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第2章
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部屋の鍵を開けると、家主より先に彼が入っていった。慣れたように素早くベッドに寝転がって、バッグを片付けている私を呼ぶ。
初めて寝たあの日から毎週金曜日にあるサークルの飲み会後、彼は決まって私の部屋に来るようになった。
そして生理のとき以外、毎回セックスをする。
二度目と三度目は私のほうから誘った。
だけど付き合っているわけではない。そういう言葉は、お互いに一度も言ったことがない。だって言ったらきっと、彼はここに来なくなってしまう。
「なんか飲む?」
「いらない、早くこっち来てよ」
体を起こしたユウマくんが、ぽすぽすとベッドの端を叩く。
呼ばれると、毎回、緊張する。
最初は私の方が積極的だったはずなのに。
おずおずと彼の隣に腰を下ろすと、髪に手を差し入れられた。ぞく、と背筋に電流が走って体全体が震える。機嫌がいいときにする癖だ。女の子が人形の髪をとかすみたいに、彼も隣に座る私の髪をよく撫でた。
「っ、ユウマ君、今日飲んだ?」
「ブルーベリーみたいな味がする甘い液体なら飲んだ」
「え、どれくらい?」
「覚えてない」
淡々と言葉を返してくる彼にじっと見つめられると、緊張して視線が泳いでしまう。髪を撫でる手が止まって、頬に触れた。顔が近づいてくる。触れそうになる寸前で唇を避けた。
「……キスは、しなくていいよ。私、かなりお酒飲んだから」
付き合ってないから、キスだけはしない。セフレになるときにそう決めた。振られるのが怖くて彼女になれなかった私の意地だ。
「じゃあこっち」
「ん……っ」
あっさりと離れた唇が、私の耳に触れた。くすぐったさに声を漏らすと、今度は彼の舌が耳のふちをなぞる。水音が鼓膜に直接入ってきて、体がより一層ぞくぞくと震える。
「なんか元気ない?」
いつもより大人しくしていたからか、首すじに吸い付いていた彼が顔を覗き込んできた。
「そ、そうかな、……たぶん眠いんだと思う」
「起きて、ちゃんと相手してよ」
「ごめんごめん」
ヘラヘラと笑ってやり過ごす。下手くそな嘘はバレていないみたいだ。
もう少し、お酒を飲んだらよかった。前後不覚になるくらいべろべろに酔っ払っていたら、後輩たちの言葉もきっと笑って流せていた。「おもちゃみたいに扱われているだけ」というユウマくんの言葉が、なぜか急にフラッシュバックしてきた。
今の状況も、そうなのかもしれない。最初は珍しくても、そのうち飽きられてしまうのは嫌だ。
「ほら、バンザイして」
私のそういう面倒くさい気持ちには気づかず、カットソーの裾を持ち上げられる。言われるがままに腕を上げて、首から服が一枚取り払われていく。白いキャミソールが丸見えになって、ベッドの上に押し倒された。
「あ、電気」
「わかってるよ」
ユウマくんが慣れた手つきで、サイドボードにあるリモコンを引き寄せて部屋の明かりを消した。リモコンと一緒に眼鏡もサイドボードに置かれる。暗闇の中で聞こえる衣擦れの音が、ベッド横の床に落ちた。
「……後ろ向いて」
ユウマくんの言う通り、背中を向ける。キャミソールの裾から指が侵入してきて、ブラジャーのホックを外した。二枚とも一緒に腕からするりと抜けて下もすべてさらけ出されて、まっさらになる。
裸の状態で視界も心許なくて、喉がこくりと鳴る。体の上にまたがった彼の大きな手が、私の頬を包んだ。そっと手を重ねると、ふ、と小さな笑い声が空気中に漂った。
「まだ眠い?」
「ううん」
「ん」
すりすりと頬を撫でる手がだんだんと下に下がっていった。胸の膨らみをすくい上げて揉みしだいて、親指の先が胸の頂点を撫でる。
