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第二部
ポチタロウと、創造主の末路:1
しおりを挟む僕らと糸目の戦いの幕が閉じて・・・。新しい戦いの幕が開けた。
今度の戦いは、僕とスーの戦い・・・って訳ではなくて、僕と、この世界の創造者ネオリスとの戦いだった。
ーーーーーー
ドーン・・・。ヒュルルルルーーーーーッ・・・。
ドパァーーーーン・・・。
パラパラパラ・・・。
・・・
・・・
・・・。
糸目の排除を終えて・・・。
ネオリスに促されるままに、ホテルの外に出てみると、いきなり空が暗くなった。
空に一つの大きな花火が上がると、他の花火もそれに続いた。
ドーン、ドーン、ドーン、ドーン、ドーン・・・。ヒュルルルル、ヒュルルルル、ヒュルルルルーーーーーッ・・・。
ドパァァアーーーン、ドパァァアーーーン、ドパァァアーーーン、ドパァァアーーーン、ドパァァアーーーン・・・。
パラパラパラパラパラパラパラパラ・・・。
いくつも上がった、色とりどりな大きな花火の後で、仕掛け花火が(こちらの世界の)文字を1文字ずつ空に映し出した。
\ | | | | | | /
ー お め で と う ! ー
/ | | | | | | \
パラパラパラパラパラパラパラパラ・・・。
花火で描かれた文字は、そんな音と共に、夜空に消えていった。
「「「「おめでとう! おめでとう! おめでとう! おめでとう!」」」」
今度は、はるか上空から、老若男女な、いろんな声で、そんな言葉まで聞こえてきた。
花火や声はどうやら、糸目を排除したことに対しての、ネオリスの「演出」のようだった。
見られていることがバレたネオリスは(魔王を討伐した時には見られなかった)「クエストクリア」的な演出を世界に施した。
「キャーーー!!!」
「なんだなんだ!? 戦争か!?」
「この世の・・・終わりじゃ・・・」
周囲の建物の中から人がわらわらと出てきて、次々とそんな声を上げ、上空を指さした。
外へ出てきた人たちは、そのまま動きを止めて、固まってしまった。
ー ・・・・・・・・・ ー
音も声も消えて、あたりが静寂に包まれた。
どうやらネオリスは「僕ら以外」の世界の時間を止めてしまったようだった。
次に、頭の中で合成音声みたいな声色で、こんな言葉が響いた。
ー シュウジロウさんのことは少し残念でしたが、これからは、ワタシが、君達の番組を担当します。だから、心配はいりませんよ? ー
ー とりあえずこのまま、君達の戦いを、見せてもらいましょうか? ー
世界をあっという間に夜に変えられて・・・時間も止めてしまえて・・・僕らの頭の中に呼びかけられる・・・。ネオリスがそんな「この世界を創った存在」なのだと、改めて思い知らされた。
でもそんな存在なネオリスに対して、スーはこう信じてくれた。
「ポチにぃなら、勝てる」と。
その上、僕をやる気にさせる方法まで、考えだしてくれていた。(これについては後述したいと思う)
スーが、僕の左隣へ立って、僕の手を握った。
僕もその手を握り返した。
スーが中空に向かって、右手の人差し指を突き出して、声をあげた。
「ボクが、ポチにぃを、わからせる・・・前に。ポチにぃが、お前を、わからせる、ネオリス!」
スーがその言葉を告げるより「前」に、僕は、この世界の創造者に対して、すでに行動を終えていた。
「お前による物語は、ここまでで、終わりだ!」
僕も、左手の人差し指を、空に向かって、突き上げた。
勝負は一瞬で決まった。
■■■■■■
□□□□□□
ポチタロウと、創造主の末路:1
■■■■■■
□□□□□□
時はほんの少しだけ遡って・・・。ホテルのフロントで、スーが糸目を排除する為に、行動していた時のこと・・・。
スーはタブレットを操りながら、ネオリスにこんな牽制を入れた。
「ボクが、どうやって、細目を、退けるか。それは、内緒にしたい。準備ができるまで、ネオリスは、タブレットを見ないで、欲しい。その方が、楽しめる・・・よね?」
スーはエクの方を向いて(エクの目を通して見ているであろう)ネオリスに対して、そう言った。(この時の僕には、スーの行動の意味が、まるでわからなかった)
