入れたいのに入れたいのに入れたいのに「ピュルッ」と出てしまう「元ショタ勇者」の物語

人外倫理

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第二部

ポチタロウと、サラの夜:3

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「んー? あきらめたくないなら、あきらめなきゃいいだけだろ? 旅の行き先さえちゃんと決めておけば、いつかはそこに辿りつくもんだろ? 歩きと車じゃ、速度は違うけど、どっちにしろ、ちゃんとたどり着く。焦らずに、自分のペースでやればいいんじゃね? 旅を楽しめばいい」



 サラはしれっと、なんだかすごいことを言った。



 前回のあやふや発言とのギャップがすさまじかった。ちょっと前まで、赤面して言葉を失っていたのと、同じ人物だとは思えなかった。



 今回のサラの言葉は、ピンポイントで僕の心に突き刺さった。



 あんまりにもその言葉が突き刺さったものだから、僕は思わず絶句してしまった。そのまま、その言葉の意味を考え始めた。



 相手と比べたりせずに、自分のペースでやればいい。方向さえ見失わなければいい。向き不向きはあれど、続けていればほんの少しずつでも、できるようになっていく。たしかにサラの言うとおりだと思った。



ー 旅を楽しめばいい ー



 この言葉も、僕にとって必要な言葉だった。「過程を楽しむ」的な、そんな発想を僕は忘れてしまっていた。



 サラが一番最後に言ったこの言葉を聞いて、僕は頭の中で、全身、緑づくめの(これまた緑の)三角帽子をかぶった旅人さんをイメージした。サラの中に、その旅人さんが、乗り移ったんじゃないかと勘ぐってしまった。



(サラフキン?)



 思わず僕は、サラにそう呼びかけそうになった。(でもサラは、緑づくめじゃなくて、赤基調のままだったので、これは言わなかった)



「今の言葉。もう一回ください!」



 (サラフキンなどとは、言わなかったものの)次の瞬間、僕は、45度角でおじぎをしながら、サラに敬語で、そうお願いしていた。



 その言葉をくれたサラと、その旅人さんへの敬意を込めて。



■■■■■■
□□□□□□


ポチタロウと、サラの夜:3


■■■■■■
□□□□□□



「旅の行き先さえ、決めておけば・・・なんだっけ?」
「いつかはたどり着く・・・だ」



 僕が尋ねると、サラは恥ずかしそうに(若干不機嫌そうに)そう答えた。



 今回のサラの言葉に僕は、またもや感銘を受けていた。(メモに残しておきたいくらいに感銘を受けていた)



 サラにお願いしてその言葉を復唱してもらった。それをメモに書き記していった。



「これもほとんど、教えてもらった言葉だ! おんなじことを2回も言わせんな!」



 ・・・などと、最初は渋っていたサラだったけれども「これも今の僕には必要なことなんだよ」って伝えて、45度角でお辞儀をし続けたら、なんとか折れてくれた。(体感で10秒くらいお辞儀をした)



 サラは恥ずかしがりながらも(アニメ幼女声で)言葉を全部復唱してくれた。(なんだか2倍、得した気分になった)そうして僕は、サラが言ってくれた今回の言葉を全部、書き留めた。サラにありがとうを伝えた。



「ちょっと待っててね。読み返してみるから」



 僕はサラにそう告げて、メモを読み返すことにした。



 サラはまた赤くなりながら「読み上げたりは、するなよな?」と、僕に釘を刺した。(さすがの僕にも「読み上げろ」という前フリではないことはわかった)



・・・
・・・
・・・。



(旅の行き先・・・)