「んっ」
指先だけでくるくると弄ばれると、鼻から抜けるような声が漏れた。無音の空間だから声が響くのは嫌で、とっさに手で抑えて唇を噛む。
少しずつむくむくとそそり立ち硬くなっていく乳首が、急に強い力で摘みあげられて上下に揺すぶられた。痛みに近い刺激にびくんと腰が跳ねて、下半身がわななく。
「——ぁあっ」
唐突にぢゅう、っと音を立てて、指で触っていない方の胸の先端が吸われた。
唇はそのまま離れず、ねろねろと口の中で乳首を転がされる。快楽神経に繋がったそこは、刺激をうけるたびに下腹部の疼きに変換されていく。
「んっ、……ふ、ぅ……っ」
甘噛みを繰り返された先端がむず痒い。目尻が熱くなって呼吸が震えて荒くなる。太ももを擦り合わせて下腹部の疼きを誤魔化すけど、余計に触って欲しくなって意味を為さない。
「は……、はぁっ、ぁっ、……んんっ」
何度も音を立てて吸いつかれた乳首がじんじんと熱く痺れてくる。我慢して結んでいた唇もいつの間にかぽっかり空いて、荒い呼吸と我慢できなかった嬌声が漏れる。
「ぁ、もうっ……」
「なに?」
「下、も、触ってほしい」
「ん」
胸を揉んでいた手が下腹部に伸びる。子宮の辺りを手のひらでゆっくりと撫でられて、触られていない蜜口の方がひくひくと震える。
「はぁっ、ん、んっ」
まだ焦らされている。
下腹部をすりすりと撫でられたまま、乳首を唇でむにむにと挟まれる感覚に、熱くて重苦しい息が漏れる。
蜜を溜め込んだお腹の奥がうずうずする。
触られていない腟内に力が入ると、とろ……と愛液がお尻の方まで垂れていく気配がした。
「はぁっ……は、ぁあっ」
下腹部に置かれた手のひらが、体の外側からぐぅっと子宮を押した。ひくんと腰が跳ねる。
その後も何度か撫でられたり押されたりを繰り返されて、太ももがぶるぶると震える。
ちゅぅっと胸の先端をきつく吸われて、体をくねらせた瞬間。
「ん、やぁっ、ぁあ……っ」
(——なに、今の……)
体に電流が走ったのかと思った。目の前がチカチカと明滅して、一瞬、なにが起きたのか分からなかった。
腕を伸ばして彼の頭を抱き抱える。
「——はっ、はっ、……はぁっ、ぁっ」
細切れの息を吐くと、絶頂したときみたいに、意思を無視して子宮がきゅうきゅうとうねっているのがわかる。
「あ、待、っ……」
体が落ち着かないうちに下腹部を触っていた手が、トロトロに濡れそぼった入り口へ指を突き立てた。人差し指と中指がくちゅ、と音を立てて、肉ひだを掻き分けながらゆっくりと奥に入り込んでくる。
「んんんっ」
ずっと待っていたものだったから、体がゾワゾワして無意識のうちに背中が反り返る。
「もしかしてイッた? 腟内、びくびくしてる」
「んぅ、あ……わ、わかんない……」
「ふうん」
お腹側へ折り曲げた指が、くちゅ、くちゅ、と膣内の浅いところを擦る。脳天を駆け抜けるゾワゾワが止まらない。彼の頭を抱いていた腕はわなわなとシーツをつかんで、顔を背けて唇を噛む。
「んんっ、……ふ、ぅうっ」
くちくちと入り口辺りを擦っていた指は、私が体をくねらせるとわざと動きを止めて、反応を楽しんでいるようだった。
イキたいのにイケない、生殺しの状態が続いて、腰がガクガクと振れる。
「ぁ、あ、もう、や、だぁ……っ」
もどかしい状態が長くて、ついに我慢できなくなる。
半泣きになって訴えると、それまでゆっくりだった指の動きがどんどん早くなった。
指を根元まで突き入れて、深いところまでぐちゅぐちゅと掻き回される。
ごりごりと腟内をえぐっていく感覚に震えが止まらない。身体中の力が抜けて、子宮の奥からどんどん愛液を溢れさせていく。
「あっ、あっ、……はげし、…の、だめ、ぇっ」
細長い指が奥深くまで入って、子宮口の近くをにゅちにゅちと撫でる。
