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本編
第二十二話 女は強し 特作嫁の会
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五月晴れのとある土曜日、洗濯物を干し終わって風になびく白いシーツを満足げに眺めているとインターホンが鳴った。こんな時間に来客だなんて珍しい。まさか記者さん達じゃないよね?と恐る恐る出るとモニターには三人の女性が立っているのが映っている。誰だろう?
「はい、どちら様ですかー?」
「森永三佐の奥さまですか? 私達、夫が三佐の下でお世話になっている者で、安住、矢野、下山と申します。急に申し訳ありません、少しお時間いただけますか?」
安住さん、矢野さん、下山さん、実のところ名前だけは信吾さんから聞いたことがあった。確か同じ部隊にいる隊員さんで今の部署にくる前から一緒に訓練をしてきた付き合いの長い人達だってことだったはず。だけど奥様方に会うのは初めてだ。
「分かりました、そのまま入ってもらってエレベーターで七階までどうぞ」
そんなことを考えながら洗濯かごを洗濯機の横に置き、玄関へと向かう。ドアチャイムが鳴ったところでドアを開けた。
「「「まぁぁぁぁぁぁぁ、可愛いぃぃぃぃぃぃ」」」
女三人寄ればかしましいとはよく言ったもので……その迫力に思わず後ずさりしちゃった。奥様方が三人揃ったら小娘の私が敵うわけないじゃないかー! っていうか、第一声が「まあ、可愛い」って喜んで良いのやらちょっと微妙な気持ち……。
「あ、あのぅ……どうぞ……」
スリッパを三人分置いて徐々に後ずさり。奥様方は三十代前半から後半の同世代な人達って感じかな。お土産持って来ましたーと言いながら嬉しそうにクッキーやチョコレートの入った紙袋をこちらに押し付けてくれちゃってます。おおお、なんだか凄いパワーを感じます。でも美味しそうなクッキー……。
「お茶、用意するので……」
リビングに案内してソファに座ってもらうと、三人はキョロキョロと興味深そうに部屋を見渡している。
「ここのインテリアは奥様が選ばれたんですか?」
「えっと……しん、夫と一緒に選んだりしたのもありますよ」
途端に目をキラキラさせてこちらを見ている三組の目。えーとえーと、なんでしょう、何か私、変なこと言ったかな?
「もしかして三佐とは名前で呼び合ったりしてます?」
「え、あ、はい」
「「「うらやましぃぃぃぃ!!」」」
「ぅえぇ?」
「うちは子供ができてから“パパ”と“ママ”なんですよ。それに不満があるわけじゃないんですけど、男と女じゃなくなっちゃったみたいでちょっと寂しくて。新婚さんが羨ましいわあ……」
「はあ……」
お茶の用意をしていただいたクッキーをお皿に並べて持っていく。
「奥様は学生さんなんですよね?」
「はい。なので隊の集まりになかなか顔を出せなくて……」
「あら、そんなの気にしなくてもいいんですよ。もともと特作は機密性の高い部隊だから、隊員の家族が参加するイベント自体が少ないんです。そういうのもあって、せめて嫁同志だけでも繋がりを持とうって最近になって集まるようになったんですよ」
「そうなんですか?」
三人の奥様は揃って頷いた。特作嫁の会?そんな感じらしい。奥様達はそれぞれ念の為にと自分達と旦那さん達、そして信吾さんが一緒に写っている写真を見せてくれた。なんでも去年の家族会の時に皆で写したものらしい。信吾さんもなんだか楽しそうに笑っているよ。
「私は学校に通っているのでなかなか皆さんとのお時間は作れないとは思いますけど……」
「ええ、ええ、分かってますよ。三佐がうちの嫁はまだ学生だからって何度か話していらっしゃったから。でも今日はお暇ですよね?」
「はい。今のところは夕方に買い物に行くつもりなだけで」
三人は“よっしゃっ”て顔をしてる。なんだろう? 何かあるの?
