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「お前達がなんと言おうと、最早家に帰れぬことは決まっておるわ。ここに連れてこられるまでに言い逃れの出来ぬほど現行犯でやらかしてくれたからなぁ。」
ひっ、と声を漏らしたのは、これまでただ青い顔で震えていただけの侯爵夫人であった。『家に帰れない』という国王の言葉に、拘束されて尚、もがき続けていたクラリスも動きをとめ、その瞳が溢れんばかりに目を見開いている。
「さて、本来ならばここでお前達の余罪についての追及をしたい所だが……。今日は未来の我が娘の晴れの日なのでな。それはまた後にしよう。……あぁ、お前たちも見ていくか?お前達が人生で目にすることが出来る、最後の煌びやかな場だぞ。」
「…………晴れの日……でございますか?陛下の未来の娘となると、クラリスの?……あぁ!なんだ、陛下も人が悪い。こんな事をして、我々へのサプライズだったということですね!全く、わたしだったからいいものを、他の人なら勘違いを……」
「勘違いしておるのはお前だ、侯爵。たわけが。そこにいる馬鹿女がわたしの未来の娘だと?思い上がりも大概にしておけよ。」
ここでも再び盛大な勘違いを披露したのは侯爵だ。へらりと普段の様子に戻った彼を再び一刀両断したのは国王であった。
「これだけのことをしでかしておいて、まだ王家とスチュアート侯爵家の契約が成り立つとでもおもっているのか?それだけの影響力がお前にあるとでも?……はっ、思い上がりも甚だしい。」
「は……?ですが、今現在、王太子殿下の婚約者なのはクラリスで……。」
「衛兵!こやつらの身体を、身動き一つ出来ないように縛りあげろ。手加減は一切不要だ。声も出せないようにしっかりと猿轡を噛ませておけ。」
「陛下なにを……もご……っ!?」
「さて……。この場に居られても邪魔だからな。とりあえず、部屋の隅にでも転がしておくといい。…………さて、と。さぁアイリーン、入っておいで。」
「お前達がなんと言おうと、最早家に帰れぬことは決まっておるわ。ここに連れてこられるまでに言い逃れの出来ぬほど現行犯でやらかしてくれたからなぁ。」
ひっ、と声を漏らしたのは、これまでただ青い顔で震えていただけの侯爵夫人であった。『家に帰れない』という国王の言葉に、拘束されて尚、もがき続けていたクラリスも動きをとめ、その瞳が溢れんばかりに目を見開いている。
「さて、本来ならばここでお前達の余罪についての追及をしたい所だが……。今日は未来の我が娘の晴れの日なのでな。それはまた後にしよう。……あぁ、お前たちも見ていくか?お前達が人生で目にすることが出来る、最後の煌びやかな場だぞ。」
「…………晴れの日……でございますか?陛下の未来の娘となると、クラリスの?……あぁ!なんだ、陛下も人が悪い。こんな事をして、我々へのサプライズだったということですね!全く、わたしだったからいいものを、他の人なら勘違いを……」
「勘違いしておるのはお前だ、侯爵。たわけが。そこにいる馬鹿女がわたしの未来の娘だと?思い上がりも大概にしておけよ。」
ここでも再び盛大な勘違いを披露したのは侯爵だ。へらりと普段の様子に戻った彼を再び一刀両断したのは国王であった。
「これだけのことをしでかしておいて、まだ王家とスチュアート侯爵家の契約が成り立つとでもおもっているのか?それだけの影響力がお前にあるとでも?……はっ、思い上がりも甚だしい。」
「は……?ですが、今現在、王太子殿下の婚約者なのはクラリスで……。」
「衛兵!こやつらの身体を、身動き一つ出来ないように縛りあげろ。手加減は一切不要だ。声も出せないようにしっかりと猿轡を噛ませておけ。」
「陛下なにを……もご……っ!?」
「さて……。この場に居られても邪魔だからな。とりあえず、部屋の隅にでも転がしておくといい。…………さて、と。さぁアイリーン、入っておいで。」
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