 書き留めたメモを読み返してみて、この言葉が気にかかった。



 サラの言ったこの「旅の行き先」っていうのは、要するにめざす場所、目標だ。


 
 少し考えてみたら、自分が最終的にどこをめざしていたのか? これが把握できた。



ー サラに会いに行く ー



 無意識に僕は、これを最終目標にしていた。



ーーーーーー



ー (大切な人との)約束を守る。 ー



 これは僕にとって大事なアイデンティティだった。



 全体的に6.5パーセント頑張れなくなっていたとはいえ、僕は約束したことを忘れてしまっていた。



 それを思い出した後で僕は、もう二度と忘れないようにと、その約束をいっぱい書いた。



ー 1000年生きる。サラに会いに行く。約束は守れ。 ー



 こう何度も書いた。その2つの約束をやり遂げようと、強く思った。



・・・
・・・
・・・。



ー 1000年生きる ー



 こっちについては(普通ならば実現できなさそうなことではあったけれども)なんとかなりそうな気がしていた。もう「この世界の」創造者クリエイターであるネオリスは、近くにいた。今もサラの空間から出れば、すぐ会えるところにいた。



 おじいちゃんの寿命を延ばしたのはネオリスだろうし、こっちの約束はすぐに守れそうな感じだった。



ー サラに会いにいく ー



 でもこっちについては、さっぱり検討がつかなかった。



 こっちの方が難しそうだったので、僕はおのずとこれを最終目標に(無意識で)決めていたらしい・・・。



 「旅の行き先」についてのサラの言葉を書き留めて、見返してみて、ようやくそれに気づいた。



 サラには、今もこうして会えているのだけれども、ここにいる僕自身はVR体らしい。僕は「本体でサラ」に会いに行くと約束したのだ。僕自身、それをしたいのだ。
 


 サラは創造者クリエイターであるネオリスよりも、さらに高次の存在だ。(ちょくちょく忘れそうにはなるのだけれども)それは今までの情報でわかっていた。



 そんな存在のサラに会う為には、次元の壁を突き破れる、ものすごい奴になる必要があるだろう。



ー サラに会いに行く ー



 その為に僕は、心の奥底で、次元の壁を突き破れるような、そんな自分をめざしていたらしい。



(「それをしたい」と願う僕が「あきらめる」ということは「しちゃいけない」って思ったんだ・・・)



 これに気づいた。



ー あきらめたくない ー



 向き不向きとかも関係なく、そう思ったのは、僕がそこをめざしていたからだった。それだけはやり遂げたかったからだ。僕を突き動かした感情は「サラに会いに行く」へと向かっていた。



 でもそのせいで、焦りがあった。成果を出したいって気持ちがあった。他にも様々な感情が、渦巻いていた。(「スーが戻ってくるまでに、成果を出したい」こんな風に思ったのも、ここにつながっていた。むしろ、ここが根っこだと思った)