「あの、三佐の制服がしまっている場所、見せていただいて良いですか?」
「???」
「ああ、三佐に頼まれたんです、制服を持ってきて欲しいって。だけど奥様はどれがどの組み合わせか分からないだろうから頼まれてくれと」
「そーなんですか。えっとですね、制服関係はこっちのクローゼットに揃ってる筈なんですけど」
信吾さんの制服関係はリビングにあるクローゼットに全部入っている、はず。何せ戦闘服とか靴とかいっぱいあって、それ以外にもリュックみたいなものとか着るモノ以外の装備品が山のようにあるので寝室のクローゼットには入りきらなかったんだよね。だから、こっちのクローゼットの半分は信吾さん専用にして彼に管理を任せてある。だから正直言って私は何が入っているのかよく分からない。
「お願いしても良いですか? 必要なものが足りなかったりしたら困るので」
「心得てますよ、大丈夫、任せてください。その間に奥様も出掛ける準備をなさってくださいな」
あまりの勢いに反論する暇がなくて言われるがままに出掛ける準備をする。
「あのう、出掛けるって一体どこへ行くんでしょう?」
「ああ、何も言わずに御免なさい。三佐の奥様に会えたのが嬉しくてつい忘れちゃってました」
安住さんがテヘペロって感じで笑う。
「駐屯地でね、歓迎会をしようって話になったんです。ご結婚のお祝いもしてないし、三佐はそんなこと必要無いって仰ってたんですけど、やはり妻としては夫の上司の奥さまにお祝いをしなくちゃって思うわけなんですね。なので今日は駐屯地で奥様の歓迎会なんです。他の女性陣はお迎えする準備をしてますから、ほぼ全員と顔合わせが出来ると思いますよ?」
こういうことって男には任せておけませんから、とは下山さんの言葉。そんなわけで三人の奥様方と私は矢野さんの奥様が運転する車に乗って駐屯地までお出掛けすることに。初めて目にすることになる信吾さんの職場ってどんな感じだろう。戦車がゴロゴロ走っていたりするのかな、あ、それって演習だっけか。
「歓迎会をするならもっとお洒落なところでって考えていたんですけどね、野郎共の時間が合わなくて難しいんですよ。なので申し訳ないんですが、仕事中でも顔が出せる駐屯地が一番手っ取り早いかなってことでそこですることになっちゃいました。改めて女性だけでお食事会は開きましょうね」
「いえいえ、皆さんと顔を合わせられることの方が大事ですから」
「でもね、三佐が必要無いって言った本当の意味が分かった気がします」
助手席に座っていた下山さんがこちらを見ながら笑った。
「と言いますと?」
「きっと三佐は奥様を他の男共の目に触れさせたくなかったんですよ。こんなに可愛い奥様ですものねー、変な虫がつきでもしたら大変って思ったに違いないです」
「変な虫……」
「全員が既婚者じゃありませんからね、独身男もいるわけですよ。それこそ二十代の若造が。三佐はそういう男の目から奥様を隠したかったんですよ、きっと」
三佐も可愛いーとか三人ではもってるし。
「あの、三人の奥様方は仲良しなんですね」
「うちの人達はここに配属される前にいた空挺で一緒だったから付き合いが長いんですよ。それこそ結婚する前からなので」
「へえ……」
えっとクウテイっていうのは確か……。
「空挺というのは簡単に言うとパラシュートで飛び降りる人達ですね」
横から安住さんが説明してくれる。さすが奥様達は詳しい。あ、旦那さんがいるところだから当然なのかな? そう言えば、信吾さんってトクサクに来る前は何処にいたんだろう。最初からここなのかな?
「三佐も元は空挺にいたんですよ、確か。うちの人達も同じ時期にそこにいたんです。ちなみに私の夫はその当時から三佐の部下なんです」
「そうなんですか。私、あまり仕事に関しては聞かないようにしてるので信吾さんが何をしていたかとか全く知らなくて」
「分かります、それ。最初は戸惑いますよね、あれこれ話せないって言われるから仕事に関しては喋っちゃいけないのかなって。私も最初の頃そうだったから」
ハンドルを握っていた矢野さんが頷く。
「聞きたいことや知りたいことがあったら私達に聞いてください。少なくとも奥様よりは長いこと自衛官の妻をしてますし、私達が知っている事は話しても問題ないことばかりだろうから」
「ありがとうございます」
そしてせっかくなので名前で呼び合うようにしませんかって話になった。名字だと旦那さんがいる時に不便だし、奥様って呼び合うのも何だか妙な感じだものね。安住さんの奥さんが京子さん、矢野さんの奥さんが茉莉さん、そして下山さんの奥さんが弥生さん。今日はそれ以外の奥様達にも会うことになるんだろうけど、全員の名前と顔、一致できるようになるかな……。
+++++
到着した陸上自衛隊の駐屯地。マッチョな人達がウロウロしていることもないし戦車もゴロゴロ走ってない。よかった、制服の人達を見かける以外はいたって普通の場所だ。
「皆、おまたせー、奈緒さん、連れてきたよー! それじゃあ潤ちゃん、準備よろしく!!」
「はーい、ここからは潤ちゃんにお任せくださーい♪ さあ奈緒さん、覚悟はよろしーでしょーかっ!」
「え……は、い?」
会議室みたいなところに引っ張っていかれると、そこには数人の女性が待ちかまえていたみたい。こちらを見ると“はじめましてー”の大合唱。全員が特作嫁の会(仮称)のメンバーらしい。潤ちゃんと呼ばれた私の隣に立っている人は他の人達よりも少し若いくらいで、もしかしたら私と一番年が近いんじゃないかな?
