【R18】私が後輩のセフレに沼ってから別れるまでのお話。

志貴野ハル

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第2章

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「せんぱい、腕回して」
「ぁ、おもいから……」
「重いのがいいんだって」

 だるくて上がらない腕をゆっくり伸ばすと、二の腕を掴まれてぐいっと引っ張られた。膣内のものが抜けないように腰を持ち上げられて、視界がぐるりと回る。
 胡座をかいたユウマくんの上に乗るような体勢になる。体重をかけないようにシーツの上を突っ張っていた足は、腰をつかんで押しつける彼の腕の力で簡単にはずれて、剛直なペニスが根元まで深く入り込む。

「……ぅうっ」

 子宮の、一番奥のかたちが無理やり変わる衝撃に、息を呑んで体を震わせる。思わず首に回った腕に力がこもって、しがみつくような姿勢になった。汗でじっとりと湿ったお互いの体が再度密着して、甘い香りのする熱がぶわりと顔にまとわりつく。
 いつもなら体位を変えてもすぐにがつがつと腰をぶつけてくるのに、なかなか動かない。何度もイッた余韻が落ち着くまでずっと私を膝の上に乗せたまま、体を密着させて髪を撫でられる。

「……どうしたの?」

 問いかけても返事は返ってこない。ただずっと手が動いているだけ。今までは性感帯を探って遊ぶようなセックスで、乱暴ではなかったけど優しくもない行為だけのものだったのに、今日はどうしたんだろう。こんな彼女にするようなこと……。
 恥ずかしくて俯いていた顔を上げて、ユウマくんの顔をのぞき見る。暗い部屋の中であごの輪郭がぼんやりと浮かぶくらいで、表情はよく見えない。ふいに彼の顔がこちらを向いた。前髪を持ち上げられて、丸見えになった額に唇が触れる。びっくりして声を出せないでいると、唇はそのまま頬や耳を滑っていく。

「や、ふふっ、くすぐったいよ」

 ちゅ、ちゅ、とついばむような唇が本当にくすぐったくて、くっついている状況を忘れて笑ってしまった。こんなに戯れてくるなんて珍しい。というか初めてかもしれない。
 少しくらいなら私もくっついていいかな。ワガママな気持ちが出てきて、彼の唇が離れた瞬間、甘えるように腕を伸ばして擦り寄ってみた。
 拒絶はされず、甘やかすみたいにぽんぽんと頭を撫でられる。

「……なんか今日、優しいね」
「そう? いつも優しくしてるつもりだけど」
「いつもより優しい」

 私がそう言うと頭を撫でていた手が腰のくびれを通り過ぎて、お尻を鷲掴みにした。ひくん、と膣内の肉ひだが引き攣る。
 ユウマくんが動きやすいように、腕の力を緩めて肩をつかんだ。ゆったりとお尻を揺さぶられる動きに落ち着いていた熱が再燃する。

「……んっ、ぅ、……はぁ、……は、あっ、ぁあっ、……っ」
「せんぱい、奥ぐりぐりされんの好きだよね」

 身動きの取れなくなった子宮の奥を、硬い先端で舐めるようにぬちゅぬちゅと音を立てながら押し付けて擦られて、数センチだけ引き抜いては叩かれるという動きを何度も繰り返された。

「ぁあっ、これ、やぁ…っ」
「これ?」
「ん、ぅう、……ぁんっ」

 ぐりぐりと子宮口をしつこく舐めまわされている感覚に、結合部からねっとりとした音を垂れ流しながら、蕩けた声が漏れる。言われてから初めて、こうして膣内をなぶられるのが好きなんだと気づく。
 ユウマくんと関係を持つ以前は、こんなに時間をかけてセックスをするなんてなかった。中イキも一回のセックスで何度もできるようになって、どんどん開発されていく感じがする。

「ぁ、もう……っ」
「またイクの? 早くない?」
「だって、さっきから、——ぁッ」

 びくんっと腰が跳ねる。腰が引けそうになるのをぐっと引き戻されて、張り出した亀頭が一番敏感なところをぞりぞりと擦りあげる。動き自体はそれほど激しくない。ゆっくりと腰を揺らしながら子宮口からトプトプと溢れる愛液をまとわせて、充血した肉壁に塗りたくられる。
 十分にほぐれている腟内をもっとほぐすように、時間をかけてグズグズに溶かされていく。

「はぁっ、は、———っ」

 ぶるりと背筋を震わせると、無意識にきゅぅっと腟内が収縮した。さっきからゆったりとした優しい波が来るばかりで、気持ちいいけどお腹の奥が切ない。
 もっと頭が真っ白になるくらい深くイキたい。
 肩を掴んでいた腕をもう一度首に回して、彼の首すじに唇を寄せる。舌先でなぞってからかるく歯を立てた。

