あなたが好きでした

オゾン層

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早合点

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 それはなんとも、あっさりと終わってしまいました。



 夜、一人で家にいた彼を、包丁でぎたぎたに刻んで細切れにしてしまいました。

 彼の姿はとうに崩れております。

 奪われる前に彼を殺せたものでしたので、その時の私はさぞ満足した顔をしていたのでしょう。

 長年の親友。私の想い人。

 それが私の手によって摘まれた事実に、多幸感を味わっておりました。



 ですが、当然私は血塗れです。彼の血で染まっております。誰かに見つかれば大事になるでしょう。

 ですからその場から逃げようと、彼であったものがいる部屋から出ようとしたのですが、その時あるものが目に留まりました。



 彼の愛用していた机の上に、一枚の封筒が置かれていました。

 どうやら差出人の名はまだ書き途中のようでしたので、彼が書いたのだとすぐにわかりました。

 私は本の興味本位で、その封筒を開けました。



 それは一通の手紙でした。










____________________



 私はあなたが好きでした。



 ずっとずっと前から、あなたのことをお慕いしておりました。

 しかし、これは叶わぬ恋慕。

 死ぬまで隠そうと思いました。

 でも、あなたを見ると、あなたの声を聞くと、堪らなくなるのです。



 私は意を決してあなたに伝えとう御座います。

 此のような手紙でしか伝えられぬ私をどうかお許しください。





 私はあなたを愛しています。



__________________





 全て読み切った後、私は己が身から溢るる汗に気付けないほど、焦りを感じておりました。

 此のような激情に駆られた言伝を送る者が、彼にいたのだというのか。

 焦燥、嫉妬、嘆き、ありとあらゆる負が綯交ぜになったこの心境で、私は立っていられるのがやっとでした。



 せめて誰に送ろうとしたのか気になった私は、震える手でその封筒の裏を覗きました。





 ですが、見なければよかったのでしょう。

 そうすれば私は、何も知らぬまま彼を憎んでいられたでしょうに。

 最早それもできなくなってしまいました。















 宛名は、私の名前だったのですから。
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