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バイバイ ※
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中段※の部分から一話に飛びます。
熱い粘液が喉の管をへばりつきなら落ちてくのがわかる、口を支配する脈動が長い間続いて、弟を見上げたら豹は肩で息しながら唇を噛んでいた。
口の片方だけつり上がって抗えない快楽に堪える姿は淫靡で艶かしく見えた。
腰が震えてて口の中で脈を打ってイッてるんだって吐き出された精液飲みながら漠然と思った。
僕に欲情して性を吐き出したんだ。
僕に…………欲情……。
「口開けてて」
思考を反芻する間もなく豹は乱れた髪をかき上げるとその手で僕の顎を持って眼鏡を光らせた。
「んんぅっ……」
僕の口を占領してたのがゆっくり出てきて、自分でもよくこんな長いのが口に収まってたなって思う。
「舌出して下さい」
反抗心よりも先にベロが出てて、豹は輸精管に残った最後の精子を自分で扱いて僕の舌に乗せた。
終わりの一滴まで口に出されて、眼鏡直した豹が喉を擦りながら自然と口閉じさせてきて、精液……僕のとあんま味変わんないんだなと思った。
「まじぃ」
「飲みにくい濃くて苦いのは味わからないように奥に出したでしょう」
「何だよその謎の気遣いは」
って少し硬さが和らいだ弟のを目の前に舌にくっつく精液を唾液と一緒に飲み込んだ。
豹は頭をやんわり撫でて下着引き上げてファスナーあげながら体を屈めた。
「じゃあ次は兄さんにご褒美する番」
「あっ……僕は」
「勃ってないからいいなんて言わないで下さいね?」
「豹ちょっと待っ」
口を開きながら豹の顔が近付いて、何も言われなくても体が従順に口を開けて舌を待ってしまった。
だってキス気持ち良いんだ、そんな事何年も前から知ってたけど、してると頭が溶けてきてもういいやって何にも考えなくて済むんだもん。
「兄さんキス好きでしょう、たくさんしましょうね。手、首に回して? 疲れただろうからもう何もしなくていいです」
「豹……で、も」
意味のない抵抗だ、拒絶のふりして自分から豹の舌欲しいって吸ってるし、だってもう力残ってないのにお酒は残ってるし頭くらくらなんだ。
そしたら、やっぱり弟は意地悪な事を言った。
すりっと丸裸の僕のちんこを撫で上げて手の平を先走りでぐちゃぐちゃにさせながら耳の裏を舐めて低い声が鼓膜を揺する。
「酔ってるせいになんてしないで下さいね? 酔ったらこここんなガチガチになりませんから」
「あっ……だって」
「ねぇ? 兄さんの変態な姿見せてあげるって言ったでしょう、触られてもいなかったのに弟のちんこしゃぶってここ、こんなに勃たせてたんですよ」
「違っ……これは」
「先走りでグズグズで俺よりキツい匂いしてますよね」
「そーゆうの止めろ……よ、ひっ、くっ……」
「ほら今もまた思い出して小さい癖にこんなに可愛く硬くさせてる」
ぎゅっと根本から握られて腰がイスに沈み込んで逃げればいいのに、もっと触られたくて頭可笑しくなる。
顔あっつくてどうにかなりそう、でも僕を見る豹の顔も真っ赤でキスも何だか乱暴になってる気がする。
「もう我慢できないかも、兄さんの舐めていいですか?」
「え? そんな、の……いいって言……う、わ」
「に決まってますよね?」
「ひっ…………あっぁあ! ダ、メッ!」
汁垂らしながら勃って震える先っぽに食い付かれて腰が仰け反っても顔が股に潜り込んできて全部口の中に入ってく。
あったかい柔らかい粘膜に根本まで包まれて初めての快感に全身粟立った。
やだやだって首振っても感じた事ない刺激に喉が鳴る。
抵抗の手なんか簡単に絡め取られて恋人繋ぎにされちゃって音出してねぶられてこれ、こんなの意味わかんない。
