25 / 32
25
しおりを挟む
25
そんなギルバートの様子が信じられないクラリスは、押さえつけられてなお、もがき続けている。
だが、ギルバートに言わせれば普段の非常識さ、無能さで言えばクラリスと遜色のない侯爵夫妻も、流石にあまりの娘の非常識さに空いた口が塞がらないようだ。
あまりの情報量に頭が回っていなかった彼らだが、ふとあることに気がついたようだ。
「お姉様はどこ……?」
取り押さえてなお喋っているクラリスの声にハッとする侯爵夫妻だが、勿論許しが出ていないので話すことはできない。
そこで国王がやっと動いた。
「お前達には様々な容疑がかかっている。……心当たりがあるな?侯爵。」
「い……いえ……何のことだかさっぱり……。それよりアイリーンは「ほう。」」
「陛下の問いかけよりそのような些事が大切とは……。いいご身分だな、侯爵?」
ぱんっと小気味良い音を出して口元を隠しうっそりと笑うのは王妃だ。その美貌に広がる酷薄な笑みは、普段の温厚そうな顔からは到底想像がつかない。
「しっ……失礼致しました!そのような意図では……!」
「娘の行方を心配する事の何がいけないのですかっ!!!」
青い顔で引き下がった侯爵を庇うようにして声を張り上げたのはクラリスだ。
「朝から訳の分からないうちに引きずってこられたんですよ!?なのにここにもお姉様はいなくて……失礼なのはそっちでしょ!?」
「黙れと言ったはずだ。」
国王が冷たくそう言うと、クラリスを押さえつけていたのとは別の兵士が持ってきた猿轡を噛ませる。
「お前達を連れてくる前にどのような理由でということは伝えたはずだ。お門違いの文句はやめてもらおうか。」
ただ事実を淡々と説明する国王はニコリともせず、かえって怖さが増幅されていた。
未だ拘束から逃れて暴れようとするクラリスだが、彼女を見る侯爵夫妻は冷ややかで、余計な行動を起こされるのを心底恐れているように見えた。
そんなギルバートの様子が信じられないクラリスは、押さえつけられてなお、もがき続けている。
だが、ギルバートに言わせれば普段の非常識さ、無能さで言えばクラリスと遜色のない侯爵夫妻も、流石にあまりの娘の非常識さに空いた口が塞がらないようだ。
あまりの情報量に頭が回っていなかった彼らだが、ふとあることに気がついたようだ。
「お姉様はどこ……?」
取り押さえてなお喋っているクラリスの声にハッとする侯爵夫妻だが、勿論許しが出ていないので話すことはできない。
そこで国王がやっと動いた。
「お前達には様々な容疑がかかっている。……心当たりがあるな?侯爵。」
「い……いえ……何のことだかさっぱり……。それよりアイリーンは「ほう。」」
「陛下の問いかけよりそのような些事が大切とは……。いいご身分だな、侯爵?」
ぱんっと小気味良い音を出して口元を隠しうっそりと笑うのは王妃だ。その美貌に広がる酷薄な笑みは、普段の温厚そうな顔からは到底想像がつかない。
「しっ……失礼致しました!そのような意図では……!」
「娘の行方を心配する事の何がいけないのですかっ!!!」
青い顔で引き下がった侯爵を庇うようにして声を張り上げたのはクラリスだ。
「朝から訳の分からないうちに引きずってこられたんですよ!?なのにここにもお姉様はいなくて……失礼なのはそっちでしょ!?」
「黙れと言ったはずだ。」
国王が冷たくそう言うと、クラリスを押さえつけていたのとは別の兵士が持ってきた猿轡を噛ませる。
「お前達を連れてくる前にどのような理由でということは伝えたはずだ。お門違いの文句はやめてもらおうか。」
ただ事実を淡々と説明する国王はニコリともせず、かえって怖さが増幅されていた。
未だ拘束から逃れて暴れようとするクラリスだが、彼女を見る侯爵夫妻は冷ややかで、余計な行動を起こされるのを心底恐れているように見えた。
100
あなたにおすすめの小説
貴方に私は相応しくない【完結】
迷い人
恋愛
私との将来を求める公爵令息エドウィン・フォスター。
彼は初恋の人で学園入学をきっかけに再会を果たした。
天使のような無邪気な笑みで愛を語り。
彼は私の心を踏みにじる。
私は貴方の都合の良い子にはなれません。
私は貴方に相応しい女にはなれません。
