118 / 122
ウインティア王国編
118
しおりを挟む
エリーの妊娠が発覚してから世間への公表は思っていたより早かった。
これは気付くのが遅かったのが原因だ。
公表する頃にはエリーのお腹は少し膨らんでいた。
意外なことにエリーには悪阻がなく、医師からも順調だと言われている。
妊娠が発覚してから毎日エリーの腹の子に声をかけるのは父親として当然だ。
いつものように手を添えてエリーの腹の子に話しかけていると、手のひらに何かが当たった。
エリーも「いま動いた!」と驚いたような、感動したような顔で俺と目が合う。
やはり、気の所為ではなく我が子の手か足が俺の手に当たったのだ。
俺とエリーの子がここで(腹の中)生きている。
言い知れぬポカポカと暖かい気持ちが湧き上がってくる。
妊娠6ヶ月を過ぎた頃に医師から双子だと知らされた。
何となくそんな気はしていたんだ。
6ヶ月にしてはエリーの腹は大きいし、両手を当ててもどちらの手にも我が子の手足が当たるからな。
これで嬉しさも倍だ。
俺はエリーの妊娠が分かった時から妊娠に関する本を読み漁ったからな。
今はエリーと一緒に育児書を読みながら夜を過ごしている。
子供部屋になる予定の部屋はすでに物で溢れかえっていたが、もう一部屋用意することにした。
王家にとっても、ウォルシュ家にとっても初孫になる俺たちの子の妊娠は両家の親を舞い上がらせてしまった。
父上と母上は忙しい公務の間にカタログを眺めるのが日課になっているし、ウォルシュ夫妻は海外から、どんどん子供用品を送ってくる。
ウォルシュ家はエリーの妊娠に舞い上がっていたが、その2週間後にはレイの妊娠も発覚した。
『うちは2年は2人の時間を楽しむつもりですよ』
ドヤ顔で言っていたアランが俺の執務室に満面の笑みで出勤してくるなり『我が家にも天使が生まれるんです!』と言った。
俺とガルのシラケた視線も気にせず目の前で父上と母上の執務室にあるカタログと同じものを広げていた。
これが"舌の根も乾かぬうちに"ってやつか?
エリーとは違い、レイは悪阻がかなりきついようで妊娠もレイの体調不良から発覚したらしい。
『僕はレイの体調次第で休暇を取りますから!』
もちろんそれは許可を出した。
宣言通り、アランから休みを取る連絡がくるが、昼頃になるとしょんぼりしたアランが出勤して来るのも恒例になっていた。
レイに『悪阻は病気じゃない!仕事に行け!』と追い出されるそうだ。
そして、いつ産まれてもおかしくない時期になると、腰がかなり痛いよで時間さえあればエリーの腰を擦るようになった。
夜は俺が後ろから抱きしめて手を腹に添えて寝ているが、元気な子供たちなのだろう。
大人しく寝ているのかと思えば、突然ボコボコと蹴ってくる。
「こらこら母様が寝ているんだぞ。お前たちも寝なさい」これが毎晩の口癖になりそうになった頃、とうとうエリーに陣痛がきた。
まだ夜も明けてない時間だ。
出産に関する本も頭に入っている。
すぐに産まれることはないことも分かっている。
特に初産は時間がかかることも。
だが、エリーから離れられない。
傍にいても腰を擦ること、手を握ること、励ますことしか男にはできない。
まだ痛みの間隔は10分以上あるが・・・
「ルフィまだ産まれないから大丈夫よ。痛みの間隔が短くなったら呼んでもらうから、それまでは仕事に行って」
「俺はずっとエリーのそばにいるから安心しろ」
「ダメよ。ルフィには仕事があるでしょ。貴方は次期国王になるのよ。優先順位を間違えないで」
ピシャリと言われて寂しいとは思ったが、さすが俺の嫁だと誇らしくも思う。
「・・・分かった。行ってくる」
「ええ、行ってらっしゃい」
エリーの額にキスを落としてから部屋から出た。
医師には何かあればすぐに知らせることを伝えて執務室に急いだ。
少しでも早く仕事を終わらせ、エリーの元に行くつもりだ。
出勤してきたアランとガルにエリーに陣痛がきたことを伝えれば、2人も何時もよりもペースを上げてくれた。
今は何分間隔なんだろう?
集中力を切らせば、すぐにエリーの元に行きたくなる。
だが仕事を途中で放り出せばきっとエリーに怒られる。
今日の分が終わり、アランとガルが行ってこいと言ってくれるが、先程報告に来たエリーの専属侍女からは間隔が6分になったと教えられたばかりだ。
1人で痛みを耐えるエリーを想像するとすぐにでもエリーの元に行って何も出来ずとも支えになってやりたい。
気は焦るが、まだ大丈夫だ。
「悪いが明日以降の分も今日すませる。付き合ってくれ」
2人とも何か言いたげではあるが、付き合ってくれた。
かなり前倒しが出来たところに、侍女がそろそろ産まれそうだと伝えに来た。
エリー、エリー・・・
走ってエリーの元に向かう。
待機室にはすでに父上と母上とゾルティー。
大きくなった腹のレイに、前ウォルシュ夫妻と現ウォルシュ夫妻エリーの両親が待っていた。
ソワソワ落ち着きのない父上を母上が諌め、エリーの父親も同じように妻に叱られている。
後ろから、アランとガルも追ってきていた。
『産まれそうだ』と伝えられて待機室に来てから2時間経っている。
いつの間にかグレイとザックも来ていたようだ。
こんな時男親は何も出来ないんだな。
エリーと子供たちが無事ならそれでいい。
エリー頑張ってくれ!
子供たちも頑張れ!