ー 僕がどこへ向かっていたのか? ー



 僕はようやくそれを自覚した。



 自覚した上で、やっぱりいろんな感情についてと、ちゃんと向き合っておくべきだと思った。



ーーーーーー



「ありがとねサラ。ヒントはもらえた気がするから、後は自分で考えてみるよ」



 サラにそう伝えた。



 サラと話しながら、自分のよくわからない感情を整理しようとしてたのだけれども、サラのとんでもなくピンポイントな発言を聞いて、それをやめることにした。



 簡単に答えを教えてもらってしまったんじゃ、自分の為にならない気がしたし、サラに頼ってばかりじゃなくて、自分で、それをできるようになりたかった。



ー まじめな人は大体「人に頼ること」が苦手 ー



 前世でも(変なところで)まじめだった僕は、ネットで検索してこんな言葉を見つけていた。それからずっと「人に頼る」ことをできるようになろうと思ってきた。



 でもそれだけじゃダメな気がした。「自分でできるようになる」ことも、同じくらい大切な気がした。



 自分自身で、まとわりついている感情の全部と向き合おうと思った。



 あんまりにも、自分のその感情と向き合うのを先延ばしにしてきたものだから、それはこんがらがって、複雑に絡み合っている感じだった。



 でも「サラに会いに行く」っていう最終目標を達成するためには、やっぱりそれらを、そのままにしておいてはいけない気がした。



・・・
・・・
・・・。



 僕を突き動かした感情は「サラに会いに行く」を目標地点にしていた。絡み合った感情を紐解く為の糸口は、ここにある気がした。



 自分がまた、真剣になっているのは自覚していた。でも、平常心って言葉は覚えていた。それでも・・・。全力で頑張るべき時だと思った。



 じゃないと、次元を超えて、サラのところにたどり着けない気がした。今この瞬間の僕にも、それらが影響を与えているように思った。



ーーーーーー



ー サラに会いに行く ー



 これが最終目標だったとわかった。



 僕は、その目標の「スタート地点」から、自分の感情を探ってみることにした。



・・・
・・・
・・・。



(どっちが先に相手のところまでたどりつくか? 競争しようぜ?)



 僕が一番最初に「サラに会いに行く」と告げた時、サラはこのようなことを言った。



 僕はそれについて、あまり乗り気ではなかった。



ー 勝つというのは、負ける誰かを作ることでもある。 ー



 こんな言葉を知ってしまっていたので、乗り気になれなかった。



 でも、その言葉で抑えこんでいただけだった。知った気になっていた。正直な自分の気持ちに向き合ってみたら、こんな想いも確かにあった。



ー サラに負けたくない ー



 「負ける誰かを作る」ことも嫌だったんだけれども、だからといって僕は「負ける」ということが好きなわけではないのだ。



 ・・・というよりも「幼女に負けた」っていうのは、さすがにあまりにも格好悪い気がしたのだ。



 僕は幼女の・・・というより子供のすごさを少しは知っている。



 魔王討伐の旅の途中に、みんなのものすごい成長速度を見てきたし、子供ならではの発想にいろいろと驚かされてもきた。



ー やっぱり小学生は最高だぜ! ー



 ・・・なんて、迷言かつ名言を残したラノベ主人公さんがいたけれども、こう言ってしまいたくなる気持ちは、僕にも痛いほどよくわかった。



 だから僕はみんなに「禁止」をするのが好きではない。幼女の・・・というより子供の無限の可能性を信じてあげたい。それと同じように、みんなに否定的な意見を言うのも好きではない。



 特にサラに対しては、その想いが強かった。サラはずっと僕の目を通して、僕を見ていてくれたらしいんだけど、僕はそれを知らなかった。その時のサラについてを、僕は知らないのだ。



 しかもサラの場合はVR体ではあるとはいえ「エッチなこと」を最後までしてしまった仲なのだ。



 僕は(他のみんなほど)サラのことを知っているわけではない。それでエッチなことは最後までしてしまった。



 そんな僕がサラに何か意見をするのは、なんだか、援助○際をした後に、相手の女の子にお説教をする中年おやじ的な気がしたのだ。こんな想いも僕の中に存在していた。



(それにだ・・・)



 僕はさらに自分の心の奥底へと進んだ。



 それに加えて、子供の無限の可能性を信じることと、幼女とエッチなことをしたいと思う気持ちは、相反するものに思えて、頭の中で処理しきれていなかったのだ。



 でも、今の僕がいる場所は、そういうのに寛容な世界で・・・。別にとがめられるわけでもなくて・・・。結局は前世の常識が、まだ僕の中に残っているのが問題なだけのような気もしていた。



 こんな想いもあった。



(おちんちんさえなければ、もっと簡単にみんなに「大好きだ」って言えるのかな?)



