【完結】婚約者を奪われましたが、彼が愛していたのは私でした

珊瑚

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そんなギルバートの様子が信じられないクラリスは、押さえつけられてなお、もがき続けている。
だが、ギルバートに言わせれば普段の非常識さ、無能さで言えばクラリスと遜色のない侯爵夫妻も、流石にあまりの娘の非常識さに空いた口が塞がらないようだ。
あまりの情報量に頭が回っていなかった彼らだが、ふとあることに気がついたようだ。


「お姉様はどこ……?」

取り押さえてなお喋っているクラリスの声にハッとする侯爵夫妻だが、勿論許しが出ていないので話すことはできない。
そこで国王がやっと動いた。


「お前達には様々な容疑がかかっている。……心当たりがあるな?侯爵。」
「い……いえ……何のことだかさっぱり……。それよりアイリーンは「ほう。」」
「陛下の問いかけよりそのような些事が大切とは……。いいご身分だな、侯爵?」

ぱんっと小気味良い音を出して口元を隠しうっそりと笑うのは王妃だ。その美貌に広がる酷薄な笑みは、普段の温厚そうな顔からは到底想像がつかない。


「しっ……失礼致しました!そのような意図では……!」
「娘の行方を心配する事の何がいけないのですかっ!!!」

青い顔で引き下がった侯爵を庇うようにして声を張り上げたのはクラリスだ。


「朝から訳の分からないうちに引きずってこられたんですよ!?なのにここにもお姉様はいなくて……失礼なのはそっちでしょ!?」
「黙れと言ったはずだ。」

国王が冷たくそう言うと、クラリスを押さえつけていたのとは別の兵士が持ってきた猿轡を噛ませる。


「お前達を連れてくる前にどのような理由でということは伝えたはずだ。お門違いの文句はやめてもらおうか。」

ただ事実を淡々と説明する国王はニコリともせず、かえって怖さが増幅されていた。
未だ拘束から逃れて暴れようとするクラリスだが、彼女を見る侯爵夫妻は冷ややかで、余計な行動を起こされるのを心底恐れているように見えた。
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