【R18】私が後輩のセフレに沼ってから別れるまでのお話。

志貴野ハル

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第7章

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 火傷しそうなほど熱くなったペニスの先端を、濡れそぼった蜜口にあてがわれた。
 ユウマくんの大きな手が私の頬を撫でて髪を掻き上げる。そのまま体重をかけるように身体が落ちてきて、背中に腕を回して重さを受け止めた。最初から深くて、熱くて、息が詰まりそうだった。

「……すげえ、膣内、相変わらず狭いしビクビクしてる……。そんなに気持ちいいの? いっぱいイッたと思うんだけど、足りなかった?」

 私の頭を抱きかかえたまま、動かずにじっとしていたユウマくんがくつくつと余裕そうに肩を震わせた。

「っ、……たりないっ……」

 背中に回した腕の力を強くする。身体が薄く、華奢なわりにしっかりと重いユウマくんにしがみついた格好で甘えると、私の頭を抱き抱えるように顔を突っ込んでいたユウマくんが声を押し殺して笑った。

 ユウマくんのセックスは、激しいときと優しいときがあった。
 激しいときは私じゃないとダメなんだと思わせるくらい、求められていると感じるし、優しいときは恋人への愛情のようなものを向けられているような気がして、私はどちちも同じくらい好きだった。どちらも、私の本質に刻み込まれて、忘れられなくさせる魅力がある。

「あぁ、そうだ、吹かせちゃダメなんだった」

 思い出したように呟いて、ユウマくんが腰を引いた。入り口のぎりぎりで引っかかった亀頭を膣が舐めしゃぶる。

「はぁっ……あ…っ…んぁっ……ユ、ウマくん……っ」
「ん?」
「……イキた……っ、イキたいよぉ……っ」

 もつれた舌で、懇願する。
 おなかの、奥がくるしい……。いっぱい突いてほしい……。

「でもこのまま動かしたら、せんぱい、また漏らすでしょ」
「が、我慢する、から……」
「できんの」
「——っ!?」

 ずりゅっ…と奥を突き上げられて、ぬっちぬっちと小刻みにまた往復される。

「んぁ……はぁ……っ……は、あっ……あっ……んぁあっ」
「あー……ほら、ダメ。風呂場行こ」

 口をぽっかり開けてふるふると身体を震わせると、そそり勃ったペニスが肉壁に引っかかりながら、ぬぽんっと抜かれた。身体の下でぐしゃぐしゃになっていたバスタオルを巻かれて、ベッドから降りる。おぼつかない足取りで歩いていたら途中で身体を抱えられた。
 お風呂場まで誘導されて、温く設定したシャワーが勢いよく出される。

「声、ガマンね」
「——んむぅっ……んぅっ……ふ……」

 立ったまま向かい合って、大きな手で口を塞がれた。左足の膝裏を持ち上げられて、下から突き上げられる。

「……ふむぅっ……んん……っ……ぅうっ」 
「……ほら、せんぱい、ちゃんと立って」

 身長差と快感のせいでつま先立ちの足は、ぶるぶると震えて心許ない。このまま突き上げられて、子宮の奥をめちゃくちゃにされて、気を抜けば、簡単に崩れ落ちてしまいそうだった。口を塞いでいる手を掴んで首を横に振る。

「……ダメ? できない?」
「んン……」

 ぎゅっと瞑っていた目を薄く開けて視線を合わせる。……できない。立っていられない……。
 ずりゅっ…と屹立が抜けて、その瞬間、内ももを伝って愛液が滴り落ちた。

「おいで」

 浴室の床に胡座をかいたユウマくんに手を引かれて、その屹立に跨るように誘導される。

「——あっ」

 ゆっくりと沈めようとした腰を無理やり押し込まれて、仰け反る背中を羽交い締めにした。

「ま、って……あぁっ……、おなか、くるしっ……やぁっ、……あぁ……っ」
「自分からイキたいって言ったんでしょ」

 体重をかけてみっちりと深くおさまったペニスが、私の子宮口をほじくるように、ずっちゅずっちゅと上下運動を繰り返した。お尻の双丘を持ち上げて落として、鈴口を子宮口に押し付けてぐりぐりと撫で回されて、自由を奪われた身体は身動き一つ取れない。

「あぁっ……おく、ダメっ……まって、ほんとに、イッちゃ……っ」
「……あんまりデカい声で喘いでると隣に聞こえるよ?」

 耳元でくすりと笑われて、びくりとしてユウマくんの肩に顔を伏せる。でも、ダメだった。下から突き上げられる衝撃と、子宮口をねっとりとこねくり回す愛撫が何度も繰り返されると、全身が弛緩して呼吸するために開けた口からよだれが滴り落ちて、視界がぐるんとひっくり返る。

「んぁ……っ……んうぅっ……」
「は……声やべー……。これ以上したらぶっ壊れそう……」

 嬉々として腰をぶつけてくるユウマくんに、壊してほしいと訴えたかった。壊して、廃人にして、一生の責任をとってもらいたい。そうしたら、……なんて、危険な思考が、朦朧とした頭をよぎる。
 ユウマくんといると自分が怖くなる。ワガママなんて可愛いものじゃない。ユウマくんの全部が欲しくて、周りにいる人は、全部、いらない……。