「あのぅ……」
「奈緒さん、お式挙げてないって聞いたんですけど本当ですか?」
「え……はい、入籍だけです、けど」
途端に部屋中で大ブーイング。あわわ、そんなブーブー言われてもっ!!
「こんな可愛い奥さんもらっておいて式も披露宴も無しだなんて使えねぇぇぇ!! オヤジに言って森永さんのケツ、蹴ってもらうっ!!」
潤ちゃんさんが叫ぶ。見た感じはお人形みたいな可愛い系な人なのに言葉遣いが恐ろしいです。そして潤ちゃんさんはどうやら“奥様”ではなく“お嬢様”の方らしい。
「やっぱり野郎には任せておけないってことが結論付けられました! では皆さん、奈緒さんのお支度を手伝ってください!!」
「え? あ?」
部屋の真ん中に敷いてあるカーペットの方へと引っ張っていかれると、先ずは靴を脱げと言われ、それに従うと今度は服を脱げと言われた。ななな、なんで服を?!
「これを着ていただく為です」
奥様達が自分達の後ろの方に置いてあったものを私の前に持ってきた。
「これ、もしかしてウェディングドレス、ですか?」
「もしかしなくてもウェディングドレスです。私、ブライダル関係の仕事に就いてまして、未使用レンタル品を皆で買い上げて奈緒さんの為に御用意させていただきました!」
潤ちゃんさんがエッヘンと胸を張った。
「サイズに関しては御心配なく。部隊の野郎を使って尾行させていただき、確認しているので問題ないです」
ビコウ……尾行?! 奥様達に服を半ば強引に脱がされながら目を丸くしてしまった。
「さすが特作でストーキングをさせたら右に出る者はいないと言われた安住陸曹長の任務は完璧ですよ。三佐にも気付かれないんですよ? ちょっとした勲章モノかもしれません」
「そ、そうなんですか……ん?」
ってことは、お買い物に行った時に手に取った服のサイズなんかを確かめられちゃったんですか? も、もしかして下着とかも?!
「ああ、服のサイズの確認などは京子さんがしているので問題ないですから。その辺は男にさせてないので御心配なく」
「あ、そうなんですか、良かった……」
着替えと髪のセットをしてもらう間、とっかえひっかえ奥様達が自己紹介に訪れる。正直もう覚えるの無理だよー? あ、さすがに潤ちゃんさんは覚えました。潤ちゃんさんはここのグンチョウさんの末のお嬢さん。つまりは信吾さんの上司のお嬢さん。今回の“歓迎会”を最初に言い出したのは潤ちゃんさんだったみたい。
「うちにお越しになった時に信吾さんの制服を頼まれてというのは……」
「すみません、森永三佐にではなく、その上の篠原一佐に三佐の礼服を取ってくるように頼まれたっていうのが正解です。ごめんなさいね、驚かせようと思っていたから嘘ついちゃいました」
矢野さんの奥さん茉莉さんが申し訳なさそうに言った。ってことは今頃、信吾さんの方でもちょっとした騒ぎになっているのかあ。なんだか面白そう、覗いてみたかったな。そうこうしているうちに時間が過ぎていき準備完了。姿見の前に立たせてもらって初めて自分のウェディングドレス姿を確認する。
「わー……素敵ぃ」
綺麗なドレス。パッと見た感じは真っ白なだけなんだけど、近くで見ると胸元と裾に銀糸で刺繍が細かく施されていて、見る角度によって浮き上がって見える。そしてそれを見ながら思ったんだ、キスマーク消えていて良かったって。
「奈緒さん、すごく似合ってますよー。お顔は写真で拝見していたから分かっていたけど着てもらうまではどうかなって心配していたんです。まったく問題なしですね、とーっても素敵な花嫁さんです」
私の目は確かだったと潤ちゃんさんが満足げに頷く。
「三佐の方も準備OKですよー。わおっ、奈緒さん素敵ぃ」
顔を出した京子さんがこちらにやってきた。
「じゃあ、先ずはここで嫁の会一部と記念写真撮りましょう。野郎共は待たせておくぐらいがちょうど良いですし」
何気に奥様達は強気です。っていうか、もしかしたら特作の妻帯者の皆さんは全員奥様のお尻に敷かれているのかもと密かに思っちゃった。私もそのうち信吾さんをお尻の下に敷けるかな? 奥様達と写真を何枚か撮ると、そのまま隣の大会議室へと移動することに。廊下に出ると何やら信吾さんの声が聞こえてきた。
「お前等、絶対に腕立て伏せ二百回だからなっ」
「そんな苛々しちゃダメっすよ、そろそろ花嫁さんが来るっていうのに顔が怖すぎです、三佐」
「ほぉ、どうやら三百回に増やして欲しいらしいなっ」
そんな怒鳴り声を聞いた潤ちゃんさんがおかしそうに笑った。
「あー、怒ってる怒ってる。そんなに照れることないと思うんですけどねえ……ほらほら、みんなー、花嫁様の御登場ですよー、静粛に静粛に」
そこにいる全員の目がこちらに向く。ひえぇぇぇ、そんなに注目しないでくださーい! 緊張して動きがぎこちなくなっちゃうよ!