お願いだ。
無事に産まれてきてくれ。
これは気付くのが遅かったのが原因だ。
公表する頃にはエリーのお腹は少し膨らんでいた。
意外なことにエリーには悪阻がなく、医師からも順調だと言われている。
妊娠が発覚してから毎日エリーの腹の子に声をかけるのは父親として当然だ。
いつものように手を添えてエリーの腹の子に話しかけていると、手のひらに何かが当たった。
エリーも「いま動いた!」と驚いたような、感動したような顔で俺と目が合う。
やはり、気の所為ではなく我が子の手か足が俺の手に当たったのだ。
俺とエリーの子がここで(腹の中)生きている。
言い知れぬポカポカと暖かい気持ちが湧き上がってくる。
妊娠6ヶ月を過ぎた頃に医師から双子だと知らされた。
何となくそんな気はしていたんだ。
6ヶ月にしてはエリーの腹は大きいし、両手を当ててもどちらの手にも我が子の手足が当たるからな。
これで嬉しさも倍だ。
俺はエリーの妊娠が分かった時から妊娠に関する本を読み漁ったからな。
今はエリーと一緒に育児書を読みながら夜を過ごしている。
子供部屋になる予定の部屋はすでに物で溢れかえっていたが、もう一部屋用意することにした。
王家にとっても、ウォルシュ家にとっても初孫になる俺たちの子の妊娠は両家の親を舞い上がらせてしまった。
父上と母上は忙しい公務の間にカタログを眺めるのが日課になっているし、ウォルシュ夫妻は海外から、どんどん子供用品を送ってくる。
ウォルシュ家はエリーの妊娠に舞い上がっていたが、その2週間後にはレイの妊娠も発覚した。
『うちは2年は2人の時間を楽しむつもりですよ』
ドヤ顔で言っていたアランが俺の執務室に満面の笑みで出勤してくるなり『我が家にも天使が生まれるんです!』と言った。
俺とガルのシラケた視線も気にせず目の前で父上と母上の執務室にあるカタログと同じものを広げていた。
これが"舌の根も乾かぬうちに"ってやつか?
エリーとは違い、レイは悪阻がかなりきついようで妊娠もレイの体調不良から発覚したらしい。
『僕はレイの体調次第で休暇を取りますから!』
もちろんそれは許可を出した。
宣言通り、アランから休みを取る連絡がくるが、昼頃になるとしょんぼりしたアランが出勤して来るのも恒例になっていた。
レイに『悪阻は病気じゃない!仕事に行け!』と追い出されるそうだ。
そして、いつ産まれてもおかしくない時期になると、腰がかなり痛いよで時間さえあればエリーの腰を擦るようになった。
夜は俺が後ろから抱きしめて手を腹に添えて寝ているが、元気な子供たちなのだろう。
大人しく寝ているのかと思えば、突然ボコボコと蹴ってくる。
「こらこら母様が寝ているんだぞ。お前たちも寝なさい」これが毎晩の口癖になりそうになった頃、とうとうエリーに陣痛がきた。
まだ夜も明けてない時間だ。
出産に関する本も頭に入っている。
すぐに産まれることはないことも分かっている。
特に初産は時間がかかることも。
だが、エリーから離れられない。
傍にいても腰を擦ること、手を握ること、励ますことしか男にはできない。
まだ痛みの間隔は10分以上あるが・・・
「ルフィまだ産まれないから大丈夫よ。痛みの間隔が短くなったら呼んでもらうから、それまでは仕事に行って」
「俺はずっとエリーのそばにいるから安心しろ」
「ダメよ。ルフィには仕事があるでしょ。貴方は次期国王になるのよ。優先順位を間違えないで」
ピシャリと言われて寂しいとは思ったが、さすが俺の嫁だと誇らしくも思う。
「・・・分かった。行ってくる」
「ええ、行ってらっしゃい」
エリーの額にキスを落としてから部屋から出た。
医師には何かあればすぐに知らせることを伝えて執務室に急いだ。
少しでも早く仕事を終わらせ、エリーの元に行くつもりだ。
出勤してきたアランとガルにエリーに陣痛がきたことを伝えれば、2人も何時もよりもペースを上げてくれた。
今は何分間隔なんだろう?
集中力を切らせば、すぐにエリーの元に行きたくなる。
だが仕事を途中で放り出せばきっとエリーに怒られる。
今日の分が終わり、アランとガルが行ってこいと言ってくれるが、先程報告に来たエリーの専属侍女からは間隔が6分になったと教えられたばかりだ。
1人で痛みを耐えるエリーを想像するとすぐにでもエリーの元に行って何も出来ずとも支えになってやりたい。
気は焦るが、まだ大丈夫だ。
「悪いが明日以降の分も今日すませる。付き合ってくれ」
2人とも何か言いたげではあるが、付き合ってくれた。
かなり前倒しが出来たところに、侍女がそろそろ産まれそうだと伝えに来た。
エリー、エリー・・・
走ってエリーの元に向かう。
待機室にはすでに父上と母上とゾルティー。
大きくなった腹のレイに、前ウォルシュ夫妻と現ウォルシュ夫妻エリーの両親が待っていた。
ソワソワ落ち着きのない父上を母上が諌め、エリーの父親も同じように妻に叱られている。
後ろから、アランとガルも追ってきていた。
『産まれそうだ』と伝えられて待機室に来てから2時間経っている。
いつの間にかグレイとザックも来ていたようだ。
こんな時男親は何も出来ないんだな。
エリーと子供たちが無事ならそれでいい。
エリー頑張ってくれ!
子供たちも頑張れ!
お願いだ。
無事に産まれてきてくれ。
508
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ
夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」
華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!
婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?
パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。
しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。
全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。
さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。
“私さえいなくなれば、皆幸せになれる”
そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。
一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。
そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは…
龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。
ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。
よろしくお願いいたします。
※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる