合成師

盾乃あに

文字の大きさ
66 / 79

『栄光』

しおりを挟む


 マンションはミソノに任せ、工房が出来上がったと聞き隣の工房まで行く。

 工房に入ると親方が待っていた。
「おう!どうだ!ちゃんと言われた通り作ってあるぞ!」
「凄いですね……ここで作業できるんだ」
 とシオンは感動している。

 広い空間には炉やテーブル、金床などがあり、ハンマーなどが飾られている。

「これから、ゆっくり自分の使いやすいように変えていけばいい」
「はい!」
 2階に上がると俺の合成部屋もある。

 まだ何もないテーブルのみの部屋だ。

「あとは部屋が三つある。まぁ、鍛治場が一番デカいがな」
 と親方が言う。
 ここにはシャワーや簡単なキッチン、トイレまで完備されているので集中して物作りに没頭できるな。

「親方、ありがとう」
「へ、仕事はきちんとやる!まぁ、いいもの作ってくれよ?」
「それは任せろ!」
 と言って三人で工房から出ると、ミオやカグヤが待っていた。

「それじゃあ行こうか」
「「「はい」」」
 近場のダンジョンに歩いて向かう。

 車を使うまでも無いからな。

 と、星3ダンジョンに向かうと外まで人で溢れている。
「はぁ、こりゃ無理だな」
 と男達はこちらを向くと、
「カグヤだ!てことは『朱』のメンバーか!」
 と騒ぐ。

 さすがにこの人数は入れないと、帰ろうとすると声がかかる。
 振り返ると人が割れて中心から何人か歩いて出てくる。
「やぁ、カグヤ!久しぶりだね」
「はぁ、あんたねぇ?『栄光』がこんなことしていいと思ってるの?」
 と、カグヤが喋るのは金ピカの鎧に身を包んだイケメンだ。

「そんなクランにいないでこっちに入ってよ?特別待遇だよ?」
「悪いけど間に合ってるわ」
 イケメンは断られたことを気にせず話し続ける。
「『栄光』にあのカグヤが入ったって知られれば、いい宣伝になるし、格も上がる。カグヤの好きなようにさせる準備は整ってるから大丈夫だよ」
 何が大丈夫なんだ?
 中々残念なイケメンだな。

「はぁ、話を聞かないのは変わって無いようね?」
「ん?カグヤが『栄光』に入るのは決定事項だからね?枠もちゃんと空けてあるし」
「私は『朱』に入ったの。『栄光』には入らないわよ?」
 
「まぁ。誰でも最初はそう言うさ。でも、この状況を見てみなよ?他のメンバーの邪魔をしてるだけだよ?」
 と大勢の探索者を見ながら両手を広げる。

「あのね、私達は入らない!さっさとこんな子供じみたことをやめてくれない?」
「つれないな。俺と君の仲だろ?」
「テレビで一緒になったくらいでしよ?」
 とカグヤは言うが、あちらはそうじゃないようだな。

「何か勘違いしてないか?俺たちの誘いを蹴るとどうなるかわかってるだろ?」
「それは脅迫よ?」
「君が入ればいいだけだ」
「私は入る気はないから」
 と言って振り返るので俺たちも後をついて行く。

「私のせいでごめんね」
「あーあ、なんか幻滅しちゃった。『栄光』クランがあんなだなんて」
 とミオが言うとヒナやシオンも頷く。

「まぁ、俺らは別の場所で活動すればいいからな」
 ここだけがダンジョンじゃ無い。

 クランに帰るとマー坊達が集まっていて、
「何してんだ?」
「ぉお、いいところに」
 見てみるとタブレットでさっきの画像が流れている。

「なんで?」
「シオンに頼んで撮っておいてもらったの」
 カグヤはそういうと動画を公開するボタンを押す。

「これで少しは大人しくなるでしょ」
「……逆恨みされなければいいがな」
「その時はその時よ。『閻魔』にも連絡してるし、『栄光』から離れるクランも出てくるんじゃない?」

 そこまでか?まぁ、辞めるやつも出てくるだろうけど。

「まぁ、当分はこれでニュースは持ちきりよ?」
「だな!俺らどころじゃなくなるだろ!」
 とマー坊達もはしゃぐ。

「はぁ、それならそれでいいがな」
 瞬く間に動画は拡散され、『栄光』から文句の電話が鳴り、ミソノが冷たくあしらうと、
「『栄光』からまた抗議の電話です。着信拒否してもかかってくるんでどうしますか?」

