合成師

盾乃あに

文字の大きさ
74 / 79

繋がり

しおりを挟む

「ありがとな」
「別に、俺は俺の思うようにしただけだ」
 『tortie』の店でいつものように属性武器を卸している。
「まぁ、瀬戸は残念だったが、見る目を養うための失敗だな」
「そうだな。あいつは悪気もなく電話してきたからな」
 と話をしている。

「店長、榊原店長」
「ん?なんだ?悪いな」
 と席を立つツネに手を振りいいよと言う。

 少しすると何やら騒いでいるようで俺も外に出てみると、瀬戸がツネに詰め寄っていた。
「口を出して俺たちに売らないようにするなんて、そんな権限あるのかよ!」
「は?俺はお前が引き抜かれたことしか言ってないぞ」
 となにやら瀬戸は勘違いしてるようだな。

「あ!里見さん!今回は是非ともうちに売ってください!」
「あー、なんか勘違いしてるようだが、俺はツネだからここに売ってるだけだ。お前に売る義理はないな」
「な、なぜですか!私達はここより高く買い取ります!」
 と瀬戸は俺に向かって叫ぶが、金なんかじゃないんだよな。

「繋がりを大切にしない奴に売るものはない」
 俺は冷たくそう言うと、
「そんな!いまから繋がりを持とうと言うのにですか?新しい繋がりだって大事じゃないですか!」
 それも正論だが、それは元の繋がりを頼って引き抜きに応じるような奴に言われたくない。

「それはお前との繋がりじゃない。俺とツネの繋がりだったからお前を知ってるだけだろ?お前は元の店の店長の繋がりに縋るのか?」

「クッ!そ、それは」
「お前の負けだ。分かったら帰れ」
 とツネが言うと、
「社長は諦めない!里見さん、いずれまた!」
 と言ってツネには何も言わずに帰って行った。

「はぁ、悪いな」
「別に、お前が悪いわけじゃないだろ?」
「元部下だしな」
「元な」
 と少し瀬戸が出て行った後を見ていた。

 その日、ツネは早上がりして二人で居酒屋に行く。

「乾杯」
「おう!」
 やはり元気がないようだ。
「気にするな、有名な所なんだろ?」
「あぁ、一流ブランドだ。そこの店長にと言われれば普通のやつなら簡単に心が動くだろうな」
 とビールに口をつける。
「お前でもか?」
「俺は拾ってくれた社長に恩があるし、『tortie』こそが一流になると思ってるからな」
「ならいいじゃないか!『tortie』が一流ブランドになれば、そんな引き抜きなんかなくなるだろ?」

 今でも一目置かれてるんだ。
 一流なんて誰が決める?
「俺はもう一流だと思ってるがな」
「ハハッ、ありがとな」
 有名どころも『tortie』の製品を使っているんだ。

 まぁ、大手はスポンサーになってるみたいだけどな。

「多分だが、あの社長は潰しにかかってくるだろうな」
「は!そんなもん跳ね除けろ!」
「そうもいかないだろ?ミスリル職人だって金を積まれりゃな?」
 と指を輪っかにして言う。

「職人はそんな甘くないぞ?動くようならこっちから切ってやれ!」
「新しく探すのも大変なんだぞ?」
「あー、俺のクランは生産職クランだぞ?」
 シオンもいるし、俺が作ってシオンに刻印して貰えばいいだろ?

「いや、ミスリル職人はあの人達がいいんだ。おっさん達の気合いが入ってるからな!」
 そうか、長い付き合いなんだな。

「ならそう言えばいいと思うぞ?」
「だな!落ち込んでもしょうがないからな!」
「おし!飲もう!」
 といつもの飲みになってしまった。

 タクシーで帰らせると、代行を呼んでクランまで帰る。

「おう!ツネはどうだった?」
 マンションに入るとマー坊が出て来て聞いてくる。
「まぁ、落ち込んでたかな」
「だよなー。まぁ、少しは元気になっただろ?」
「なってくれればいいんだけどな」
 と二人で入って行く。

「ルカさん!見てください!」
 とシオンが寄ってくると剣を見せてくる。
「ん?水属性のミスリルソード?属性だけ付けれるのか?」
「はい!なんとかなるかなぁってやってみたら出来ました!」
 と嬉しそうに言う。
「そうだな、シオンの作る武器は名前も変わるから売れないからな。でも、これで売ることができるな!」
「はい!」

 シオンは鍛冶をマスターしていってるな。
 前に作ったフレイムソードだって世に出たら価値が十分あるからな。
 本当は作りたいように作らせてやりたいが、使う人間がいないのは勿体無いから、飾っておくくらいしか出来ない。

