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ウインティア王国編
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~ルフランの執務室~
「あれから彼女引き籠もりになっちゃったようだね」
「「やっと静かになりました」」
「やはり学園に来ていなかったのか」
「仕方ないよね。僕たちが何もしなくてもマナーも礼儀も守れない令嬢なんて学園に居場所がなくなるのは当然だよ」
あとはあの両親だな。
レイが面白いこと言っていたな。
"働かざる者食うべからず"前世で使われていた言葉だそうだ。
人任せで働かないそんな当主ならいらない。
あとはこの書類と、あの兄の書類があれば貴族院でもスムーズに話が進むはずだ。
「それより兄上気になることがあるのでしょう?」
「・・・ああ」
「セルティ嬢のことですか?」
「いや、アイツはまだ動いてない」
「マイですか?」
「あの女は眼中に無いが・・・アランがいるから心配はしていない」
「遠慮なく言っていただいて結構ですよ」
これは気付いているな。
「ゾルティーお前の婚約者候補だが・・・」
「ああ、野心があり過ぎるのも問題ですね」
「気に入った令嬢がいるとは思わないが、多少の交流はあったのだろう?」
「いえそれ程ありませんよ。切り捨てる存在と親しくするほど暇ではないので」
相変わらずキツイな。
「彼女たちの中には王族に嫁ぐのに必要なものを既に失っている者もいますからね」
それも知っていたか。
「・・・それなのに候補のままにしているのは・・・やはりお前は賢いな」
「そろそろ動きますか?」
「ああ、グレイとザック影を紹介する。お前たちは影の仕事を学べ!」
「「はっ」」
コイツらは王家の裏の部分を知っていた方がいい。
何れコイツらに任せるようになるからな。
「アラン、マイがレイの過去を調べさせた。分かっているな?」
「任せて下さい」
待っていたようだな。
アランの黒い笑顔も久しぶりに見たな。
これでレイは心配ない。
「ガルお前はエリーから目を離すな。必ず守りきれ信じているぞ」
「はい!命にかえても!」
嬉しそうだなガル。
お前もいい目をするようになった。
これで爵位を失う者と降爵する家門があるが、見せしめには丁度いい。
腐った膿は早めに出した方がこの国のためだ。
~リーゼ・ライベルン侯爵令嬢視点~
何度止めても私の言葉はフィリアには届かない。
両親までが持ち上げるからフィリアがどんどん調子に乗ってしまう。
それでも家督を継ぐ兄のためにもフィリアを止めなければならない。
学園内でフィリアの令嬢らしからぬ行動に、フィリアの評判が下がってきた頃、真っ青な顔でフィリアが帰ってきた。
「フィリア何かあったの?」
「煩い!黙りなさいよ出来損ないのくせに!」
顔を歪めて怒鳴るフィリアだけど、こんな子じゃなかった。
本当に可愛い妹だったのよ。
幼い頃は末っ子特有のワガママはあったけれど、言い聞かせればちゃんと分かる子だったのに・・・。
野心から兄と私の教育に力を入れるようになった両親は、どんどん厳しい教育にエスカレートしていった。
その厳しい教育を見ていたフィリアが泣いて両親に縋った時からフィリアが変わった。
家庭教師が来る度に泣いて嫌がるフィリアに末っ子には甘くなるのか、両親は私たちのように無理やり教育を受けさせようとはしなかった。
それからだ、フィリアは泣くことで嫌なことから逃げるようになったのは。
泣けば思い通りになると理解したフィリアは、自己中心的になっていった。
そのうちお兄様のことも私のことも見下すようになった。
このままでは将来困ることになると説いても見下している私達の言葉はフィリアには届かなかった。
そして、真っ青な顔で帰ってきてからフィリアは学園に通うのをやめた。
理由を聞いても怒鳴るだけで話にならない。
そのうち物を投げてくるようになった。
学園で私を意地悪な姉だと噂していた人たちが擦り寄ってきても今更だ。
意外と人の目を気にせず一人でいる方が気楽だと気づいた頃、王宮からお父様とお兄様にお呼びがかかった。