 エッチなことがしたいって思いを抜きにしても、僕はみんなが「大好き」で・・・。でもやっぱり、おちんちんが挿れたいって気持ちは残っていて・・・。こんな複雑な思いも僕は抱えていた。



 いつからか僕は、そういうのを全部、すっとばせるくらいに、すごい奴にならないと、次元の壁なんて、突き破れないと思っていたのだ。(正直にお伝えしておくと、そうならないと、みんなの膜を突き破ることもできないんじゃないか? なんて思いもあった)



(ようするにだ・・・)そう思いながら僕は、自分の境界線を確認した。



ー 僕は幼女であるサラやみんなにいろいろと助けられてしまっている。 ー



 子供のすごさを知っている僕としては、これについては(少し情けない気はするけれども)問題ではなかった。



ー 幼女に明確に負ける ー



 でも、さすがの僕もこっちについてはやっぱり「許容したくない」なんて思いが確かにあった。ちっぽけなプライドな気はしたけれども「それがある」ことは自覚しておく方がいい気がした。



・・・
・・・
・・・。



 いつしか僕は、自分の心の中をのぞき込んでいた。



ー 深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている ー



 なんとなくそんな言葉を思い出して、少し怖くなった。



 それでも僕はさらに進むことにした。



ーーーーーー



 自分の心の中のモヤモヤをさらに探した。



 しばらくそうしているうちに、いつのまにか僕はこんなことを頭の中で呟いていた。



 (ああ。そうなんだ・・・)



 「幼女に負ける」というのも嫌だったけれども、僕の中にもう一つ懸念があった。それに気づいた。



 サラの言った競争は「どっちが先にたどりつくか?」だった。



 要するに、サラが僕の今いる次元にたどりつくか? 僕がサラのいる次元にたどりつくか? この競い合いだった。



 サラがこっちの次元まで降りてくるのならば、必然、サラが自身の次元を下げる必要があるだろう。



ー 次元を下げる ー



 実際にこれがどういうことになるのか? それは、よくわからなかったけれども、僕はサラにそんなことをさせたくはなかったのだ。語感的になんだか、あんまりいいことではないような気がしたのだ。



 それに・・・。



 僕はなんだかんだで、格好つけたがりなのだ。頼るよりは、頼られる方が好きなのだ。そんな存在でありたいのだ。



 僕「が」サラの次元まで「上って」いって「会いに来たよ」って言いたいのだ・・・。



・・・
・・・
・・・。



 サラが次元の壁を「下がって」こっちに来てくれるのなんて、僕は嫌だったのだ。僕が次元の壁を「上って」サラの元にたどりつきたいのだ。



 いろんな思考をしていく中で、ようやくこんな想いがあったことに気づいた。



(本当に僕は「自己主張」が苦手なんだな・・・)



 この想いが一番奥の方に眠っていたのに気づいて、そんなことを思った。



 それでも。



ー 僕がやりたかったこと ー



 僕はこれを見つけた。



ーーーーーー



 複雑に絡み合っていた感情は、紐解け始めていた。



 パズルに例えるなら、外枠を埋めて、輪郭がはっきりしてきたところだった。残りのピースは少なくなっていて、それを埋めるのは、今までよりは簡単になっていた。



(こんなすごいのにどうして!?)


 
 こう思った理由の根本についても理解できた。「そんなサラは見たくない」って思ったのは、僕「が」競争相手としてのサラに、高い壁でいて欲しかったからだ。



ー サラがすごいのを知りつつもそれを超える。 ー



 それくらいしないと、次元の壁なんて突破できないんじゃないか? こんな思いもあった。だから僕は、サラにすごいサラでいて欲しかった。



 一方で、サラのすごさへの羨望や、嫉妬もあった。焦りもあった。



 サラは、小さいのにとってもすごい。僕にいろんなことを教えてくれた。



 サラは時折、軽い感じでとんでもないイケメン発言をする。それを聞く度に僕は「すごいな」って感心してきた。それと同時に、向き不向き的に「僕はこうはなれないかもしれない・・・」って感じてしまっていた。(それでも「あきらめたくない」って想いは残っていた)



ー サラにはでっかい壁であってほしい。僕はそれを乗り越えたい。 ー



 こんな想いがあった。でもそんな想いとは裏腹に「サラに負けるかもしれない」って不安もあった。次元を下がる方が、上がるよりも簡単な感じもしたし、それ以上になんといっても、サラはすごいのだ!