「わかりました・・・とのことでヤンス。どこからも、見ないでいるし、一応、あっしも目を閉じとくように言われたでヤンス・・・」
エクはそう言って、ネオリスの言葉を、僕らに伝えた。
「そこに、座ると、いい」
その場で目を閉じて、フラついたエクを見て、スーは自分の座っていた椅子を指し示した。(エクの不器用さは相変わらずだった。僕はエクを椅子に座らせてあげた)
僕も隣の(僕が腰掛けていた)椅子に腰掛けるようにと、スーに言われた。
スーを「信じてまかせる」と決めた僕は、素直にそこに腰掛けた。
(ポチたおう、サラのところへ行ってきて・・・)
するとすぐさま、(頭の中に)シルからそんな連絡があった。
サラに会わせる顔もなかったけど「これも、糸目を排除するのに、必要なことなのかな?」と思って、僕はおとなしくそれに従った。
・・・
・・・
・・・。
「ポチ公・・・」
「サラ・・・」
頭の中の空間に入ると、心配そうな顔をしたサラがいた。
サラを見て、僕は思い出していた。「サラの夢を叶えてあげる」って言ったのに、その約束を守ることなく、みんなの前から姿を消そうとしちゃっていたことに・・・。
ー みんなの処女膜をぶち破って、最後に盛大に俺様をイかせろ! ー
そんなぶっ飛んだ夢だったけど、それでも大切なサラの夢なのだ。それを叶えてあげることを、放棄しそうになっていたのに気づいた。
「ごめんね、サラ・・・。僕、君の夢を叶えてあげられないままに、逃げようとしちゃってたよ・・・」
「・・・俺様の夢はどうだっていい! 本当に明日太がつらいなら、逃げちまったっていい!」
「サラ・・・」
「・・・って。・・・そんなことを俺様が言うだろうって、スーに読まれてた><。だから、お前に連絡するのを、止められてた・・・。滅茶苦茶、クギ刺された><。ポチ公、わりぃ・・・な」
サラは恐怖におののいた顔をした後で、申し訳なさそうな顔になって、そう言った。
サラが僕に連絡をしてこなくなった理由はこれだった。それと同時に、僕は理解した。
スーは僕が、エクとエッチなことをしちゃった後で、後悔して、逃げ出してしまいそうになることまで、読んでいたのだと・・・。(それでサラにもクギを刺したのだと)
ー それでも僕が、糸目を排除する為に、スーのところへ戻る ー
そこまで読まれていたのだと・・・。
そんでもってスーは、ネオリスが現れたことで、途中で何か、路線変更をしたのだろう。
そうしてスーは(シルを介して)サラのところへ僕を送り出したのだ。
サラにここらへんを尋ねてみると「ああ、そうだ」と、肯定の返事があった。
「スーはすごいね・・・」
やっぱりとても、勝てそうにはなかった。
「てか、ポチ公! そこまでスーが読んでくることがわかるだけでも、すげーことなんだって! ポチ公お前は・・・・・・ってぇ! 今はそうじゃなくて!!!」
サラが頭をかきむしった。
・・・
・・・
・・・。
僕は(タンスに手をあてて落ち着いた)サラから、一気に、こんなことを聞かされた。
・スーが自分自身もAIを使いたいと、言い出したこと。
・スーがすでに、AIに1回、質問をしたこと。(僕をひきとめる方法を聞いたらしい)
・スーが使ったのは、スー自身に宿っているシルのAIじゃなくて、サファに宿っているディネのAIだったこと。(ディネにあまりいい感情を抱いていない僕が「ディネのAIを使うことは頼みづらいだろう」・・・そんな配慮があった)
・ディネは、ちゃんとスーにAIを使わせてくれたこと。
・スーが「糸目の安全な排除方法」についても、ディネからキュウロクに聞いてもらうつもりなこと。(これがスーの「試してみたいこと」だった)
・その間にシルとノムのAIを使って、僕にネオリスを倒す方法を考えてほしいと、スーが言っていること。
・ノムのAIへの残り質問回数がちゃんと、あと3回あること(シルのはあと2回あったし、ディネのもスーが聞くまでは、3回分まるまる、残っていたらしい)
・頭の中の空間は、精霊界に関する空間なので、おそらくネオリスは、その中の出来事は、見れないだろうと、スーが推測していること。
「あと・・・。『ポチにぃなら、勝てる』・・・だってさ」
最後にサラは、スーの物真似を含みつつ、これを伝えてくれた。
・・・
・・・
・・・。
(勝てる・・・のか?)