顔を上げることが出来なくて足元を見たまま京子さんに手を引かれて信吾さんの横に立った。おおーっとざわめきが広がっている。うわー……顔上げるの怖いー。そんな訳で隣にいる信吾さんのピカピカに磨かれた靴を穴が開くほど見詰め続けることになったんだけど。
「奈緒さーん、写真撮るから顔あげてー」
って潤ちゃんさんから声をかけられて思わず顔を上げてしまった。顔を上げてちょっと後悔。こ、強面の集団がこっち見てるよっっっ。
「こらあ、あんた達がそんな齧りつくように見詰めるから花嫁さんが怖がってるじゃないかあ、もうちょっと遠慮しろーっ!!」
「「「「うぃーっす」」」」
潤ちゃんさん、なんだかヤ〇ザ映画の姐御みたいでカッコイイですよ?
「まったくお前等ときたら……ガキかっつーの」
横でぼやく信吾さんの声。チラリとそちらに目をやれば、いつもとはちょっと趣の違う制服姿。これがいわゆる礼服ってやつね? 腰にサーベルなんてつけるんだ、へえ……初めて見た。
「信吾さん、それカッコイイね」
サーベルを指で指しながら言ってみる。
「昔ながらの伝統ってやつの名残だな。大丈夫か?」
「……うん、ちょっとビックリしたけど問題ないよ? 奥様達ともお知り合いになれたし」
「俺もここに来てから聞かされてな。断ろうにも上官命令だとかどうとか訳の分からんこと言われて断る隙もなかった」
「私はドレスが着られて嬉しいかも」
「そうか。綺麗だぞ。やはり式だけでもちゃんと挙げれば良かったな、すまなかった」
「ううん、別に拘ってなかったから良いの。それに今日こうやって着れたからそれで満足」
「ほらっ、そこっ! 二人だけの世界を作ってないでちゃんと嫁を紹介しないかっ!」
潤ちゃんさんのダメ出しが飛んできた。まったくあのお嬢には困ったもんだとブツブツ言っている信吾さんに私も思わず笑ってしまった。
「改めて皆に紹介する。俺の妻、奈緒だ。この通り若くて美人で器量よしだ。変な色目使おうもんなら許さんからな」
信吾さん信吾さん、そんな紹介ってどうなのー?
そして潤ちゃんさんのお父さん、つまり群長である篠原一佐に私達が揃って御挨拶を終えると後は無礼講。勤務時間に当たる人は途中で抜けたり入ってきたりと何度か出入りがあったけれど、信吾さんは今日は一日オフになったらしくて、歓迎会が終わるまでずっと私の隣にいてくれた。潤ちゃんさん曰く若い部下達を威嚇しているんだって。
「ねえ、さっき言ってた腕立て伏せ三百回って本気?」
「ああ、本気だ。全員にさせる」
そう言ってニヤリと笑った信吾さんの顔が怖いよ。
歓迎会がお開きになると、私はさっきの部屋で着替えを手伝ってもらった。ドレスはクリーニングに出して改めて家に届けてくれるらしい。なんだか申し訳ない気がするので迷ったんだけど、これも結婚のお祝いの品だから是非受け取ってくださいとのことだった。そう言われちゃうと断るのも失礼だし、せっかくの思い出の品になるので有難く受け取ることにした。
そして帰り、信吾さんが運転する車の後部シートにはお祝いの品がたくさん積まれている。
「いっぱい貰っちゃったね。後でちゃんとお礼状出さないと。……なにニヤニヤしてるの?」
「ん? 前みたいなのが入っていたら奈緒に着てもらえるかのかなと」
「え……まさか、またああいうのが入っているかも?」
「それは見てみないことには分からないが。だが有り得るだろ、それっぽい箱が幾つか混じってたし」
その言葉に慌てて後ろを覗き込む。
「んー……楽しみだな」
「信吾さんのエッチー!!」