「んー、まぁ、電話線抜いといてよ」
「他の方からは?」
「知り合いならスマホにかかってくるから大丈夫だ。とりあえず自衛できるようにだけはしておいてね?」
「はぁ、わかりました」
 とミソノは戻って行く。

「はぁ、とりあえず騒ぎが収まるまでは自由行動でいいか?」
「えー!ダンジョンは?」
「んー、俺も生産したいし、ここをミソノだけに任せるわけにはいかないだろ?」
 と言うと他の四人も頷き、渋々だが部屋に戻って行く。

 ここに『栄光』が乗り込んでくるとは考えられないけど、用心に越した事はないからな。

 さて、俺も新しい部屋で生産してみるかな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハーレムキング

チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。  効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。  日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。    青年は今日も女の子を口説き回る。 「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」 「変な人!」 ※2025/6/6 完結。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界ラーメン屋台~俺が作るラーメンを食べるとバフがかかるらしい~

橘まさと
ファンタジー
脱サラしてラーメンのキッチンカーをはじめたアラフォー、平和島剛士は夜の営業先に向けて移動していると霧につつまれて気づけばダンジョンの中に辿りついていた。 最下層攻略を目指していた女性だらけのAランク冒険者パーティ『夜鴉』にラーメンを奢る。 ラーメンを食べた夜鴉のメンバー達はいつも以上の力を発揮して、ダンジョンの最下層を攻略することができた。 このことが噂になり、異世界で空前絶後のラーメンブームが巻き起こるのだった。

勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん
ファンタジー
年上の女性が好きな俺には勇者パーティの中に好みのタイプの女性は居ません 俺の名前はリヒト、ジムナ村に生まれ、15歳になった時にスキルを貰う儀式で上級剣士のジョブを貰った。 本来なら素晴らしいジョブなのだが、今年はジョブが豊作だったらしく、幼馴染はもっと凄いジョブばかりだった。 幼馴染のカイトは勇者、マリアは聖女、リタは剣聖、そしてリアは賢者だった。 そんな訳で充分に上位職の上級剣士だが、四職が出た事で影が薄れた。 彼等は色々と問題があるので、俺にサポーターとしてついて行って欲しいと頼まれたのだが…ハーレムパーティに俺は要らないし面倒くさいから断ったのだが…しつこく頼むので、条件を飲んでくれればと条件をつけた。 それは『27歳の女闘志レイラを借金の権利ごと無償で貰う事』 今度もまた年上ヒロインです。 セルフレイティングは、話しの中でそう言った描写を書いたら追加します。 カクヨムにも投稿中です

外れスキルと言われたスキルツリーは地球の知識ではチートでした

盾乃あに
ファンタジー
人との関係に疲れ果てた主人公(31歳)が死んでしまうと輪廻の輪から外れると言われ、別の世界の別の人物に乗り替わると言う。 乗り替わった相手は公爵の息子、ルシェール(18歳)。外れスキルと言うことで弟に殺されたばかりの身体に乗り移った。まぁ、死んだことにして俺は自由に生きてみようと思う。

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!! 祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。 「よし、とりあえず叩いてみよう!!」 ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。 ※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

仮想戦記:蒼穹のレブナント ~ 如何にして空襲を免れるか

サクラ近衛将監
ファンタジー
 レブナントとは、フランス語で「帰る」、「戻る」、「再び来る」という意味のレヴニール(Revenir)に由来し、ここでは「死から戻って来たりし者」のこと。  昭和11年、広島市内で瀬戸物店を営む中年のオヤジが、唐突に転生者の記憶を呼び覚ます。  記憶のひとつは、百年も未来の科学者であり、無謀な者が引き起こした自動車事故により唐突に三十代の半ばで死んだ男の記憶だが、今ひとつは、その未来の男が異世界屈指の錬金術師に転生して百有余年を生きた記憶だった。  二つの記憶は、中年男の中で覚醒し、自分の住む日本が、この町が、空襲に遭って焦土に変わる未来を知っってしまった。  男はその未来を変えるべく立ち上がる。  この物語は、戦前に生きたオヤジが自ら持つ知識と能力を最大限に駆使して、焦土と化す未来を変えようとする物語である。  この物語は飽くまで仮想戦記であり、登場する人物や団体・組織によく似た人物や団体が過去にあったにしても、当該実在の人物もしくは団体とは関りが無いことをご承知おきください。    投稿は不定期ですが、一応毎週火曜日午後8時を予定しており、「アルファポリス」様、「カクヨム」様、「小説を読もう」様に同時投稿します。

女神の白刃

玉椿 沢
ファンタジー
 どこかの世界の、いつかの時代。  その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。  女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。  剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。  大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。  魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。  *表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*

処理中です...