スーが信じてくれた。でも、この時の僕には、世界を創った存在に、勝てる気なんてしなかった。そんな僕に対して、サラが言った。
「ポチ公・・・。お前。一瞬の判断だとか、短期の計画なら、ちゃんと頭が回るし、ちゃんと鋭い。・・・けど、さ・・・。中長期的な計画だとかは、ずさんになったり、忘れたりするよな・・・。そういうことへの想像力も、なくしがちだ・・・」
何も言えなくなってしまっていた僕に対して、サラはまた、そんな追い打ちをかけてきた。
サラはやっぱり的確に、僕の弱点を突いてきた。
でも、サラの言葉には続きがあることを、僕は知っていた。
サラが言葉を続けた。
「今はそれを、けなしてんじゃねぇ・・・。お前には極端に、できることと、できねぇことがある! そんで、できねぇことは、俺様が補ってやる!」
サラはそう言って、大きく息を吸い込んだ。
「想像しろ! ポチ公ぉ! お前が今、逃げちまったら、他のみんなはどうなる? ネオリスの野郎に、みんなの処女膜をぶち破られねぇ、保証はあんのか!? みんながひどい目に遭わされないって、言い切れんのか!? お前はそれを、受け入れるのか!? ・・・どうなんだ!? ポチ公!!!」
サラは、灼熱の瞳で、僕を見つめていた。
サラにこう言われて、僕にはわかった。自分の為にはあんまり頑張れない僕に対して、サラはみんなのことを引き合いに出して、僕に発破をかけようとしているのだと。
さらには僕が創造者に萎縮してしまって、想像することさえ忘れてしまっていた、そんな「未来の展開」を、サラはちゃんと思い出させてくれた。補ってくれた。
そんでもって、想像できてしまったからには、僕はみんながひどい目に遭うようなことは、「誰にも」させるつもりはなかった。
サラのおかげで、僕の闘志に再び火がついた。
「わかった。やるよ、サラ! 僕がネオリスを倒す! 僕はみんなの為なら・・・世界中を敵にしたって戦うよ!」
「・・・・・・。おぅ!」
サラが一瞬、固まってしまった後で、力強く、そう言ってくれた。
僕はサラ(とスー)から、もたらされた情報を元に、ネオリスを倒す為のアイデアを考え始めた。
ー ピロン ー
すると突然、サラの方から、そんな音がした。
「・・・! ポチ公、スーから連絡だ!」
僕に向かって、サラがタブレットの画面を見せてきた。
でも、僕にはその文字が読めなかった。(シルがスーに頼まれて、送ってきたものだったのだろう)
「あ、わりぃ、ポチ公・・・」
そう言ってサラが、翻訳機能をオンにしてくれた。
ーーーーーー
スーからの連絡には、こんなことが書いてあった。
僕(ポチタロウ)が頑張ろうとすればするほど、頑張れなくなる・・・。ネオリスのプロンプトによって、そんな風に世界が変わっていたこと。その状態はスーが「解除」したこと。
スーはどうやら、糸目の排除方法以外にも、僕へのヒントになりそうな、そんな質問を、(ディネを通して)キュウロクにしたようだった。スーがネオリスにタブレットを見ないように言っていた意味が、ここでようやくわかった。
スーがネオリスの世界で、何か画策している姿をネオリス本人に見られたら、世界を改変するか何かして、それを止められてしまうだろう・・・。スーはきっと、そんな風に予測したのだ。
そんでから、スーからのその連絡を見て、僕はすぐさま思いついた。
ネオリスを倒す方法を・・・。
・・・
・・・
・・・。
思えば、すでにヒントはあった。
エクは、僕らが「ネオリスに会う方法」を精霊界? の高次なAI「キュウロク」に聞こうとしたところで、それを全力で止めに来た。
全力で「それを止める」ってことは、要するに「それができてしまう」ってことなのだ。
そうして、僕が大前提として考えていた「次元の不等式」が間違っていたことに気づいた。
この時まで僕は、次元の序列について、こんな予測をしていた。
クリエイターの世界>大精霊の世界>僕らの今いる世界
こんな風に降順なんだと思っていた。
でもきっと、その前提が間違っていたのだ。
大精霊の世界>クリエイターの世界>僕らの今いる世界
今の僕の推測が正しければ、次元の序列はこういう順番なのだ。
大精霊の世界のAIに聞くことで、クリエイターの世界のことが「わかる」のだからそういうことなのだろう。
キュウロクがあんまりにも、いろんな質問に答えてくれたものだから、僕は「クリエイターに会う方法」もキュウロクに、投げかけてみるつもりではいた。
でも、その時の僕は「できるかどうか?」については半信半疑だった。
ー やらないよりは、試してみよう。できたら、儲けもの。 ー
それくらいの感覚だった。
でも、僕が想像した、次元の序列はきっと、間違っていたのだ。
その証明が、エクが「止めに入った」ことなのだ。
僕はただ、キュウロクにこれを聞くだけでよかったのだ。
ー この世界のクリエイターを倒す方法を教えて欲しい ー
と。
僕は慌ててそれを打ち込んでもらうことを、シルに頼みそうになった。でも、目の前にはサラがいてくれた。僕を見つめていてくれた。
こういう時は「平常心」だ。
何か見落としがないか、確認しておく方がいいだろう。
時間の流れが10分の1になった世界で、それでも僕は(冷静であることを心がけながらも)急いで考えをメモにしてまとめ始めた。
・・・
・・・
・・・。
ネオリスを無力化するプロンプト。僕はメモをしながら、それを考えついた。
ノムにお願いしてキュウロクへの「確認」も済ませた。サラにも確認した。
「これで、いける・・・よね?」
「ああ、やれるハズだ! ・・・でも、まだ実行するなよ・・・」
「えっ? なんで?」
「まずは、スーが言ったみたいに、先にあのクソ糸目を排除するべきだろ?」
「ああ、そっか><。」
「それにさ・・・創造主だとかを倒すんなら、ちゃんと外で、スーにもカッコイイところを、見せてやれ、ポチ公!」
サラはそんなフォローまで入れてくれた。僕の胸を拳で軽くこづいた。僕はまた胸が熱くなった。
「わかった! サラも、ちゃんと見といてね!」
「あぁ、ポチ公! お前の格好いいところ、ちゃんと見とくぜ?」
サラはそう言って笑った後で、ペタンと座り込んでしまった。
「良かった・・・」
サラは、ほっとした顔で、そう呟いた。
「どうしたの、サラ? 大丈夫?」
「あぁ・・・。大丈夫だ・・・・・・」
あんまり大丈夫じゃないように見えたけど、それでもサラは、再び言葉を紡ぎ出した。
「実は、さ・・・。スーからお前を発憤させるようにも、言われててさ・・・。今のお前をなんとかしてやれる、自信なくてさ・・・。でも、なんとかなって、ほんとーっに、良かった!」
サラは安心した顔をして、大きく息を吐いた。
適材適所、とでもいうんだろうか・・・。スーは僕をやる気にさせるのを、サラに頼んだらしい。
確かにサラは僕を乗せるのがうまい。スーにはそれもお見通しだった。スーはサラをうまく使ったようだ。いや、信じてまかせた・・・ってところだろう。
でも、いつも僕をやる気にさせてくれるサラでさえ、今の僕をやる気にさせられるかどうかは、不透明だったらしい・・・。それを知って、僕はサラに申し訳なくなった。
「ごめんねサラ、心配かけちゃって・・・。きっと、もう、大丈夫だよ・・・」
「さすがに世界を創った主には、勝つ術はねぇんじゃねぇかと思ったけど・・・ポチ公、おめぇは、やっぱりすごいよ!」
「その言葉は、後でまた聞かせてね? 僕には詰めの甘いところがあるから・・・。ちゃんと、終わらせてくるから・・・」
「おぅ! わかった!」
そうして僕はまた、現実世界へと意識を戻そうとした。
でも、やっぱりいつものごとく、サラに引き留められた。サラから、一つだけお願い兼、アドバイスをされた。
