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第一部 離宮編
17.天然掘削機作戦 ①
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雷が落ちたみたいに閃いた俺は、ポカンとするテッセルも兵士達も置き去りにして、城にダッシュをかました。
「いけるっ!井戸が掘れるぞ!」
会議室のドアをブチ開けると、力いっぱい叫んだ。
「………は…?」
目が点の全員を前に、俺は興奮状態のまま身振り手振りで説明する。
「リルの木だ!こうワサッとさせて、シュッとして、ボワッとして、またワサッ!」
両手で万歳して、次に手を合わせて下向きに刺して、両手の指をクワっと開いて上までブルブルさせながら持ち上げる。
何度も繰り返している内に、だんだんと落ち着いてきた俺は、皆の冷たい視線に我に返った。
「……アキラ様、落ち着いて順を追って説明して頂けますか?」
「………はい」
ライド王子の冷静な言葉に、俺はシュンとして肩を落とした。
きっと皆にはスゲー奇妙な踊りを踊るイカれた野郎に見えたことだろう。
でも計画を説明したら、皆も大興奮で俺と同じイカレダンスを踊りだした。
そうだろう、そうだろう。
踊りたくなるだろう?
でも冷静な目で見たら、ドン引きな光景だった。
でも、ニヤニヤが止まらない。
これで一気に根本対策が進む筈だ。
時間が惜しいので、試験とかはすっ飛ばして実践にかかることにする。
数日で下準備をしないとだ。
穴を補強する為に大量の樹液粘土とレンガ、挿し木にするリルの枝が必要だ。
それから広場を立ち入り禁止にして延焼を防ぐ用意も。
工事の間、水の補給が出来なくなから、畑の横に貯水池もつくら作らねば。
これは元々作る予定だったから、場所の確保は出来ている。
大工達に頼んで、大至急取りかかってもらおう。
水業者達に連絡して、明日から数日は城から水を配ってもらう手配もいる。
いきなり決まった計画に、俺もライド王子も兵士達も大わらわだ。
でもこれが成功すれば恒久的に水が確保出来るんだから、全員の目がらんらんと輝いている。
みんなでヘロヘロになりながら、準備に奔走した。
2日後、何とか準備が整って、実行に移すことになった。
立てた計画はこうだ。
回りを囲った所にリルの枝を刺して育成を加速。
育ったところで乾燥をかけ、カラッカラにする。
そのリルの木に火をつけて燃焼を加速。
完全に燃え尽きれば、そこには根が張っていた所まで穴がポッカリと空いている。
その中に再びリルの枝を刺して成長加速、乾燥、焼却、それを地下水脈に到達するまで繰り返すという戦法だ。
ほぼ垂直に根を張るリルが、地面の掘削を代わりにやってくれる、名付けて天然掘削機作戦。
ネーミングはともかく、掘削の機械も経験も無い世界で素早く穴を掘るにはこれしかない。
成功したら、俺は永遠にリルの木をリスペクトする。
もう毎日祈りを捧げるわ。
いっそのことリル帝国って名前に変えさせよう。そうしよう。
安全確保の為に、広場を囲む建物と、更にもう一回り広い範囲を立ち入り禁止にする。
今回は強い火を使うから、とにかく延焼被害が出ないように気を使わないといけない。
本当は乾燥したリルの木をいつも通りに切って割って薪にすれば無駄が無いんだが、いかんせん時間が掛かり過ぎる。
それに、燃焼させると土や粘土層が焼き締められて崩れにくくなるかもしれないし。
実はそれにちょっと期待。
みんなでブラックボックスにしていた貯水槽の蓋を外して、雨雲を消し、水を全て抜く。
穴を掘る場所を検討した時に、いっそ貯水槽の下にすれば壁が防火の役割を果たすし、上手く行けばそのまま使えるかもと思ってそこに決めた。
まあ、リルの木が育ち過ぎたら壊れるけどな。
そこはやってみないと分からない。
幅5メートルを越えないことを祈ろう。
貯水槽の回りにも難燃性の荒布を貼った板をぐるりと設置して、火の勢いで倒れないように兵士達が体を張って押さえる。
俺もそれに混じりたかったが、みんなに全力で反対された。
もしも大木が燃えさかったまま倒れてきたら、怪我だけじゃ済まない。
「貴方が倒れたら、そこでこの国の希望が潰えるのですよ」
そうライド王子に言われたら、返す言葉が無かった。
完全圏で見てるなんて性に合わないけど、仕方ない。
それに成長のスピードや燃焼の加速具合は、穴が見える位置にいないとやりづらいのも確かだった。
俺は広場の外側の建物のひとつにあるベランダに立って、全体を見渡した。
下にいるザウスから準備完了の合図が来た。
俺は広場全体より少し広めの範囲に雨雲を作り出して、建物も構える兵士達もずぶ濡れになるくらい冷たい雨を降らせた。
下から、ひゃっほーと歓声が上がる。
暑いから気持ち良いよな。
でもこれが防火の準備だ。
「よーし、いくぞ!」
掛け声をかけてから、貯水槽の真ん中に刺しておいたリルの木に意識を集中させて、成長を加速させていく。
ぐんぐんと伸びるリルの木に地面の中からメキメキと音がする。
地中に向かって根が伸びている証拠だ。
幹がどんどん太くなっていく。
頼むから、枠内に収まってくれよ。
「いけるっ!井戸が掘れるぞ!」
会議室のドアをブチ開けると、力いっぱい叫んだ。
「………は…?」
目が点の全員を前に、俺は興奮状態のまま身振り手振りで説明する。
「リルの木だ!こうワサッとさせて、シュッとして、ボワッとして、またワサッ!」
両手で万歳して、次に手を合わせて下向きに刺して、両手の指をクワっと開いて上までブルブルさせながら持ち上げる。
何度も繰り返している内に、だんだんと落ち着いてきた俺は、皆の冷たい視線に我に返った。
「……アキラ様、落ち着いて順を追って説明して頂けますか?」
「………はい」
ライド王子の冷静な言葉に、俺はシュンとして肩を落とした。
きっと皆にはスゲー奇妙な踊りを踊るイカれた野郎に見えたことだろう。
でも計画を説明したら、皆も大興奮で俺と同じイカレダンスを踊りだした。
そうだろう、そうだろう。
踊りたくなるだろう?