「やぁあっ、やぁああ……っ」
膣奥のくぼみを二本の指で撫でながら、親指の腹が包皮を被ったままのクリトリスをぐりぐりと強く押し潰した。
バチンバチンと殴られるような強い衝撃に目眩を起こす。
イキたいって切望していたのは本当だけど、こんなに立て続けに責められるとおかしくなる。
「や、ぁっ、ぐりぐりやぁあっ、……イッちゃうっ、いく、い……っ」
叫ぶように訴えても、指の強さと動きは変わらない。どうしようもなくて腰をバウンドさせて逃げようもがく。
本当にイキそうになって、息が一瞬止まって喉を仰け反らせると、ユウマくんが体を起こして私の足の間へ頭を寄せてきた。
「——や、」
首だけ起こして見ると、赤黒い舌先が伸びているのが見えた。——だめ、
「だめ、だめぇっ」
——ぢゅぅううううっ
制止の声は届かず、舌は生き物のようにクリトリスを這うと、包皮ごとそのまま唇に含んで吸い上げた。強い刺激に目の焦点が合わなくなって、腰がこれ以上にないくらいしなる。
「ぁ、はぁっ、——ぁああ……っ」
肉壁をえぐる指はぐねぐねと動き回ったまま、吸い上げられたクリトリスは唇で固定されながら舌先でぴちぴちと弾かれる。
「ぁ、ぁあ……っ、イッてる、っ、これ、も、ぉお……っ」
掠れた呼吸混じりの喘ぎ声をまき散らすのに、止まらない。舌で無理やり包皮をめくられて、あらわになった肉粒がちゅぽちゅぽと音を鳴らして直接吸いつかれる。
「っ、んんぁ——っ」
指が抜かれて、引くつく腰を両手で押さえつけられた。下からねっとりと舐めあげられて、ゾワゾワとした怖気が脳天まで這い上がる。舌先で尿道をほじくられたかと思えば、蜜壷の入り口にずっぷりと舌が埋め込まれて、ナカでぐにぐにと蠢いている。
「あ、あぁっ、やぁあー……」
溢れ出る愛液を啜って、もっと出せと催促するように舌がじゅぷじゅぷと音を出しながら抜き差しを繰り返した。
セックスの経験もそんなにない状態で粘膜を舐めるなんて行為、初めは抵抗があるものだと思っていたのに、ユウマくんは平気でこういうことをする。
「ぅ、はぁ、っ、あー……、も、やめ、ぇ……」
「ん、……やだ」
私の足の間に突っ込んでいる頭を押しても、再度埋め込まれた舌はビクともしない。
舌の、粘膜特有の生暖かさと、指ともペニスとも違う軟体動物のような柔らかな圧迫感はそんなに強くはない。けれど確実に弱いところを突いてきて、私は何度も何度も下腹部を震わせて甘イキを繰り返した。
深くイケないまま気が狂いそうになるくらい責められて、体はもう力が入らない。呼吸をするために、ぽっかりと開けた口の端からは涎がこぼれて、息を吐く度に、じゅわっと股ぐらが熱くなる。
「あ……あぁっ……」
両手足を投げ出して私があまり反応しなくなったからか、肉ひだを貪っていた舌がようやく離れた。
奥からせき止められていた粘液がこぷりと吐き出されて、お尻の方まで伝い垂れていく。その感覚にまた身震いする。
「挿れていい?」
顔を上げたユウマくんと目が合う。ぼやけた頭は反応が鈍く、頷く前に膝の裏側に手を入れられて両足を開かされた。
愛液を塗り付けるように入り口をねちねちと亀頭でなぶられて、ゆっくりと腰が沈んでいく。散々指と舌でほぐされたはずなのに、みちみちと無理やり内臓を押し上げられていく感覚が、頭の中を占領していく。
「ふ、っくぅ、……は、ぁ——っ」
「うわ、あっつ……」
私の頭の下に手を差し入れて、体を密着させた彼が低く唸った。
すぐに、ずるる、とペニスが引き抜かれて、最奥まで一気に突かれる。
「——ぁああっ」
叫んでも、腰の動きは止まることなく一定のスピードで腟内を削られていく。
「あっ、あっ、あぁっ、……あ、んぅっ」
「ん、せんぱい、」
やっと一番奥の気持ちいいところを責められて嬉しいはずなのに、これ以上激しくイクのが怖い。呼吸がままならなくなって、もう長い時間経つ気がする。
毎回、気を失う限界までイカされて、溺れるなという方が無理だ。
初めて寝たあの日から毎週金曜日にあるサークルの飲み会後、彼は決まって私の部屋に来るようになった。
そして生理のとき以外、毎回セックスをする。
二度目と三度目は私のほうから誘った。
だけど付き合っているわけではない。そういう言葉は、お互いに一度も言ったことがない。だって言ったらきっと、彼はここに来なくなってしまう。
「なんか飲む?」
「いらない、早くこっち来てよ」
体を起こしたユウマくんが、ぽすぽすとベッドの端を叩く。
呼ばれると、毎回、緊張する。
最初は私の方が積極的だったはずなのに。
おずおずと彼の隣に腰を下ろすと、髪に手を差し入れられた。ぞく、と背筋に電流が走って体全体が震える。機嫌がいいときにする癖だ。女の子が人形の髪をとかすみたいに、彼も隣に座る私の髪をよく撫でた。
「っ、ユウマ君、今日飲んだ?」
「ブルーベリーみたいな味がする甘い液体なら飲んだ」
「え、どれくらい?」
「覚えてない」
淡々と言葉を返してくる彼にじっと見つめられると、緊張して視線が泳いでしまう。髪を撫でる手が止まって、頬に触れた。顔が近づいてくる。触れそうになる寸前で唇を避けた。
「……キスは、しなくていいよ。私、かなりお酒飲んだから」
付き合ってないから、キスだけはしない。セフレになるときにそう決めた。振られるのが怖くて彼女になれなかった私の意地だ。
「じゃあこっち」
「ん……っ」
あっさりと離れた唇が、私の耳に触れた。くすぐったさに声を漏らすと、今度は彼の舌が耳のふちをなぞる。水音が鼓膜に直接入ってきて、体がより一層ぞくぞくと震える。
「なんか元気ない?」
いつもより大人しくしていたからか、首すじに吸い付いていた彼が顔を覗き込んできた。
「そ、そうかな、……たぶん眠いんだと思う」
「起きて、ちゃんと相手してよ」
「ごめんごめん」
ヘラヘラと笑ってやり過ごす。下手くそな嘘はバレていないみたいだ。
もう少し、お酒を飲んだらよかった。前後不覚になるくらいべろべろに酔っ払っていたら、後輩たちの言葉もきっと笑って流せていた。「おもちゃみたいに扱われているだけ」というユウマくんの言葉が、なぜか急にフラッシュバックしてきた。
今の状況も、そうなのかもしれない。最初は珍しくても、そのうち飽きられてしまうのは嫌だ。
「ほら、バンザイして」
私のそういう面倒くさい気持ちには気づかず、カットソーの裾を持ち上げられる。言われるがままに腕を上げて、首から服が一枚取り払われていく。白いキャミソールが丸見えになって、ベッドの上に押し倒された。
「あ、電気」
「わかってるよ」
ユウマくんが慣れた手つきで、サイドボードにあるリモコンを引き寄せて部屋の明かりを消した。リモコンと一緒に眼鏡もサイドボードに置かれる。暗闇の中で聞こえる衣擦れの音が、ベッド横の床に落ちた。
「……後ろ向いて」
ユウマくんの言う通り、背中を向ける。キャミソールの裾から指が侵入してきて、ブラジャーのホックを外した。二枚とも一緒に腕からするりと抜けて下もすべてさらけ出されて、まっさらになる。
裸の状態で視界も心許なくて、喉がこくりと鳴る。体の上にまたがった彼の大きな手が、私の頬を包んだ。そっと手を重ねると、ふ、と小さな笑い声が空気中に漂った。
「まだ眠い?」
「ううん」
「ん」
すりすりと頬を撫でる手がだんだんと下に下がっていった。胸の膨らみをすくい上げて揉みしだいて、親指の先が胸の頂点を撫でる。
「んっ」
指先だけでくるくると弄ばれると、鼻から抜けるような声が漏れた。無音の空間だから声が響くのは嫌で、とっさに手で抑えて唇を噛む。