ー ゆっくりやろう ー



 何度もこう言い聞かせたし、これを少しずつ思い出せるようにはなった。でも、すぐに忘れて、頑張ってしまう部分があった。



 僕はいつの間にか、サラと競争を始めていたのだ。



 だから僕には焦りがあった。スーがいつ戻ってくるか? これがわからない焦り以外にも、僕にはこんな焦りがあったのだ。



ー 自分のペースでやればいい ー



 サラはそう言ったけれども(少なくとも僕は)競争してたら、自分のペースでやれないのだ・・・><。



(これか・・・><)



 これが根本原因な気がした。



・・・
・・・
・・・。



 僕はいつのまにか、また左腕を右手で握りしめていた。



 またサラに言いたいことがあって、でも今のままでは、非難めいた言い方になってしまうような気がした。



ーーーーーー



(平常心だ。ポチタロウ・・・)



 左腕を押さえているうちに少し冷静になった。



 感情を抑えながら逆に、サラが僕に対して、感情をぶつけてきていた場面があったのを思い出した。



ー 全部ができるようになんて、ならねぇし、なんなくていいんだよ! ー



 サラは腕を振り回しながら、感情を込めて、こんなことを言っていた。



 僕はこの言葉にも感銘を受けた。これも確かにそうだと思った。



 でもよくよく思い返してみると、その言葉には「教訓的な意味」以外に「サラの願い」もこもっていたような気がした。



 サラにとっては「今の僕のまま」の方がよかったのかもしれない。もしくは「今のままでいいよ」と教えようとしてくれたのかもしれない。そう思い当たった。



 実際にその後でサラは「今の僕」が好きだと、言葉に詰まりながらも、ちゃんと教えてくれた。僕が「変わらなきゃ」って思ったのを尊重しようともしてくれていた。



ー 俺様は、今のポチ公が好き、だから、さ? 今のまんまでもいいと思うんだよ。でもポチ公的には、変わらなきゃ・・・って思うんだよな? ー



 「わかんねぇことはわかんねぇ」って言葉で締めくくる一つ前の、サラの言葉は確か、こんな感じだった。



(そうか・・・。こんなにすごいサラが、あやふやなままに言葉を終わらせたのは、僕を気遣ってくれたからだ・・・)



 ようやくこれに気づいた。



 サラは自分の想いがありつつも、僕の想いを尊重しようとしてくれていた。それで「わかんねぇ」にたどりついたのなら、それでサラを責められたものではないと思った。



 責められたものではないし、非難もしたくはなかった。



(でも・・・)



 でも。僕の中に「伝えたい想い」はあった。



 僕は再び、左腕の外側を、右手でギュッと押さえた。(今度はほとんど無意識でそれをしていた)



(このままでは、またサラに、左腕について、ツッコまれるぞ!?)



 すぐにそう思い当たって、両手を下ろして力を抜いた。



ーーーーーー



「どうしたんだ、ポチ公?」



 ふいにサラがそう言った。



 左腕についてはツッコまれなかったけれども、力を抜いたのがサラの目に留まったのだろう。



 この時、僕は頭の中で、サラの言った、この言葉についてを考えていた。



(ちゃんと、自分がどうしたいか? みんなに、どうしてほしいか? を言えるように・・・)



 この言葉は尻切れトンボではあったけれども、大切なことだった。思えばこの言葉をサラが途中でやめてしまったことも、モヤモヤの原因の一つだった。



 でも、この言葉を止めてまで、サラには言いたいことがあったのだ。今の僕でいいと思っていてくれること。変わりたいなら尊重したいこと。これを僕に告げたかったのだろう。



(気づくのが、ずいぶんと遅くなっちゃったな・・・でも)

 

ー 僕は僕で、ちゃんとサラに想いを伝えよう。 ー



 そう心に決めた。



(不完全でもいい。実際に不完全でも、サラはちゃんと僕にそれを告げてくれた。僕もそうありたい)



 続けてこうも思った。



(僕はカッコつけたがりだ。どうせ、カッコつけるなら、カッコつけ通してやれ!)



