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本編
【真白視点】[普通ではないこと] 紙袋の保存
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「真白、腹減った。コンビニ寄るぞ」
「はい。寄ります」
付き合えとは言われていない。
でも「寄るぞ」と言われた。
ついて行っていいはず。たぶん、これは許可。
コンビニの灯りが見えてきた。
明るい光の中へ日向が進んでいく。
「右足から。歩幅、いつもと同じ」
店内に入ってすぐ日向が振り返った。
右から振り返った。
「……お前、何ブツブツ言ってんの」
真白は口を一文字に結ぶ。おかしい頭で考えていたはず。
声、出ていた。説明しないと。
「書くのは禁止なので。焼き付けてます」
「口に出して記憶に定着させんな」
「……だめですか」
「だめに決まってんだろ。怖い」
真白は頷いた。頷きながら、唇が小さく動く。
これは声になってない。セルフチェック、大事。
「口パクもやめろ」
駄目だった。
「……はい」
日向はレジ横のホットスナックの前で足を止めた。
「肉まんでいいか? お前の分」
「え」
真白は返事に詰まった。想定していなかった。
許可どころか、提供されている。
肉まん。
どこのメーカー……。だめ。普通はメーカー見ない。
「……いいんですか」
「寒いだろ。おごり」
先輩が店員に「肉まん二つ」と言った。
真白は何も言えないまま、紙袋を受け取った。
温かい。
外に出て、先輩が歩きながら肉まんを齧った。
真白も両手で紙袋を持ったまま、隣を歩く。
「冷める前に食えよ」
「はい」
一口齧る。温かさが喉を通っていく。
真白は頭の中で、新しいフォルダを作成した。
書かない。覚えておく。
『先輩に許可されたこと』
・隣にいる
・一緒にコンビニに行く
『提供』
・肉まん
紙袋。
日向を見上げると難しい顔をされた。
「食い終わったら、俺が捨てておいてやる」
却下された。
紙袋の保存は許可されなかった。これは普通ではないということ。
普通の人は肉まんの紙袋を保存しない。
フォルダを更新する。
『普通ではないこと』
・紙袋の保存
先輩が決める。真白が従う。
先輩がくれる。真白がもらう。
先輩が却下する。真白が諦める。
その構造が、真白にはひどく心地好く思えた。
今日は普通じゃないを一個覚えた。
あとで柊にも教えてあげよう。
---
帰宅後
真白『普通ではないことを覚えた』
柊『何、突然』
真白『紙袋、保存しない』
柊『は? 保存のための紙袋じゃないの』
真白『肉まんを提供された』
柊『そっちの紙袋ね。理解』
真白『日向先輩が捨ててくれた』
柊『あー、ね。そうね。そうするわあの先輩』
真白『今日、提供あった。すごい』
柊『良かったじゃん』
真白【マーモットが激しく頷くスタンプ】
柊『いつも思うけど、なんでその動物チョイスすんのw』
真白『かわいい』
柊『そーね』
---
「はい。寄ります」
付き合えとは言われていない。
でも「寄るぞ」と言われた。
ついて行っていいはず。たぶん、これは許可。
コンビニの灯りが見えてきた。
明るい光の中へ日向が進んでいく。
「右足から。歩幅、いつもと同じ」
店内に入ってすぐ日向が振り返った。
右から振り返った。
「……お前、何ブツブツ言ってんの」
真白は口を一文字に結ぶ。おかしい頭で考えていたはず。
声、出ていた。説明しないと。
「書くのは禁止なので。焼き付けてます」
「口に出して記憶に定着させんな」
「……だめですか」
「だめに決まってんだろ。怖い」
真白は頷いた。頷きながら、唇が小さく動く。
これは声になってない。セルフチェック、大事。
「口パクもやめろ」
駄目だった。
「……はい」
日向はレジ横のホットスナックの前で足を止めた。
「肉まんでいいか? お前の分」
「え」
真白は返事に詰まった。想定していなかった。
許可どころか、提供されている。
肉まん。
どこのメーカー……。だめ。普通はメーカー見ない。
「……いいんですか」
「寒いだろ。おごり」
先輩が店員に「肉まん二つ」と言った。
真白は何も言えないまま、紙袋を受け取った。
温かい。
外に出て、先輩が歩きながら肉まんを齧った。
真白も両手で紙袋を持ったまま、隣を歩く。
「冷める前に食えよ」
「はい」
一口齧る。温かさが喉を通っていく。
真白は頭の中で、新しいフォルダを作成した。
書かない。覚えておく。
『先輩に許可されたこと』
・隣にいる
・一緒にコンビニに行く
『提供』
・肉まん
紙袋。
日向を見上げると難しい顔をされた。
「食い終わったら、俺が捨てておいてやる」
却下された。
紙袋の保存は許可されなかった。これは普通ではないということ。
普通の人は肉まんの紙袋を保存しない。
フォルダを更新する。
『普通ではないこと』
・紙袋の保存
先輩が決める。真白が従う。
先輩がくれる。真白がもらう。
先輩が却下する。真白が諦める。
その構造が、真白にはひどく心地好く思えた。
今日は普通じゃないを一個覚えた。
あとで柊にも教えてあげよう。
---
帰宅後
真白『普通ではないことを覚えた』
柊『何、突然』
真白『紙袋、保存しない』
柊『は? 保存のための紙袋じゃないの』
真白『肉まんを提供された』
柊『そっちの紙袋ね。理解』
真白『日向先輩が捨ててくれた』
柊『あー、ね。そうね。そうするわあの先輩』
真白『今日、提供あった。すごい』
柊『良かったじゃん』
真白【マーモットが激しく頷くスタンプ】
柊『いつも思うけど、なんでその動物チョイスすんのw』
真白『かわいい』
柊『そーね』
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