少しずつむくむくとそそり立ち硬くなっていく乳首が、急に強い力で摘みあげられて上下に揺すぶられた。痛みに近い刺激にびくんと腰が跳ねて、下半身がわななく。
「——ぁあっ」
唐突にぢゅう、っと音を立てて、指で触っていない方の胸の先端が吸われた。
唇はそのまま離れず、ねろねろと口の中で乳首を転がされる。快楽神経に繋がったそこは、刺激をうけるたびに下腹部の疼きに変換されていく。
「んっ、……ふ、ぅ……っ」
甘噛みを繰り返された先端がむず痒い。目尻が熱くなって呼吸が震えて荒くなる。太ももを擦り合わせて下腹部の疼きを誤魔化すけど、余計に触って欲しくなって意味を為さない。
「は……、はぁっ、ぁっ、……んんっ」
何度も音を立てて吸いつかれた乳首がじんじんと熱く痺れてくる。我慢して結んでいた唇もいつの間にかぽっかり空いて、荒い呼吸と我慢できなかった嬌声が漏れる。
「ぁ、もうっ……」
「なに?」
「下、も、触ってほしい」
「ん」
胸を揉んでいた手が下腹部に伸びる。子宮の辺りを手のひらでゆっくりと撫でられて、触られていない蜜口の方がひくひくと震える。
「はぁっ、ん、んっ」
まだ焦らされている。
下腹部をすりすりと撫でられたまま、乳首を唇でむにむにと挟まれる感覚に、熱くて重苦しい息が漏れる。
蜜を溜め込んだお腹の奥がうずうずする。
触られていない腟内に力が入ると、とろ……と愛液がお尻の方まで垂れていく気配がした。
「はぁっ……は、ぁあっ」
下腹部に置かれた手のひらが、体の外側からぐぅっと子宮を押した。ひくんと腰が跳ねる。
その後も何度か撫でられたり押されたりを繰り返されて、太ももがぶるぶると震える。
ちゅぅっと胸の先端をきつく吸われて、体をくねらせた瞬間。
「ん、やぁっ、ぁあ……っ」
(——なに、今の……)
体に電流が走ったのかと思った。目の前がチカチカと明滅して、一瞬、なにが起きたのか分からなかった。
腕を伸ばして彼の頭を抱き抱える。
「——はっ、はっ、……はぁっ、ぁっ」
細切れの息を吐くと、絶頂したときみたいに、意思を無視して子宮がきゅうきゅうとうねっているのがわかる。
「あ、待、っ……」
体が落ち着かないうちに下腹部を触っていた手が、トロトロに濡れそぼった入り口へ指を突き立てた。人差し指と中指がくちゅ、と音を立てて、肉ひだを掻き分けながらゆっくりと奥に入り込んでくる。
「んんんっ」
ずっと待っていたものだったから、体がゾワゾワして無意識のうちに背中が反り返る。
「もしかしてイッた? 腟内、びくびくしてる」
「んぅ、あ……わ、わかんない……」
「ふうん」
お腹側へ折り曲げた指が、くちゅ、くちゅ、と膣内の浅いところを擦る。脳天を駆け抜けるゾワゾワが止まらない。彼の頭を抱いていた腕はわなわなとシーツをつかんで、顔を背けて唇を噛む。
「んんっ、……ふ、ぅうっ」
くちくちと入り口辺りを擦っていた指は、私が体をくねらせるとわざと動きを止めて、反応を楽しんでいるようだった。
イキたいのにイケない、生殺しの状態が続いて、腰がガクガクと振れる。
「ぁ、あ、もう、や、だぁ……っ」
もどかしい状態が長くて、ついに我慢できなくなる。
半泣きになって訴えると、それまでゆっくりだった指の動きがどんどん早くなった。
指を根元まで突き入れて、深いところまでぐちゅぐちゅと掻き回される。
ごりごりと腟内をえぐっていく感覚に震えが止まらない。身体中の力が抜けて、子宮の奥からどんどん愛液を溢れさせていく。
「あっ、あっ、……はげし、…の、だめ、ぇっ」
細長い指が奥深くまで入って、子宮口の近くをにゅちにゅちと撫でる。
「やぁあっ、やぁああ……っ」
膣奥のくぼみを二本の指で撫でながら、親指の腹が包皮を被ったままのクリトリスをぐりぐりと強く押し潰した。
バチンバチンと殴られるような強い衝撃に目眩を起こす。
イキたいって切望していたのは本当だけど、こんなに立て続けに責められるとおかしくなる。