 グ○ンラガンの話をしたところだったので、追加でこんなことも考えた。



「ねぇサラ?」
「んー?」



 僕はサラに呼びかけていた。サラは気軽な感じでそれに応えた。



「サラを非難するつもりはないし、これは僕の勝手な想いなんだけれども・・・何も言わずに聞いてほしい」



 僕はサラにそう告げた。



(なんだか、ライブのMCみたいになっちゃったな・・・)



 なんてことを思いながらも、僕はまっすぐにサラを見た。何かを感じ取ったのか、サラは神妙な面持ちでうなずいてくれた。そうしてひと言、言った。



「わかった」



ーーーーーー



「僕は君に会いたいんだよ、サラ。今もこうして会えているけど、やっぱり実体で君に僕は会ってみたいんだ。そうするって、約束したしね?」



 僕はこんな風に話し始めた。



 (神妙な面持ちでうなずいてはくれたものの)ここまでを告げるとサラは、たちまち赤面した。僕は言葉を続けた。



「・・・そんで。次元の違うサラのところにたどり着くには、たぶんまた、すごく頑張ることになると思うんだ」



 左腕の外側を右手で軽く押さえながら、僕は言葉を探した。



「わからないことは、いっぱいあるんだろうけれども、なんていうか・・・。わかんないことはわかんない・・・って言葉を使って、諦めちゃったり・・・。その言葉を言い訳にしちゃったら、僕はサラのところまで、たどりつけないような気がしたんだよ・・・」



 ここまで言った後で、僕はサラ自身にも何か「制約」がかかっている可能性についてを思い出した。サラが自分を信じていないように感じたのは、これが原因だったような気がした。



「サラは、なんだか行動に制限がかかっちゃってるかもしれないんだよね? だから、サラがこっちの世界をめざすのを強制するつもりはなくて・・・えーっと・・・むしろ」



 途中で制約についてを思い出したことで、言葉が脱線しかけた。「むしろ」と言いながら、それを修正することにした。



「僕ってなんだかんだで、勇者だったしさ? 僕がサラのところまで、たどり着きたいんだよ・・・。僕はお姫様を助けにいく勇者でありたいんだよ。僕はサラにとっても、勇者でありたいんだ。それなら頑張れる気がするから・・・さ? それなら自分のペースでやれると思うから・・・。僕の方からサラに会いに行くから・・・。サラは、それを手伝ってくれる?」



 僕は自分の想いをサラに伝えた。



 カッコつけ通してやれ、と思ったわりには、突き抜けられていなかったような気はした。でも、なんとかうまく伝えられたような気もした。



 言葉を繋げていく間に自分の発した言葉で、自分自身がサラにとっても勇者でありたかったんだってことを知った。



・・・
・・・
・・・。



「なんかずりぃなぁ、ポチ公の分際で・・・」



 僕の言葉を聞いてサラはそんな悪態を吐いた。でも、そんなに言い方は強くなかった。



 それに・・・。



 僕が表現したとおりに(前みたいに)なんだかサラはお姫様みたいな顔をしていた。



「・・・わかった! これはこれで共創だ! 俺様もそっちに乗っかってやる!」



 次の瞬間には、サラは元気よく、こう答えてくれた。(やっぱり格好いいなって思った)



 ほんの少しした後で、小さな声で、サラはこう付け足した。



「・・・さぁたんとこまで・・・。ちゃんと、会いに来てね・・・」
「うん。約束するよ」



 女の子口調になったサラの言葉に、僕はしっかりと応えた。



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