 これでシオンも『tortie』に連れていける。

「そうだ、シオンは高く売りたいか?」
「ん?なんでですか?」
「いや、俺のダチのところじゃなくても、評価してくれるところは沢山あるからな」
 これはシオンが決めることだからな。

「え?ツネさんのところがいいですけど?」
「なんでだ?ツネより高く買ってくれるぞ?」
 シオンは考えるが、
「やっぱり知り合いのとこがいいです!それに僕はルカさんの弟子ですから!」
「あはは、弟子ではないな。俺よりすごいんだからな」
「そんなことないですよー!」
 と笑っている。

 シオンは鍛冶職人だから俺の合成とは違うからな。

 俺よりその分特化してるしな。
 これからが楽しみだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハーレムキング

チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。  効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。  日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。    青年は今日も女の子を口説き回る。 「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」 「変な人!」 ※2025/6/6 完結。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界ラーメン屋台~俺が作るラーメンを食べるとバフがかかるらしい~

橘まさと
ファンタジー
脱サラしてラーメンのキッチンカーをはじめたアラフォー、平和島剛士は夜の営業先に向けて移動していると霧につつまれて気づけばダンジョンの中に辿りついていた。 最下層攻略を目指していた女性だらけのAランク冒険者パーティ『夜鴉』にラーメンを奢る。 ラーメンを食べた夜鴉のメンバー達はいつも以上の力を発揮して、ダンジョンの最下層を攻略することができた。 このことが噂になり、異世界で空前絶後のラーメンブームが巻き起こるのだった。

勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん
ファンタジー
年上の女性が好きな俺には勇者パーティの中に好みのタイプの女性は居ません 俺の名前はリヒト、ジムナ村に生まれ、15歳になった時にスキルを貰う儀式で上級剣士のジョブを貰った。 本来なら素晴らしいジョブなのだが、今年はジョブが豊作だったらしく、幼馴染はもっと凄いジョブばかりだった。 幼馴染のカイトは勇者、マリアは聖女、リタは剣聖、そしてリアは賢者だった。 そんな訳で充分に上位職の上級剣士だが、四職が出た事で影が薄れた。 彼等は色々と問題があるので、俺にサポーターとしてついて行って欲しいと頼まれたのだが…ハーレムパーティに俺は要らないし面倒くさいから断ったのだが…しつこく頼むので、条件を飲んでくれればと条件をつけた。 それは『27歳の女闘志レイラを借金の権利ごと無償で貰う事』 今度もまた年上ヒロインです。 セルフレイティングは、話しの中でそう言った描写を書いたら追加します。 カクヨムにも投稿中です

外れスキルと言われたスキルツリーは地球の知識ではチートでした

盾乃あに
ファンタジー
人との関係に疲れ果てた主人公(31歳)が死んでしまうと輪廻の輪から外れると言われ、別の世界の別の人物に乗り替わると言う。 乗り替わった相手は公爵の息子、ルシェール(18歳)。外れスキルと言うことで弟に殺されたばかりの身体に乗り移った。まぁ、死んだことにして俺は自由に生きてみようと思う。

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!! 祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。 「よし、とりあえず叩いてみよう!!」 ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。 ※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

仮想戦記:蒼穹のレブナント ~ 如何にして空襲を免れるか

サクラ近衛将監
ファンタジー
 レブナントとは、フランス語で「帰る」、「戻る」、「再び来る」という意味のレヴニール(Revenir)に由来し、ここでは「死から戻って来たりし者」のこと。  昭和11年、広島市内で瀬戸物店を営む中年のオヤジが、唐突に転生者の記憶を呼び覚ます。  記憶のひとつは、百年も未来の科学者であり、無謀な者が引き起こした自動車事故により唐突に三十代の半ばで死んだ男の記憶だが、今ひとつは、その未来の男が異世界屈指の錬金術師に転生して百有余年を生きた記憶だった。  二つの記憶は、中年男の中で覚醒し、自分の住む日本が、この町が、空襲に遭って焦土に変わる未来を知っってしまった。  男はその未来を変えるべく立ち上がる。  この物語は、戦前に生きたオヤジが自ら持つ知識と能力を最大限に駆使して、焦土と化す未来を変えようとする物語である。  この物語は飽くまで仮想戦記であり、登場する人物や団体・組織によく似た人物や団体が過去にあったにしても、当該実在の人物もしくは団体とは関りが無いことをご承知おきください。    投稿は不定期ですが、一応毎週火曜日午後8時を予定しており、「アルファポリス」様、「カクヨム」様、「小説を読もう」様に同時投稿します。

女神の白刃

玉椿 沢
ファンタジー
 どこかの世界の、いつかの時代。  その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。  女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。  剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。  大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。  魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。  *表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*

処理中です...