豹が目瞑って舐めててくれてよかった、僕今最高にだらしない顔してる。
「直ぐイカせてもいいけど、もう少ししゃぶられたいですよね?」
「知らないっ……」
「こことか」
「っあ……!」
先ばっか口で弄られて身体中痺れてくる。
「俺男だから気持ち良い所全部知ってるんで」
「んん……やっ、そこばっかやだぁ」
「真っ赤になってる」
「豹ダメッ! 僕もう」
「今日は一回じゃ済みませんから」
「なっ……」
「ちょっとイカせた位じゃ兄さんの色気が止まらない位分かってたのに」
擦りながら言われて何の話だよ。
「そんなの、僕のせいじゃないだろ」
「そう、俺の計算ミスです。だから空になるまで絞り出しますね」
「やだ、やだぁ」
マジな目に恐怖を感じで立とうとしたら押さえ付けられて奥まで咥えられて悶えそうになる快感に抵抗する力を失った。
※
何度も動けなくなるまで吐かされて気付いたら寝てた。
夜中一度目が覚めたけど、身動き取れないくらいがっちり弟にホールドされていたので暗いし抜け出すのを止めた。
でも右向きばっかじゃ下になってる腕が痛かったから体を回転させたら思いっきり弟の胸板が目の前に来ちゃって何事かと思った、ああ、うん僕が寝返り打ったんだけどさ。
意味もなくクンクンしたら石鹸の匂いがして引いた。
そんな匂いさせんの女の子じゃないの、って思ったけど僕からも良い匂いしてていつの間に風呂入ったんだろ。
モゾモゾしてたら、頭の上で声が聞こえて頭にたくさんキスされた。
あえて上は向かなかった、お前は昔もそうやって勝手にキスとかしてたよな。
豹は僕を抱き直して好きですっと言った。
胸が苦しかった。
漫画でよく見る好きは大抵言われると嬉しくなる言葉のはずなのに僕にはその言葉は苦しくて苦しくて仕方なかった。
僕には口に出来ない言葉だ。
そんな事お前だって知ってるだろう。
豹の好きが理解できない。
僕はそれを受け止められない。
ああ、それならこんな事しちゃいけないのに……。
だったら……僕はこの腕から出ていかなくちゃ。
「豹…………」
「…………はい」
「ううん、何でもない……おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
背中に手を回したら豹は一瞬体をびくつかせたけど直ぐに強く抱き締めてきた。
きっと言わなくても分かってると思う、明日僕はこの家を出よう。
でも僕チキンカツ野郎なのでそんなの自分から切り出せないから、だからこれが最後の抱擁だ。
何だか昔を思い出すな、あの時に戻りたいな、でもそんなのは無理だから。
バイバイ豹。
仕事頑張れよ。
携帯のアラームが鳴る前に、僕は目が覚めた。
可笑しいなアラームセットしておいたはずなのに…………早く起きちゃったかなって思ったけど隣にパンちゃんいないし。
とりあえず裸だったから着替えて枕元の時計見たら十時じゃん!! どゆ事!!
んで部屋出たら、
「おはようございます兄さん、ご飯できてますよ」
「ん、う、うん……おはよ」
家着姿の弟がダイニングの机で仕事していた。
「あ……ん? 豹仕事は?」
「休みです、うちは土日出勤なので平日が休みなんです、ちなみに水曜は定休日」
「へぇ」
休みなのに仕事すんのかよって焦げたトーストかじって、昨日あんなに食べたのに何だか異様に腹が減ってたから一気に平らげた。
お茶飲みながら英語のメール打ってる弟見て。
「はうあ!! そうだよ僕だって今日バイトだったじゃん!」
「ああ、そうですね」
「そうだよ! だからアラームセットしといたのに八百万のニートの神が止めたのか、鳴らなかったからスッカリ忘れてた!!」
「ニートの神様ってそんなにいるんですか、凄い」
あれ? っつーか携帯、僕がここに置いたんだっけか?