結果、お父様がお兄様に家督を譲る事になった。
お父様はお母様と結婚してから一度も領地に視察にも行かず王都の邸で自由に過ごしていた。
領地で領主代行として取り仕切っていたのはお父様の弟。私たちの叔父様だった。
お父様はお兄様が学園を卒業するまでは毎年夏になると私とお兄様を領地に視察の勉強だと追いやっていた。
嫌な顔一つ見せない優しい叔父様夫婦は領民からも信頼されている立派な人たちだ。
今まで私たち家族が生活出来ていたのは叔父様のお陰なのにお父様は実の弟をバカにしていた。
私だってお父様を賢い人だとは思っていなかったが、まさか書類仕事さえ人任せだとは思いもしなかった。
何もかも執事に任せっきりだった。
執事が善人でよかった。
悪い人なら侯爵家を乗っ取られていたかもしれない。
それ程お父様は愚かだった。
お兄様が用意した書類の他に、ルフラン殿下が調べた書類で両親の処罰が決まったそうだ。
お父様とお母様は領地で幽閉。
もう、ここには戻ってこない。
駄々を捏ねていたお母様もお父様の「領地が嫌なら強制労働行きになるぞ」の一言で渋々頷いた。
これは貴族院から出された罰だ。
20年以上働かず、侯爵家当主の恩恵だけを貪っていたと判断されたからだ。
意外だったのはフィリアだった。
自分から両親と領地に引き籠もると言ったのだ。
「お兄様、お姉様今までごめんさい」と泣くのを耐えて領地に向かう馬車に乗り込むフィリアには反省の色が見えた。
まだフィリアは15歳。
いくらでもやり直しは出来る。
お兄様と相談してフィリアの元に家庭教師を送った。
"立派な淑女になって戻ってきなさい"そう手紙を預けて・・・。
後日、ランチをしている皆さまに「ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした」と頭を下げる私に「よく頑張ったわね。これから貴女は自由よ。なんでも出来るし何にでもなれるわ」そう言って微笑んでくれたウォルシュ嬢を見て決めた。
王太子妃になるウォルシュ嬢の侍女になりたい。
今まで耐えてきた厳しい教育を無駄にはしない。
ウォルシュ嬢の心に寄り添えられる侍女を目指す。
それがルフラン殿下に対するお礼にもなると信じて・・・。
「あれから彼女引き籠もりになっちゃったようだね」
「「やっと静かになりました」」
「やはり学園に来ていなかったのか」
「仕方ないよね。僕たちが何もしなくてもマナーも礼儀も守れない令嬢なんて学園に居場所がなくなるのは当然だよ」
あとはあの両親だな。
レイが面白いこと言っていたな。
"働かざる者食うべからず"前世で使われていた言葉だそうだ。
人任せで働かないそんな当主ならいらない。
あとはこの書類と、あの兄の書類があれば貴族院でもスムーズに話が進むはずだ。
「それより兄上気になることがあるのでしょう?」
「・・・ああ」
「セルティ嬢のことですか?」
「いや、アイツはまだ動いてない」
「マイですか?」
「あの女は眼中に無いが・・・アランがいるから心配はしていない」
「遠慮なく言っていただいて結構ですよ」
これは気付いているな。
「ゾルティーお前の婚約者候補だが・・・」
「ああ、野心があり過ぎるのも問題ですね」
「気に入った令嬢がいるとは思わないが、多少の交流はあったのだろう?」
「いえそれ程ありませんよ。切り捨てる存在と親しくするほど暇ではないので」
相変わらずキツイな。
「彼女たちの中には王族に嫁ぐのに必要なものを既に失っている者もいますからね」
それも知っていたか。
「・・・それなのに候補のままにしているのは・・・やはりお前は賢いな」
「そろそろ動きますか?」
「ああ、グレイとザック影を紹介する。お前たちは影の仕事を学べ!」
「「はっ」」
コイツらは王家の裏の部分を知っていた方がいい。
何れコイツらに任せるようになるからな。
「アラン、マイがレイの過去を調べさせた。分かっているな?」
「任せて下さい」
待っていたようだな。
アランの黒い笑顔も久しぶりに見たな。
これでレイは心配ない。
「ガルお前はエリーから目を離すな。必ず守りきれ信じているぞ」
「はい!命にかえても!」
