彼と私と空と雲

鏡野ゆう

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先ずは美味しく御馳走さま♪

第十二話 ニヤニヤ狼の黒い笑み

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ゆうさん、お口に合わない?」

 テーブルで御飯を食べている私に、お母さんが少しだけ心配そうに問いかけてきたので、慌てて首を横に振る。

「いえ、おいしいです! 誰かに作ってもらうご飯を食べるのは久し振りで、すごく感激しちゃって!」
「良かった。たくさん食べてね。病院で出るご飯って、栄養面は問題なくても、いろんな意味で味気ないでしょ?」
「ですね。体にはそれが良いって分かっていても、もう少し味が濃いほうが好みだなって思ってました」

 いわゆるオフクロの味から離れて数年経っていた私としては、葛城かつらぎさんのお母さんが作ってくれた煮込みハンバーグがおいしくて、すごく幸せ。これ私でも作れるかな……そんなことを考えている私の横で、葛城さんはシレッとした顔でご飯を食べている。私の方はまだ、葛城さんが残していった感触がはっきりと残っているというのに。そんなことを考えたものだからもー、いきなり脳裏にさっきまでのことがブワッてよみがえって、顔が熱くなるのを感じた。

「優さん、大丈夫? なんだか顔が赤いけど、熱でもあるんじゃ?」
「え、いえ、そんなことないですよ、まだ寝起きでボーッとしているだけです」

 そうだった、今は一人じゃないんだから、余計なことは頭から遠ざけておかないと!!

「そうなの? だから一馬かずまにも、さっさと起こしてあげなさいってせっついたのに。きっと自分も熟睡しちゃってたんでしょ、実家だからってダラけすぎよ」
「気持ち良さそうに寝ているのを起こすのは可哀想だろ?」

 なにが、起こすのは可哀想だろ、なんだか。お母さんがメールを送ってくるまで……っていうか送ってきた後も、しばらくは私のことを離してくれなかったくせに。お味噌汁を飲んでいる口元が、なぜか変な形に歪んでいるのが分かる。それは一体どうしてでしょうか?

 無性に腹が立ってきたので、足元が見えないのをいいことに、葛城さんの足の甲を思いっきりグリグリと踏みつけてみる。葛城さんは一瞬だけむせそうになったけど、なんとか持ち堪えてこちらをチラリと見てきた。なんだかちょっと黒いですよ、その目つき。


+++++


 お風呂から出てくると、葛城さんが洗面所で待っていた。思わず悲鳴をあげそうになった私の口を素早く手でふさぐ。私が落ち着くのを確認してから、バスタオルでさっさと体を拭いてくれて、パジャマを着せてくれた。そして今は部屋で、濡れた髪をドライヤーで乾かしてくれている。こういうのって、お母さんがしてくれるはずだったのでは?と質問をしてみれば、休暇中ここにいる間は、自分がしっかりとお世話をするんだって言い張ったんだとか。

「なにが起こしたら可哀想だろ~なんだか」

 私はお世話をされながら、夕飯の時に思ったことを口にしていた。

「なんだよ。だったらオフクロのメールが来るまで、ベッドでくんずほぐれつしてたと言えば良かったのか?」
「そういうことじゃなくて。それにメール来てからも、エッチしてたじゃないですか」
「そりゃ、あの状態でやめろ言われても無理だから。それは槇村まきむらさんだってそうだろ?」
「だからそういうことじゃなくて!」
「しがみついてきて離れなかったのは、そっちじゃないか」
「違います、絶対に違いますっ」
「そんなことないだろ。そっちがしっかり足を腰に回してきたから、離れられなかったんだからな。足の怪我が大丈夫なのかって心配して損した」
「違いますー!! あれはそういうつもりじゃ……っ」
「じゃあ、どういうつもりなんだよ」

 し、しまった、なんだか誘導尋問みたいなのに引っ掛かってしまった気が。葛城さんが「ん~~?」とあのニヤニヤ笑いを浮かべながら、こちらを覗き込んでくる。

「槇村さーん、あれはどういうつもりで?」
「ししし、しがみついてなんかいないですしっ」
「いんや、しっかりしがみついてた」

 ニヤニヤしながらドライヤーのスイッチを切ると、それまで座っていた勉強机のイスから私を抱き上げて、ベッドの上に座らせた。そして自分も横にドカッと座ってきたので、ベッドがきしんで体がはねる。

