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本編
第三話 大人の事情 side - 森永
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完全に意識を手放した彼女から体を離すと何処かで何やらバイブ音がしているのに気づいた。そう言えば彼女の携帯電話を放り投げたなと思い出し、ベッドから出ると部屋の隅に落ちていた携帯電話を拾い上げてテーブルの上に置く。
さてどうしたものか……あまり気は進まないが避けては通れないことだと自分に言い聞かせ、彼女のバッグを手にした。
この部署について直ぐに上から厳命されたのは『家族にも自分の所属は明かすな』と『ハニトラに警戒せよ』だった。隊の中には妻にした女や恋人を通じて機密を漏えいさせた者もいるから冗談ではすまされない。
特に自分が特作に所属していとなれば尚のことだ。
すまないと奈緒に心の中で謝りながらバッグの中を調べる。しばらくして怪しいものが入っていないことを確認し安堵の溜め息をついた。自分の第一印象は間違っていなかったらしい。
しかし全く引っかかりが無くなったというわけではない。問題は奈緒の名字である“片倉”だった。何処かで聞いたことがあると思ったのは当然だ、野党第一党の片倉総一郎と同じ姓。珍しいというほどの名字ではないが確認しておく必要はあるように思えた。
自分の携帯電話を手にすると、ベッドから離れた場所に移動する。相手は1コールで出た。
『何か用か?』
「こんな時間にまだ起きていたのか?」
『俺の時間はこれからだ。お前達とは真逆の生活をしているからな』
電話の向こうにいるのは元同僚の男。現在は退官し民間人となっているが非公式に隊の要請を受けて仕事をしてもいた。本人は「モグラのモンさんとでも呼んでくれ」などとふざけたことを言っているが、その情報収集能力は他の関係者のそれと比べても抜きん出ている。
「少しばかり調べて欲しい人物がいる」
『ほお? 女か?』
相手が愉快そうに笑ったので顔をしかめた。何であいつはそんなに察しが良いんだ。
「片倉総一郎の家族構成が知りたい」
『お前、政治家にでもなるつもりか?』
「質問が多いぞ。とにかく調べてくれ」
『奇遇だな。今ちょうどその辺の連中のことを調べていた。片倉総一郎、な。現在の家族構成は本人、妻、息子が一人だ』
「子供は一人だけか」
『現在は、だ。妻は後妻、前妻は奴が議員になった翌年に病死、前妻との間に娘が一人いたようだが今は家を出ているようだ』
奈緒が言ったこととほぼ合致するな。
「名前は?」
『片倉奈緒、ちょうど二十歳。なんだ、その娘に興味があるのか? 動向を知りたいのなら格安で調べてやるぞ?』
「いや、その必要はない」
そう言いながらベッドの方へと目をやった。その娘は今そこのベッドで眠っている。
『それだけか?』
「ああ、今のところはな」
『なら切るぞ。俺はこれでも忙しい』
「ありがとう、助かったよ」
『礼には及ばん。じゃあな』
電話を切ってから履歴を消すと彼女の携帯電話の横に置く。
やはり片倉議員の娘だったか。片倉は何かとこちらを目の敵にしてくる左派系の議員だ。個人の主義主張だから何がどうのとは言わないがお近づきにはならない方がお互いの為だろう。彼女がほぼ絶縁状態になっているのは本人にとっては辛いことだろうが、こちらにとっては幸いだったのかもしれない。
―― 酷いことを考えてるな、俺は…… ――
ベッドの横に立つと眠っている奈緒の顔を見下ろした。その視線を感じたのかモゾモゾと動いたかと思うとうっすらと目をあけてこちらを見上げた。
「かべさーん?」
「ん?」
手の甲で頬を撫でてやるとニッコリと笑った。
「かべさん、私のこと好きぃ?」
「ああ、好きだ」
「私もかべさんのこと好きぃ、ぎゅーってしてくれる?」
今夜何度目かのおねだりだ。ベッドに入って抱き寄せると奈緒は嬉しそうに擦り寄ってきた。そんな柔らかい彼女の体に体が反応する。奈緒のバックボーンがどうであろうと俺の息子は気にしていないらしいなと彼女を抱き締めながら苦笑いした。
「どーしたの?」
「また抱きたくなった。いいか?」
「うん。私も信吾さんにいっぱい抱いて欲しい」
そう言ってこちらの腰に足をかけてきたので、そのままゆっくりと彼女の中へと己の分身を沈めていく。今夜何度も自分を受け入れてくれたそこは既に熱く蕩けた状態で迎え入れてくれた。急いで達することもないので横向きで向かい合って唇を合わせながらそのままゆっくりと出し入れを続ける。
「気持ちいい?」
「ああ。奈緒は?」
「私もすごく気持ちいいよ? 溶けちゃいそう」
うっとりとした顔でこちらを見上げてくる奈緒に急ぐ必要はないという最初の考えは消し飛んだ。彼女をベッドに縫いつけるように体の位置を変えると、そのまま一番奥まで己を突き入れる。急に激しく突いたので奈緒が眉をひそめた。
「辛いか?」
「ううん、平気。もっとして? 信吾さんの全部が欲しいから」
「ったく、おじさんを煽るな」
そんな俺の言葉にプウッと頬を膨らませる奈緒。
「かべさん、お望みのままにって言ったもん」
「あー、そうだった。今夜は奈緒のお望みのままに、だったな。じゃあどうしてほしい?」
「かべさんがいっぱい欲しいの。だからちょうだい?」