みゅうさんにもらったベビードールが可愛く思えるぐらいな過激なデザインのモノが入っていることを知ったのは週明けのこと。いやはや、参りました、奥様方。
「はい、どちら様ですかー?」
「森永三佐の奥さまですか? 私達、夫が三佐の下でお世話になっている者で、安住、矢野、下山と申します。急に申し訳ありません、少しお時間いただけますか?」
安住さん、矢野さん、下山さん、実のところ名前だけは信吾さんから聞いたことがあった。確か同じ部隊にいる隊員さんで今の部署にくる前から一緒に訓練をしてきた付き合いの長い人達だってことだったはず。だけど奥様方に会うのは初めてだ。
「分かりました、そのまま入ってもらってエレベーターで七階までどうぞ」
そんなことを考えながら洗濯かごを洗濯機の横に置き、玄関へと向かう。ドアチャイムが鳴ったところでドアを開けた。
「「「まぁぁぁぁぁぁぁ、可愛いぃぃぃぃぃぃ」」」
女三人寄ればかしましいとはよく言ったもので……その迫力に思わず後ずさりしちゃった。奥様方が三人揃ったら小娘の私が敵うわけないじゃないかー! っていうか、第一声が「まあ、可愛い」って喜んで良いのやらちょっと微妙な気持ち……。
「あ、あのぅ……どうぞ……」
スリッパを三人分置いて徐々に後ずさり。奥様方は三十代前半から後半の同世代な人達って感じかな。お土産持って来ましたーと言いながら嬉しそうにクッキーやチョコレートの入った紙袋をこちらに押し付けてくれちゃってます。おおお、なんだか凄いパワーを感じます。でも美味しそうなクッキー……。
「お茶、用意するので……」
リビングに案内してソファに座ってもらうと、三人はキョロキョロと興味深そうに部屋を見渡している。
「ここのインテリアは奥様が選ばれたんですか?」
「えっと……しん、夫と一緒に選んだりしたのもありますよ」
途端に目をキラキラさせてこちらを見ている三組の目。えーとえーと、なんでしょう、何か私、変なこと言ったかな?
「もしかして三佐とは名前で呼び合ったりしてます?」
「え、あ、はい」
「「「うらやましぃぃぃぃ!!」」」
「ぅえぇ?」
「うちは子供ができてから“パパ”と“ママ”なんですよ。それに不満があるわけじゃないんですけど、男と女じゃなくなっちゃったみたいでちょっと寂しくて。新婚さんが羨ましいわあ……」
「はあ……」
お茶の用意をしていただいたクッキーをお皿に並べて持っていく。
「奥様は学生さんなんですよね?」
「はい。なので隊の集まりになかなか顔を出せなくて……」
「あら、そんなの気にしなくてもいいんですよ。もともと特作は機密性の高い部隊だから、隊員の家族が参加するイベント自体が少ないんです。そういうのもあって、せめて嫁同志だけでも繋がりを持とうって最近になって集まるようになったんですよ」
「そうなんですか?」
三人の奥様は揃って頷いた。特作嫁の会?そんな感じらしい。奥様達はそれぞれ念の為にと自分達と旦那さん達、そして信吾さんが一緒に写っている写真を見せてくれた。なんでも去年の家族会の時に皆で写したものらしい。信吾さんもなんだか楽しそうに笑っているよ。
「私は学校に通っているのでなかなか皆さんとのお時間は作れないとは思いますけど……」
「ええ、ええ、分かってますよ。三佐がうちの嫁はまだ学生だからって何度か話していらっしゃったから。でも今日はお暇ですよね?」
「はい。今のところは夕方に買い物に行くつもりなだけで」
三人は“よっしゃっ”て顔をしてる。なんだろう? 何かあるの?