「どういうつもりで俺にしがみついていたのかな~? あれだろ? 俺が離れていくのがイヤだったんだろ?」
「ちーがーいーまーすー! 断じて違います! 気持ち良すぎて、ああでもしないと声が出ちゃいそうだったからです!! 別に葛城さんを離したくないからじゃありませんっ、むしろさっさと離れて……って、私は何を言っているんだぁぁぁ」

 ベッドに突っ伏して、私ってお馬鹿だあと枕を叩きながら連呼すると、葛城さんはゲラゲラと笑った。

「笑い事じゃありません!! お母さんが下にいるっていうのに、あんなことして!!」
「いいじゃないか、気持ち良かったんだろ? オフクロが下にいるのに声をあげちゃうぐらい」
「葛城さんがいけないんですよ!!」

 枕のすき間からチラリと葛城さんの方を見れば、こちらに体を寄せてきてニヤニヤしている。

「同じタイプの戦闘機でも、それぞれ個別でパイロットとの相性ってのがあるんだが、俺と槇村さんの相性は抜群なんだよな。まるで俺と俺がいつも飛ばしているイーグルみたいだ」
「私と飛行機を一緒にしないでください」
「だから飛行機じゃなくて戦闘機」
「私にしてみたら一緒……」

 肩をつかまれたと思ったら、クルンと仰向けにされて、唇をふさがれた。閉じた唇の間を温かい舌が割って入ってきて、中をゆったりとした動きで探っていく。それだけなのに下腹部に甘い痺れが走って、今まで言い合っていたことなんて忘れて、葛城さんの首にしがみついた。しばらくして、満足そうなニヤニヤ笑いを浮かべた葛城さんが、顔を上げる。

「ほら、やっぱり抜群の相性なんだよ、俺達」

 いつの間にかパジャマのボタンがはずされて、剥き出しになった肌を葛城さんの手が触れていた。きっとドキドキしているのばれちゃっているよね……? 自分でも、こんなふうにキスされたり少し触れられたりするだけで、準備万端な感じになっちゃうのが不思議でしかたがない。やっぱり体の相性とかあるのかな? ん? まさかこれって、発情しているとかじゃないよね?! 自分の体の反応の早さに、ちょっと心配になってくる。

「こんな風にキスしただけで乱れるなんて男の夢だな」
「乱れてなんていませんー!」
「嘘つき。そういう嘘つきさんには、お仕置きが必要だな」

 ニヤニヤ笑いに黒いものが混じったと思ったら、次の瞬間には下半身に冷たい空気が触れて、パジャマのズボンと下着が消えていた。

「もうお風呂にも入って綺麗になったんだから、今度はおとなしく食べられちゃいなさい」
「え、さっき食べたばかりじゃ?!」
「あんなので空腹が満たされるとでも?」

 こちらを見下ろしながら、自分の服を脱ぎ捨てていく。その目がちょっとマジになっていて怖いです。

「あの、お仕置きって一体……ほ、ほら、こういう時のお仕置きって、いわゆるお預けとか言うヤツでは?!」
「本人がホッとするお仕置きがどこにあるんだよ。お預けなお仕置きはいずれまた。今夜のお仕置きは、スパルタみたいなもんかな。陸自で言うところの、腕立て伏せ五百回とか。ウチでも、飛行訓練中にバカやったヤツにさせてるけどな」

 ひ、ひえぇぇええっ!! なんですか、その具体的な五百という数字は!!

「心配しなくても良いよ、五百回も一晩でいかせるのはさすがに無理だから」
「で、ですよね……」

 だ、だよね。いくら体力のある自衛官でも、一晩で五百回なんて、物理的な意味でも絶対に無理だもの。だけど、私の顔を見下ろしていた葛城さんの顔には、あの黒いニヤニヤ笑いがまだ浮かんでいる。

「だけど前後運動するぐらいなら、一晩かければ五百回以上できるんじゃ?」
「え?!」

 そう言って両手で私の腰をつかむと、自分の方に引き寄せる。そこを指で探られながら押し開かれて、これ以上は無いといった親密な状態で熱いものが触れてくると、その熱い感触に体がヒクリと震えて、なにかがトロリとこぼれ落ちるのを感じた。

「ほんと、キスだけでこんなになってくれるなんて、男冥利に尽きるよな。さて、優も準備万端みたいだし、楽しいお仕置きタイムを開始しようか」

 楽しいのは葛城さんだけで、私は特に楽しいとか思ってないんですけど!!

