【完結】婚約者を奪われましたが、彼が愛していたのは私でした

珊瑚

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結論から言うと、スチュアート侯爵家は消滅した。

あの後連行された侯爵家一同は、護送中の馬車でも勢いを失わず、国王陛下の代理として来た兵士に罵詈雑言を浴びせ続けたと言う。彼もよく訓練された兵士だ。彼らの言葉にいちいち反応するのも馬鹿らしいと右から左へと聞き流しており、逆上したりするような愚かなことはしなかったのだが、その何処吹く風とでも言いたげな彼の様子に、侯爵家の面々が逆ギレしたらしい。ヒートアップしていく罵倒をしかし、彼は国王からの命令により、全て録音していた。侯爵家で彼らを取り押さえてすぐ口にした警告もきっちりと録音されていた。

元々彼らには、国家反逆罪及び謀反の疑いが掛かっていた。そこへ、国王の代理としての兵士、つまり国王へ罵詈雑言を並べたと見なされ、侮辱罪、公務執行妨害諸々、様々な現行犯での罪状が証拠を伴って雪だるま式に追加され、彼らは言い逃れの出来ない状態で謁見の間に引きずり出された。

謁見の間には国王、王妃、王太子がおり、本来彼らの許しが出るまで声を発することは許されないのだが、ギルバートの姿を認めた瞬間、拘束されていた筈のクラリスが渾身の力をもって拘束具を引きちぎり、ギルバートに向かって駆け出した。罪人とはいえ、一応まだ侯爵令嬢の身分である彼女に貴族としての常識を期待し、令嬢の柔肌に痕が残らないように、との僅かながらの気遣いが仇となったのだ。


「ギルバートさまぁ……!!!」

そう言って彼の足元に縋り着いたクラリスは、必死の形相だ。


「お助け下さいませ、ギルバートさま!突然わが家に兵士が来たかと思ったら乱暴にここまで連れてこられて……。きっとなにかの間違いですわよね?わたくし、ギルバートさまが助けてくださると信じておりましたの!まだ今なら私も怒っておりませんので」
「この女の口を塞げ。」


彼に身体を擦りつけながら必死にそう言い募るクラリスは自分が可愛らしく見えるようにと、上目遣いでギルバートを見つめていたが、必死さが滲み出ているそれは鬼のような形相に見え、酷く目障りなものだった。
そんな彼女に一瞥もくれず、ギルバートは近くに控えていた近衛兵にそう命じると、酷くつまらなさそうに溜息をついた。
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