「や、ぁっ、ぐりぐりやぁあっ、……イッちゃうっ、いく、い……っ」
叫ぶように訴えても、指の強さと動きは変わらない。どうしようもなくて腰をバウンドさせて逃げようもがく。
本当にイキそうになって、息が一瞬止まって喉を仰け反らせると、ユウマくんが体を起こして私の足の間へ頭を寄せてきた。
「——や、」
首だけ起こして見ると、赤黒い舌先が伸びているのが見えた。——だめ、
「だめ、だめぇっ」
——ぢゅぅううううっ
制止の声は届かず、舌は生き物のようにクリトリスを這うと、包皮ごとそのまま唇に含んで吸い上げた。強い刺激に目の焦点が合わなくなって、腰がこれ以上にないくらいしなる。
「ぁ、はぁっ、——ぁああ……っ」
肉壁をえぐる指はぐねぐねと動き回ったまま、吸い上げられたクリトリスは唇で固定されながら舌先でぴちぴちと弾かれる。
「ぁ、ぁあ……っ、イッてる、っ、これ、も、ぉお……っ」
掠れた呼吸混じりの喘ぎ声をまき散らすのに、止まらない。舌で無理やり包皮をめくられて、あらわになった肉粒がちゅぽちゅぽと音を鳴らして直接吸いつかれる。
「っ、んんぁ——っ」
指が抜かれて、引くつく腰を両手で押さえつけられた。下からねっとりと舐めあげられて、ゾワゾワとした怖気が脳天まで這い上がる。舌先で尿道をほじくられたかと思えば、蜜壷の入り口にずっぷりと舌が埋め込まれて、ナカでぐにぐにと蠢いている。
「あ、あぁっ、やぁあー……」
溢れ出る愛液を啜って、もっと出せと催促するように舌がじゅぷじゅぷと音を出しながら抜き差しを繰り返した。
セックスの経験もそんなにない状態で粘膜を舐めるなんて行為、初めは抵抗があるものだと思っていたのに、ユウマくんは平気でこういうことをする。
「ぅ、はぁ、っ、あー……、も、やめ、ぇ……」
「ん、……やだ」
私の足の間に突っ込んでいる頭を押しても、再度埋め込まれた舌はビクともしない。
舌の、粘膜特有の生暖かさと、指ともペニスとも違う軟体動物のような柔らかな圧迫感はそんなに強くはない。けれど確実に弱いところを突いてきて、私は何度も何度も下腹部を震わせて甘イキを繰り返した。
深くイケないまま気が狂いそうになるくらい責められて、体はもう力が入らない。呼吸をするために、ぽっかりと開けた口の端からは涎がこぼれて、息を吐く度に、じゅわっと股ぐらが熱くなる。
「あ……あぁっ……」
両手足を投げ出して私があまり反応しなくなったからか、肉ひだを貪っていた舌がようやく離れた。
奥からせき止められていた粘液がこぷりと吐き出されて、お尻の方まで伝い垂れていく。その感覚にまた身震いする。
「挿れていい?」
顔を上げたユウマくんと目が合う。ぼやけた頭は反応が鈍く、頷く前に膝の裏側に手を入れられて両足を開かされた。
愛液を塗り付けるように入り口をねちねちと亀頭でなぶられて、ゆっくりと腰が沈んでいく。散々指と舌でほぐされたはずなのに、みちみちと無理やり内臓を押し上げられていく感覚が、頭の中を占領していく。
「ふ、っくぅ、……は、ぁ——っ」
「うわ、あっつ……」
私の頭の下に手を差し入れて、体を密着させた彼が低く唸った。
すぐに、ずるる、とペニスが引き抜かれて、最奥まで一気に突かれる。
「——ぁああっ」
叫んでも、腰の動きは止まることなく一定のスピードで腟内を削られていく。
「あっ、あっ、あぁっ、……あ、んぅっ」
「ん、せんぱい、」
やっと一番奥の気持ちいいところを責められて嬉しいはずなのに、これ以上激しくイクのが怖い。呼吸がままならなくなって、もう長い時間経つ気がする。
毎回、気を失う限界までイカされて、溺れるなという方が無理だ。
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