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第17話:わたし、誰かにそのまま“可愛い”って言われたかっただけなのかも
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「ねぇ、あんた……アレス、って言ったっけ。」
「……なんでしょうか。」
王宮の小さな中庭。
昼下がりの柔らかい風の中、ミレイアはいつになく素直な声で話しかけた。
「この前は、ごめん。あんたの言う通りだったわ。あたし、カノンに甘えてた。」
アレスは目を細めたまま黙っていた。
「小さい頃、カノンと過ごした時間が……あたしにとっては、唯一だったんだ。兄さんたちは口を開けば“弱さを見せるな”って言ってくるし、母さんは可愛い服を選ぶだけで『そんなの似合わない』って笑う。」
「…………。」
「だから、自分を守るために、強がるしかなかった。口が悪いのは、性格じゃなくて、癖みたいなもんよ。」
その言葉に、アレスは静かに息を吐いた。
「僕も……あなたがカノン様を大切に想っていること、わかっていたのに。あの時は、冷静になれなかった。」
「ふふっ、じゃあおあいこね。」
二人の間に、少しだけ風が通った。
「……ねぇ、カノン。あたしさ、たぶん、あんたのこと……恋じゃなかったかも。」
「え?」
「幼い頃の憧れで、それがそのまま“好き”にすり替わっただけかもしれない。今は、どっちかっていうと……兄みたいな感じ。」
「……ミレイア。俺、妹いたっけ?」
「今できたのよ!」
「あっはい。よろしく妹。」
くすくすと笑い合う二人の様子を、アレスが少し離れた場所から静かに見つめていた。
けれどその表情は、怒りでも嫉妬でもなかった。
(……よかった。)
それから数ヶ月後――
「ミ、ミレイアさん!今日もその……堂々とした物言いが、すごく素敵で……!あ、あの、叱っていただけますか!!」
「……え、なにその趣味?いや、というか……あんたバカでしょ!?」
「ひっ……ありがとうございますっ!!」
(え、まさかの本気でMだった……!?)
“変態騎士志望”のエリオット=クレイドという青年が現れた頃には、
ミレイアは見事に「愛されツンデレ」としての道を歩み始めていた。
カノン・ライエル・フィルディア、4歳と2ヶ月。
一人の少女が本当の自分を受け入れ、その“トゲ”を愛する誰かに出会った日だった。
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「…………。」
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(……よかった。)
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