そんな彼女の媚態に自分自身がピクリとはね、それに応えるように彼女の中が締めつけてくる。
「っ……分かった、全部やるからちゃんと受け取れよ?」
次の瞬間には奈緒の父親のことなど頭から消え失せ、あとは望み通り全てを与え終わるまで彼女を抱き続けた。
さてどうしたものか……あまり気は進まないが避けては通れないことだと自分に言い聞かせ、彼女のバッグを手にした。
この部署について直ぐに上から厳命されたのは『家族にも自分の所属は明かすな』と『ハニトラに警戒せよ』だった。隊の中には妻にした女や恋人を通じて機密を漏えいさせた者もいるから冗談ではすまされない。
特に自分が特作に所属していとなれば尚のことだ。
すまないと奈緒に心の中で謝りながらバッグの中を調べる。しばらくして怪しいものが入っていないことを確認し安堵の溜め息をついた。自分の第一印象は間違っていなかったらしい。
しかし全く引っかかりが無くなったというわけではない。問題は奈緒の名字である“片倉”だった。何処かで聞いたことがあると思ったのは当然だ、野党第一党の片倉総一郎と同じ姓。珍しいというほどの名字ではないが確認しておく必要はあるように思えた。
自分の携帯電話を手にすると、ベッドから離れた場所に移動する。相手は1コールで出た。
『何か用か?』
「こんな時間にまだ起きていたのか?」
『俺の時間はこれからだ。お前達とは真逆の生活をしているからな』
電話の向こうにいるのは元同僚の男。現在は退官し民間人となっているが非公式に隊の要請を受けて仕事をしてもいた。本人は「モグラのモンさんとでも呼んでくれ」などとふざけたことを言っているが、その情報収集能力は他の関係者のそれと比べても抜きん出ている。
「少しばかり調べて欲しい人物がいる」
『ほお? 女か?』
相手が愉快そうに笑ったので顔をしかめた。何であいつはそんなに察しが良いんだ。
「片倉総一郎の家族構成が知りたい」
『お前、政治家にでもなるつもりか?』
「質問が多いぞ。とにかく調べてくれ」
『奇遇だな。今ちょうどその辺の連中のことを調べていた。片倉総一郎、な。現在の家族構成は本人、妻、息子が一人だ』
「子供は一人だけか」
『現在は、だ。妻は後妻、前妻は奴が議員になった翌年に病死、前妻との間に娘が一人いたようだが今は家を出ているようだ』
奈緒が言ったこととほぼ合致するな。
「名前は?」
『片倉奈緒、ちょうど二十歳。なんだ、その娘に興味があるのか? 動向を知りたいのなら格安で調べてやるぞ?』
「いや、その必要はない」
そう言いながらベッドの方へと目をやった。その娘は今そこのベッドで眠っている。
『それだけか?』
「ああ、今のところはな」
『なら切るぞ。俺はこれでも忙しい』
「ありがとう、助かったよ」
『礼には及ばん。じゃあな』
電話を切ってから履歴を消すと彼女の携帯電話の横に置く。
やはり片倉議員の娘だったか。片倉は何かとこちらを目の敵にしてくる左派系の議員だ。個人の主義主張だから何がどうのとは言わないがお近づきにはならない方がお互いの為だろう。彼女がほぼ絶縁状態になっているのは本人にとっては辛いことだろうが、こちらにとっては幸いだったのかもしれない。
―― 酷いことを考えてるな、俺は…… ――
ベッドの横に立つと眠っている奈緒の顔を見下ろした。その視線を感じたのかモゾモゾと動いたかと思うとうっすらと目をあけてこちらを見上げた。
「かべさーん?」
「ん?」
手の甲で頬を撫でてやるとニッコリと笑った。
「かべさん、私のこと好きぃ?」
「ああ、好きだ」
「私もかべさんのこと好きぃ、ぎゅーってしてくれる?」
今夜何度目かのおねだりだ。ベッドに入って抱き寄せると奈緒は嬉しそうに擦り寄ってきた。そんな柔らかい彼女の体に体が反応する。奈緒のバックボーンがどうであろうと俺の息子は気にしていないらしいなと彼女を抱き締めながら苦笑いした。
「どーしたの?」
「また抱きたくなった。いいか?」
「うん。私も信吾さんにいっぱい抱いて欲しい」
そう言ってこちらの腰に足をかけてきたので、そのままゆっくりと彼女の中へと己の分身を沈めていく。今夜何度も自分を受け入れてくれたそこは既に熱く蕩けた状態で迎え入れてくれた。急いで達することもないので横向きで向かい合って唇を合わせながらそのままゆっくりと出し入れを続ける。
「気持ちいい?」
「ああ。奈緒は?」
「私もすごく気持ちいいよ? 溶けちゃいそう」
うっとりとした顔でこちらを見上げてくる奈緒に急ぐ必要はないという最初の考えは消し飛んだ。彼女をベッドに縫いつけるように体の位置を変えると、そのまま一番奥まで己を突き入れる。急に激しく突いたので奈緒が眉をひそめた。
「辛いか?」
「ううん、平気。もっとして? 信吾さんの全部が欲しいから」
「ったく、おじさんを煽るな」
そんな俺の言葉にプウッと頬を膨らませる奈緒。
「かべさん、お望みのままにって言ったもん」
「あー、そうだった。今夜は奈緒のお望みのままに、だったな。じゃあどうしてほしい?」
「かべさんがいっぱい欲しいの。だからちょうだい?」
そんな彼女の媚態に自分自身がピクリとはね、それに応えるように彼女の中が締めつけてくる。
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