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
妹と王子殿下は両想いのようなので、私は身を引かせてもらいます。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるラナシアは、第三王子との婚約を喜んでいた。
民を重んじるというラナシアの考えに彼は同調しており、良き夫婦になれると彼女は考えていたのだ。
しかしその期待は、呆気なく裏切られることになった。
第三王子は心の中では民を見下しており、ラナシアの妹と結託して侯爵家を手に入れようとしていたのである。
婚約者の本性を知ったラナシアは、二人の計画を止めるべく行動を開始した。
そこで彼女は、公爵と平民との間にできた妾の子の公爵令息ジオルトと出会う。
その出自故に第三王子と対立している彼は、ラナシアに協力を申し出てきた。
半ば強引なその申し出をラナシアが受け入れたことで、二人は協力関係となる。
二人は王家や公爵家、侯爵家の協力を取り付けながら、着々と準備を進めた。
その結果、妹と第三王子が計画を実行するよりも前に、ラナシアとジオルトの作戦が始まったのだった。
虐げられた令嬢は、耐える必要がなくなりました
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私アニカは、妹と違い婚約者がいなかった。
妹レモノは侯爵令息との婚約が決まり、私を見下すようになる。
その後……私はレモノの嘘によって、家族から虐げられていた。
家族の命令で外に出ることとなり、私は公爵令息のジェイドと偶然出会う。
ジェイドは私を心配して、守るから耐える必要はないと言ってくれる。
耐える必要がなくなった私は、家族に反撃します。
私から婚約者を奪うことに成功した姉が、婚約を解消されたと思っていたことに驚かされましたが、厄介なのは姉だけではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
ジャクリーン・オールストンは、婚約していた子息がジャクリーンの姉に一目惚れしたからという理由で婚約を解消することになったのだが、そうなった原因の贈られて来たドレスを姉が欲しかったからだと思っていたが、勘違いと誤解とすれ違いがあったからのようです。
でも、それを全く認めない姉の口癖にもうんざりしていたが、それ以上にうんざりしている人がジャクリーンにはいた。
幼なじみが誕生日に貰ったと自慢するプレゼントは、婚約者のいる子息からのもので、私だけでなく多くの令嬢が見覚えあるものでした
珠宮さくら
恋愛
アニル国で生まれ育ったテベンティラ・ミシュラは婚約者がいなかったが、まだいないことに焦ってはいなかった。
そんな時に誕生日プレゼントだとブレスレットを貰ったことを嬉しそうに語る幼なじみに驚いてしまったのは、付けているブレスレットに見覚えがあったからだったが、幼なじみにその辺のことを誤解されていくとは思いもしなかった。
それに幼なじみの本性をテベンティラは知らなさすぎたようだ。
『婚約破棄された公爵令嬢は、王と交わらない道を選ぶ』
ふわふわ
恋愛
婚約者である王太子アルベルトから、一方的に婚約破棄を告げられた公爵令嬢エレノア。
だが彼女は、涙も復讐も選ばなかった。
「婚約は、役目でしたもの。終わったのなら、それで結構ですわ」
王宮を去ったエレノアは、領地に戻り、
干渉しない・依存しない・無理をしない
ただそれだけを軸に、静かに領地運営を始める。
一方、王となったアルベルトもまた、
彼女に頼らないことを選び、
「一人の判断に依存しない国」を作るための統治に身を投じていた。
復縁もしない。
恋にすがらない。
それでも、二人の選択は確かに国を安定へと導いていく。
これは、
交わらないことを選んだ二人が、
それぞれの場所で“続けられる世界”を完成させる物語。
派手なざまぁも、甘い溺愛もない。
けれど、静かに積み重なる判断と選択が、
やがて「誰にも壊せない秩序」へと変わっていく――。
婚約破棄から始まる、
大人のための静かなざまぁ恋愛ファンタジー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる