持ってるぜ?」
「ほぉ、そんなのがあるんだな、ほれ」
「あ、ありがとうございます」
 とコインを大事そうに握ると、
「私も御守りにします!」
 と言ってポケットにいれる。
 残りのドロップをバッグに入れると、あとは宝箱だな。

「なぁ、ルカのバッグってもしかして」
「ん?マジックバッグか?」
「だ、だよなぁ」
「え?有名ランカーが2人しか持ってないアレですか?」
 有名ランカー?知らないなぁ。
「そのランカーは知らないがこれはマジックバッグだぞ?」
「おかしいと思ってたんだよ、何故かドロップが全て入るバッグなんてな」
「そ、そうですね、普通は選んで持てる分だけ持ち帰りますもんね」
 ふーん、そんなこともしてた時期もあったが、やはりもったいないからな。

「ま、まぁ、それはいいとして宝箱を開けようか!」
 と宝箱が出ているので『鑑定』すると、
「罠がある、俺が開ける」
「お、おぉ、そういえば『鑑定』持ちだったな」
「危なかったですね」
 ふーん、ほぉ、これを外せばいいだけか。
 “カチッ”と音がして罠は解除された。
「開けるのはナツメだな」
「は、はい!」
 ナツメが開けると中には2つの青いスキルボールが入っていた。
「『鑑定』お願いします」
「あいよ」
 鑑定すると、1つは金に光る『一刀両断』と言うスキルで、もう1つは青のままの『選択』と言うスキルだった。
 そのまま伝えると、
「こちらはマー坊さんに」
 と『一刀両断』スキルのボールを渡す。
「いや、ナツメのだろ?」
「私には恩返し出来るものがないのでもらって下さい」
「……じゃあ、この日を忘れない為に貰っておくよ」
「あ、ありがとうございます」
 と言ってマー坊は受け取りその場で開けてスキルを取得する。

「あ、あの里見さんには必ずお返ししますので、あ!」
「俺はこれでいいよ」
 と『選択』のスキルを取得する。
「ハズレだぞ?いいのか?」
 まあハズレでもスキルはスキルだからな。
「別に俺もこの日を忘れないからな」
「は、はい!ありがとうございます」
 と言って泣き出すナツメの頭を撫でる。

「よし!胸を張って帰るぞ!」
「は、はい!」
 涙を拭い一つ困難を乗り越えた顔をしている。
 ナツメにとっては特別な日になるだろう。

 ボス部屋の後ろにあるモノリスを触り出口付近に出る。
 出口を出ると17時、外が暗くなってきているな。

 今回はゴルアーク亜種の牙と皮を残し全てのドロップ品を売りに出す。
「それでは買取金額は352万4000円になります」
「ほら、ギルドカードを出して」
「い、いえ、私はレベル上げまでして頂いたので」
「いいから出す、俺らは仲間だろ?」
「……はい」
 と三等分してカードに入金してもらう。

 まぁ、皮代はこの後の打ち上げで奢る予定だ。
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