「まっ、待って! やっ、やめっ、ぁああ……っ!!」

 ゆっくりと熱いものが胎内に侵入してくる感覚に、シーツをつかんで耐える。キスしただけなのに中はしっかり濡れていて、無理やり入ってこられたはずなのに、少し圧迫感を感じるだけで痛みはない。

 そんな私の様子を見ながら、声が出ちゃいそうならしがみついてきて良いよ?なんて、本当に葛城さんてば性格悪いって言うかメチャクチャって言うか。冗談かと思っていたけど、真面目に気持ち的な盛り上がりとかそういうのは後回しにして、私のことを食べつくしちゃう気満々だったわけなんだよね、この狼さん。まあ、それに流されちゃう私も私なんだけどさ。

 で、お仕置きの五百回がどうのってのはどうなったか?

 実のところ、葛城さんが今でやっと百回ぐらいかなあなんて呑気に笑っているのを聞いたのを最後に、意識を飛ばしちゃって覚えてないんだよね。朝起きたら腰から下の感覚が無くて、トイレに行くのも抱いていってもらわないとダメだったことからして、私が覚えていないだけで、本当に五百回以上の前後運動をしたのかもしれないとは思ったんだけど。


+++++


 葛城さんがいる五日間の生活パターンは、こういう訳で決まってしまったようなものだった。

 夜は外が明るくなるまで離してもらえなくて、そのお蔭で昼間は眠くて、縁側のカウチに座ってお昼寝三昧ざんまい。お庭を案内してくれるつもりでいたらしいお母さんには、非常に申し訳ない状態だった。葛城さんは俺が基地に戻ってから、ゆっくりとオフクロの相手をしてくれれば良いじゃないかと言って、まったく気にする様子もなかったけれど。だけど二日目辺りのお母さんの態度からして、なんとなく私達のこと気がついていたんじゃないかなって……そんな気がした。い、一応、表向きは、痛み止めの薬を飲んでいるから眠いんだってことになってはいたんだよ、うん。

「あの、葛城さん」

 二日目の夜……正確には明け方だけど、どうせ寝かせてもらえないんだからと、諦め半分でちょっと疑問に思っていたことを尋ねてみることにした。

「ん?」
「自衛官さんって、そんなに簡単に、連続五日間の休暇なんてもらえるんですか?」
「いや、普通は無理」

 その答えに、一瞬ポカンとなって葛城さんの顔を見上げた。この時間のちょっと眠そうな葛城さんって、不精髭がのびてきたりしていて、本人には絶対に言わないけど、さりげなくセクシーな感じなんだ。ただお仕置きタイムとかなんとかふざけたことを言い出しちゃうと、その雰囲気も台無しなんだけど。

「じゃあどうやって?」
「最初に優の見舞いに行った後に、貸しを作った上官と某広報官を脅して、無理やりぶんどった」
「ええ?」

 上官を脅してって……。葛城さんが代わりに取材を受けることになった原因を作った広報官さんって、確か病気になったとか言ってなかった?

「ちょっと酷いような気が」
「実のところ、あの日の取材では、そっちがクジ引きで決まったように、こっちでも似たようなことがあったんだよ。で、広報官に関してもしか。だからその貸しを、きちんと返してもらったって訳だ。多少の利子をつけて」
「あきれたあ……」
「休暇申請に関しては、きちんと規則どおりに提出したんだから問題無い。そのお蔭で、休暇が取れるまで一ヶ月もかかったわけだし。まあ、結果的には優の退院の日に合わせることができたんだから、結果オーライなんだけどな」

 いま気がついたんだけど葛城さん、いつの間にか私のことを名前で呼ぶようになっていた。そのせいか、ちょっとだけ葛城さんとの距離が縮まった気はする。ああ、これ以上はないってぐらい縮まってる体の距離じゃなくて、気持ち的なってことでね。

「もし私が退院する前に、休暇が五日とれちゃったらどうするつもりだったの?」
「そりゃあ……」

 その黒い笑みを見て答えが分かったような気がした。本当に葛城さんってメチャクチャな人だ……。
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