「……ユウマくんっ、私、自分で立てるよ……っ」
「気絶してたくせに、何言ってんの。顔も身体も赤いから、絶対のぼせてるって」

 狭いバスタブに一緒に入って身体を清めて、またバスタオルを身体に巻き付けてお姫様抱っこされながら戻る。ベッドのふちに降ろされてふいに見上げると、目線の高さがユウマくんの腰の位置になってしまって慌てて視線を落とした。

「服は? 着る?」
「う、うん、着る……」
「どこ? 出そうか」
「いい、自分でやるから、ユウマくんも早く着替えて」

 胸元のバスタオルを押さえながら立ち上がって、ベッドの対極にあるクローゼットを開ける。ユウマくんの言うとおり、のぼせたみたいだ……。走ったときのように心臓の音が耳元でどくどくとうるさくて、眩暈がする。
 突然、ベッドのサイドボードに置いてあるユウマくんのスマホが、特徴的な音で新着メッセージを知らせた。ピコン、ピコンと立て続けに鳴って、ただでさえ忙しい心臓がいっそう跳ねる。

「あ、ごめん、音消してなかった。うるさいね」
「……ううん」

 早々に着替え終えていたユウマくんが、バスタオルで髪を拭きながらベッドに上ってスマホを取った。画面をじっと見ていて、指先はほとんど動いていない。こんな夜遅くに来るなんて、ただの知り合いとは思えない。返信をしなくてもいい相手なんだろうか。

「……………………」

 三か月前の出来事を一瞬で思い出して、着替えるのを忘れて固まったように見てしまう。
 だけど、スマホはすぐにまたサイドボードに戻されて、ユウマくんがこちらを振り向いた。

「先輩、ドライヤー借りていい?」

 着替えている途中の、手が止まった状態でいきなり振り向くから、どきりとする。

「う、うん、どうぞ」
「こっち持ってきて、後で先輩のもやってあげるね」

 特別、動揺したり取り繕ったりすることなくいつも通りの声でそう言うと、脱衣所までドライヤーを取りに行って、またすぐに戻ってきた。
 ユウマくんがベッドを背もたれにして床に座ってドライヤーを使っている間、私はペットボトルの水を二本出して、一本をテーブルの上に置いてからもう一本を持ったままベッドのふちに腰をかけた。
 ペットボトルをパキパキと鳴らして開けて、ドライヤーの温風になびくユウマくんの髪を見てから、ちらりとサイドボードに視線を移す。黒い画面の真ん中に「新着メッセージがあります」と表示された白いポップアップ画面があらわれて、すぐに消えた。かと思ったら、立て続けにまた表示される。差出人の名前もメッセージの内容も表示されない設定になっているから、誰かはわからない。だけど不規則に何度も表示されるから、どこかのお店のDMではないのは確かだった。
(——誰……。なんでこんな時間に……)
 手に当たるドライヤーの風が冷風に変わって、慌ててユウマくんのスマホから視線をそらす。
 風と音が消えて、ユウマくんが「こっち座って」とフローリングの床を叩いた。場所を入れ替えて、今度は私が床に腰を下ろす。

「……ユウマくん、なんか、スマホ、すごい光ってたよ」
「ん、あ、ほんと」

 ユウマくんはそう言ったきりスマホを取るわけでもなく、ドライヤーのスイッチを入れた。轟くような風の音が耳元でうるさく響いて、髪に差し込まれる手が、するすると毛先まで移動して梳かしていく。
 前までなら、好きな人に髪を触られるのは、ドキドキして素直に嬉しかったはずなのに……。なんで今はこんなに、切ない気持ちになるんだろう。
 今のユウマくんに優しくされると、何か罪滅ぼしでそういうことをしてるんじゃないかって、疑心暗鬼になる。何度も来るメッセージにその場で返さないのも、私に対して後ろめたいからなんじゃないかって、変に勘繰ってしまう。
(セックスしたいから戻ってきたの……?)
 自分でも驚くほど嫌な性格が出てきて驚愕する。
 手探りでドライヤーを触って振り向くと、ユウマくんがスイッチを切って「なに?」と首を傾げた。

「……ユウマくん、いいよ。私、向こうでやってくる」
「ごめん、下手だった?」
「違う違う、くすぐったくて」

 笑って否定してみせるけど、上手くできているかわからない。何か言いかけたユウマくんを置いてドライヤーを持って部屋を出る。その直前、一瞬だけ振り返ってみた。
 ユウマくんが身体を伸ばしてスマホを取っているところが見えた。
 胸が、鋭い刃物で抉られたように痛くなる。
 サークルの人とか、親とか友達とか、考えられる人はたくさんいるのに、真っ先に付き合うつもりがなかった「彼女」が頭に浮かんできて、まだ切れていないんじゃないかと疑ってしまう。
 他の人の影が見えると、途端に不安で押しつぶされそうになる。体を重ねている間の幸福感が夢だったかのように、セックス以外のことがぎこちなくなってしまう。
 私が戻るまでユウマくんがまだスマホを見ていたら、今度こそ余計なことを言ってしまいそうだ。
 この後はどうやって過ごしていたんだっけ。
 それすらもわからなくなる。
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