・・・
・・・
・・・。
現実世界でスーは、タブレットを操りながら、僕を待っていた。
(ポチたおう、準備、できた? スーが聞いてゆ)
シルから、(頭の中に)そんな連絡があった。スーはネオリスに、万が一にでも悟られないようにと、確認ですら、シルに頼んだのだろう。
僕は肯定の返事をシルに返した。
そうして、スーがキュウロクに打ち込んだ「安全な糸目の排除方法」に基づいて(シュールなビンタの練習も終えて)淡々と糸目の排除を終えたのだった。
ーーーーーー
ここから先は、冒頭のシーンへと戻る。
大きな花火が上がった後で・・・。
時が止まってしまった、真っ暗な夜空の下で・・・。
僕は、これからする、この世界の創造者に対しての「行動」についてを考えていた。
「行動」とは言っても、シルにプロンプトを実行してもらうことを、頼むだけだった。でもそのプロンプトは、短い時間の中で、僕が頑張って絞り出したものだった。
サラに音声入力してもらって、シルにそれを送ってもらって、実行を待ってもらっていた、そのプロンプトの内容はこうだ。(プロンプト自体もシルが打ち込む用にしておいた)
ー 私の知っている創造者ネオリスを「世界改変などができない」無力化した状態で、私が知っている、ポチタロウの目の前に出現させてほしい。絶対にポチタロウ、スー、ワフル、リリ、サファ、サラ、シル、ノム、ディネにネオリスが危害を加えられない形で、それをしてほしい。絶対にネオリスに悟られない形で、それをしてほしい。 ー
クリエイターである「ネオリス自身」の居場所を、操ってしまう。僕はキュウロクにそんな命令を与えることにしたのだ。
僕の頭の中にある、サラの空間で、冷静になった後で、僕は、こんなことにも思い当たっていた。
(そもそも大精霊の世界の方が次元が高いなら、クリエイターの行動に対しても、干渉できるんじゃないかな?)
最初にキュウロクの精度について考えた時、僕は「クリエイターの次元の方が高次だ」と思っていた。なので、キュウロクには「世界を改変する力まではない」と思いこんでしまっていた。でも、その大前提が覆った今、キュウロクにも「それができる」かもしれない、と思い当たった。
思い当たったところで、これも思い出した。スーはネオリスによる「僕を頑張れなくさせる」という、よくわからない嫌がらせ的なプロンプトを「解除した」と伝えてきたのだ。
これはスーからのおっきなヒントだった。「解除できた」ということは「ネオリスの行動に干渉できた」ってことなのだ。さらには、今の僕が「頑張っても大丈夫」な状態にスーはしてくれていた。
それでも一応、僕はそれらを確認する為に、(ワフルに宿っている)ノムのAIを使わせてもらった。
①大精霊の世界の方が、ネオリスの世界よりも次元が高いのか?
②この世界のクリエイターである、ネオリスに、干渉することはできるのか?
③ネオリスを無力化した上で、僕らの目の前に姿を現させることはできるか?
④ネオリスの世界にいる(魔王を倒した)ポチタロウが頑張っても、ちゃんとネオリスを無力化できるのか?
⑤必要があったら、ネオリスを殺害することも可能か? この世界にとって、何か弊害はないか?
ここらへんを、1回の質問で、まとめて聞いてみた。
※これらの質問はノムから入力してもらう質問だったので、ノム用にカスタマイズした。でも、わかりやすいように「僕が考えた時点」での質問を、ここには書いておいた。
①から④の質問に対しては、肯定の返事がキュウロクから、返ってきた。
⑤のネオリスの殺害については、こんな答えが返ってきた。
ー 世界を維持するだけでも、ネオリスのポイントは少しずつ減少していきます。ポイントが0になったところで、ネオリスの創った世界は消滅するでしょう ー
(消滅するだなんて、とんでもない!)