「痛い。なに、なんか怒ってんの?」
「……おこっ、てない……」
「言わなきゃわかんないじゃん」
「……つよく、して、ほしい」
「なんで?」
「……イキたい、さっきから、ゆっくりしてばっかで、おなか苦しいの」

 鼻で笑われて、恥ずかしいことを言っていると自覚して泣きそうになる。

「さっきはあんなに泣いてやめてって言ってたのにねぇ」

 ずんっ、と下から強く突き上げられる。一瞬、息が止まって、遅れて肺に溜まった空気が押し出されるように漏れ出た。そのままお尻を鷲掴みにされて、上下に強く揺すぶられる。グチュグチュといやらしい音を部屋中に飛び散らせながら、子宮口の形が変わるくらい硬い亀頭を強く押し付けられる。

「ぅあっ、やっ……、おくっ、おく、ぃッ……、んっ、んーっ、……い、っく」

 ブルブルと全身が震えて、じわぁっと下半身から力が抜けていく。頭の中が白くモヤがかって、下腹部がきゅんきゅんと痙攣し始める。

「ぁ、あ——……っ……」
「これ何回目? 早いって」

 ぺちんっと音を立ててお尻を叩かれる。

「ひゃぅっ」

 息を呑んで背中をそらすと声をあげて笑われた。恥ずかしくて顔から熱が吹き出す。

「せんぱい、ほら、へばってないでちゃんと腰振って」
「ふ、ぅうッ、んっ、ぁ——」

 今度はベッドに寝そべったユウマくんの上にまたがったまま、動けないでいる私のお尻がぺちぺちと叩かれて揺すぶられる。
 何度もイかせてもらったから、ちゃんと気持ちよくしなきゃいけないのに体に力が入らない。

「ほら、体起こして、動け」

 命令するような口ぶりの彼が両ひざを立てて、下から突き上げる。ぐぢゅっぐぢゅっ、と空気を含んだ水音を響かせながらペニスが膣壁をえぐっていって、惚けたままの私を容赦なく叩き起こす。
 それでも、体は指先まで痺れて力が入らないから、思ように動けない。ユウマくんの体の上で潰れたカエルみたいな姿勢で情けなく喘ぐだけだった。

「あ、あぁっ」

 指が、またお尻の膨らみをつかんだ。左右に割り広げられるように乱暴に揺すぶって、腰が打ち付けられる。肉壁をえぐられながら子宮の奥をどちゅどちゅと叩かれて、また頭の中が真っ白になる。

「は、ぁあっ、ん、くぅうっ」

 何度も奥を突かれて、私がイキそうになって下腹部を締めると腰の動きがピタッと止んだ。
 時間を置いて体の震えが収まると、またゆっくりと腟内をこねられて、少しでもキツく膣内を締めてしまうとまた動かなくなってしまう。
 頭の中の酸素が薄くなって、視界がチカチカする。

「ぅう、んぁ、あ——……っ」

 さっきよりも長い時間焦らされて、反応が鈍くなったせいか、突き上げる動きが止まって今度はお尻を優しく撫でられた。
 スリスリと手のひら全体が動き回って、くすぐったさに身をよじる。ふいに指先がお尻の割れ目をすうっと撫でて、私は息を飲んだ。

「ぁ、はぁっ、はぁ……っ、——!?」

 まさか、と不安に喉を鳴らすと割れ目を下から上へくすぐっていた指が、割れ目を押し広げて中へ潜り込んできた。
 誰にも触られたことの無いその場所は、膣口から溢れ出た蜜でトロトロに濡れそぼっている。何をするのか予測して、背筋が強ばる。
(ダメ、そんなところ撫でないで……っ)

「んぁ、は、はぁっ、——ぁあっ」

 言いたくても、からからに渇いた喉からは掠れた喘ぎ声しか出ない。
 指が、ぬるぬると滑る穴のシワを一本一本撫でるように這い回る。むずがゆいような奇妙な感覚に体が震える。

「ん、せんぱい、キツく締めないでイキそうになる」

 そんなつもりは無いのに、ユウマくんは眉根を寄せて苦しそうな息を吐いた。
 彼の体の上で身動きが取れずに、両足を開いてペニスを咥えこんだまま、お尻の穴を撫でられているという恥辱に頭がおかしくなりそうだった。
 撫でられる度に抵抗しようともがけば、肉ひだが擦れて、ぞくぞくと背中が痺れて腟内がきゅっきゅっと締まる。
 唐突に、撫でていた指がつぷ、と奥に入り込もうとしてきた。

