木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!

神崎あら

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第19話 魔人族の影

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「お、王族!た、タマキが?」
「ええ、彼女は正真正銘のベルグール王国の王の娘でございます」

 なんだよ山賊の子じゃなかったのか。
 それにしても王族って……つか実の両親なのになんで人身売買なんて危険なマネをするんだ?

「エイドリアン、一つ聞きたいんだけどなんで実の両親なのにこんな危ない方法で娘に会おうとするんだ?」
「……いいですか冒険者さん、ここから先の話は他言無用かつ知れば貴方にも危険が降りかかるやもしれません、それでも聞きますか?」
「あ、ああ」
「それは、ひとえに派閥争いがあるからです」
「は、派閥争い」

 派閥か……確かあれだよな、次の王を巡った対立で長男のギルドレッド派vs次男のエンダート派みたいな感じのやつだよな。
 
「タマキ様は生まれがとても特殊な方でして、出生後はとある山の家族に預けられていたそうです」
「お、おう」

 それは知ってる。
 確かヨウとロクとかいう兄2人がいたな。

「そのためタマキ様は次の王が決まるまでそこで匿うことになっておりました、しかし次の王候補筆頭であった長男のギルドレッド様が行方不明になってしまったのです」
「え、そうなの!」

 ギルドレッドか懐かしいな。
 昔、俺がたまたまドラゴンを倒したときにいたあの王子だよな。
 ま、まぁ倒したと言っても運良く雷が落ちてそれでどうにかなったんだけどね。

「ギルドレッド様は、その温厚な性格から周辺貴族だけでなく市民からも慕われており次の王は彼にと推す声が多くありました」
「お、おう」
「ですが、それをよく思わないのが次男エンダート派でございます」
「あ、ああ」

 エンダート、いたなそんな奴。
 なんか生意気なクソガキって感じで、俺がドラゴンを倒した時もやれ偶然だとか、こいつは何もしていないとか言ってきたな。
 まぁ全部正解なんだけどね。

「エンダート様はまだ12歳と幼いですが非常に頭の良いお方で特に軍略に興味があるらしく、その影響で彼に付き従う者の多くが軍部関係者でございます」
「な、なるほど」
「そのためエルドレッド様失踪の原因はエンダート派と懇意にしている軍部が関係していると噂されております」
「ま、マジかよ」

 エルドレッド、生きてるかなぁ。
 つかエルドレッドとエンダートの関係はわかったけどそこにタマキがどう関係するのかさっぱりわからんな。

「そんなわけで、エルドレッド様が消えた今次期王はエンダート様になることがほぼ確定してしまったのです」

 う、嘘だろあのガキが次の王って絶対ろくな事にならないぞ。

「ま、まだ死んだわけじゃないんだしエルドレッド様が戻るのを待つのとかは駄目なの?」
「それがエンダート派の人間が、王の責務を負いたくないためにエルドレッドは逃げたと言っていて逃げたエルドレッド様には王になる資格がないとまで言っているのです」
「無茶苦茶だな」

 この話を聞く限りエンダートがなにかしたのはほぼ間違いないな。

「ええ、そこでその流れを食い止めるべくタマキ様が必要になったのです」
「え、なんでタマキが?」
「理由としてはこのままではエンダート様が王になる準備や儀式をスムーズに行なってしまうため、その儀式の妨害そしてエルドレッド様が戻るまでの時間稼ぎとして新たな王候補が必要になったからです」
「な、なるほどな」

 事情がなんとなく掴めてきたぞ。

「そして私はそんなタマキ様を秘密裏に匿い、人身売買の裏取引と偽造してエルドレッド派である現王様にタマキ様を引き渡そうとしていたのです」
「そ、そうだったのか!」

 なんだよこいつもしかして良い奴なのか。
 まてよ、じゃあなんでゲルマン先生はその取引を止めようとしたんだ。

「ちょ、ちょっと聞きたいんだけど国営ギルドはどっちの味方とかなんだ?」
「国営ギルドは基本軍部が管理しているので、どちらかと言えばエンダート派ですかね」
「そ、そっかぁ」

 俺、気づかぬうちにエンダートに協力させられてたんだな……。

「まぁでも軍部はあくまでも国営ギルドの仕事上の上位組織ってだけで国営ギルド自体がエンダート派かどうかはわかりませんけどね」
「そうだよね!」

 だよな、そうだよなエンダートとかゲルマン先生が一番嫌いそうなやつだもん。
 
「……いいですかオルクスさん問題なのは、ここからです」
「え、ここからなの」

 エルドレッドが行方不明になった事よりも大きな問題があるのかよ。

「ええ、エンダート派は実は魔人族と裏で繋がっているという噂があるのです」
「え……」
「故に今回の一件にも魔人族が絡んでいるかも知れなくて」

 や、やばい魔人族と聞いてまたもや心当たりが出てきてしまったぞ。

 

 
 
 
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