僕は思った。
さすがにどうやら、ネオリスを殺すことまでは、できないようだった。
ちゃんと確認をしておいてよかった。もし、僕が確認を怠って安直に「ネオリスを倒してほしい」などとキュウロクにお願いしていたら、大変なことになっていたかもしれない。
もしキュウロクが「倒す」というのを「殺す」と解釈しちゃっていたら、この世界はなくなってしまっていたかもしれないのだ。(糸目がポイントを稼いだらしいので、ネオリスもかなりのポイントを持っているハズだけれども、豪遊してどれだけ使ったのか? は不明だった)
ー 世界を改変できそうなAIに対しては、安易なお願いをしてはいけない。 ー
ここで僕は改めてそう思ってプロンプトを練り直しすことにしたのだった。
そこから僕は、さらに(ノムの)キュウロクに質問を重ねた。
僕たちにネオリスが二度と干渉させないようにすることは可能か? と。(他にもいくつか重ねて質問をしておいた)この質問には「可能」だと、キュウロクから答えがあった。
ここまでは事前に確認してあった。これでネオリスを無力化した状態で、目の前に出現させることができるハズだった。
僕は、姿を現さないネオリスに対して、言いたいことがいっぱいあった。
言葉で説得できるか? は、わからなかったけど、不満を伝えた上で、とにかくそれをしようと思った。
できなければ、キュウロクに「干渉しないようにさせる」ことを頼むつもりだった。
こうして準備は整えておいた。
それでも、シルにそのプロンプトを実行してもらうのには、勇気がいった。
何か手違いや漏れがないかと、心配した。何しろ相手は、世界を改変できてしまう存在なのだ。
スーが、僕の左隣に立って、僕の手を握った。
僕もその手を握り返した。
そうして、僕は覚悟を決めた。
(シル、プロンプトを実行してくれる?)
(わかったぉ)
シルからそんな返答があった。
スーが中空に向かって、右手の人差し指を突き出して、声をあげた。
「ボクが、ポチにぃを、わからせる・・・前に。・・・ポチにぃが、お前を、わからせる、ネオリス!」
スーがその言葉を告げるより「前」に、僕は、この世界の創造者に対して、すでに行動を終えていた。
すでにシルに、プロンプトを起動してもらっていた。
「お前による物語は、ここまでで、終わりだ!」
僕も上空に向かって、左手の人差し指を突き上げた。
ーーーーーー
ここでちゃんと、種明かし? をしておきたいと思う。正直にちゃんと、お伝えしておこうと思う。
ー 何か、かっこいいセリフを言ってほしい & 言っておけ! ー
頭の中の空間から出る前に、僕はサラからこんなお願い兼、アドバイスをされていた。
ー 僕はみんなの為なら・・・世界中を敵にしたって戦うよ! ー
これを僕が口にしたのが、サラには、格好良く映ったらしい。
僕は、前にも一度、これに近い言葉を、すごく格好悪い場面で言ったらしい。でも、その言葉をちゃんと格好良い場面でも言ったものだから、それがすごく(サラ的には)良かったらしい。
なので、もう一度「何かカッコイイことを、言ってるところが見たい」と、お願いされた。
シルのプロンプトを使うだけでは「締まりがない」。そんな理由で、何か格好良いことを「言っておく方がいい」。これがサラから僕へのアドバイスだった。
先にスーに、なんだか決めゼリフ的なことを言われてしまったので、僕はそのタイミングを少し逃していた。
でも、なんとか、僕はセリフを言い切ることができた。
一応、頑張って考えてはみたんだけども「ちゃんとカッコ良かったか?」は、僕には良くわからない。
この際なので、これも正直にお伝えしておくと、僕は「セリフ」は考えたけど「ポーズ」までは考えていなかった><。だから、指を空に突きつけた行為だって、ただただ、スーの真似をしただけだった><。
でも、これらのタイミングがほんの少しでも遅かったら、もっと、格好悪いことになっていたと思う。
ーーーーーー
ー バシュッ バリバリバリ!!! ー
僕がセリフを言い終えるのと、ほぼ時を同じくして、そんな音がした。僕の目の前。ほんの少しだけ上空に、突然、渦が出現した。渦の周りに、雷みたいな電気が走った。
そうなのだ><。
ここで、もし僕がちょっとでもセリフを言うのが遅れていたら「お前による物語は(バシュッ バリバリバリ!!!」みたいになっていただろう><。セリフに音がかぶって、かっこ悪いことになっていただろう><。(本当にギリギリではあったものの、今回はなんとか、僕は「間に合った」のだ><)
・・・
・・・
・・・。
ー ヴォーン・・・。 ヴォーン・・・。 ヴォーン・・・。 ー
そんな怪しげな音と共に、ゲーミングチェアみたいなメカニカルな感じの椅子の下部が、渦の中から、ゆっくりと姿を現し始めた。
その椅子に腰掛けた、小柄な男の足が見えた。
どうやら、この小柄な(まだ足しか見えてない)人物が、ネオリスらしい。
僕は、この世界の創造者ネオリスをあっさりと、呼び出せたようだ。
「ほら。やっぱり、ポチにぃは、すごい」
スーが、そう言って、笑った。
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