机に置かれた携帯を取ろうとしたら指が触れる寸前で豹が自分の方に寄せた。
「あ、何す」
「じゃあ休めばいいじゃないですか」
「いや、行くよ昨日話しただろ僕が出したバグがあってそ」
「行かないで下さい」
僕の言葉を遮って続いて否定の言葉、こんな豹見た事ない。
「僕が佐渡行きを阻止したいって知ってるだろ。東京にいる理由が必要なんだよ、嫌でも仕事しなくちゃなの!」
「佐渡にも行かなくていいです」
「いや無理だろ家がなくなるんだぞ」
「なら、うちに居たらいいじゃないですか」
「なっ」
豹はただ淡々とセリフみたいに薄く笑った表情を崩さずに言って、変にドキドキしてきて…………また息苦しくなって。
「仕事は俺がします兄さん分も稼いできますその返し兄さんはここにいて家の事して」
「バカじゃないのヒモ兄貴ってニートを越える恥ずかしさだから」
「じゃあ」
僕も食い気味に言ったら豹は眼鏡を直して一呼吸おいて真剣な顔をした。
「じゃぁ結婚しましょうか」
眼鏡の奥の琥珀の瞳が輝いて、思わず頷きそうになったけど僕はぐっと堪えた。
そんな僕を見て、豹は優しく笑うと机に置かれた手を取って、また同じ言葉を言った。
「結婚しましょう、兄さん」
ジワジワ胸が燃えてくるようなこの感情はなんだよ。
驚いてる、嬉しいのかもしれない…………でも違うこの沸々お腹が痛くなる感情は怒りに近い。
「つまんねぇ冗談言うなよいい加減キレるぞ」
「冗談に聞こえたなら信じてもらえるまで何度でも言います。兄さん俺と結婚」
「ふざけんなッ!!」
手引っ込めて初めて弟にこんな声を荒げた気がする。
僕の中では精一杯睨んでみたけどあんまり怖くないかもしれない、泣きそうだ、もうここに居たくない。
「ふざけていません」
「だったら……」
ああ、嫌だ。
僕はもう泣いてる、朝なのに恥ずかしいな何やってんだよ。
弟の事となると泣いてばかりだな。
肩のとこで涙拭いてもっかい豹を見た、分かるだろお前ならお前がこの状態を望んだんだろ。
「だったら! どうしてあの時ごめんなさいだなんて言ったんだよ!」
「…………」
「本当に好きだったんだ、僕は豹が大好きだったよ。それなのに……お前は」
もう思い出したくないんだ。
あの日の僕も、ごめんなさいの弟の顔も。
机の携帯を取って席を立つ置きっぱなしの鞄に突っ込んで、やっぱりここにはいられない。
「兄さん待って」
「僕に触るな、お前の好きなんて信じられない」
掴まれた手を振り払ったら、豹はまた言ったんだ。
「ごめんなさい」
「…………っ」
「兄ちゃん……」
「そうやってあの日もそれだけで何も答えてくれなかった。僕の気持ちをたった一言で全部否定しておいて、僕は豹が大好きだったのに」
「ごめんなさい」
「ほらまた謝るだけじゃないか!! もうたくさんだ!」
差し出されたタオルを払い落として、こんな事したくないのに。
胸が苦しくて窒息しそうで僕は部屋を飛び出した。
兄さんごめんなさい。
ドアが閉まる寸前、もう一回聞こえた気がした。
熱い粘液が喉の管をへばりつきなら落ちてくのがわかる、口を支配する脈動が長い間続いて、弟を見上げたら豹は肩で息しながら唇を噛んでいた。
口の片方だけつり上がって抗えない快楽に堪える姿は淫靡で艶かしく見えた。
腰が震えてて口の中で脈を打ってイッてるんだって吐き出された精液飲みながら漠然と思った。
僕に欲情して性を吐き出したんだ。
僕に…………欲情……。
「口開けてて」
思考を反芻する間もなく豹は乱れた髪をかき上げるとその手で僕の顎を持って眼鏡を光らせた。
「んんぅっ……」
僕の口を占領してたのがゆっくり出てきて、自分でもよくこんな長いのが口に収まってたなって思う。
「舌出して下さい」
反抗心よりも先にベロが出てて、豹は輸精管に残った最後の精子を自分で扱いて僕の舌に乗せた。
終わりの一滴まで口に出されて、眼鏡直した豹が喉を擦りながら自然と口閉じさせてきて、精液……僕のとあんま味変わんないんだなと思った。
「まじぃ」
「飲みにくい濃くて苦いのは味わからないように奥に出したでしょう」
「何だよその謎の気遣いは」
って少し硬さが和らいだ弟のを目の前に舌にくっつく精液を唾液と一緒に飲み込んだ。
豹は頭をやんわり撫でて下着引き上げてファスナーあげながら体を屈めた。
「じゃあ次は兄さんにご褒美する番」
「あっ……僕は」
「勃ってないからいいなんて言わないで下さいね?」
「豹ちょっと待っ」
口を開きながら豹の顔が近付いて、何も言われなくても体が従順に口を開けて舌を待ってしまった。
だってキス気持ち良いんだ、そんな事何年も前から知ってたけど、してると頭が溶けてきてもういいやって何にも考えなくて済むんだもん。