でも冷静な目で見たら、ドン引きな光景だった。
でも、ニヤニヤが止まらない。
これで一気に根本対策が進む筈だ。
時間が惜しいので、試験とかはすっ飛ばして実践にかかることにする。
数日で下準備をしないとだ。
穴を補強する為に大量の樹液粘土とレンガ、挿し木にするリルの枝が必要だ。
それから広場を立ち入り禁止にして延焼を防ぐ用意も。
工事の間、水の補給が出来なくなから、畑の横に貯水池もつくら作らねば。
これは元々作る予定だったから、場所の確保は出来ている。
大工達に頼んで、大至急取りかかってもらおう。
水業者達に連絡して、明日から数日は城から水を配ってもらう手配もいる。
いきなり決まった計画に、俺もライド王子も兵士達も大わらわだ。
でもこれが成功すれば恒久的に水が確保出来るんだから、全員の目がらんらんと輝いている。
みんなでヘロヘロになりながら、準備に奔走した。
2日後、何とか準備が整って、実行に移すことになった。
立てた計画はこうだ。
回りを囲った所にリルの枝を刺して育成を加速。
育ったところで乾燥をかけ、カラッカラにする。
そのリルの木に火をつけて燃焼を加速。
完全に燃え尽きれば、そこには根が張っていた所まで穴がポッカリと空いている。
その中に再びリルの枝を刺して成長加速、乾燥、焼却、それを地下水脈に到達するまで繰り返すという戦法だ。
ほぼ垂直に根を張るリルが、地面の掘削を代わりにやってくれる、名付けて天然掘削機作戦。
ネーミングはともかく、掘削の機械も経験も無い世界で素早く穴を掘るにはこれしかない。
成功したら、俺は永遠にリルの木をリスペクトする。
もう毎日祈りを捧げるわ。
いっそのことリル帝国って名前に変えさせよう。そうしよう。
安全確保の為に、広場を囲む建物と、更にもう一回り広い範囲を立ち入り禁止にする。
今回は強い火を使うから、とにかく延焼被害が出ないように気を使わないといけない。
本当は乾燥したリルの木をいつも通りに切って割って薪にすれば無駄が無いんだが、いかんせん時間が掛かり過ぎる。
それに、燃焼させると土や粘土層が焼き締められて崩れにくくなるかもしれないし。
実はそれにちょっと期待。
みんなでブラックボックスにしていた貯水槽の蓋を外して、雨雲を消し、水を全て抜く。
穴を掘る場所を検討した時に、いっそ貯水槽の下にすれば壁が防火の役割を果たすし、上手く行けばそのまま使えるかもと思ってそこに決めた。
まあ、リルの木が育ち過ぎたら壊れるけどな。
そこはやってみないと分からない。
幅5メートルを越えないことを祈ろう。
貯水槽の回りにも難燃性の荒布を貼った板をぐるりと設置して、火の勢いで倒れないように兵士達が体を張って押さえる。
俺もそれに混じりたかったが、みんなに全力で反対された。
もしも大木が燃えさかったまま倒れてきたら、怪我だけじゃ済まない。
「貴方が倒れたら、そこでこの国の希望が潰えるのですよ」
そうライド王子に言われたら、返す言葉が無かった。
完全圏で見てるなんて性に合わないけど、仕方ない。
それに成長のスピードや燃焼の加速具合は、穴が見える位置にいないとやりづらいのも確かだった。
俺は広場の外側の建物のひとつにあるベランダに立って、全体を見渡した。
下にいるザウスから準備完了の合図が来た。
俺は広場全体より少し広めの範囲に雨雲を作り出して、建物も構える兵士達もずぶ濡れになるくらい冷たい雨を降らせた。
下から、ひゃっほーと歓声が上がる。
暑いから気持ち良いよな。
でもこれが防火の準備だ。
「よーし、いくぞ!」
掛け声をかけてから、貯水槽の真ん中に刺しておいたリルの木に意識を集中させて、成長を加速させていく。
ぐんぐんと伸びるリルの木に地面の中からメキメキと音がする。
地中に向かって根が伸びている証拠だ。
幹がどんどん太くなっていく。
頼むから、枠内に収まってくれよ。
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