嬉しそうだなガル。
お前もいい目をするようになった。
これで爵位を失う者と降爵する家門があるが、見せしめには丁度いい。
腐った膿は早めに出した方がこの国のためだ。
~リーゼ・ライベルン侯爵令嬢視点~
何度止めても私の言葉はフィリアには届かない。
両親までが持ち上げるからフィリアがどんどん調子に乗ってしまう。
それでも家督を継ぐ兄のためにもフィリアを止めなければならない。
学園内でフィリアの令嬢らしからぬ行動に、フィリアの評判が下がってきた頃、真っ青な顔でフィリアが帰ってきた。
「フィリア何かあったの?」
「煩い!黙りなさいよ出来損ないのくせに!」
顔を歪めて怒鳴るフィリアだけど、こんな子じゃなかった。
本当に可愛い妹だったのよ。
幼い頃は末っ子特有のワガママはあったけれど、言い聞かせればちゃんと分かる子だったのに・・・。
野心から兄と私の教育に力を入れるようになった両親は、どんどん厳しい教育にエスカレートしていった。
その厳しい教育を見ていたフィリアが泣いて両親に縋った時からフィリアが変わった。
家庭教師が来る度に泣いて嫌がるフィリアに末っ子には甘くなるのか、両親は私たちのように無理やり教育を受けさせようとはしなかった。
それからだ、フィリアは泣くことで嫌なことから逃げるようになったのは。
泣けば思い通りになると理解したフィリアは、自己中心的になっていった。
そのうちお兄様のことも私のことも見下すようになった。
このままでは将来困ることになると説いても見下している私達の言葉はフィリアには届かなかった。
そして、真っ青な顔で帰ってきてからフィリアは学園に通うのをやめた。
理由を聞いても怒鳴るだけで話にならない。
そのうち物を投げてくるようになった。
学園で私を意地悪な姉だと噂していた人たちが擦り寄ってきても今更だ。
意外と人の目を気にせず一人でいる方が気楽だと気づいた頃、王宮からお父様とお兄様にお呼びがかかった。
結果、お父様がお兄様に家督を譲る事になった。
お父様はお母様と結婚してから一度も領地に視察にも行かず王都の邸で自由に過ごしていた。
領地で領主代行として取り仕切っていたのはお父様の弟。私たちの叔父様だった。
お父様はお兄様が学園を卒業するまでは毎年夏になると私とお兄様を領地に視察の勉強だと追いやっていた。
嫌な顔一つ見せない優しい叔父様夫婦は領民からも信頼されている立派な人たちだ。
今まで私たち家族が生活出来ていたのは叔父様のお陰なのにお父様は実の弟をバカにしていた。
私だってお父様を賢い人だとは思っていなかったが、まさか書類仕事さえ人任せだとは思いもしなかった。
何もかも執事に任せっきりだった。
執事が善人でよかった。
悪い人なら侯爵家を乗っ取られていたかもしれない。
それ程お父様は愚かだった。
お兄様が用意した書類の他に、ルフラン殿下が調べた書類で両親の処罰が決まったそうだ。
お父様とお母様は領地で幽閉。
もう、ここには戻ってこない。
駄々を捏ねていたお母様もお父様の「領地が嫌なら強制労働行きになるぞ」の一言で渋々頷いた。
これは貴族院から出された罰だ。
20年以上働かず、侯爵家当主の恩恵だけを貪っていたと判断されたからだ。
意外だったのはフィリアだった。
自分から両親と領地に引き籠もると言ったのだ。
「お兄様、お姉様今までごめんさい」と泣くのを耐えて領地に向かう馬車に乗り込むフィリアには反省の色が見えた。
まだフィリアは15歳。
いくらでもやり直しは出来る。
お兄様と相談してフィリアの元に家庭教師を送った。
"立派な淑女になって戻ってきなさい"そう手紙を預けて・・・。
後日、ランチをしている皆さまに「ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした」と頭を下げる私に「よく頑張ったわね。これから貴女は自由よ。なんでも出来るし何にでもなれるわ」そう言って微笑んでくれたウォルシュ嬢を見て決めた。
王太子妃になるウォルシュ嬢の侍女になりたい。
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