「兄さんキス好きでしょう、たくさんしましょうね。手、首に回して? 疲れただろうからもう何もしなくていいです」
「豹……で、も」
意味のない抵抗だ、拒絶のふりして自分から豹の舌欲しいって吸ってるし、だってもう力残ってないのにお酒は残ってるし頭くらくらなんだ。
そしたら、やっぱり弟は意地悪な事を言った。
すりっと丸裸の僕のちんこを撫で上げて手の平を先走りでぐちゃぐちゃにさせながら耳の裏を舐めて低い声が鼓膜を揺する。
「酔ってるせいになんてしないで下さいね? 酔ったらこここんなガチガチになりませんから」
「あっ……だって」
「ねぇ? 兄さんの変態な姿見せてあげるって言ったでしょう、触られてもいなかったのに弟のちんこしゃぶってここ、こんなに勃たせてたんですよ」
「違っ……これは」
「先走りでグズグズで俺よりキツい匂いしてますよね」
「そーゆうの止めろ……よ、ひっ、くっ……」
「ほら今もまた思い出して小さい癖にこんなに可愛く硬くさせてる」
ぎゅっと根本から握られて腰がイスに沈み込んで逃げればいいのに、もっと触られたくて頭可笑しくなる。
顔あっつくてどうにかなりそう、でも僕を見る豹の顔も真っ赤でキスも何だか乱暴になってる気がする。
「もう我慢できないかも、兄さんの舐めていいですか?」
「え? そんな、の……いいって言……う、わ」
「に決まってますよね?」
「ひっ…………あっぁあ! ダ、メッ!」
汁垂らしながら勃って震える先っぽに食い付かれて腰が仰け反っても顔が股に潜り込んできて全部口の中に入ってく。
あったかい柔らかい粘膜に根本まで包まれて初めての快感に全身粟立った。
やだやだって首振っても感じた事ない刺激に喉が鳴る。
抵抗の手なんか簡単に絡め取られて恋人繋ぎにされちゃって音出してねぶられてこれ、こんなの意味わかんない。
豹が目瞑って舐めててくれてよかった、僕今最高にだらしない顔してる。
「直ぐイカせてもいいけど、もう少ししゃぶられたいですよね?」
「知らないっ……」
「こことか」
「っあ……!」
先ばっか口で弄られて身体中痺れてくる。
「俺男だから気持ち良い所全部知ってるんで」
「んん……やっ、そこばっかやだぁ」
「真っ赤になってる」
「豹ダメッ! 僕もう」
「今日は一回じゃ済みませんから」
「なっ……」
「ちょっとイカせた位じゃ兄さんの色気が止まらない位分かってたのに」
擦りながら言われて何の話だよ。
「そんなの、僕のせいじゃないだろ」
「そう、俺の計算ミスです。だから空になるまで絞り出しますね」
「やだ、やだぁ」
マジな目に恐怖を感じで立とうとしたら押さえ付けられて奥まで咥えられて悶えそうになる快感に抵抗する力を失った。
※
何度も動けなくなるまで吐かされて気付いたら寝てた。
夜中一度目が覚めたけど、身動き取れないくらいがっちり弟にホールドされていたので暗いし抜け出すのを止めた。
でも右向きばっかじゃ下になってる腕が痛かったから体を回転させたら思いっきり弟の胸板が目の前に来ちゃって何事かと思った、ああ、うん僕が寝返り打ったんだけどさ。
意味もなくクンクンしたら石鹸の匂いがして引いた。
そんな匂いさせんの女の子じゃないの、って思ったけど僕からも良い匂いしてていつの間に風呂入ったんだろ。
モゾモゾしてたら、頭の上で声が聞こえて頭にたくさんキスされた。
あえて上は向かなかった、お前は昔もそうやって勝手にキスとかしてたよな。
豹は僕を抱き直して好きですっと言った。
胸が苦しかった。
漫画でよく見る好きは大抵言われると嬉しくなる言葉のはずなのに僕にはその言葉は苦しくて苦しくて仕方なかった。
僕には口に出来ない言葉だ。
そんな事お前だって知ってるだろう。
豹の好きが理解できない。
僕はそれを受け止められない。
ああ、それならこんな事しちゃいけないのに……。
だったら……僕はこの腕から出ていかなくちゃ。
「豹…………」
「…………はい」
「ううん、何でもない……おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
背中に手を回したら豹は一瞬体をびくつかせたけど直ぐに強く抱き締めてきた。
きっと言わなくても分かってると思う、明日僕はこの家を出よう。
でも僕チキンカツ野郎なのでそんなの自分から切り出せないから、だからこれが最後の抱擁だ。
何だか昔を思い出すな、あの時に戻りたいな、でもそんなのは無理だから。
バイバイ豹。
仕事頑張れよ。
携帯のアラームが鳴る前に、僕は目が覚めた。
可笑しいなアラームセットしておいたはずなのに…………早く起きちゃったかなって思ったけど隣にパンちゃんいないし。
とりあえず裸だったから着替えて枕元の時計見たら十時じゃん!! どゆ事!!