「んぅ、んん——っ」

 くぐもった声をあげながら抵抗する。
 だけどまた、体の下から叱るように激しく腰を打ち付けられて、あっけなく力が抜けていく。
 脱力して抵抗しなくなったのを見ると、止まっていた指がまた動き出した。

「は、すげえイキまくってんのにいつもより奥キッツ……。せんぱい、これ好き? めちゃくちゃ締めてくるよ。自分でもわかんない?」
「ぅ、んん、ちが……っ……わかんないぃ……」

 いやいやと首を振る。好きじゃない。知らない。そんなところ、触られたこともない。
 ぬりゅぬりゅと二本の指でお尻の穴を撫でられて、広げられる。抵抗して力を入れてすぼめると腟内に挿入していたものの感触がぐっと際立った。

「っ、ぁ、あっ」
「あー……待って、やばいイきそ……っ」

 眉間に皺を寄せて、ぶちゅぶちゅと粘液の飛び散る音を出しながら、めちゃくちゃに腰が打ち付けられていく。穴を撫でられて、つぽつぽと指先でほじくられて、脱力し切った膣内をごりごりと貫くペニスの乱暴さに抗えない。

「もっ、やぇ、……っ、イくっ、イく……ぅっ」
「——イけ、イッちゃえ」
「んぅう~~~~~~っ」

 膣内がぎゅうぅううっと深く締めた後、きゅっきゅっ、と細かな痙攣を繰り返す。

「はぁ、あ、……あー、でる……っ」

 苦しそうな声で呻くと、お尻に食い込む指に力がこもった。ビリッとした痛みに顔が歪む。腟内で膨らんだペニスの先端が、子宮口にみっちりと押し付けられる。ビクビクとのたうつような蠢動が、薄いゴム一枚隔てて伝わってくる。


「……うーわ、すげえ出た」

 長い射精が終わって、息を切らした彼が私の体の下で笑った。
 後始末をするのに邪魔になると思って、体を起こそうと身をよじる。するとお尻をつかんでいた手が腰に回って私の動きを止めた。

「あぁ、待って、まだイったばかりだから、あんま動かないで」

 抱きしめられるような体勢になって、顔が勝手に熱くなる。

「……心臓の音、すごいね」
「んー? セックスって全力で走るくらいしんどいらしいよ」
「しんどかったの?」
「いや、めちゃくちゃ気持ちよかった」

 意外にも素直に認めてきたから驚いた。まだ酔っ払ってるんじゃないのとからかう。

「一番最初にしてからずっと気持ちよくて、もう先輩としかできない体になってる」
「そうなの?」

 冗談だと思って笑いながら、本当にそうならどんなに嬉しいかと胸の中で思う。このまま私しか知らないままで、私だけ見ていてくれたらいいのに。


「……ねえ、先輩って、部長と付き合ってたの?」

 ようやく体を離して後始末をして、だけどシャワーを浴びる気力もないまま並んで裸でまどろんでいると、唐突に訊ねられた。

「え? なんで?」
「さっき、飲み会でちらっと聞いた」

 やっぱりあのとき、なにかあったんだろう。
 飲み会で他の男にちょっかいをかけているあの子と、元彼が険悪な雰囲気になるのはわかるけど、一体どのタイミングで私の話題が出たのか。

「あ、うん……少しの間ね。今はべつに、向こうも彼女いるし」
「あぁ、あの一番うるさい人でしょ。先輩と全然タイプ違うね」
「……うん」

 別れた直後から何度も人づてに届いた「全然タイプが違う」という言葉を、彼にも言われて落胆する。
(やっぱりみんな、そう思うんだ)
 元彼も、私みたいに言いたいことを素直に言えない女より、あの子みたいに喜怒哀楽がはっきりしている方が可愛いと思ったから浮気なんてしたんだろう。
 実際、性格はどうであれ、あの子の周りには人がたくさんいる。私とは正反対だ。嫌いだけど、誰とでも馴染めるそういう底なしの明るさは羨ましいと思う。

「先輩はさぁ、」
「……ん?」
「あれ、なに言おうとしたんだっけ。……眠くて飛んだ」
「えー、なにそれ。おやすみ」
「んー」

 ユウマくんは低く唸ると、私から奪った枕の下に両手を入れて、うつ伏せになった。
その黒髪の後頭部を見ながら、どうしても考えてしまう。
 もしかしたらユウマくんも元彼と同じように、私に飽きたらあの子のところへ行ってしまうんだろうか。
 振られたときのことをを思い出したら、目が冴えてしまった。彼を起こさないようにベッドから抜け出て浴室へ向かう。
 シャワーを浴びながら、毎回思う。
 明日は、何時に帰っちゃうんだろう。いっぱい抱き合ったのに、終わった後はいつも寂しくなる。
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