「あの、三佐の制服がしまっている場所、見せていただいて良いですか?」
「???」
「ああ、三佐に頼まれたんです、制服を持ってきて欲しいって。だけど奥様はどれがどの組み合わせか分からないだろうから頼まれてくれと」
「そーなんですか。えっとですね、制服関係はこっちのクローゼットに揃ってる筈なんですけど」
信吾さんの制服関係はリビングにあるクローゼットに全部入っている、はず。何せ戦闘服とか靴とかいっぱいあって、それ以外にもリュックみたいなものとか着るモノ以外の装備品が山のようにあるので寝室のクローゼットには入りきらなかったんだよね。だから、こっちのクローゼットの半分は信吾さん専用にして彼に管理を任せてある。だから正直言って私は何が入っているのかよく分からない。
「お願いしても良いですか? 必要なものが足りなかったりしたら困るので」
「心得てますよ、大丈夫、任せてください。その間に奥様も出掛ける準備をなさってくださいな」
あまりの勢いに反論する暇がなくて言われるがままに出掛ける準備をする。
「あのう、出掛けるって一体どこへ行くんでしょう?」
「ああ、何も言わずに御免なさい。三佐の奥様に会えたのが嬉しくてつい忘れちゃってました」
安住さんがテヘペロって感じで笑う。
「駐屯地でね、歓迎会をしようって話になったんです。ご結婚のお祝いもしてないし、三佐はそんなこと必要無いって仰ってたんですけど、やはり妻としては夫の上司の奥さまにお祝いをしなくちゃって思うわけなんですね。なので今日は駐屯地で奥様の歓迎会なんです。他の女性陣はお迎えする準備をしてますから、ほぼ全員と顔合わせが出来ると思いますよ?」
こういうことって男には任せておけませんから、とは下山さんの言葉。そんなわけで三人の奥様方と私は矢野さんの奥様が運転する車に乗って駐屯地までお出掛けすることに。初めて目にすることになる信吾さんの職場ってどんな感じだろう。戦車がゴロゴロ走っていたりするのかな、あ、それって演習だっけか。
「歓迎会をするならもっとお洒落なところでって考えていたんですけどね、野郎共の時間が合わなくて難しいんですよ。なので申し訳ないんですが、仕事中でも顔が出せる駐屯地が一番手っ取り早いかなってことでそこですることになっちゃいました。改めて女性だけでお食事会は開きましょうね」
「いえいえ、皆さんと顔を合わせられることの方が大事ですから」
「でもね、三佐が必要無いって言った本当の意味が分かった気がします」
助手席に座っていた下山さんがこちらを見ながら笑った。
「と言いますと?」
「きっと三佐は奥様を他の男共の目に触れさせたくなかったんですよ。こんなに可愛い奥様ですものねー、変な虫がつきでもしたら大変って思ったに違いないです」
「変な虫……」
「全員が既婚者じゃありませんからね、独身男もいるわけですよ。それこそ二十代の若造が。三佐はそういう男の目から奥様を隠したかったんですよ、きっと」
三佐も可愛いーとか三人ではもってるし。
「あの、三人の奥様方は仲良しなんですね」
「うちの人達はここに配属される前にいた空挺で一緒だったから付き合いが長いんですよ。それこそ結婚する前からなので」
「へえ……」
えっとクウテイっていうのは確か……。
「空挺というのは簡単に言うとパラシュートで飛び降りる人達ですね」
横から安住さんが説明してくれる。さすが奥様達は詳しい。あ、旦那さんがいるところだから当然なのかな? そう言えば、信吾さんってトクサクに来る前は何処にいたんだろう。最初からここなのかな?
「三佐も元は空挺にいたんですよ、確か。うちの人達も同じ時期にそこにいたんです。ちなみに私の夫はその当時から三佐の部下なんです」
「そうなんですか。私、あまり仕事に関しては聞かないようにしてるので信吾さんが何をしていたかとか全く知らなくて」
「分かります、それ。最初は戸惑いますよね、あれこれ話せないって言われるから仕事に関しては喋っちゃいけないのかなって。私も最初の頃そうだったから」
ハンドルを握っていた矢野さんが頷く。
「聞きたいことや知りたいことがあったら私達に聞いてください。少なくとも奥様よりは長いこと自衛官の妻をしてますし、私達が知っている事は話しても問題ないことばかりだろうから」
「ありがとうございます」
そしてせっかくなので名前で呼び合うようにしませんかって話になった。名字だと旦那さんがいる時に不便だし、奥様って呼び合うのも何だか妙な感じだものね。安住さんの奥さんが京子さん、矢野さんの奥さんが茉莉さん、そして下山さんの奥さんが弥生さん。今日はそれ以外の奥様達にも会うことになるんだろうけど、全員の名前と顔、一致できるようになるかな……。
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到着した陸上自衛隊の駐屯地。マッチョな人達がウロウロしていることもないし戦車もゴロゴロ走ってない。よかった、制服の人達を見かける以外はいたって普通の場所だ。
「皆、おまたせー、奈緒さん、連れてきたよー! それじゃあ潤ちゃん、準備よろしく!!」
「はーい、ここからは潤ちゃんにお任せくださーい♪ さあ奈緒さん、覚悟はよろしーでしょーかっ!」
「え……は、い?」
会議室みたいなところに引っ張っていかれると、そこには数人の女性が待ちかまえていたみたい。こちらを見ると“はじめましてー”の大合唱。全員が特作嫁の会(仮称)のメンバーらしい。潤ちゃんと呼ばれた私の隣に立っている人は他の人達よりも少し若いくらいで、もしかしたら私と一番年が近いんじゃないかな?
「あのぅ……」
「奈緒さん、お式挙げてないって聞いたんですけど本当ですか?」
「え……はい、入籍だけです、けど」
途端に部屋中で大ブーイング。あわわ、そんなブーブー言われてもっ!!
「こんな可愛い奥さんもらっておいて式も披露宴も無しだなんて使えねぇぇぇ!! オヤジに言って森永さんのケツ、蹴ってもらうっ!!」
潤ちゃんさんが叫ぶ。見た感じはお人形みたいな可愛い系な人なのに言葉遣いが恐ろしいです。そして潤ちゃんさんはどうやら“奥様”ではなく“お嬢様”の方らしい。
「やっぱり野郎には任せておけないってことが結論付けられました! では皆さん、奈緒さんのお支度を手伝ってください!!」
「え? あ?」
部屋の真ん中に敷いてあるカーペットの方へと引っ張っていかれると、先ずは靴を脱げと言われ、それに従うと今度は服を脱げと言われた。ななな、なんで服を?!
「これを着ていただく為です」
奥様達が自分達の後ろの方に置いてあったものを私の前に持ってきた。
「これ、もしかしてウェディングドレス、ですか?」
「もしかしなくてもウェディングドレスです。私、ブライダル関係の仕事に就いてまして、未使用レンタル品を皆で買い上げて奈緒さんの為に御用意させていただきました!」
潤ちゃんさんがエッヘンと胸を張った。
「サイズに関しては御心配なく。部隊の野郎を使って尾行させていただき、確認しているので問題ないです」
ビコウ……尾行?! 奥様達に服を半ば強引に脱がされながら目を丸くしてしまった。
「さすが特作でストーキングをさせたら右に出る者はいないと言われた安住陸曹長の任務は完璧ですよ。三佐にも気付かれないんですよ? ちょっとした勲章モノかもしれません」
「そ、そうなんですか……ん?」
ってことは、お買い物に行った時に手に取った服のサイズなんかを確かめられちゃったんですか? も、もしかして下着とかも?!
「ああ、服のサイズの確認などは京子さんがしているので問題ないですから。その辺は男にさせてないので御心配なく」
「あ、そうなんですか、良かった……」
着替えと髪のセットをしてもらう間、とっかえひっかえ奥様達が自己紹介に訪れる。正直もう覚えるの無理だよー? あ、さすがに潤ちゃんさんは覚えました。潤ちゃんさんはここのグンチョウさんの末のお嬢さん。つまりは信吾さんの上司のお嬢さん。今回の“歓迎会”を最初に言い出したのは潤ちゃんさんだったみたい。
「うちにお越しになった時に信吾さんの制服を頼まれてというのは……」
「すみません、森永三佐にではなく、その上の篠原一佐に三佐の礼服を取ってくるように頼まれたっていうのが正解です。ごめんなさいね、驚かせようと思っていたから嘘ついちゃいました」
矢野さんの奥さん茉莉さんが申し訳なさそうに言った。ってことは今頃、信吾さんの方でもちょっとした騒ぎになっているのかあ。なんだか面白そう、覗いてみたかったな。そうこうしているうちに時間が過ぎていき準備完了。姿見の前に立たせてもらって初めて自分のウェディングドレス姿を確認する。
「わー……素敵ぃ」
綺麗なドレス。パッと見た感じは真っ白なだけなんだけど、近くで見ると胸元と裾に銀糸で刺繍が細かく施されていて、見る角度によって浮き上がって見える。そしてそれを見ながら思ったんだ、キスマーク消えていて良かったって。
「奈緒さん、すごく似合ってますよー。お顔は写真で拝見していたから分かっていたけど着てもらうまではどうかなって心配していたんです。まったく問題なしですね、とーっても素敵な花嫁さんです」
私の目は確かだったと潤ちゃんさんが満足げに頷く。
「三佐の方も準備OKですよー。わおっ、奈緒さん素敵ぃ」
顔を出した京子さんがこちらにやってきた。
「じゃあ、先ずはここで嫁の会一部と記念写真撮りましょう。野郎共は待たせておくぐらいがちょうど良いですし」
何気に奥様達は強気です。っていうか、もしかしたら特作の妻帯者の皆さんは全員奥様のお尻に敷かれているのかもと密かに思っちゃった。私もそのうち信吾さんをお尻の下に敷けるかな? 奥様達と写真を何枚か撮ると、そのまま隣の大会議室へと移動することに。廊下に出ると何やら信吾さんの声が聞こえてきた。
「お前等、絶対に腕立て伏せ二百回だからなっ」
「そんな苛々しちゃダメっすよ、そろそろ花嫁さんが来るっていうのに顔が怖すぎです、三佐」
「ほぉ、どうやら三百回に増やして欲しいらしいなっ」
そんな怒鳴り声を聞いた潤ちゃんさんがおかしそうに笑った。
「あー、怒ってる怒ってる。そんなに照れることないと思うんですけどねえ……ほらほら、みんなー、花嫁様の御登場ですよー、静粛に静粛に」
そこにいる全員の目がこちらに向く。ひえぇぇぇ、そんなに注目しないでくださーい! 緊張して動きがぎこちなくなっちゃうよ!
顔を上げることが出来なくて足元を見たまま京子さんに手を引かれて信吾さんの横に立った。おおーっとざわめきが広がっている。うわー……顔上げるの怖いー。そんな訳で隣にいる信吾さんのピカピカに磨かれた靴を穴が開くほど見詰め続けることになったんだけど。
「奈緒さーん、写真撮るから顔あげてー」
って潤ちゃんさんから声をかけられて思わず顔を上げてしまった。顔を上げてちょっと後悔。こ、強面の集団がこっち見てるよっっっ。
「こらあ、あんた達がそんな齧りつくように見詰めるから花嫁さんが怖がってるじゃないかあ、もうちょっと遠慮しろーっ!!」
「「「「うぃーっす」」」」
潤ちゃんさん、なんだかヤ〇ザ映画の姐御みたいでカッコイイですよ?
「まったくお前等ときたら……ガキかっつーの」
横でぼやく信吾さんの声。チラリとそちらに目をやれば、いつもとはちょっと趣の違う制服姿。これがいわゆる礼服ってやつね? 腰にサーベルなんてつけるんだ、へえ……初めて見た。
「信吾さん、それカッコイイね」
サーベルを指で指しながら言ってみる。
「昔ながらの伝統ってやつの名残だな。大丈夫か?」
「……うん、ちょっとビックリしたけど問題ないよ? 奥様達ともお知り合いになれたし」
「俺もここに来てから聞かされてな。断ろうにも上官命令だとかどうとか訳の分からんこと言われて断る隙もなかった」
「私はドレスが着られて嬉しいかも」
「そうか。綺麗だぞ。やはり式だけでもちゃんと挙げれば良かったな、すまなかった」
「ううん、別に拘ってなかったから良いの。それに今日こうやって着れたからそれで満足」
「ほらっ、そこっ! 二人だけの世界を作ってないでちゃんと嫁を紹介しないかっ!」
潤ちゃんさんのダメ出しが飛んできた。まったくあのお嬢には困ったもんだとブツブツ言っている信吾さんに私も思わず笑ってしまった。
「改めて皆に紹介する。俺の妻、奈緒だ。この通り若くて美人で器量よしだ。変な色目使おうもんなら許さんからな」
信吾さん信吾さん、そんな紹介ってどうなのー?
そして潤ちゃんさんのお父さん、つまり群長である篠原一佐に私達が揃って御挨拶を終えると後は無礼講。勤務時間に当たる人は途中で抜けたり入ってきたりと何度か出入りがあったけれど、信吾さんは今日は一日オフになったらしくて、歓迎会が終わるまでずっと私の隣にいてくれた。潤ちゃんさん曰く若い部下達を威嚇しているんだって。
「ねえ、さっき言ってた腕立て伏せ三百回って本気?」
「ああ、本気だ。全員にさせる」
そう言ってニヤリと笑った信吾さんの顔が怖いよ。
歓迎会がお開きになると、私はさっきの部屋で着替えを手伝ってもらった。ドレスはクリーニングに出して改めて家に届けてくれるらしい。なんだか申し訳ない気がするので迷ったんだけど、これも結婚のお祝いの品だから是非受け取ってくださいとのことだった。そう言われちゃうと断るのも失礼だし、せっかくの思い出の品になるので有難く受け取ることにした。
そして帰り、信吾さんが運転する車の後部シートにはお祝いの品がたくさん積まれている。
「いっぱい貰っちゃったね。後でちゃんとお礼状出さないと。……なにニヤニヤしてるの?」
「ん? 前みたいなのが入っていたら奈緒に着てもらえるかのかなと」
「え……まさか、またああいうのが入っているかも?」
「それは見てみないことには分からないが。だが有り得るだろ、それっぽい箱が幾つか混じってたし」
その言葉に慌てて後ろを覗き込む。
「んー……楽しみだな」
「信吾さんのエッチー!!」
みゅうさんにもらったベビードールが可愛く思えるぐらいな過激なデザインのモノが入っていることを知ったのは週明けのこと。いやはや、参りました、奥様方。
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