んで部屋出たら、
「おはようございます兄さん、ご飯できてますよ」
「ん、う、うん……おはよ」
家着姿の弟がダイニングの机で仕事していた。
「あ……ん? 豹仕事は?」
「休みです、うちは土日出勤なので平日が休みなんです、ちなみに水曜は定休日」
「へぇ」
休みなのに仕事すんのかよって焦げたトーストかじって、昨日あんなに食べたのに何だか異様に腹が減ってたから一気に平らげた。
お茶飲みながら英語のメール打ってる弟見て。
「はうあ!! そうだよ僕だって今日バイトだったじゃん!」
「ああ、そうですね」
「そうだよ! だからアラームセットしといたのに八百万のニートの神が止めたのか、鳴らなかったからスッカリ忘れてた!!」
「ニートの神様ってそんなにいるんですか、凄い」
あれ? っつーか携帯、僕がここに置いたんだっけか?
机に置かれた携帯を取ろうとしたら指が触れる寸前で豹が自分の方に寄せた。
「あ、何す」
「じゃあ休めばいいじゃないですか」
「いや、行くよ昨日話しただろ僕が出したバグがあってそ」
「行かないで下さい」
僕の言葉を遮って続いて否定の言葉、こんな豹見た事ない。
「僕が佐渡行きを阻止したいって知ってるだろ。東京にいる理由が必要なんだよ、嫌でも仕事しなくちゃなの!」
「佐渡にも行かなくていいです」
「いや無理だろ家がなくなるんだぞ」
「なら、うちに居たらいいじゃないですか」
「なっ」
豹はただ淡々とセリフみたいに薄く笑った表情を崩さずに言って、変にドキドキしてきて…………また息苦しくなって。
「仕事は俺がします兄さん分も稼いできますその返し兄さんはここにいて家の事して」
「バカじゃないのヒモ兄貴ってニートを越える恥ずかしさだから」
「じゃあ」
僕も食い気味に言ったら豹は眼鏡を直して一呼吸おいて真剣な顔をした。
「じゃぁ結婚しましょうか」
眼鏡の奥の琥珀の瞳が輝いて、思わず頷きそうになったけど僕はぐっと堪えた。
そんな僕を見て、豹は優しく笑うと机に置かれた手を取って、また同じ言葉を言った。
「結婚しましょう、兄さん」
ジワジワ胸が燃えてくるようなこの感情はなんだよ。
驚いてる、嬉しいのかもしれない…………でも違うこの沸々お腹が痛くなる感情は怒りに近い。
「つまんねぇ冗談言うなよいい加減キレるぞ」
「冗談に聞こえたなら信じてもらえるまで何度でも言います。兄さん俺と結婚」
「ふざけんなッ!!」
手引っ込めて初めて弟にこんな声を荒げた気がする。
僕の中では精一杯睨んでみたけどあんまり怖くないかもしれない、泣きそうだ、もうここに居たくない。
「ふざけていません」
「だったら……」
ああ、嫌だ。
僕はもう泣いてる、朝なのに恥ずかしいな何やってんだよ。
弟の事となると泣いてばかりだな。
肩のとこで涙拭いてもっかい豹を見た、分かるだろお前ならお前がこの状態を望んだんだろ。
「だったら! どうしてあの時ごめんなさいだなんて言ったんだよ!」
「…………」
「本当に好きだったんだ、僕は豹が大好きだったよ。それなのに……お前は」
もう思い出したくないんだ。
あの日の僕も、ごめんなさいの弟の顔も。
机の携帯を取って席を立つ置きっぱなしの鞄に突っ込んで、やっぱりここにはいられない。
「兄さん待って」
「僕に触るな、お前の好きなんて信じられない」
掴まれた手を振り払ったら、豹はまた言ったんだ。
「ごめんなさい」
「…………っ」
「兄ちゃん……」
「そうやってあの日もそれだけで何も答えてくれなかった。僕の気持ちをたった一言で全部否定しておいて、僕は豹が大好きだったのに」
「ごめんなさい」
「ほらまた謝るだけじゃないか!! もうたくさんだ!」
差し出されたタオルを払い落として、こんな事したくないのに。
胸が苦しくて窒息しそうで僕は部屋を飛び出した。
兄さんごめんなさい。
ドアが閉まる寸前、もう一回聞こえた気がした。
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